マタイによる福音書3章15節

マタイによる福音書
Generic selectors
完全一致
タイトルから
記事本文から
Post Type Selectors
カテゴリーで絞込

† 福音書縦観 「バプテスマ」 マタイ3:13~17

マタイ3:13~17  マルコ1:9~11  ルカ3:21~22  ヨハネ1:32~34

Matt.3:15しかし、イエスは答えて言われた、「今は受けさせてもらいたい。このように、すべての正しいことを成就するのは、われわれにふさわしいことである」。そこでヨハネはイエスの言われるとおりにした。口語訳聖書

† 日本語訳聖書 Matt. 3:15

【漢訳聖書】
Matt. 3:15 耶穌答而謂之曰、今姑許焉、蓋我儕當如此以成諸儀文、於是許之。

【明治元訳】
Matt. 3:15 イエス答(こたへ)けるは暫(しばら)く許(ゆる)せ如此(かく)凡(すべ)ての義(ただし)き事(こと)は我儕(われら)盡(つく)す可(べき)なり是(ここ)に於(おい)てヨハネ彼(かれ)に許(ゆる)せり

【大正文語訳】
Matt. 3:15 イエス答へて言ひたまふ『今は許せ、われら斯く正しき事をことごとく爲遂ぐるは、當然なり』ヨハネ乃ち許せり。

【ラゲ訳】
Matt. 3:15 イエズス答へて曰ひけるは、姑く其を許せ、斯く我等が正しき事を、悉く遂ぐるは當然なればなり、と。是に於てヨハネ是に許ししかば、

【口語訳】
Matt. 3:15 しかし、イエスは答えて言われた、「今は受けさせてもらいたい。このように、すべての正しいことを成就するのは、われわれにふさわしいことである」。そこでヨハネはイエスの言われるとおりにした。

【新改訳改訂3】
Matt. 3:15 ところが、イエスは答えて言われた。「今はそうさせてもらいたい。このようにして、すべての正しいことを実行するのは、わたしたちにふさわしいのです。」そこで、ヨハネは承知した。

【新共同訳】
Matt. 3:15 しかし、イエスはお答えになった。「今は、止めないでほしい。正しいことをすべて行うのは、我々にふさわしいことです。」そこで、ヨハネはイエスの言われるとおりにした。

【バルバロ訳】
Matt. 3:15 イエズスは、「今はこうさせよ。こうして私たちはすべての正義をまっとうせねばならぬ」と答えられた。そこでヨハネもイエズスのするままにさせた。

【フランシスコ会訳】
Matt. 3:15 しかし、イエズスはこれに答えて、「今は、止めないでください。このように、なすべきことをすべて果たすのは、わたしたちにとって正しいことです」と仰せになった。そこで、ヨハネは譲ってお言葉どおりにした。

【日本正教会訳】
Matt. 3:15 イイスス答へて彼に謂(い)へり、今姑(いましばら)く許(ゆる)せ、蓋(けだし)我等は是くの如く凡の義を盡(つく)すべし。是(ここ)に於て之を許せり。

【塚本虎二訳】
Matt. 3:15 イエスは答えられた、「さあ、そう言わずに!こうして、せねばならぬことをなんでも為遂げることは、われわれ(二人)にふさわしいのだから。」そこでヨハネが譲った。

【前田護郎訳】
Matt. 3:15 イエスは彼に答えられた、「そういわずに。こうして、すべての義を満たすのはわれらにふさわしいから」と。そこでヨハネはゆずった。

【永井直治訳】
Matt. 3:15 されどイエス彼に對ひ答へて曰(のたま)へり、今は許せ。そはかくすべての義しき事を成就するは我等に適(かな)へることなればなり。そのとき彼は許せり。

【内村鑑三訳】
Matt. 3:15 かまうなかれ。そは、かくすべての義を成就するは、われらのなすべきことなり

【詳訳聖書】
Matt. 3:15 イエスは答えられた、「今はそうさせなさい。なぜなら、この事が私たち<ふたり>にとって、すべて義を成就するための<すなわち、正当な事はなんであっても完全に遂行するための>正当な道だからである」。そこでヨハネは同意して彼にバプテスマを授けた。

† 聖書引照 Matt. 3:15

Matt. 3:15 イエス答へて言ひたまふ『今は許せ、われら斯く正しき事をことごとく爲遂ぐるは、當然なり』ヨハネ乃ち許せり。

[今は許せ]  ヨハJhn 13:7~9
[われら斯く正しき事をことごとく爲遂ぐるは、當然なり]  詩篇40:7,8; イザ42:21; ルカ1:6; ヨハ4:34; 8:29; 13:15; 15:10; ピリ2:7,8; ヘブ7:26; Ⅰペテ2:21~24; Ⅰヨハ2:6

† ギリシャ語聖書 Matt. 3:15

Stephens 1550 Textus Receptus
αποκριθεις δε ο ιησους ειπεν προς αυτον αφες αρτι ουτως γαρ πρεπον εστιν ημιν πληρωσαι πασαν δικαιοσυνην τοτε αφιησιν αυτον

Scrivener 1894 Textus Receptus
αποκριθεις δε ο ιησους ειπεν προς αυτον αφες αρτι ουτως γαρ πρεπον εστιν ημιν πληρωσαι πασαν δικαιοσυνην τοτε αφιησιν αυτον

Byzantine Majority
αποκριθεις δε ο ιησους ειπεν προς αυτον αφες αρτι ουτως γαρ πρεπον εστιν ημιν πληρωσαι πασαν δικαιοσυνην τοτε αφιησιν αυτον

Alexandrian
αποκριθεις δε ο ιησους ειπεν προς αυτον αφες αρτι ουτως γαρ πρεπον εστιν ημιν πληρωσαι πασαν δικαιοσυνην τοτε αφιησιν αυτον

Hort and Westcott
αποκριθεις δε ο ιησους ειπεν αυτω αφες αρτι ουτως γαρ πρεπον εστιν ημιν πληρωσαι πασαν δικαιοσυνην τοτε αφιησιν αυτον

† ギリシャ語聖書 品詞色分け

Matt. 3:15

ἀποκριθεὶς δὲ ὁ ᾽Ιησοῦς εἶπεν πρὸς αὐτόν῎Αφες ἄρτι, οὕτως γὰρ πρέπον ἐστὶν ἡμῖν πληρῶσαι πᾶσαν δικαιοσύνηνΤότε ἀφίησιν αὐτόν.

† ラテン語聖書 Matt. 3:15

Latin Vulgate
Matt. 3:15

Respondens autem Iesus, dixit ei: Sine modo: sic enim decet nos implere omnem iustitiam. Tunc dimisit eum.
And responding, Jesus said to him: “Permit this for now. For in this way it is fitting for us to fulfill all justice.” Then he allowed him.

† ヘブライ語聖書 Matt. 3:15

Matt. 3:15

הֵשִׁיב לוֹ יֵשׁוּעַ וְאָמַר: “הַנַּח כָּעֵת, כִּי מִן הָרָאוּי שֶׁנְּקַיֵּם אֶת הַצֶּדֶק כֻּלּוֹ.” וְיוֹחָנָן הִנִּיחַ לוֹ

† 私訳(詳訳)Matt. 3:15

【私訳】 「しかし、イエスは彼〔バプテスマのヨハネ〕に答えて言われた。『今は、止めるな<そのままにせよ、放っておけ、構わずにおけ>。正しいこと<神の御心にかなうこと義、正義、公正、正直、信仰の義

神のことばを守る>をすべて<一つ残らず>このように果たす<為し終える、成し遂げる、全うする、完成する、果たす>のは、私たちにふさわしい<似つかわしい、適切である、似つかわしい、しかるべき>ことだからです』 そこで、彼〔ヨハネ〕は彼〔イエス〕の〔言われる〕通りにした」

† 新約聖書ギリシャ語語句研究

Matt. 3:15

ἀποκριθεὶς δὲ ὁ ᾽Ιησοῦς εἶπεν πρὸς αὐτόν, ῎Αφες ἄρτι, οὕτως γὰρ πρέπον ἐστὶν ἡμῖν πληρῶσαι πᾶσαν δικαιοσύνην. Τότε ἀφίησιν αὐτόν.

【しかし】 δὲ  δέ  デ de {deh} (ch 接続詞・完等)

1)ところで、しかし、さて、そして 2)しかも、そしてまた、なお、すると、また 3)次に、さらに 4)否、むしろ

【イエスは】 ᾽Ιησοῦς  ᾽Ιησοῦς イエースウース  Iēsous {ee-ay-sooce‘ } (n-nm-s 名詞・主男単)

イエス 意味は「ヤㇵウェは救いである」

「イエス」はヘブル語「 יְהוֺשׁוּעַ イェホーシュア Yehowshuwa` {yeh-ho-shoo’-ah} ”Jehovah is salvation” 主は救い、ヨシュア」の ギリシャ名

マタ16:16;  マル5:7;  ルカ1:32;  ヨハ1:29,36; 14:6; 6:33,51;  ロマ1:16; 3:29; 11:26; 14:9;  Ⅰコリ1:24; 2:8; 15:45;  Ⅰテモ6:15;  ヘブ2:10; 3:6; 9:11,15; 12:24;  黙示1:5,8; 2:8; 3:14 etc.

【彼】 αὐτόν  αὐτός  アウトス autos {ow-tos‘}  (npam3s 代名詞・対男3)

1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど

【に】 πρὸς  πρός プロス pros {pros} (pa 前置詞・対)

1)~のところへ、~の方へ、~に向かって 2)~の近くに、~の側に、~に接して 3)~のために 4)~に対して 5)~について 6)~の面前で

【お答えになって】 ἀποκριθεὶς  ἀποκρίνομαι  アポクリノマイ apokrinomai {ap-ok-ree‘-nom-ahee} V

< ἀπό +κρίνω 審く、分ける

1)分離する、分ける、区別する、退ける 2)離れる、分かれる、帰着する 3)答える、返答する、

答弁する、弁明する、言葉を続ける 4)選ぶ、選び出す

【言われた】 εἶπεν  εἶπον エイポン  eipon {i‘-pon}  (viaa–3s 動詞・直・2アオ・能・3)

1)言う、話す、語る、告げる、言いあらわす、述べる、呼ぶ 2)命じる、願う、尋ねる 3)~と呼ぶ、称する 4)語られたこと、言葉、発言、発話、話の内容 5)出来事

【今は】 ἄρτι  ἄρτι  アルティ  arti {ar‘-tee} (ab 副詞)

1)まさに 2)丁度 3)たった今、ちょうど今、この瞬間、今しがた、今という今 4)今、現在、目下 5)近頃、この間 6)直ちに

【止めないで】 ῎Αφες  ἀφίημι  アふィエーミ  aphiēmi {af-ee‘-ay-mee} (vmaa–2s 動詞・命・2アオ・能・2単)

< ἀπό  ~から +ἵημι 送る

1)あるものを放っておく、投げやる、投げ捨てる、放免する、見逃す、見放す、引き渡す 2)放す、手放す 3)捨てておく、~から去らせる、うっちゃっておく、許す、~させておく、解放する、構わずにおく、そのままにまかせる、許す、受ける、放棄する、置き去る、残す 4)見捨てる、免除する、放免する 6)放り出す、絶縁する

マタ3:15; 6:12,14,15; 9:2,5,6; 12:31,32; 12:32; 18:21,27,32,33; 19:14; 23:13:  マル1:34; 2:5,7,9,10; 3:28; 4:12; 5:19,37; 10:14; 11:6,16,25 etc.

【なぜなら】 γὰρ  γάρ  ガル gar {gar} (cs 接続詞・従位)

1)なぜなら、というのは、その理由は、だから 2)すなわち、では、いったい、結局 4)確かに、もちろん、だって

【正しいこと】 δικαιοσύνην  δικαιοσύνη  ディカイオスゆネー  dikaiosunē {dik-ah-yos-oo‘-nay} (n-af-s 名詞・対女単)

1)義、正義、公正、正直、正しい 2)神の目から見て正しい、神に嘉納される義、神の義と合致してること、信仰の義 3)神のことばを守る

「δίκαιος 正しい」は元来 「δίκη 正義」を遵守する者の意味で、「δίκη 正義」はギリシャ神話のゼウスとテミスの娘で刑罰と復讐を司る正義の女神「Di,kh ディケー 正義」からきている。

マタ3:15; 5:6,10,20; 6:1,33; 21:32;  ルカ1:75; ヨハ10:8,10;  使徒10:35; 13:10; 17:31;  ロマ1:17; 3:5,21,22,25,26; 4:3,5,6,9,11,13,22; 5:17,21; 6:13,16,18,19,20; 8:10; 9:30,31; 10:3,5,6; 14:17 etc.

【すべて】 πᾶσαν  πᾶς パース pas {pas}  (a–af-s 形容詞・対)

1)どれでも、何であれ、何でも、あらゆる、みな  2)~全部の、あらんかぎりの、1つも欠けが無い、ひとり残らず 3)全体の、全部の、すべて 4)混じりものがなく、純粋な

πᾶσαι  パーサイ 「πᾶς どれでも、全体の」の複数形

【このように】 οὕτως  οὕτω フートー houtō {hoo‘-to} (ab 副詞)

1)次のように、このように、それ程に、こういう風にして 2)さあ、ぐずぐずせずに 3)そこで、かくて 4)それ故、だから 5)それほど、非常に

【行なうのは】 πληρῶσαι  πληρόω  プれーロオー  plēroō {play-ro‘-o} (vnaa 不定詞・1アオ・能)

< πλήρης 満たす、~で一杯の、充ち満ちた

1)~を~で満たす、一杯にする、充満させる、充填する、満期になる、満了する、実現する、うめる 2)果たす、成就する、全うする、為し終える、充足する 4)返済する、完全にする、完成する 5)果たす、成し遂げる、終える 5)返済する

マタ1:22; 2:15,17,23; 3:15; 4:14; 5:17; 13;48;  ルカ1:20; 3:5; 7:1; 21:24;  ヨハ3:29; 7:8; 15:11; 16:24;17:13;  ピリ1:11;  コロ4:17 etc.

【わたしたちに】 ἡμῖν  ἐγώ エゴー  egō {eg-o‘} (npd-1p 代名詞・与1複)

1)私 2)わたし

【ふさわしい】 πρέπον  πρέπω  プレポー  prepō {prep‘-o} (vppann-s+ 分詞・現能主中単)

1)はっきりと見える、目立つ 2)~のようである、似つかわしい、ふさわしい 3)適している、適当である、適切である、適合する、当てはまる、しかるべきである

マタイ3:15;  Ⅰコリ2:10;  テト2:1

【ある】 ἐστὶν  εἰμί エイミ  eimi {i-mee‘} (+vipa–3s 動詞・直・現・能・3単)

1)ある、いる、~である、~です、~だ 2)行われる、おこる、生ずる、現れる、来る 3)いる、滞在する、とどまる 4)存在する 5)生きている

【そこで】 Τότε  τότε トテ tote {tot‘-eh}  (ab 副詞)

1)そのとき 2)それから 3)そうすれば 4)そのあとで 5)そこで 6)その時間に 7)次に 8)同時に

【ヨハネはイエスの言われるとおりにし】  原文に「ヨハネは、イエスの」はなく「彼(ヨハネ)は彼(イエス)の言われるようにした」

【彼の】 αὐτόν αὐτός  アウトス autos {ow-tos‘}  (npam3s 代名詞・対男3)

1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど

【(言われる)通りにした】 ἀφίησιν  ἀφίημι  アふィエーミ  aphiēmi {af-ee‘-ay-mee} (vipa–3s 動詞・直・現・能・3単)

< ἀπό  ~から +ἵημι 送る

1)あるものを放っておく、投げやる、投げ捨てる、放免する、見逃す、見放す、引き渡す 2)放す、手放す 3)捨てておく、~から去らせる、うっちゃっておく、許す、~させておく、解放する、構わずにおく、そのままにまかせる、許す、受ける、放棄する、置き去る、残す 4)見捨てる、免除する、放免する 6)放り出す、絶縁する

マタ3:15; 6:12,14,15; 9:2,5,6; 12:31,32; 12:32; 18:21,27,32,33; 19:14; 23:13:  マル1:34; 2:5,7,9,10; 3:28; 4:12; 5:19,37; 10:14; 11:6,16,25 etc.

† 英語訳聖書 Matt. 3:15

King James Version
3:15 And Jesus answering said unto him, Suffer [it to be so] now: for thus it becometh us to fulfil all righteousness. Then he suffered him.

American Standard Version
3:15 But Jesus answering said unto him, Suffer it now: for thus it becometh us to fulfil all righteousness. Then he suffereth him.

New International Version
3:15 Jesus replied, “Let it be so now; it is proper for us to do this to fulfill all righteousness.” Then John consented.

Bible in Basic English
3:15 But Jesus made answer, saying to him, Let it be so now: because so it is right for us to make righteousness complete. Then he gave him baptism.

Darby’s English Translation
3:15 But Jesus answering said to him, Suffer it now; for thus it becometh us to fulfil all righteousness. Then he suffers him.

Douay Rheims
3:15 And Jesus answering, said to him: Suffer it to be so now. For so it becometh us to fulfill all justice. Then he suffered him.

Noah Webster Bible
3:15 And Jesus answering said to him, Suffer it to be so now: for thus it becometh us to fulfill all righteousness. Then he suffered him.

Weymouth New Testament
3:15 ‘Let it be so on this occasion,’ Jesus replied; ‘for so we ought to fulfil every religious duty.’ Then he consented;

World English Bible
3:15 But Jesus, answering, said to him, ‘Allow it now, for this is the fitting way for us to fulfill all righteousness.’ Then he allowed him.

Young’s Literal Translation
3:15 But Jesus answering said to him, ‘Suffer now, for thus it is becoming to us to fulfill all righteousness,’ then he doth suffer him.

Amplified Bible
3:15 But Jesus replied to him, “Permit it just now; for this is the fitting way for us [k]to fulfill all righteousness.” Then John permitted [it and baptized] Him.

Footnotes:
[k]This act of baptism identified Jesus with sinners whose sins He would ultimately bear, and to whom His righteousness would be imparted.

† 細き聲 聖書研究ノート

<イエス答へて言ひたまふ『今は許せ、われら斯く正しき事をことごとく爲遂ぐるは、當然なり』ヨハネ乃ち許せり>

自分こそがイエスからバプテスマを受けるはずであるとするヨハネにイエスは「今は許せ。すべての正しいことを成し遂げるのは当然である」とお答えになった。そこでヨハネはヨルダン川でイエスにバプテスマを授けた。

<そのままにまかせる>

「今は、止めないでほしい ἀφίημι  アふィエーミ」は「今は、そのままにまかせよ」。

「暫(しばら)く許(ゆる)せ」明治元訳 「暫(しばら)く」は「斬」+「日」で、「斬」は「車」+「斤 おの」で車裂きの刑からくる言葉。「斧を振ると即座に切断されるような、わずかの時間」をさす。

<欠けたところ>

「行なう πληρόω  プれーロオー」は「満たす、充填する」の意味で、欠けたところを満たすこと。「正しさ」には常に「欠け」があり、充填されるべき所がある。

<キリスト者>

「我々にふさわしい πρέπω  プレポー」は「適している、似つかわしい」こど。キリスト者に「似つかわしい」事柄があり、それらは個々別々の「似つかわしさ」としてある。

キリスト者として似つかわしく「なすべきこと」がある。それがキリスト者の「なすべき義」である。他の誰が行わないでも、成し遂げるべき義である。

<言われるとおりにした>

「言われるとおりに ἀφίημι  アふィエーミ」は、本節の「今は、止めないでほしい avfi,hmi  アフィエーミ」と同語。「神のなすまま」を「なるがまま」する。それが「従う」ことである。

「そこでヨハネもイエズスのするままにさせた」バルバロ訳

<バプテスマ>

バプテスマを受けられたイエスは復活の後、弟子たちを遣わされ、「父と子と聖霊の名によって洗礼を授け」「命じておいたことをすべて守るように教えなさい」と命じられた。(マタイ28:19)

『十二使徒の教え』(『ディダケー(教え)Διδαχή』 第7章)には「父と子と聖霊の御名によって、生きた水で洗礼を授けなさい」と記されている。

「生きた水」は「流れる水」のことで、溜まり水よりも「浄める力」があるとされたところからきている。バプテスマを聖別するために、用いる「水」にもこだわったのである。

† 心のデボーション

「イエス答へて言ひたまふ『今は許せ、われら斯く正しき事をことごとく爲遂ぐるは、當然なり』」 マタイ3:15 大正文語訳聖書

「しかし、イエズスはこれに答えて、「今は、止めないでください。このように、なすべきことをすべて果たすのは、わたしたちにとって正しいことです」と仰せになった。そこで、ヨハネは譲ってお言葉どおりにした」 フランシスコ会訳聖書

「今は、そのままにまかせよ」

「今は、止めないでほしい ἀφίημι  アふィエーミ」は「今は、そのままにまかせよ」。「無為」とは、何もしないことではなく「神のなすままにまかせる」ことである。

「正しいこと」については常にその正しさを問う必要がある。しかし、それが正しいか否かを「かまわず」に行う「正しきこと」もある。

† 心のデボーション

「イエス答へて言ひたまふ『今は許せ、われら斯く正しき事をことごとく爲遂ぐるは、當然なり』」 マタイ3:15 大正文語訳聖書

「しかし、イエズスはこれに答えて、「今は、止めないでください。このように、なすべきことをすべて果たすのは、わたしたちにとって正しいことです」と仰せになった。そこで、ヨハネは譲ってお言葉どおりにした」 フランシスコ会訳聖書

「そこでヨハネもイエズスのするままにさせた」 バルバロ訳聖書

「なるがままに」

「言われるとおりに ἀφίημι  アふィエーミ」は、本節の「今は、止めないでほしい ἀφίημι  アふィエーミ」と同語。ヨハネは「神のなすまま」を「なるがまま」にした。それが「従う」ことである。

神が「止めるな」といわれることは、手を加えずにそのままに保てばよい。放置するというよりも、その働きに働かせることである。「イエズスのするままにさせ」よ。(バルバロ訳)

† 細き聲 説教

「バプテスマを受けられるイエス」

「イエス答へて言ひたまふ『今は許せ、われら斯く正しき事をことごとく爲遂ぐるは、當然なり』」 マタイ3:15 大正文語訳聖書

「しかし、イエズスはこれに答えて、「今は、止めないでください。このように、なすべきことをすべて果たすのは、わたしたちにとって正しいことです」と仰せになった。そこで、ヨハネは譲ってお言葉どおりにした」 フランシスコ会訳聖書

ヨハネはバプテスマを受けられようとされるイエスに、「自分こそがあなたからバプテスマを受けるはずです」とこれを止めようとするが、イエスは「今は、止めないでください。このように、なすべきことをすべて果たす

のは、わたしたちにとって正しいことです」(フランシスコ会訳聖書)とお答えになり、ヨハネからヨルダン川でバプテスマをお受けになった。

イエスは新しい福音を伝えるために来られた。しかし、それは、いわゆる「イエス教」のようなものではなかった。

神の教えは旧約聖書に伝えられており、その約束を実現するためにイエスは来られた。したがって、ヨハネの伝えたバプテスマをイエスご自身がお受けになり、その真の完成をお示しになられたのである。

信仰を求める者は、常に自らの「今」において神の御言葉を受ける。だが、それは過去の人々の経験を無視して始まるものでは決してない。また、過去の信仰をそのまま真似るものでも決してない。

信仰は私がいる「今」という時において、過去を問い今に答えることによって未来を受け取ることでなければならない。

「正しいこと」は過去の歴史の中に神のみことばとして語られている。我らは幾度でもその意味を「私の現在」というものに受け、そのいのちを受け継ぐのである。

(皆川誠)

コメント