† 福音書縦観 「十人のおとめの譬え」
マタイ25:1~13
Matt.25:12しかし彼は答えて、『はっきり言うが、わたしはあなたがたを知らない』と言った。 口語訳聖書
† 日本語訳聖書 Matt.25:12
【漢訳聖書】
Matt.25:12 答曰、我誠告爾、我不識爾矣。
【明治元訳】
Matt.25:12 答て我まことに爾曹に告ん我は爾曹を知ずと曰り
【大正文語訳】
Matt.25:12 答へて「まことに汝らに告ぐ、我は汝らを知らず」と言へり。
【ラゲ訳】
Matt.25:12 彼答へて、我誠に汝等に告ぐ、我は汝等を知らず、と云へり。
【口語訳】
Matt.25:12 しかし彼は答えて、『はっきり言うが、わたしはあなたがたを知らない』と言った。
【新改訳改訂3】
Matt.25:12 しかし、彼は答えて、『確かなところ、私はあなたがたを知りません』と言った。
【新共同訳】
Matt.25:12 しかし主人は、『はっきり言っておく。わたしはお前たちを知らない』と答えた。
【聖書協会共同訳】
Matt.25:12 しかし主人は、『よく言っておく。私はお前たちを知らない』と答えた。
【バルバロ訳】
Matt.25:12 <まことに私は言う。私はおまえたちを知らぬ>と答えられた。
【フランシスコ会訳】
Matt.25:12 すると、主人は答えた、『あなた方によく言っておく。わたしはあなた方を知らない』。
【日本正教会訳】
Matt.25:12 彼答へて曰へり、我誠に爾等に語ぐ、我爾等を識らずと。
【塚本虎二訳】
Matt.25:12 しかし主人は、『アーメン、わたしは言う。わたしはあなた達を知らない』と答えた(という話)。
【前田護郎訳】
Matt.25:12 彼は答えた、『本当にいう、わたしはあなた方を知らない』と。
【永井直治訳】
Matt.25:12 然るに彼答へていへり、誠にわれ汝等に云はん、我は汝等を知らず。
【詳訳聖書】
Matt.25:12 しかし、彼は答えた、『私はおごそかにあなたがたに宣言する、私はあなたがたを知らない<あなたがたと知り合いではない>』。
† 聖書引照 Matt.25:12
Matt.25:12 しかし主人は、『よく言っておく。私はお前たちを知らない』と答えた。
[しかし主人は、『よく言っておく。私はお前たちを知らない』と答えた] 詩篇1:6; 5:5; ハバ1:13; ルカ13:26-30; ヨハ9:31; 10:27; Ⅰコリ8:3; ガラ4:9; Ⅱテモ2:19
† ギリシャ語聖書 Matt.25:12
Stephens 1550 Textus Receptus
ο δε αποκριθεις ειπεν αμην λεγω υμιν ουκ οιδα υμας
Scrivener 1894 Textus Receptus
ο δε αποκριθεις ειπεν αμην λεγω υμιν ουκ οιδα υμας
Byzantine Majority
ο δε αποκριθεις ειπεν αμην λεγω υμιν ουκ οιδα υμας
Alexandrian
ο δε αποκριθεις ειπεν αμην λεγω υμιν ουκ οιδα υμας
Hort and Westcott
ο δε αποκριθεις ειπεν αμην λεγω υμιν ουκ οιδα υμας
† ギリシャ語聖書 Interlinear
Matt.25:12
ὁ δὲ ἀποκριθεὶς εἶπεν, ἀμὴν λέγω ὑμῖν, οὐκ οἶδα ὑμᾶς.
聖書協会共同訳聖書
しかし主人は、『よく言っておく。私はお前たちを知らない』と答えた。
ὁ δὲ ἀποκριθεὶς εἶπεν, ἀμὴν λέγω ὑμῖν, οὐκ οἶδα ὑμᾶς.
But he answering said: Truly I say to you, I know not you.
† ギリシャ語聖書 品詞色分け
Matt.25:12
ὁ δὲ ἀποκριθεὶς εἶπεν, ἀμὴν λέγω ὑμῖν, οὐκ οἶδα ὑμᾶς.
† ヘブライ語聖書 Matt.25:12
Matt.25:12
אַךְ הוּא הֵשִׁיב, ‘אָמֵן אוֹמֵר אֲנִי לָכֶן, אֵינֶנִּי מַכִּיר אֶתְכֶן
† ラテン語聖書 Matt.25:12
Latin Vulgate
Matt.25:12
At ille respondens, ait: Amen dico vobis, nescio vos.
But he responded by saying, ‘Amen I say to you, I do not know you.’
† 私訳(詳訳)Matt.25:12
【私訳】 「すると、主人は答えて言った。『まことに<アーメン>私はあなた方に言う。私はあなた方を知らない』」
† 新約聖書ギリシャ語語句研究
Matt.25:12
ὁ δὲ ἀποκριθεὶς εἶπεν, ἀμὴν λέγω ὑμῖν, οὐκ οἶδα ὑμᾶς.
聖書協会共同訳聖書
しかし主人は、『よく言っておく。私はお前たちを知らない』と答えた。
【すると】δὲ δέ デ de {deh} (ch 接続詞・完)
1)ところで、しかし、さて、そして 2)しかも、そしてまた、なお、すると、また 3)次に、さらに 4)否、むしろ
(G1161 δέ A primary particle (adversative or continuative); but, and, etc.: – also, and, but, moreover, now [often unexpressed in English]. Internet Sacred Text Archive)
【答えて】ἀποκριθεὶς ἀποκρίνομαι アポクリノマイ apokrinomai {ap-ok-ree‘-nom-ahee} (vpaonm-s 分詞・1アオ能欠主男単)
< ἀπό + κρίνω 審く、分ける
1)分離する、分ける、区別する、退ける 2)離れる、分かれる、帰着する 3)答える、返答する、答弁する、弁明する、言葉を続ける 4)選ぶ、選び出す
(G611 ἀποκρίνομαι From 575 and κρινω krino ; to conclude for oneself, that is, (by implication) to respond; by Hebraism (compare [6030 ) to begin to speak (where an address is expected): – answer. Internet Sacred Text Archive)
【言った】εἶπεν εἶπον エイポン eipon {i‘-pon} (viaa–3s 動詞・直・2アオ・能・3)
1)言う、話す、語る、告げる、言いあらわす、述べる、呼ぶ 2)命じる、願う、尋ねる 3)~と呼ぶ、称する 4)語られたこと、言葉、発言、発話、話の内容 5)出来事
εἶπον は ἔπω の2アオリスト形で実際には λέγω のアオリストとして用いられる
(G2036 ἔπω A primary verb (used only in the definite past tense, the others being borrowed from 2046 4483 and 5346 ; to speak or say (by word or writting): – answer, bid, bring word, call, command, grant, say (on), speak, tell. Compare 3004. Internet Sacred Text Archive)
【あなた方に】ὑμῖν σύ スゆ sou {soo} (npd-2p 代名詞・与2複)
1)あなた 2)汝 3)君
(G4771 σύ The personal pronoun of the second person singular; thou: – thou. See also 4571 4671 4675 and for the plur. 5209 5210 5213 5216. Internet Sacred Text Archive)
【よく】ἀμὴν ἀμήν アメーン amēn {am-ane‘} (qs 不変化詞)
1)まことに、真実に、本当に、たしかに 2)はっきりと 3)おごそかに 3)アーメン4)(文の終わりで)かくあれ、かくあれかし、そうでありますようにギリシャ語「ἀμήν アーメン」はヘブル語の「a-me-n アーメーン」で、動詞「a-mam アーマン たよりになる」からくる。
(G281 ἀμήν Of Hebrew origin [543 ; properly firm, that is, (figuratively) trustworthy; adverbially surely (often as interjection so be it): – amen, verily. Internet Sacred Text Archive)
【言っておく】λέγω λέγω れゴー legō {leg‘-o} (vipa–1s 動詞・直・現・能・1)
1)言う、告げる、語る、話す、言い表す、述べる 2)呼ぶ、命ずる、指図する、言いつける 3)名づける、称する、呼びかける 4)意味する、指す
(G3004 λέγω A primary verb; properly to “lay” forth, that is, (figuratively) relate (in words [usually of systematic or set discourse; whereas2036 and 5346 generally refer to an individual expression or speech respectively; while 4483 is properly to break silence merely, and 2980 means an extended or random harangue]); by implication to mean: – ask, bid, boast, call, describe, give out, name, put forth, say (-ing, on), shew, speak, tell, utter. Internet Sacred Text Archive)
マタ1:20; 2:23; 5:44; 9:14,34; マル2:11; 5:9; 12:18; ルカ5:39; 6:46; 20:41; ヨハ1:29; 2:6; 16:12; etc.
【あなた方を】ὑμᾶς σύ スゆ sou {soo} (npa-2p 代名詞・対2複)
1)あなた 2)汝 3)君
(G4771 σύ The personal pronoun of the second person singular; thou: – thou. See also 4571 4671 4675 and for the plur. 5209 5210 5213 5216. Internet Sacred Text Archive)
【知らない】οἶδα οἶδα オイダ oida {oy’-da} (vira–1s 動詞・直・完了・能・1単)
1)知っている、~であることを知っている、~する方法を知っている 2)認めている、心得ている、わきまえる 3)見抜いている、理解する、わかる、認識している、覚えている、悟っている
οἶδα は ἐιδον の現在完了形 私は見た
(G1492 εἶδοω A primary verb; used only in certain past tenses, the others being borrowed from the equivalent, 3700 and 3708 properly to see (literally or figuratively); by implication (in the perfect only) to know: – be aware, behold, X can (+ not tell), consider, (have) known (-ledge), look (on), perceive, see, be sure, tell, understand, wist, wot. Compare 3700. Internet Sacred Text Archive)
οὐκ οὐ ウー ou {oo} (qn 不変化詞・否定)
1)否 2)~ない 3)~でない
(G3756 οὐ Also οὐκ ouk ook used before a vowel and οὐχ ouch ookh before an aspirate. A primary word; the absolutely negative (compare 3361 adverb; no or not: – + long, nay, neither, never, no (X man), none, [can-] not, + nothing, + special, un ([-worthy]), when, + without, + yet but. See also 3364 3372. Internet Sacred Text Archive)
† 英語訳聖書 Matt.25:12
King James Version
25:12 But he answered and said, Verily I say unto you, I know you not.
New King James Version
25:12 “But he answered and said, ‘Assuredly, I say to you, I do not know you.’
American Standard Version
25:12 But he answered and said, Verily I say unto you, I know you not.
New International Version
25:12 “But he replied, `I tell you the truth, I don’t know you.’
Bible in Basic English
25:12 But he made answer and said, Truly I say to you, I have no knowledge of you.
Darby’s English Translation
25:12 but he answering said, Verily I say unto you, I do not know you.
Today’s English Version
25:12 “Certainly not! I don’t know you,’ the bridegroom answered.”
Douay Rheims
25:12 But he answering said: Amen I say to you, I know you not.
Noah Webster Bible
25:12 But he answered and said, Verily I say to you, I know you not.
Weymouth New Testament
25:12 ”In solemn truth I tell you,’ he replied, ‘I do not know you.’
World English Bible
25:12 But he answered, ‘Most assuredly I tell you, I don’t know you.’
Young’s Literal Translation
25:12 and he answering said, Verily I say to you, I have not known you.
† 細き聲 聖書研究ノート
Matt.25:12
ὁ δὲ ἀποκριθεὶς εἶπεν, ἀμὴν λέγω ὑμῖν, οὐκ οἶδα ὑμᾶς.
聖書協会共同訳聖書
しかし主人は、『よく言っておく。私はお前たちを知らない』と答えた。
<しかし彼は答えて、『はっきり言うが、わたしはあなたがたを知らない』と言った。>
門をたたく「愚かなおとめたち」に花婿は「はっきり言うが、わたしはあなたがたを知らない」と言い渡した。
<答へて『まことに汝らに告ぐ、我は汝らを知らず』と言へり>
門の外で叫ぶ愚かな乙女に「まことに汝らに告ぐ、我は汝らを知らず」という声が告げられる。
<我は汝らを知らず>
「知る οἶδα オイダ」は 「 ἐιδον の現在完了形 私は見た」からくる言葉で、「我は汝らを知らず」は「わたしはあなたを見なかった」の意味。
† 心のデボーション
「答へて『まことに汝らに告ぐ、我は汝らを知らず』と言へり」 マタイ25:12 大正文語訳聖書
「すると、主人は答えた、『あなた方によく言っておく。わたしはあなた方を知らない』」 フランシスコ会訳聖書
「あなた方を知らない」
「知らない οἶδα オイダ」は「認める、理解する、見抜く」の意味である。
到着した花婿は門前で居るべき乙女たちの姿を見出すことができなかった。
アダムとエバが罪を犯し園の木の間に身を隠したとき、神は「あなたは、どこにいるのか」と呼びかけられた。(創世記3:8~9) 「わたしはあなた方を知らない」には、「あなたはどこにいるのか?」という呼びかけが重なっている。私が居るべきところにいないとき、私を探す神の声がする。
† 心のデボーション
「答へて『まことに汝らに告ぐ、我は汝らを知らず』と言へり」 マタイ25:12 大正文語訳聖書
「すると、主人は答えた、『あなた方によく言っておく。わたしはあなた方を知らない』」 フランシスコ会訳聖書
「我は汝らを知らず」
神が私を知らないのではない。私が神を知らない(知ろうとしない)のである。「主はその賜物に応じて、すべての人に知恵を与え、主を愛する者に、これを惜しみなくお与えになった」 シラ書1:10 フランシスコ会訳聖書
† 細き聲 説教
「カナンの女の信仰」
「答へて『まことに汝らに告ぐ、我は汝らを知らず』と言へり」 マタイ25:12 大正文語訳聖書
「すると、主人は答えた、『あなた方によく言っておく。わたしはあなた方を知らない』」 フランシスコ会訳聖書
門をたたく「愚かなおとめたち」に花婿は「はっきり言うが、わたしはあなたがたを知らない(私はあなたがたを見なかった)」と言い渡した。
「知る οἶδα オイダ」は 「 ἐιδον の現在完了形 私は見た」からくる言葉で、「我は汝らを知らず」は「わたしはあなたを見なかった」の意味。
ひどく悪霊にとりつかれた娘を抱えるカナン人の女がイエスに「私をあわれんでください」と訴えた。すると、イエスは「わたしはイスラエルの家の滅びた羊以外のところにはつかわされていない」と答えた。それでも、女が「主よ。私をお助けください」とすがると、イエスは「子どもたちのパンを取り上げて、子犬に投げてやるのはよくないことです」と女を拒絶した。カナン人の女へのイエスのことばは、マタイ25章の「愚かなおとめ」の物語の「あなた方によく言っておく。わたしはあなた方を知らない」と言われたに等しい。しかし、カナン人の女は「主よ。その通りです。ただ、子犬でも主人の食卓から落ちるパンくすはいただきます」と答えた。イエスはカナン人の女の「信仰」に驚かれ、「その願いどおりになるように」と言われ、カナン人の女の娘は癒された。(マタイ15:21~30)
「愚かなおとめたち」の「愚かさ」とは、カナン人の女の「信仰」がなかったことである。もし、「愚かなおとめ」にカナン人の女の信仰があれば、彼女たちにも「その願いどおりになるように」ということばがかけられたであろう。
(皆川誠)
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