マタイによる福音書13章29節

マタイによる福音書
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† 福音書縦観 「麦畑の毒麦」 マタイ13:24~30

マタイ13:24~30

Matt.13:29彼は言った、『いや、毒麦を集めようとして、麦も一緒に抜くかも知れない。 口語訳聖書

† 日本語訳聖書 Matt.13:29

【漢訳聖書】
Matt.13:29 曰、否、恐耘稗、而共抜其穀也、

【明治元訳】
Matt.13:29 否(いな)おそらくは稗子(からすむぎ)を拔(ぬき)あつめんとて麥(むぎ)をも共(とも)に拔(ぬく)べし

【大正文語訳】
Matt.13:29 主人いふ「いな、恐らくは毒麥を拔き集めんとて、麥をも共に拔かん。

【ラゲ訳】
Matt.13:29 家父云ひけるは、否、恐らくは、汝等毒麦を集むるに、是と共に麦をも抜かん。

【口語訳】
Matt. 13:29 彼は言った、『いや、毒麦を集めようとして、麦も一緒に抜くかも知れない。

【新改訳改訂3】
Matt.13:29 だが、主人は言った。『いやいや。毒麦を抜き集めるうちに、麦もいっしょに抜き取るかもしれない。

【新共同訳】
Matt.13:29 主人は言った。『いや、毒麦を集めるとき、麦まで一緒に抜くかもしれない。

【バルバロ訳】
Matt.13:29  主人は、<いや、毒麦を抜き集めようとして、よい麦もともに抜く恐れがある。

【フランシスコ会訳】
Matt.13:29 主人は答えた、『それには及ばない。毒麦を抜こうとして、善い麦までも抜いてしまうかもしれない。

【日本正教会訳】
Matt.13:29 彼曰へり、否、恐らくは爾等稗を拔く時、之と共に麥をも拔かん。

【塚本虎二訳】
Matt.13:29 主人が言う、『いや、毒麦を抜き取ろうとして、麦まで一しょに引き抜くかも知れない。

【前田護郎訳】
Matt.13:29 彼はいう、『いや、毒麦を集めれば麦もいっしょに抜きかねない。

【永井直治訳】
Matt.13:29 然るに彼述べけるは、否。恐らくは汝等毒麥を摘み取りつつ、麥をもに根扱(ねこ)ぎするならん。

【詳訳聖書】
Matt.13:29 ところが彼は言った、『いやそうではない。おまえたちが野麦を集めるとき、それといっしょに[ほんものの]麦を引き抜くことがないためである。

† 聖書引照 Matt.13:29

Matt.13:29 主人いふ「いな、恐らくは毒麥を拔き集めんとて、麥をも共に拔かん。

[主人いふ『いな、恐らくは毒麥を拔き集めんとて、麥をも共に拔かん』]

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† ギリシャ語聖書 Matt.13:29

Stephens 1550 Textus Receptus
ο δε εφη ου μηποτε συλλεγοντες τα ζιζανια εκριζωσητε αμα αυτοις τον σιτον

Scrivener 1894 Textus Receptus
ο δε εφη ου μηποτε συλλεγοντες τα ζιζανια εκριζωσητε αμα αυτοις τον σιτον

Byzantine Majority
ο δε εφη ου μηποτε συλλεγοντες τα ζιζανια εκριζωσητε αμα αυτοις τον σιτον

Alexandrian
ο δε φησιν ου μηποτε συλλεγοντες τα ζιζανια εκριζωσητε αμα αυτοις τον σιτον

Hort and Westcott
ο δε φησιν ου μηποτε συλλεγοντες τα ζιζανια εκριζωσητε αμα αυτοις τον σιτον

† ギリシャ語聖書 品詞色分け

Matt.13:29

ὁ δέ φησιν, οὔ, μήποτε συλλέγοντες τὰ ζιζάνια ἐκριζώσητε ἅμα αὐτοῖς τὸν σῖτον.

† ヘブライ語聖書 Matt.13:29

Matt.13:29

הֵשִׁיב בַּעַל־הַבַּיִת, לֹא, שֶׁמָּא בְּלַקֶּטְכֶם אֶת הָעֲשָׂבִים הָרָעִים תַּעַקְרוּ אִתָּם גַּם אֶת הַחִטִּים

† ラテン語聖書 Matt.13:29

Latin Vulgate
Matt.13:29

Et ait: Non: ne forte colligentes zizania, eradicetis simul cum eis et triticum.
And he said: ‘No, lest perhaps in gathering the weeds, you might also root out the wheat together with it.

† 私訳(詳訳)Matt.13:29

【私訳】 「しかし、主人は言った。『いや! 毒麦を掻き集める<取って集める>とき、麦と一緒にそれらを引き抜く<根こそぎにする、抜き去る>ことは決してしてはいけない』」

† 新約聖書ギリシャ語語句研究

Matt.13:29

ὁ δέ φησιν, οὔ, μήποτε συλλέγοντες τὰ ζιζάνια ἐκριζώσητε ἅμα αὐτοῖς τὸν σῖτον.

【しかし】 δέ δέ デ de {deh} (ch 接続詞・完)

1)ところで、しかし、さて、そして 2)しかも、そしてまた、なお、すると、また 3)次に、さらに 4)否、むしろ

(G1161 δέ A primary particle (adversative or continuative); butand, etc.: – also, and, but, moreover, now [often unexpressed in English].  Internet Sacred Text Archive)

【主人は】 原文「彼(主人)は」

【言った】 φησιν  φημί  ふェーミ phēmi {fay-mee‘} (vipa–3s 動詞・直・現・能・3単)

1)言う、述べる、言明する 2)答える 3)質問する 4)意味する 5)肯定する、同意する、主張する 6)報告、うわさ、評判、風評、名声 5)神のお告げ、予言

(G5346 φημί Properly the same as the base of 5457 and 5316 to show or make known one’s thoughts, that is, speak or say: – affirm, say. Compare 3004. Internet Sacred Text Archive)

マタ4:7; 6:6; 9:26; 13:28,29; 14:8; 17:26; 19:18,21; 21:27; 22:37; 25:21,23; 26:34,61; 27:11,23,65; etc.

【いや】 οὔ  οὐ ウー ou {oo} (qn 不変化詞・否定)

1)否 2)~ない 3)~でない

(G3756 οὐ Also οὐκ ouk ook used before a vowel and οὐχ ouch ookh before an aspirate. A primary word; the absolutely negative (compare 3361 adverb; no or not: – + long, nay, neither, never, no (X man), none, [can-] not, + nothing, + special, un ([-worthy]), when, + without, + yet but. See also 3364 3372. Internet Sacred Text Archive)

【毒麦を】 ζιζάνια  ζιζάνιον ジザニオン zizanion {dziz-an‘-ee-on} (n-an-p 名詞・対中複)

1)毒麦 2)小麦の中にはえる悪草

ホソムギ属 小麦の中に混じってはえる雑草で外観は小麦によく似ている

(G2215 ζιζάνιον Of uncertain origin; darnel or false grain: – tares.  Internet Sacred Text Archive)

マタ13:25,26,27; 13:29,30,36,38,40

【集めて】 tejσυλλέγοντες  συλλέγω スゆるれゴー sullegō {sool-leg‘-o} (vppanm2p 分詞・現能主男2複)

< σύν 合わす + λέγω 集める

1)集める、掻き集める、拾い集める、いっしょに集める、収集する 2)取る、取って集める

(G4816 συλλέγω From 4862 and 3004 in its original sense; to collect: – gather (together, up).  Internet Sacred Text Archive)

マタ7:16; 13:48; ルカ6:44

【麦と】 σῖτον  σῖτος シトス sitos {see‘-tos } (n-am-s 名詞・対男単)

1)穀類、穀物、穀粒、食物 2)麦、小麦 3)飼料

(G4621 σῖτος σῖτα sita see‘-tah is the plural irregular neuter of the first form. Of uncertain derivation; grain, especially wheat: – corn, wheat.  Internet Sacred Text Archive)

マタ3:12; 13:25;,29,30; ルカ3:17; 16:7; 22:31; ヨハ12:24; Ⅰコリ15:37; 黙示6:6; 18:13 etc.

【一緒に】 ἅμα  ἅμα  ハマ hama {ham‘-ah} (pd 前置詞・与)

1)同時に 2)一緒に 3)共に 4)直ちに

(G260  ἅμα A primary particle; properly at the “same” time, but freely used as a preposition or adverb denoting close association: – also, and, together, with (-al).  Internet Sacred Text Archive)

【それらを】 αὐτοῖς  αὐτός アウトス autos {ow-tos‘} (npdm3p 代名詞・与男3)

1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど

(G846 αὐτός From the particle αὖ au (perhaps akin to the base of 109 through the idea of a baffling wind; backward); the reflexive pronoun self, used (alone or in the compound of 1438 of the third person, and (with the proper personal pronoun) of the other persons: – her, it (-self), one, the other, (mine) own, said, ([self-], the) same, ([him-, my-, thy-]) self, [your-] selves, she, that, their (-s), them ([-selves]), there [-at, -by, -in, -into, -of, -on, -with], they, (these) things, this (man), those, together, very, which. Compare 848. Internet Sacred Text Archive Internet Sacred Text Archive)

【引き抜く】 ἐκριζώσητε ἐκριζόω エクリゾオー ekrizoō {ek-rid-zo‘-o} (vsaa–2p 動詞・仮・アオ能2複)

< ἐκ + ριζόω 根ざす

1)根を引き抜く 2)根こそぎにする 3)抜く、抜き去る

(G1610  ἐκριζόω From 1537 and 4492 to uproot: – pluck up by the root, root up.  Internet Sacred Text Archive)

マタ13:29; 15:13; ルカ17:6; ユダ12

【してはいけない】 μήποτε  μήποτε メーポテ mēpote {may‘-pot-eh} (cs 接続詞・従位)

1)決して~ない、いまだかつて~ない 2)ないように 3)するといけなから 4)あるいは、多分、おそらく

(G3379 μήποτε From 3361 and 4218 not ever; also if (or lestever (or perhaps): – if peradventure, lest (at any time, haply), not at all, whether or not.  Internet Sacred Text Archive)

† 英語訳聖書 Matt.13:29

King James Version
13:29 But he said, Nay; lest while ye gather up the tares, ye root up also the wheat with them.

New King James Version
13:29 “But he said, ‘No, lest while you gather up the tares you also uproot the wheat with them.

American Standard Version
13:29 But he saith, Nay; lest haply while ye gather up the tares, ye root up the wheat with them.

New International Version
13:29 “`No,’ he answered, `because while you are pulling the weeds, you may root up the wheat with them.

Bible in Basic English
13:29 But he says, No, for fear that by chance while you take up the evil plants, you may be rooting up the grain with them.

Today’s English Version
13:29 “No,’ he answered, “because as you gather the weeds you might pull up some of the wheat along with them.

Darby’s English Translation
13:29 But he said, No; lest in gathering the darnel ye should root up the wheat with it.

Douay Rheims
13:29 And he said: No, lest perhaps gathering up the cockle, you root up the wheat also together with it.

Noah Webster Bible
13:29 But he said, No; lest while ye gather the tares, ye root up also the wheat with them.

Weymouth New Testament
13:29 ”No,’ he replied, ‘for fear that while collecting the darnel you should at the same time root up the wheat with it.

World English Bible
13:29 But he said, ‘No, lest perhaps while you gather up the darnel, you root up the wheat with them.

Young’s Literal Translation
13:29 ‘And he said, No, lest — gathering up the darnel — ye root up with it the wheat,

Amplified Bible
13:29 But he said, ‘No; because as you pull out the weeds, you may uproot the wheat with them

† 細き聲 聖書研究ノート

 <主人いふ「いな、恐らくは毒麥を拔き集めんとて、麥をも共に拔かん>

畑に生えた毒麦を「抜くのをお望みですか?」と尋ねる僕たちに主人は「否」と答える。そんなことをすれば毒麦を集めようとして麦も一緒に抜いてしまうかもしれないからである。

 <恐らくは毒麥を拔き集めんとて、麥をも共に拔かん>

今の段階で毒麦を引き抜こうとすれば、麦まで一緒に「引き抜く ἐκριζόω  エクリゾー 根を引き抜く、根こそぎにする」ことになるかもしれない。

主人は苦渋に満ちた決断をする。麦も毒麦もすでに穂を出しており、毒麦を抜けば一緒に麦も抜くかもしれない。両方を残せは、毒麦は実をつけるために麦の養分を奪う。どちらも、麦の収穫に悪い影響を与えることに違いはない。

† 心のデボーション  

「主人いふ『いな、恐らくは毒麥を拔き集めんとて、麥をも共に拔かん』」 マタイ13:29 大正文語訳聖書

「主人は答えた、『それには及ばない。毒麦を抜こうとして、善い麦までも抜いてしまうかもしれない』」 フランシスコ会訳聖書

 「麦と毒麦が共に成長する時期」

主人は農作業を熟知している。毒麦を引き抜けば麦も一緒に引き抜かれてしまう。互いに根を絡ませているものを扱うには注意が必要である。

「天の国」の畑でも、麦と毒麦が互いに根を絡ませながら成長する時期がある。毒麦を除こうとして無理に引き抜くのは、良い麦を危険に陥れる行為になる可能性がある。

† 心のデボーション  

「主人いふ『いな、恐らくは毒麥を拔き集めんとて、麥をも共に拔かん』」 マタイ13:29 大正文語訳聖書

「主人は答えた、『それには及ばない。毒麦を抜こうとして、善い麦までも抜いてしまうかもしれない』」 フランシスコ会訳聖書

 「猶予」

主人は「毒麦」を惜しむのではない。麦のことを考えてのことである。

この当然の思考を無視して、「毒麦」が自身にも存在意味があるなどと思うのは勘違いもはなはだしい。

直ちに引き抜かれずに、猶予されたのである。

† 心のデボーション  

「主人いふ『いな、恐らくは毒麥を拔き集めんとて、麥をも共に拔かん』」 マタイ13:29 大正文語訳聖書

「主人は答えた、『それには及ばない。毒麦を抜こうとして、善い麦までも抜いてしまうかもしれない』」 フランシスコ会訳聖書

 「根こそぎ」

誰が「毒麦」であるかを特定してはならない。教会はしばしば、特定の人を「サタン」呼ばわりし、排除しようとして良き教会員を「根こそぎ」にしてきた。教会は、毒麦をして毒麦たることを明らかにする場である。

† 細き聲 説教 

 「よい麦への信頼」

「主人いふ『いな、恐らくは毒麥を拔き集めんとて、麥をも共に拔かん』」 マタイ13:29 大正文語訳聖書

「主人は答えた、『それには及ばない。毒麦を抜こうとして、善い麦までも抜いてしまうかもしれない』」 フランシスコ会訳聖書

畑に生えた毒麦を「抜くのをお望みですか?」と尋ねる僕たちに主人は「否」と答える。

そんなことをすれば毒麦を集めようとして麦も一緒に抜いてしまうではないか。

今の段階で毒麦を引き抜こうとすれば、麦まで一緒に「引き抜く ἐκριζόω  エクリゾー 根を引き抜く、根こそぎにする」ことになるかもしれない。

主人は苦渋に満ちた決断をする。麦も毒麦もすでに穂を出しており、毒麦を抜けば一緒に麦も抜くかもしれない。両方を残せは、毒麦は実をつけるために麦の養分を奪う。どちらも、麦の収穫に悪い影響を与えることに違いはない。

「毒麦」は放置してよいものではない。しかし、毒麦を除こうとしてよい麦まで除くことになるのは最悪である。

しかし、「毒麦」は実をつけるために地の養分を吸い上げる。そのため、よい麦は成長をさまたげられるかもしれない。「毒麦」がある限り、畑には禍は続く。

農園の主人は毒麦を急いで抜かなくてもよい。そのままにしておきなさいと指示を与える。

毒麦の成長を上回る良い麦の生命力を信じたのである。農園の主人の決断はよい麦への信頼がなければできないものであった。

「麦畑」は一変して、よい麦と毒麦が成長を競う畑になった。

(皆川誠)

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