† 福音書縦観 「ペテロの告白」 マタイ16:13~20
マタイ16:13~20 マルコ8:27~30 ルカ9:18~21
マタイ16:13~20
Matt.16:20そのとき、イエスは、自分がキリストであることをだれにも言ってはいけないと、弟子たちを戒められた。 (9:21イエスは彼らを戒め、この事をだれにも言うなと命じ、そして言われた、ルカ9:21)口語訳聖書
† 日本語訳聖書 Matt.16:20
【漢訳聖書】
Matt.16:20 遂戒其門徒、母以己爲基督告人。
【明治元訳】
Matt.16:20 遂(つひ)に弟子(でし)を戒(いまし)めけるは我(われ)をキリストと人(ひと)に告(つぐ)ること勿(なか)れ
【大正文語訳】
Matt.16:20 ここにイエス、己がキリストなる事を誰にも告ぐなと、弟子たちを戒め給へり。
【ラゲ訳】
Matt.16:20 然て我がイエズス、キリストたる事を誰にも語ること勿れ、と弟子等を戒め給へり。
【口語訳】
Matt.16:20 そのとき、イエスは、自分がキリストであることをだれにも言ってはいけないと、弟子たちを戒められた。
【新改訳改訂3】
Matt.16:20 そのとき、イエスは、ご自分がキリストであることをだれにも言ってはならない、と弟子たちを戒められた。
【新共同訳】
Matt.16:20 それから、イエスは、御自分がメシアであることをだれにも話さないように、と弟子たちに命じられた。
【バルバロ訳】
Matt.16:20 されに、「私がキリストだということをだれにも言うな」と弟子たちを戒められた。
【フランシスコ会訳】
Matt.16:20 それからイエスは、ご自分がメシアであることを誰にも話さないよう、弟子たちをきびしく戒められた。
【日本正教会訳】
Matt.16:20 其時イイスス其門徒に戒めて、己がハリストスたるを人に告ぐること勿しめたり。
【塚本虎二訳】
Matt.16:20 それからイエスは、自分が救世主であることをだれにも言ってはならないと、弟子たちを戒められた。
【前田護郎訳】
Matt.16:20 それから弟子たちに彼がキリストであるとだれにもいわぬよういましめられた。
【永井直治訳】
Matt.16:20 そのとき彼は弟子等に、彼のイエス卽ちキリストにおはすことを誰にもいふこと勿れ、とひ含(ふく)め給ひたり。
【詳訳聖書】
Matt.16:20 そしてイエスは、ご自分がキリストイエスであることをだれにも告げないようにと、弟子たちにきびしく<厳格に>命ぜられた<戒められた>。
† 聖書引照 Matt.16:20
Matt.16:20 ここにイエス、己がキリストなる事を誰にも告ぐなと、弟子たちを戒め給へり。
[ここにイエス] ヨハ1:41,45; 20:31; 使徒2:36; Ⅰヨハ2:22; 1Jo 5:1
[己がキリストなる事を誰にも告ぐなと、弟子たちを戒め給へり] マタ8:4; 17:9; マル8:30; 9:9; ルカ9:21,36
† ギリシャ語聖書 Matt.16:20
Stephens 1550 Textus Receptus
τοτε διεστειλατο τοις μαθηταις αυτου ινα μηδενι ειπωσιν οτι αυτος εστιν ιησουσ ο χριστος
Scrivener 1894 Textus Receptus
τοτε διεστειλατο τοις μαθηταις αυτου ινα μηδενι ειπωσιν οτι αυτος εστιν ιησουσ ο χριστος
Byzantine Majority
τοτε διεστειλατο τοις μαθηταις αυτου ινα μηδενι ειπωσιν οτι αυτος εστιν ιησουσ ο χριστος
Alexandrian
τοτε διεστειλατο τοις μαθηταις ινα μηδενι ειπωσιν οτι αυτος εστιν ο χριστος
Hort and Westcott
τοτε διεστειλατο τοις μαθηταις ινα μηδενι ειπωσιν οτι αυτος εστιν ο χριστος
† ギリシャ語聖書 品詞色分け
Matt.16:20
τότε διεστείλατο τοῖς μαθηταῖς ἵνα μηδενὶ εἴπωσιν ὅτι αὐτός ἐστιν ὁ χριστός.
† ヘブライ語聖書 Matt.16:20
Matt.16:20
אָז הִזְהִיר אֶת תַּלְמִידָיו שֶׁלֹּא יְסַפְּרוּ לְאִישׁ כִּי הוּא הַמָּשִׁיחַ
† ラテン語聖書 Matt.16:20
Latin Vulgate
Matt.16:20
Tunc præcepit discipulis suis ut nemini dicerent quia ipse esset Iesus Christus.
Then he instructed his disciples that they should tell no one that he is Jesus the Christ.
† 私訳(詳訳)Matt.16:20
【私訳】 「そこで、彼〔イエス〕は、自分がキリスト<メシア>であることを誰にも言わないようにと、弟子たちに命じられた」
† 新約聖書ギリシャ語語句研究
Matt.16:20
τότε διεστείλατο τοῖς μαθηταῖς ἵνα μηδενὶ εἴπωσιν ὅτι αὐτός ἐστιν ὁ χριστός.
【そこで】 τότε τότε トテ tote {tot‘-eh} (ab 副詞)
1)そのとき 2)それから 3)そうすれば 4)そのあとで 5)そこで 6)その時間に 7)次に 8)同時に
(G5119 τότε From (the neuter of) 3588 and 3753 the when, that is, at the time that (of the past or future, also in consecution): – that time, then. Internet Sacred Text Archive)
【彼は】 αὐτός αὐτός アウトス autos {ow-tos‘} (npnm3s 代名詞・主男3)
1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど
(G846 αὐτός From the particle αὖ au (perhaps akin to the base of 109 through the idea of a baffling wind; backward); the reflexive pronoun self, used (alone or in the compound of 1438 of the third person, and (with the proper personal pronoun) of the other persons: – her, it (-self), one, the other, (mine) own, said, ([self-], the) same, ([him-, my-, thy-]) self, [your-] selves, she, that, their (-s), them ([-selves]), there [-at, -by, -in, -into, -of, -on, -with], they, (these) things, this (man), those, together, very, which. Compare 848. Internet Sacred Text Archive)
【キリスト】 χριστός Χριστός くリストス Christos { khris-tos‘ } (n-nm-s 名詞・主男単)
キリスト ヘブライ語「םָשִׁיחַ メシーハー mashiyach {maw-shee’-akh}」、アラム語の「メシアーハー」のギリシャ名で「油そそがれた者、メシア」の意味
「油そそぎ」は王や大祭司の任職式に行なわれた。(Ⅰサムエル10:1、出エジプト30:22~30「聖なるそそぎ油」(出エジプト30:25)と呼ばれ、「油そそがれたもの」は聖なるものとされた。(出エジプト30:29)
(G5547 Χριστός From 5548 anointed, that is, the Messiah, an epithet of Jesus: – Christ. G5548 χρίω Probably akin to 5530 through the idea of contact; to smear or rub with oil, that is, (by implication) to consecrate to an office or religious service: – anoint. Internet Sacred Text Archive)
マタ16:16; 24:24; マル8:29; 13:22; ルカ9:20; 24:46; ヨハ4:25; 使徒17:3; ピリ1:15; Ⅰヨハ2:22; 5:1; 黙示20:4 etc.
【である】 ἐστιν εἰμί エイミ eimi {i-mee‘} (vipa–3s 動詞・直・現・能・3単)
1)ある、いる、~である、~です、~だ 2)行われる、おこる、生ずる、現れる、来る 3)いる、滞在する、とどまる 4)存在する 5)生きている
(G1510 εἰμί First person singular present indicative; a prolonged form of a primary and defective verb; I exist (used only when emphatic): – am, have been, X it is I, was. See also 1488 1498 1511 1527 2258 2071 2070 2075 2076 2771 2468 5600. Internet Sacred Text Archive)
【と】 ὅτι ὅτε ホテ hote {hot‘-eh,} (cc 接続詞・等)
1)~したときに 2)~の時はいつも 3)~でない限り 4)~の間に
(G3754 ὅτε Neuter of 3748 as conjugation; demonstrative that (sometimes redundant); causatively because: – as concerning that, as though, because (that), for (that), how (that), (in) that, though, why. Internet Sacred Text Archive)
【誰にも~ない】 μηδενὶ μηδείς メーデイス mēdeis {may-dice‘} (apcdm-s 数詞・与男単)
1)だれにも~ない 2)ひとるも~ない 3)全く~ない 4)だれも、何も、ひとりも、一つも~ない 5)無きに等しい、取るに足りない
(G3367 μηδείς The masculine, feminine irregular (second form) and neuter (third form) from 3361 and 1520 not even one (man, woman, thing): – any (man, thing), no (man), none, not (at all, any man, a whit), nothing, + without delay. Internet Sacred Text Archive)
【言う】 εἴπωσιν εἶπον エイポン eipon {i‘-pon} (vsaa–3p 動詞・仮・2アオ・能・3)
εἶπον は ἔπω の2アオリスト形で実際には λέγω のアオリストとして用いられる
1)言う、話す、語る、告げる、言いあらわす、述べる、呼ぶ 2)命じる、願う、尋ねる 3)~と呼ぶ、称する 4)語られたこと、言葉、発言、発話、話の内容 5)出来事
(G2036 ἔπω A primary verb (used only in the definite past tense, the others being borrowed from 2046 4483 and 5346 ; to speak or say (by word or writting): – answer, bid, bring word, call, command, grant, say (on), speak, tell. Compare 3004. Internet Sacred Text Archive)
【ようにと】 ἵνα ἵνα ヒナ hina {hin‘-ah} (cc 接続詞・等)
1)そこに(へ) 2)~するために 3)~する事を 4)~ので 5)という事は 6)~であるところの 7)~するように 8)すなわち
(G2443 ἵνα Probably from the same as the former part of 1438 (through the demonstrative idea; compare 3588 ; in order that (denoting the purpose or the result): – albeit, because, to the intent (that), lest, so as, (so) that, (for) to. Compare 3363. Internet Sacred Text Archive)
【弟子たちに】 μαθηταῖς μαθητής マてーテース mathētēs {math-ay-tes‘} (n-dm-p 名詞・与男複)
< μανθάνω 学ぶ、覚える、聞き知る、尋ねる
1)学生、弟子、門弟 2)弟子、門人、帰依者 3)学ぶ者、師を見出した者
(G3101 μαθητής From 3129 a learner, that is, pupil: – disciple. Internet Sacred Text Archive)
【命じられた】 διεστείλατο διαστέλλομαι ディアステるろマイ diastellomai {dee-as-tel’-lom-ahee} (viam–3s 動詞・直・アオ・中・3単)
< διά + στέλλω 整える
1)指図する、命じる 2)禁じる、戒める 3)分ける、区別する、決定する、定義する
(G1291 διαστέλλομαι Middle voice from 1223 and 4724 to set (oneself) apart (figuratively distinguish), that is, (by implication) to enjoin: – charge, that which was (give) commanded (-ment). Internet Sacred Text Archive)
マタ16:20; マル5:43; 7:36; 8:15; 9:9 使徒15:24; ヘブ12:20
† 英語訳聖書 Matt.16:20
King James Version
16:20 Then charged he his disciples that they should tell no man that he was Jesus the Christ.
American Standard Version
16:20 Then charged he the disciples that they should tell no man that he was the Christ.
New King James Version
16:20 Then He commanded His disciples that they should tell no one that He was Jesus the Christ.
New International Version
16:20 Then he warned his disciples not to tell anyone that he was the Christ.
Bible in Basic English
16:20 Then he gave orders to the disciples to give no man word that he was the Christ.
Today’s English Version
16:20 Then Jesus ordered his disciples not to tell anyone that he was the Messiah.
Darby’s English Translation
16:20 Then he enjoined on his disciples that they should say to no man that he was the Christ.
Douay Rheims
16:20 Then he commanded his disciples, that they should tell no one that he was Jesus the Christ.
Noah Webster Bible
16:20 Then he charged his disciples that they should tell no man that he was Jesus the Christ.
Weymouth New Testament
16:20 Then He urged His disciples to tell no one that He was the Christ.
World English Bible
16:20 Then he charged the disciples that they should tell no man that he was the Christ.
Young’s Literal Translation
16:20 Then did he charge his disciples that they may say to no one that he is Jesus the Christ.
Amplified Bible
16:20 Then He gave the disciples strict orders to tell no one that He was the Christ (the Messiah, the Anointed).
† 細き聲 聖書研究ノート
<ここにイエス、己がキリストなる事を誰にも告ぐなと、弟子たちを戒め給へり>
これらの重要な信仰の経験の後に、イエスは弟子たちにご自分がキリスト(メシア)であることを誰にも告げてはならないと戒められた。
<弟子への戒めと教え>
イエスは弟子たちに「自分がキリストであることをだれにも言ってはいけない」と戒められ、また「人の子は必ず多くの苦しみを受け、長老、祭司長、律法学者たちに捨てられ、また殺され、そして三日目によみがえる」(ルカ9:21~22)ことを告げられた。
<己がキリストなる事を誰にも告ぐな>
「無理解なるものに濫りに奥義を語ることは双方に害を与えるからである」ベンゲル (黒崎幸吉 『聖書注解 マタイ』)
† 心のデボーション
「ここにイエス、己がキリストなる事を誰にも告ぐなと、弟子たちを戒め給へり」 マタイ16:20 大正文語訳聖書
「それから、イエスは、御自分がメシアであることをだれにも話さないように、と弟子たちに命じられた」 新共同訳聖書
「危機近し」
イエスと弟子たちに十字架の危機が近づいていた。イエスは弟子たちに「己がキリストなる事を誰にも告ぐな」と戒められる。その目的は告発する者から弟子たちを守るためであった。人は何もかもが終わったと感じると危機に飛び込んで行きたくなる。しかし、そうした者ほど、いざ危機が訪れると直ちに逃げる。
† 細き聲 説教
「メシアの道」
「ここにイエス、己がキリストなる事を誰にも告ぐなと、弟子たちを戒め給へり」 マタイ16:20 大正文語訳聖書
「それから、イエスは、御自分がメシアであることをだれにも話さないように、と弟子たちに命じられた」 新共同訳聖書
これらの重要な信仰の経験の後に、イエスは弟子たちにご自分がキリスト(メシア)であることを誰にも告げてはならないと戒められた。
イエスは弟子たちに「自分がキリストであることをだれにも言ってはいけない」と戒められ、さらに「人の子は必ず多くの苦しみを受け、長老、祭司長、律法学者たちに捨てられ、また殺され、そして三日目によみがえる」(ルカ9:21~22)ことを告げられた。
「自分がキリストであること」は、十字架に殺され、三日目によみがえることによって預言されたメシアの業は完成するとイエスは考えておられた。それらの険しいメシアの道をゆかれるイエスは、ことが成就するまで弟子たちに「御自分がメシアであることをだれにも話さないように」と厳しく命じられたのであろう。
「メシアの道」は何人といえどもかかわることのできない神の子イエスだけが歩まれる道であった。
(皆川誠)
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