† 福音書縦観 「婚宴の譬え」
マタイ22:1~14 ルカ14:15~24
マタイ22:1~14
Matt.22:2「天国は、ひとりの王がその王子のために、婚宴を催すようなものである。 口語訳聖書
† 日本語訳聖書 Matt.22:2
【漢訳聖書】
Matt.22:2 天國猶人君、爲其子設婚筵、
【明治元訳】
Matt.22:2 天國(てんこく)は王(わう)その子(こ)の爲(ため)に婚筵(こんえん)を設(まうく)るが如(ごと)し
【大正文語訳】
Matt.22:2 『天國は己が子のために婚筵を設くる王のごとし。
【ラゲ訳】
Matt.22:2 天國は恰其子の為に婚筵を開ける王の如し。
【口語訳】
Matt.22:2 「天国は、ひとりの王がその王子のために、婚宴を催すようなものである。
【新改訳改訂3】
Matt.22:2 「天の御国は、王子のために結婚の披露宴を設けた王にたとえることができます。
【新共同訳】
Matt.22:2 「天の国は、ある王が王子のために婚宴を催したのに似ている。
【バルバロ訳】
Matt. 22:2 「天の国は自分の子のために婚宴を催す王のようである。
【フランシスコ会訳】
Matt.22:2 「天の国は次のように喩えられる。ある王が王子のために結婚の披露宴を催した。
【日本正教会訳】
Matt.22:2 天國は其子の爲に婚筵を設けたる君王の如し。
【塚本虎二訳】
Matt.22:2 「天の国は、王子のために結婚披露の宴会を催す王にたとえられる。
【前田護郎訳】
Matt.22:2 「天国をたとえると、子のための婚宴をそなえる王に似る。
【永井直治訳】
Matt.22:2 天國はその子のために、婚姻を爲す王なる人に等し。
【詳訳聖書】
Matt.22:2 「天の国は自分の子の結婚の宴会を催した王のようなものである。
† 聖書引照 Matt.22:2
Matt.22:2 『天國は己が子のために婚筵を設くる王のごとし。
[天國は] マタ13:24,31-33,44-47; 25:1,14
[己が子のために婚筵を設くる王のごとし] マタ25:1-13; 詩篇45:10-16; ヨハ3:29; etc.; Ⅱコリ11:2; エペ5:24-32; 黙示19:7-9
† ギリシャ語聖書
Stephens 1550 Textus Receptus
ωμοιωθη η βασιλεια των ουρανων ανθρωπω βασιλει οστις εποιησεν γαμους τω υιω αυτου
Scrivener 1894 Textus Receptus
ωμοιωθη η βασιλεια των ουρανων ανθρωπω βασιλει οστις εποιησεν γαμους τω υιω αυτου
Byzantine Majority
ωμοιωθη η βασιλεια των ουρανων ανθρωπω βασιλει οστις εποιησεν γαμους τω υιω αυτου
Alexandrian
ωμοιωθη η βασιλεια των ουρανων ανθρωπω βασιλει οστις εποιησεν γαμους τω υιω αυτου
Hort and Westcott
ωμοιωθη η βασιλεια των ουρανων ανθρωπω βασιλει οστις εποιησεν γαμους τω υιω αυτου
† ギリシャ語聖書 品詞色分け
Matt.22:2
ὡμοιώθη ἡ βασιλεία τῶν οὐρανῶν ἀνθρώπῳ βασιλεῖ, ὅστις ἐποίησεν γάμους τῶ υἱῶ αὐτοῦ.
† ヘブライ語聖書 Matt.22:2
Matt.22:2
“דּוֹמָה מַלְכוּת הַשָּׁמַיִם לְמֶלֶךְ בָּשָׂר וָדָם שֶׁעָשָׂה חֲתֻנָּה לִבְנוֹ.
† ラテン語聖書 Matt.22:2
Latin Vulgate
Matt.22:2
Simile factum est regnum cælorum homini regi, qui fecit nuptias filio suo.
“The kingdom of heaven is like a man who was king, who celebrated a wedding for his son.
† 私訳(詳訳)Matt.22:2
【私訳】 「天の国は自分の息子<王子>のために婚宴<披露宴>を催す王に喩えられる」
† 新約聖書ギリシャ語語句研究
Matt.22:2
ὡμοιώθη ἡ βασιλεία τῶν οὐρανῶν ἀνθρώπῳ βασιλεῖ, ὅστις ἐποίησεν γάμους τῶ υἱῶ αὐτοῦ.
【天の】 οὐρανῶν οὐρανός ウーラノス ouranos {oo-ran-os‘} (n-gm-p 名詞・属男複)
1)空、大空、蒼穹、丸天井 2)天の、天にある、天、天界 3)神の座、神のいますところ、神のみ住まい 4)王権 5)宇宙
ユダヤ人は天が幾層もあると考えた
(G3772 οὐρανός Perhaps from the same as 3735 (through the idea of elevation); the sky; by extension heaven (as the abode of God); by implication happiness, power, eternity; specifically the Gospel (Christianity): – air, heaven ([-ly]), sky. Internet Sacred Text Archive)
マタ3:2,17; 5:35,48; 6:9,20,26; 7:11; 24:29; マル1:11; 13:25; 16:19; ルカ2:1311:13; 12:33; 15:18; 24:51; ヨハ1:51 etc.
【国は】 βασιλεία βασιλεία バシれイア basileia {bas-il-i‘-ah} (n-nf-s 名詞・主女単)
1)統治、支配、王位、主権 2)王権、王国、王権
「天の国」は「神の支配」を意味する
(G932 βασιλεία From 935 properly royalty, that is, (abstractly) rule, or (concretely) a realm (literally or figuratively): – kingdom, + reign. Internet Sacred Text Archive)
マタ6:33; 12:25; 21:31; 24:7; 25:34; 26:29; マル1:15; 11:10; 13:8; 14:25; ルカ4:43; 9:62; 11:17; 13:18; 17:21: 18:29; 21:25 ヨハ3:3; 18:36 etc.
【彼の】 αὐτοῦ αὐτός アウトス autos {ow-tos‘} (npgm3s 代名詞・属男3)
1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど
(G846 αὐτός From the particle αὖ au (perhaps akin to the base of 109 through the idea of a baffling wind; backward); the reflexive pronoun self, used (alone or in the compound of 1438 of the third person, and (with the proper personal pronoun) of the other persons: – her, it (-self), one, the other, (mine) own, said, ([self-], the) same, ([him-, my-, thy-]) self, [your-] selves, she, that, their (-s), them ([-selves]), there [-at, -by, -in, -into, -of, -on, -with], they, (these) things, this (man), those, together, very, which. Compare 848. Internet Sacred Text Archive)
【息子のために】 υἱῶ υἱός フゅィオス huios {hwee-os’} (n-dm-s 名詞・与男)
1)息子、子、子供、男の子、兄 2)子孫、末裔 3)従者、弟子、仲間 4)客、深い関係にあるもの 5)(ロバの)子
「υἱός フィオス」はヘブライ語「בֵּן ベーン ben {bane} 息子」にあたり、「בֵּן ベーン ben {bane}」は「בָּנָה バーナー banah {baw-naw’} 建てる」に由来する。「家を建ち上げる、興す者」の意味である。
(G5207 υἱός Apparently a primary word; a “son” (sometimes of animals), used very widely of immediate, remote or figurative kinship: – child, foal, son. Internet Sacred Text Archive)
マタ1:1; 3:17; 16:16; 22:42,45; Ⅱコリ6:18; ガラ3:7
【婚宴を】 γάμους γάμος ガモス gamos {gam‘-os} (n-am-p 名詞・対男複)
1) 結婚、婚姻 2)婚礼、結婚式、婚宴
(G1062 γάμος Of uncertain affinity; nuptials: – marriage, wedding. Internet Sacred Text Archive)
マタ22:2,3,4,8,9; 25:10; ルカ12:36; 14:8;
【催した】 ἐποίησεν ποιέω ポイエオー poieō {poy-eh‘-o } (viaa–3s 動詞・直・1アオ・能・3単)
1)造る、こしらえる、建てる 2)創造する、原因となる、準備する、生み出す 3)やる、なす、行う~にならせる、~にする、こしらえる、準備する、~を~とする、ある状態にする 4)発芽する、結ぶ 5)行う、為す、行動する 6)過ごす 7)守る
(G4160 ποιέω Apparently a prolonged form of an obsolete primary; to make or do (in a very wide application, more or less direct): – abide, + agree, appoint, X avenge, + band together, be, bear, + bewray, bring (forth), cast out, cause, commit, + content, continue, deal, + without any delay, (would) do (-ing), execute, exercise, fulfil, gain, give, have, hold, X journeying, keep, + lay wait, + lighten the ship, make, X mean, + none of these things move me, observe, ordain, perform, provide, + have purged, purpose, put, + raising up, X secure, shew, X shoot out, spend, take, tarry, + transgress the law, work, yield. Compare 4238. Internet Sacred Text Archive)
【ところの】 ὅστις ὅστις ホスティス hostis {hos‘-tis} (aprnm-s 関係代名詞・主男単)
1)(~するところの)者 2)どんな人 3)~であるから 4)~の故に
(G3748 ὅστις From 3739 and 5100 which some, that is, any that; also (definitely) which same: – X and (they), (such) as, (they) that, in that they, what (-soever), whereas ye, (they) which, who (-soever). Compare 3754 Internet Sacred Text Archive)
【王である】 βασιλεῖ / βασιλεύς バシれウス basileus {bas-il-yooce‘} (n-dm-s 名詞・与男単)
1)王、君侯、支配者、族長 2)(無定冠詞で)ペルシャ王、ローマ皇帝 3)王族、貴族 4)統治、支配、王威、王国、王権 5)神 6)キリスト信徒
(G935 βασιλεύς Probably from 939 (through the notion of a foundation of power); a sovereign (abstractly, relatively or figuratively): – king. Internet Sacred Text Archive)
マタ1:6; 2:2; 17:25; 27:11; マル6:14,22 ルカ1: 22,25; 使徒7:10; Ⅰテモ2:2; 6:15; Ⅰペテ2:13; 黙示15:3; 17:14
【人に】 ἀνθρώπῳ ἄνθρωπος アンとローポス anthrōpos {anth‘-ro-pos} (n-dm-s 名詞・与男
< ἄνήρ 人 +ὤψ 顔
1)人間、人、人類 2)男、夫 3)ある人、或る者、この人
(G444 ἄνθρωπος From 435 and ὤψ ōps (the countenance; from 3700 ; manfaced, that is, a human being: – certain, man. Internet Sacred Text Archive)
【似ている】 ὡμοιώθη ὁμοιόω ホモイオオー homoioō {hom-oy-o‘-o} (viap–3s 動詞・直・1アオ受・3単)
< ὅμοιος 同類の
1)~のようにする(同類の) 2)似せる、まねをする 3)同じにする 4)比べる、なぞらえる、~にたとえる
(G3666 ὁμοιόω From 3664 to assimilate, that is, compare; passively to become similar: – be (make) like, (in the) liken (-ess), resemble. Internet Sacred Text Archive)
マタ7:24,26; 11:16; 13:31,45; 25:1; マル4:30; ルカ7:31; 13:18,20
† 英語訳聖書 Matt.22:2
King James Version
22:2 The kingdom of heaven is like unto a certain king, which made a marriage for his son,
New King James Version
22:2 “The kingdom of heaven is like a certain king who arranged a marriage for his son,
American Standard Version
22:2 The kingdom of heaven is likened unto a certain king, who made a marriage feast for his son,
New International Version
22:2 “The kingdom of heaven is like a king who prepared a wedding banquet for his son.
Bible in Basic English
22:2 The kingdom of heaven is like a certain king, who made a feast when his son was married,
Today’s English Version
22:2 “The Kingdom of heaven is like this. Once there was a king who prepared a wedding feast for his son.
Darby’s English Translation
22:2 The kingdom of the heavens has become like a king who made a wedding feast for his son,
Douay Rheims
22:2 The kingdom of heaven is likened to a king, who made a marriage for his son.
Noah Webster Bible
22:2 The kingdom of heaven is like to a certain king, who made a marriage for his son,
Weymouth New Testament
22:2 ‘The Kingdom of the Heavens,’ He said, ‘may be compared to a king who celebrated the marriage of his son,
World English Bible
22:2 ‘The Kingdom of Heaven is like a certain king, who made a marriage feast for his son,
Young’s Literal Translation
22:2 ‘The reign of the heavens was likened to a man, a king, who made marriage-feasts for his son,
† 細き聲 聖書研究ノート
<『天國は己が子のために婚筵を設くる王のごとし>
「天の御国」は、「わが子のために結婚の披露宴を設ける王」のようである。
<婚礼>
一般にユダヤ人の婚礼は春の麦刈りがすんだ後か秋のぶどうの収穫後に行われた。婚宴は一週間続き、時には二週間に及ぶこともあった。婚宴に招かれることは名誉であり、断ることは礼を欠く行為であった。
<婚宴の譬え>
旧約聖書で神と人の関係は「婚姻」にたとえられる。
「われヱホバを大によろこび わが靈魂はわが神をたのしまん そは我にすくひの衣をきせ義の外服をまとはせて 新郎が冠をいただき新婦が玉こがねの飾をつくるが如くなしたまへばなり」 イザヤ61:10 明治元訳聖書
マタイ22:1~14では「王」は神、「王子」はイエスであり、最初に招かれた人々はユダヤ人を意味している。
† 心のデボーション
「天國は己が子のために婚筵を設くる王のごと」 マタイ22:2 大正文語訳聖書
「天の国は次のように喩えられる。ある王が王子のために結婚の披露宴を催した」 フランシスコ会訳聖書
「イエスと私」
イエスと私の関係は、花婿と花嫁のそれである。「聖なる婚姻」において結びあわされ、一つのいのちとして生きる者である。
「これに別れて過ゆき間もなくわが心の愛する者の遇たれば 之をひきとめて放さず 遂にわが母の家にともなひゆき 我を產し者の室にいりぬ」 雅歌3:4
† 心のデボーション
「天國は己が子のために婚筵を設くる王のごと」 マタイ22:2 大正文語訳聖書
「天の国は次のように喩えられる。ある王が王子のために結婚の披露宴を催した」 フランシスコ会訳聖書
「喜びの宴」
「天の国」は婚姻にたとえられる。「婚宴の譬え」(マタイ22:1~14)では、「王」は神、「王子」はイエスである。王子の花嫁は物語に出てこないが「人」である。人はイエスの「花嫁」であり、同時にその祝いに招かれた客でもある。
救われた者はその喜びの宴にて神を賛美する。喜びなき信仰は本物ではない。
† 心のデボーション
「天國は己が子のために婚筵を設くる王のごと」 マタイ22:2 大正文語訳聖書
「天の国は次のように喩えられる。ある王が王子のために結婚の披露宴を催した」 フランシスコ会訳聖書
「神とわたし」
信仰は人と神の結婚関係にたとえられる。
「われヱホバを大によろこび わが靈魂はわが神をたのしまん そは我にすくひの衣をきせ義の外服をまとはせて 新郎が冠をいただき新婦が玉こがねの飾をつくるが如くなしたまへばなり」 イザヤ61:10 明治元訳聖書
「神を知る」は、「神を経験する」と同義である。
神はわたしに「義の外服」をまとわせ、髪に「玉こがねの飾」をつけさせ、新郎にふさわしい装いを与えられる。
親しき者よりも親しき存在である。
† 細き聲 説教
「婚礼への招き」
「天國は己が子のために婚筵を設くる王のごと」 マタイ22:2 大正文語訳聖書
「天の国は次のように喩えられる。ある王が王子のために結婚の披露宴を催した」 フランシスコ会訳聖書
「天の御国」は、「わが子のために結婚の披露宴を設ける王」のようである。
一般にユダヤ人の婚礼は春の麦刈りがすんだ後か秋のぶどうの収穫後に行われた。婚宴は一週間続き、時には二週間に及ぶこともあった。婚宴に招かれることは名誉であり、断ることは礼を欠く行為であった。
旧約聖書で神と人の関係は「婚姻」にたとえられる。
「われヱホバを大によろこび わが靈魂はわが神をたのしまん そは我にすくひの衣をきせ義の外服をまとはせて 新郎が冠をいただき新婦が玉こがねの飾をつくるが如くなしたまへばなり」 イザヤ61:10 明治元訳聖書
マタイ22:1~14の「婚宴の譬え」は、「王」は神、「王子」はイエスであり、「結婚の披露宴」に招かれた人々が取り上げられている。最初に招かれた人々はユダヤ人であった。
「婚宴の譬え」の趣旨は結婚にではなく、結婚の披露宴に招かれた人々にある。ここでは招かれた人々は「新郎が冠をいただき新婦が玉こがねの飾をつくるが如く」に「すくひの衣をきせ義の外服をまとはせて」婚礼の席に座るようにと招かれるのである。
(皆川誠)
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