† 福音書縦観 「毒麦の譬えの意味」 マタイ13:36~43
マタイ13:36~43
Matt.13:37イエスは答えて言われた、「良い種をまく者は、人の子である。 口語訳聖書
† 日本語訳聖書 Matt.13:37
【漢訳聖書】
Matt.13:37 答曰、播美種者、人子也、
【明治元訳】
Matt.13:37 之(これ)にて曰(いひ)けるは美(よき)種(たね)を播(まく)者(もの)は人(ひと)の子(こ)なり
【大正文語訳】
Matt.13:37 答へて言ひ給ふ『良き種を播く者は人の子なり、
【ラゲ訳】
Matt.13:37 答へて曰ひけるは、良き種を撒く者は人の子なり、
【口語訳】
Matt.13:37 イエスは答えて言われた、「良い種をまく者は、人の子である。
【新改訳改訂3】
Matt.13:37 イエスは答えてこう言われた。「良い種を蒔く者は人の子です。
【新共同訳】
Matt.13:37 イエスはお答えになった。「良い種を蒔く者は人の子、
【バルバロ訳】
Matt.13:37 「よい種をまくのは人の子である。
【フランシスコ会訳】
Matt.13:37 イエスはお答えになった、「善い種を蒔くのは人の子である。
【日本正教会訳】
Matt.13:37 彼は之に答へて曰へり、美種を播く者は人の子なり、
【塚本虎二訳】
Matt.13:37 答えられた、「良い種をまく者は人の子(わたし)である。
【前田護郎訳】
Matt.13:37 答えていわれる、「よい種をまくものは人の子、
【永井直治訳】
Matt.13:37 乃ち彼答へて彼等にへり、良き種を播く者は人の子なり。
【詳訳聖書】
Matt.13:37 彼は答えられた、「良い種をまく者は人の子である。
† 聖書引照 Matt.13:37
Matt.13:37 答へて言ひ給ふ『良き種を播く者は人の子なり、
[答へて言ひ給ふ] マタ13:24,27
[良き種を播く者は人の子なり] マタ13:41; 10:40; 16:13~16; ルカ10:16; ヨハ13:20; 20:21; 使徒1:8; ロマ15:18; Ⅰコリ3:5~7; ヘブ1:1; 2:3
† ギリシャ語聖書 Matt.13:37
Stephens 1550 Textus Receptus
ο δε αποκριθεις ειπεν αυτοισ ο σπειρων το καλον σπερμα εστιν ο υιος του ανθρωπου
Scrivener 1894 Textus Receptus
ο δε αποκριθεις ειπεν αυτοισ ο σπειρων το καλον σπερμα εστιν ο υιος του ανθρωπου
Byzantine Majority
ο δε αποκριθεις ειπεν αυτοισ ο σπειρων το καλον σπερμα εστιν ο υιος του ανθρωπου
Alexandrian
ο δε αποκριθεις ειπεν ο σπειρων το καλον σπερμα εστιν ο υιος του ανθρωπου
Hort and Westcott
ο δε αποκριθεις ειπεν ο σπειρων το καλον σπερμα εστιν ο υιος του ανθρωπου
† ギリシャ語聖書 品詞色分け
Matt.13:37
ὁ δὲ ἀποκριθεὶς εἶπεν, ὁ σπείρων τὸ καλὸν σπέρμα ἐστὶν ὁ υἱὸς τοῦ ἀνθρώπου·
† ヘブライ語聖書 Matt.13:37
Matt.13:37
הֵשִׁיב וְאָמַר: הַזּוֹרֵעַ אֶת הַזֶּרַע הַטּוֹב הוּא בֶּן־הָאָדָם
† ラテン語聖書 Matt.13:37
Latin Vulgate
Matt.13:37
Qui respondens ait illis: Qui seminat bonum semen, est Filius hominis.
Responding, he said to them: “He who sows the good seed is the Son of man.
† 私訳(詳訳)Matt.13:37
【私訳】 「そこでイエスは答えて言われた。『良い<健全な、美しい、価値ある>種を蒔く者は人の子です』
† 新約聖書ギリシャ語語句研究
Matt.13:37
ὁ δὲ ἀποκριθεὶς εἶπεν, ὁ σπείρων τὸ καλὸν σπέρμα ἐστὶν ὁ υἱὸς τοῦ ἀνθρώπου·
【また】 δὲ δέ デ de {deh} (ch 接続詞・完)
1)ところで、しかし、さて、そして 2)しかも、そしてまた、なお、すると、また 3)次に、さらに 4)否、むしろ
(G1161 δέ A primary particle (adversative or continuative); but, and, etc.: – also, and, but, moreover, now [often unexpressed in English]. Internet Sacred Text Archive)
【イエスはお答えになった】 原文「彼(イエス)は答えて言われた」
【答えて】 ἀποκριθεὶς ἀποκρίνομαι アポクリノマイ apokrinomai {ap-ok-ree‘-nom-ahee} (vpaonm-s 分詞・1アオ能欠主男単)
< ἀπό + κρίνω 審く、分ける
1)分離する、分ける、区別する、退ける 2)離れる、分かれる、帰着する 3)答える、返答する、答弁する、弁明する、言葉を続ける 4)選ぶ、選び出す
(G611 ἀποκρίνομαι From 575 and κρινω krino ; to conclude for oneself, that is, (by implication) to respond; by Hebraism (compare [6030 ) to begin to speak (where an address is expected): – answer. Internet Sacred Text Archive)
【言われた】 εἶπεν εἶπον エイポン eipon {i‘-pon} (viaa–3s 動詞・直・2アオ・能・3)
εἶπον は ἔπω の2アオリスト形で実際には λέγω のアオリストとして用いられる
1)言う、話す、語る、告げる、言いあらわす、述べる、呼ぶ 2)命じる、願う、尋ねる 3)~と呼ぶ、称する 4)語られたこと、言葉、発言、発話、話の内容 5)出来事
(G2036 ἔπω A primary verb (used only in the definite past tense, the others being borrowed from 2046 4483 and 5346 ; to speak or say (by word or writting): – answer, bid, bring word, call, command, grant, say (on), speak, tell. Compare 3004. Internet Sacred Text Archive)
【良い】 καλὸν καλός カろス kalos {kal-os‘} (a–an-s 形容詞・対中単)
1)良い、すぐれた、立派な 2)ふさわしい 3)見事な、美しい、うるわしい、善い 4)健全な 5)尊敬すべき、正しい、立派な、価値ある 6)潔白な、高潔な
καλός カろス は、形状、外観がよいこと、使用して目的に叶うこと
ἀγαθός アガとス は、外観にかかわらず、そのものの内的本質がよいこと
(G2570 καλός Of uncertain affinity; properly beautiful, but chiefly (figuratively) good (literally or morally), that is, valuable or virtuous (for appearance or use, and thus distinguished from 18 which is properly intrinsic): – X better, fair, good (-ly), honest, meet, well, worthy. Internet Sacred Text Archive)
マタ3:10; 5:16; 7:17,18,19; 12:33; 13;8,23,24,37,38,45,48; 15:26; 17:4; 26:10,24 マル4:8,20; 7:27; 9:5,50; 14:6,21 etc.
【種を】 σπέρμα σπέρμα スペルマ sperma {sper‘-mah} (n-an-s 名詞・対中単)
1)(植物の)種 2)子孫、氏族 3)男性の精液 4)起源、出自
(G4690 σπέρμα From 4687 somethng sown, that is, seed (including the male “sperm”); by implication offspring; specifically a remnant (figuratively as if kept over for planting): – issue, seed. Internet Sacred Text Archive)
マタ13:24,27,32,37,38; マル4:31; Ⅰコリ15:38; Ⅱコリ9:10; Ⅰヨハ3:9
【蒔く者は】 σπείρων σπείρω スペイロー speirō {spi‘-ro} (vpaadm-s 分詞・1アオ能与男単)
1)(種を)蒔く、種まきをする 2)(子を)もうける
(G4687 σπείρω Probably strengthened from 4685 (through the idea of extending); to scatter, that is, sow (literally or figuratively): – sow (-er), receive seed. Internet Sacred Text Archive)
マタ6:26; 13:3,4,18,19,20,22,23,24,27,31,37,39; 25:24;,26; マル4:3,4,14,15,16,18,20,31,32 etc.
【人の子】
【人の】 ἀνθρώπου ἄνθρωπος アンとローポス anthrōpos {anth‘-ro-pos} (n-gm-s 名詞・属男)
< ἄνήρ 人 +ὤψ 顔
1)人間、人、人類 2)男、夫 3)ある人、或る者、この人
(G444 ἄνθρωπος From 435 and ὤψ ōps (the countenance; from 3700 ; manfaced, that is, a human being: – certain, man. Internet Sacred Text Archive)
【子】 υἱὸς υἱός フゅィオス huios {hwee-os’} (n-nm-s 名詞・主男)
1)息子、子、子供、男の子、兄 2)子孫、末裔 3)従者、弟子、仲間 4)客、深い関係にあるもの 5)(ロバの)子
「υἱός フィオス」はヘブライ語「בֵּן ベーン ben {bane} 息子」にあたり、「בֵּן ベーン ben {bane}」は「בָּנָה バーナー banah {baw-naw’} 建てる」に由来する。「家を建ち上げる、興す者」の意味である。
(G5207 υἱός Apparently a primary word; a “son” (sometimes of animals), used very widely of immediate, remote or figurative kinship: – child, foal, son. Internet Sacred Text Archive)
マタ1:1; 3:17; 16:16; 22:42,45; Ⅱコリ6:18; ガラ3:7
【です】 ἐστὶν εἰμί エイミ eimi {i-mee‘} (vipa–3s 動詞・直・現・能・3単)
1)ある、いる、~である、~です、~だ 2)行われる、おこる、生ずる、現れる、来る 3)いる、滞在する、とどまる 4)存在する 5)生きている
(G1510 εἰμί First person singular present indicative; a prolonged form of a primary and defective verb; I exist (used only when emphatic): – am, have been, X it is I, was. See also 1488 1498 1511 1527 2258 2071 2070 2075 2076 2771 2468 5600. Internet Sacred Text Archive)
† 英語訳聖書 Matt.13:37
King James Version
13:37 He answered and said unto them, He that soweth the good seed is the Son of man;
New King James Version
13:37 He answered and said to them: “He who sows the good seed is the Son of Man.
American Standard Version
13:37 And he answered and said, He that soweth the good seed is the Son of man;
New International Version
13:37 He answered, “The one who sowed the good seed is the Son of Man.
Bible in Basic English
13:37 And he made answer and said, He who puts the good seed in the earth is the Son of man;
Today’s English Version
13:37 Jesus answered, “The man who sowed the good seed is the Son of Man;
Darby’s English Translation
13:37 But he answering said, He that sows the good seed is the Son of man,
Douay Rheims
13:37 Who made answer and said to them: He that soweth the good seed, is the Son of man.
Noah Webster Bible
13:37 He answered and said to them, He that soweth the good seed is the Son of man;
Weymouth New Testament
13:37 ‘The sower of the good seed,’ He replied, ‘is the Son of Man;
World English Bible
13:37 He answered them, ‘He who sows the good seed is the Son of Man,
Young’s Literal Translation
13:37 And he answering said to them, ‘He who is sowing the good seed is the Son of Man,
Amplified Bible
13:37 He answered, “The one who sows the good seed is the Son of Man,
† 細き聲 聖書研究ノート
<答へて言ひ給ふ『良き種を播く者は人の子なり、>
「毒麦の譬え」の解き明かしを願う弟子たちに、イエスは、まず「よき種を蒔くのは人の子」であることを明かされる。
<良き種を播く者は人の子なり>
「人の子」はイエスである。イエスは好んで「人の子」という呼称を用いられる。
「毒麦の譬え」で、敵に毒麦を撒かれた畑の主人はイエスである。
† 心のデボーション
「答へて言ひ給ふ『良き種を播く者は人の子なり』」 マタイ13:37 大正文語訳聖書
「イエスはお答えになった、『善い種を蒔くのは人の子である』」 フランシスコ会訳聖書
「種を蒔く者」
イエスは「種を蒔く者」である。私にいのちの種を蒔かれる。種は時を経て発芽し、生育する。世界は蒔かれた「種」に充ちている。
† 心のデボーション
「答へて言ひ給ふ『良き種を播く者は人の子なり』」 マタイ13:37 大正文語訳聖書
「イエスはお答えになった、『善い種を蒔くのは人の子である』」 フランシスコ会訳聖書
「何層もの雑草の種」
夏の畑は一雨ごとに緑に染まる。畑には多量の雑草の種が何層にもあり、表面の種が発芽したのを根こそぎすると、次の層で眠っていた種が芽を出す。下の層の種は上部の種が発芽すると、発芽を抑えて自分の時のくるのを待つのである。
神の種も畑の雑草の種のように、「私」の存在の中に何層にも蒔かれ、刈っても刈っても次々に発芽して来る。
† 心のデボーション
「答へて言ひ給ふ『良き種を播く者は人の子なり』」 マタイ13:37 大正文語訳聖書
「イエスはお答えになった、『善い種を蒔くのは人の子である』」 フランシスコ会訳聖書
「種の生命力」
神の言葉が「種」に譬えられるのは、それに含まれるいのちの力である。
1985年の筑波科学技術博覧会で、普通のトマトの一粒の種からハイポニカ(水気耕栽培)によって育てられ苗は1万3千個もの実をつけた。
また、1951年、千葉市検見川にある東京大学検見川厚生農場の落合遺跡で2000年以上前の古代のハスの実3粒が発掘され、ハスの権威者でもある大賀一郎博士が東京都府中市の自宅で発芽育成を試み2粒は失敗に終わったが3月30日に出土した1粒が育ち、翌年の1952年7月18日にピンク色の大輪の花を咲かせた。米国ライフ週刊版1952年11月3日号 に「世界最古の花・生命の復活」として掲載された。「大賀ハス」と命名された。
神の言葉には、「種」のもついのちの力、結実の豊かさがそのままにある。
† 細き聲 説教
「種を蒔かれる人の子」
「答へて言ひ給ふ『良き種を播く者は人の子なり』」 マタイ13:37 大正文語訳聖書
「イエスはお答えになった、『善い種を蒔くのは人の子である』」 フランシスコ会訳聖書
「毒麦の譬え」の解き明かしを願う弟子たちに、イエスは、まず「よき種を蒔くのは人の子」であることを明かされる。
「人の子」はイエスである。イエスは好んで「人の子」という呼称を用いられる。
畑の主人はイエスである。
「畑」は「世界」を意味する。
「世界」はよき種が蒔かれる神の「畑」である。その中心にイエスがおられる。
「この世」は神の畑とは思えない混乱と破壊の歴史の中にある。しかし、「この世」に絶望してはならない。神は、なおも「よき畑」として「よき種」を蒔き続けられるからである。
(皆川誠)
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