† 福音書縦観 「種まきの譬え」 マタイ13:1~9
マタイ13:1~9 マルコ4:1~9 ルカ8:4~8
マタイ13:1~9
Matt. 13:7ほかの種はいばらの地に(いばらの中に マルコ4:7)落ちた。すると、いばらが伸びて(いばらも一緒に茂ってきて ルカ8:7)、ふさいでしまった。 (ふさいでしまったので、実を結ばなかった マルコ4:7)口語訳聖書
† 日本語訳聖書 Matt.13:7
【漢訳聖書】
Matt.13:7 有遺棘中者、棘起而蔽之。
【明治元訳】
Matt.13:7 またの中(なか)に遺(おち)し種(たね)あり棘(いばら)そだちて之(これ)を蔽(ふさ)げり
【大正文語訳】
Matt.13:7 茨の地に落ちし種あり、茨そだちて之を塞ぐ
【ラゲ訳】
Matt.13:7 或種は茨の中に遺ちしかば、茨長ちて之を塞げり。
【口語訳】
Matt.13:7 ほかの種はいばらの地に落ちた。すると、いばらが伸びて、ふさいでしまった。
【新改訳改訂3】
Matt.13:7 また、別の種はいばらの中に落ちたが、いばらが伸びて、ふさいでしまった。
【新共同訳】
Matt.13:7 ほかの種は茨の間に落ち、茨が伸びてそれをふさいでしまった。
【バルバロ訳】
Matt.13:7 ほかの種は茨の中に落ち、茨が成長したのでふさがれてしまった。
【フランシスコ会訳】
Matt.13:7 ほかの種は茨の中に落ちた。やがて茨が伸び、それらを覆いふさいでしまった。
【日本正教会訳】
Matt.13:7 棘の中に遺ちし者あり、棘起きて、之を蔽へり。
【塚本虎二訳】
Matt.13:7 あるものは茨の(根が張っている)間に落ちた。茨が伸びてきて押えつけてしまった。
【前田護郎訳】
Matt.13:7 あるものは茨の間に落ちて、茨がのびて押さえつけた。
【永井直治訳】
Matt.13:7 また別のものは茨の上に落ちたり。されば茨育ちてそれを塞げり。
【詳訳聖書】
Matt.13:7 あるものはいばらの間に落ちたが、いばらが茂ってきてその成長をとどめてしまった。
† 聖書引照 Matt.13:7
Matt.13:7 茨の地に落ちし種あり、茨そだちて之を塞ぐ
[茨の地に落ちし種あり、茨そだちて之を塞ぐ] マタ13:22; 創世3:18; エレ4:3,4; マル4:18,19
† ギリシャ語聖書 Matt.13:7
Stephens 1550 Textus Receptus
αλλα δε επεσεν επι τας ακανθας και ανεβησαν αι ακανθαι και απεπνιξαν αυτα
Scrivener 1894 Textus Receptus
αλλα δε επεσεν επι τας ακανθας και ανεβησαν αι ακανθαι και απεπνιξαν αυτα
Byzantine Majority
αλλα δε επεσεν επι τας ακανθας και ανεβησαν αι ακανθαι και απεπνιξαν αυτα
Alexandrian
αλλα δε επεσεν επι τας ακανθας και ανεβησαν αι ακανθαι και επνιξαν αυτα
Hort and Westcott
αλλα δε επεσεν επι τας ακανθας και ανεβησαν αι ακανθαι και επνιξαν αυτα
† ギリシャ語聖書 品詞色分け
Matt.13:7
ἄλλα δὲ ἔπεσεν ἐπὶ τὰς ἀκάνθας, καὶ ἀνέβησαν αἱ ἄκανθαι καὶ ἔπνιξαν αὐτά.
† ヘブライ語聖書 Matt.13:7
Matt.13:7
אֲחֵרִים נָפְלוּ בֵּין קוֹצִים, אַךְ הַקּוֹצִים צָמְחוּ וְהֶחֱנִיקוּ אוֹתָם
† ラテン語聖書 Matt.13:7
Latin Vulgate
Matt.13:7
Alia autem ceciderunt in spinas: et creverunt spinæ, et suffocaverunt ea.
Still others fell among thorns, and the thorns increased and suffocated them.
† 私訳(詳訳)Matt.13:7
【私訳】 「また、別の〔種〕はいばら<あざみ、棘のある植物>の上に落ちた。そしていばらが成長し、それをおおって<窒息させて、息を詰まらせて、枯らして>しまった」
† 新約聖書ギリシャ語語句研究
Matt.13:7
ἄλλα δὲ ἔπεσεν ἐπὶ τὰς ἀκάνθας, καὶ ἀνέβησαν αἱ ἄκανθαι καὶ ἔπνιξαν αὐτά.
【また】 δὲ δέ デ de {deh} (cc 接続詞・等位)
1)ところで、しかし、さて、そして 2)しかも、そしてまた、なお、すると、また 3)次に、さらに 4)否、むしろ
(G1161 δέ A primary particle (adversative or continuative); but, and, etc.: – also, and, but, moreover, now [often unexpressed in English]. Internet Sacred Text Archive)
【ほかの種は】 ἄλλα ἄλλος アるろス allos {al‘-los} (ap-nn-p 形容詞・主中複)
1)けれども、しかし、そうではなくて、それどころか 2)むしろ、反対に、別の、他の、もう一つの 3)異なる、違った
(G243 ἄλλος A primary word; “else”, that is, different (in many applications): – more, one (another), (an-, some an-) other (-s, -wise). Internet Sacred Text Archive)
【茨の】 ἀκάνθας ἄκανθά アカンた akantha {ak‘-an-thah} (n-af-p 名詞・対女複)
< ἀκη 針先、とげ
1)いばら、あざみ 2)刺のある灌木・植物
(G173 ἄκανθά Probably from the same as 188 a thorn: – thorn. Internet Sacred Text Archive)
マタ7:16; 13:7.22; 27:29; マル4:7;,18; ルカ6:44; 8:7,14; ヨハ19:2; ヘブ6:8
【間に】 ἐπὶ ἐπί エピ epi{ep-ee‘} (pa 前置詞・対)
1)の上に、近くに 2)よって 3)に向かって 4)に 5)を 6)へ
(G1909 ἐπί A primary preposition properly meaning superimposition (of time, place, order, etc.), as a relation of distribution [with the genitive case], that is, over, upon, etc.; of rest (with the dative case) at, on, etc.; of direction (with the accusative case) towards, upon, etc.: – about (the times), above, after, against, among, as long as (touching), at, beside, X have charge of, (be-, [where-]) fore, in (a place, as much as, the time of, -to), (because) of, (up-) on (behalf of) over, (by, for) the space of, through (-out), (un-) to (-ward), with. In compounds it retains essentially the same import, at, upon, etc. (literally or figuratively). Internet Sacred Text Archive)
【落ち】 ἔπεσεν πίπτω ピプトー piptō petō {pip‘-to, pet‘-o} (viaa–3s 動詞・直・2アオ・能・3単)
1)落ちる、落下する 2)身を伏せる、平伏する、這いつくばる 3)倒れる、倒壊する、朽ち果てる
(G4098 πίπτω The first is a reduplicated and contracted form of the second (which occurs only as an alternate in certain tenses); probably akin to 4072 through the idea of alighting; to fall (literally of figuratively): – fail, fall (down), light on. Internet Sacred Text Archive)
マタ2:11; 4:9; 18:26; 26:39; マル14:35; ルカ5:12; 黙示7:11; 11:16; 19:4; 22:8
【そして】 καὶ καί カイ kai {kahee} (ch 接続詞・完)
1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた
(G2532 καί Apparently a primary particle, having a copulative and sometimes also a Cumulative force; and, also, even, so, then, too, etc.; often used in connection (or composition) with other particles or small words: – and, also, both, but, even, for, if, indeed, likewise, moreover, or, so, that, then, therefore, when, yea, yet. Internet Sacred Text Archive)
【茨が】 ἄκανθαι ἄκανθά アカンた akantha {ak‘-an-thah} (n-nf-p 名詞・主女複)
< ἀκη 針先、とげ
1)いばら、あざみ 2)刺のある灌木・植物
(G173 ἄκανθά Probably from the same as 188 a thorn: – thorn. Internet Sacred Text Archive)
マタ7:16; 13:7.22; 27:29; マル4:7;,18; ルカ6:44; 8:7,14; ヨハ19:2; ヘブ6:8
【伸びて】 ἄκανθαι ἀναβαίνω アナバイノー anabainō {an-ab-ah‘ee-no} (viaa–3p 動詞・直・2アオ・能・3複)
< ἀνά 上に + βαίνω 歩を進める、歩む
1)登る、あがる、昇る、上にあがる 2)(ある結果に)なる 2)芽生える、成長する、伸びる 3)(噂などが)広まる 4)思い浮かぶ、思い立つ
(G305 ἀναβαίνω From 303 and the base of 939 to go up (literally or figuratively): – arise, ascend (up), climb (go, grow, rise, spring) up, come (up). Internet Sacred Text Archive)
マタ13:7; マル4:7,8,32; 15:8; ルカ2;42; 24:38; ヨハ10:1; 21:11; 使徒7:23; 21:31
【そして】 καὶ καί カイ kai {kahee} (ch 接続詞・完)
1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた
(G2532 καί Apparently a primary particle, having a copulative and sometimes also a cumulative force; and, also, even, so, then, too, etc.; often used in connection (or composition) with other particles or small words: – and, also, both, but, even, for, if, indeed, likewise, moreover, or, so, that, then, therefore, when, yea, yet. Internet Sacred Text Archive)
【それを】 αὐτά αὐτός アウトス autos {ow-tos‘} (npan3p 代名詞・対中3)
1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど
(G846 αὐτός From the particle αὖ au (perhaps akin to the base of 109 through the idea of a baffling wind; backward); the reflexive pronoun self, used (alone or in the compound of 1438 of the third person, and (with the proper personal pronoun) of the other persons: – her, it (-self), one, the other, (mine) own, said, ([self-], the) same, ([him-, my-, thy-]) self, [your-] selves, she, that, their (-s), them ([-selves]), there [-at, -by, -in, -into, -of, -on, -with], they, (these) things, this (man), those, together, very, which. Compare 848. Internet Sacred Text Archive)
【枯らしてしまった】 ἔπνιξαν πνίγω プニゴー pnigo {pnee’-go} (viaa–3p 動詞・直・1アオ・能・3複)
1)おぼれさせる、溺死させる 2)首をしめる 3)息をつまらせる、窒息させる 4)枯らす
(G4155 πνίγω Strengthened from 4154 to wheeze, that is, (causative by implication) to throttle or strangle (drown): – choke, take by the throat. Internet Sacred Text Archive)
マタ13:7; 18:28; マル5:13
(他の写本では ἀπονίγω 「窒息させてしまう、おおってしまう、溺れさせる」が使われる)
† 英語訳聖書 Matt.13:7
King James Version
13:7 And some fell among thorns; and the thorns sprung up, and choked them:
New King James Version
13:7 “And some fell among thorns, and the thorns sprang up and choked them.
American Standard Version
13:7 And others fell upon the thorns; and the thorns grew up and choked them:
New International Version
13:7 Other seed fell among thorns, which grew up and choked the plants.
Bible in Basic English
13:7 And some seeds went among thorns, and the thorns came up and they had no room for growth:
Today’s English Version
13:7 Some of the seed fell among thorn bushes, which grew up and choked the plants.
Darby’s English Translation
13:7 and others fell upon the thorns, and the thorns grew up and choked them;
Douay Rheims
13:7 And others fell among thorns: and the thorns grew up and choked them.
Noah Webster Bible
13:7 And some fell among thorns; and the thorns sprung up, and choked them:
Weymouth New Testament
13:7 Some falls among the thorns; but the thorns spring up and stifle it.
World English Bible
13:7 Others fell on thorns. The thorns grew up and choked them:
Young’s Literal Translation
13:7 and others fell upon the thorns, and the thorns did come up and choke them,
Amplified Bible
13:7 Other seed fell among thorns, and thorns came up and choked them out.
† 細き聲 聖書研究ノート
<茨の地に落ちし種あり、茨そだちて之を塞ぐ>
三番目の種は茨の地に落ちた。茨の中でも、種は発芽し、根を張り、成長した。しかし、成長と共に棘が立ちふさがり、葉を伸ばすことができなかったために、実を結ぶことはできなかった。
<茨の地に落ちし種あり>
パレスティナでは至る所にいばらが繁茂した。農夫は種を蒔く前に火を放っていばらを焼き払い、その灰は肥料になった。これを怠る「怠け者」の畑は荒れ果てて使い物にならない。(箴言24:30,31)
<茨の地に>
原文を直訳すれば「δὲ ἔπεσεν ἐπὶ τὰς ἀκάνθας 茨の上に落ちた」となる。種は発芽し根も伸びたが、あとから「茨」が伸びて植物を覆ってしまったのである。種は茨の根の残り、やがて茨に覆われる地に落ちたのである。
† 心のデボーション
「茨の地に落ちし種あり、茨そだちて之を塞ぐ」 マタイ13:7 大正文語訳聖書
「ほかの種は茨の中に落ちた。やがて茨が伸び、それらを覆いふさいでしまった」 フランシスコ会訳聖書
「怠け者の畑」
パレスティナでは至る所にいばらが繁茂した。農夫は種を蒔く前に火を放っていばらを焼き払い、その灰は肥料になった。これを怠る「怠け者」の畑は荒れ果てて使い物にならない。(箴言24:30、31)
三番目の種は怠け者の畑に落ちた。発芽したがいばらがそれをおおって枯れてしまった。
† 心のデボーション
「茨の地に落ちし種あり、茨そだちて之を塞ぐ」 マタイ13:7 大正文語訳聖書
「ほかの種は茨の中に落ちた。やがて茨が伸び、それらを覆いふさいでしまった」 フランシスコ会訳聖書
「手入れの悪い地」
「茨の地」は一見して「良き地」と変わらないが、地中には茨の根が縦横矛盾に根を伸ばしている地である。種を捲く前に、茨の根を掘り起こさなければならない。
手入れの悪い地によきものは生えない。
† 心のデボーション
「茨の地に落ちし種あり、茨そだちて之を塞ぐ」 マタイ13:7 大正文語訳聖書
「ほかの種は茨の中に落ちた。やがて茨が伸び、それらを覆いふさいでしまった」 フランシスコ会訳聖書
「心に生える雑草」
畑には驚く量の雑草の種が埋まっている。畑の雑草を取り除く方法はただ一つ、雑草の芽を丹念にかき取ることである。一度や二度ではすまない。雑草は地の表面をかきとられると、すぐに次に控えた種が芽をだすからである。
現代は雑草だけ枯らす農薬がある。これを使えば雑草は退治できるが、その畑で採れた野菜は食べる気がしない。農薬は雑草だけでなく地も殺してしまうからである。
雑草は抜いて腐らせ、地に戻していくのが一番良い。心に生える雑草もまた自身であることにかわりはない。農薬などにまかせず、愛おしんで扱うべきである。
† 細き聲 説教
「茨の地」
「茨の地に落ちし種あり、茨そだちて之を塞ぐ」 マタイ13:7 大正文語訳聖書
「ほかの種は茨の中に落ちた。やがて茨が伸び、それらを覆いふさいでしまった」 フランシスコ会訳聖書
三番目の種は茨の地に落ちた。
パレスティナでは至る所にいばらが繁茂した。農夫は種を蒔く前に火を放っていばらを焼き払い、その灰は肥料になった。これを怠る「怠け者」の畑は荒れ果てて使い物にならない。(箴言24:30,31)
原文を直訳すれば「δὲ ἔπεσεν ἐπὶ τὰς ἀκάνθας 茨の上に落ちた」となる。種は発芽し根も伸びたが、あとから「茨」が伸びて植物を覆ってしまったのである。種は茨の根の残り、やがて茨に覆われる地に落ちたのである。
茨の中に落ちた種は発芽もし、根も張ったが、成長を妨げる棘に覆われ、棘を越えることができなかった。
茨に落ちた種は、茨の中で成長を妨げられ、枯れることはなかったが、あまりにひ弱で、実を結ぶには至らない「神のことば」を譬えている。
神のことばは、芽を出し、根を張ることができても、その成長を塞ぐ「茨」というものがある。
どのような「よき畑」にも「茨」は生える。農夫は常に見張って茨を抜くのである。
問題は「種」が茨の真中に落ちたことである。
「茨の真中」にも「神のことば」は入る。だが、「茨」の勢いが「神のことば」に優れば、「神のことばは実を結ばない。
そのようにして失われた神のことばは数知れなくあることを認めなければならない。
「神のことば」に問題があるのではなく、「取り除く」ことができないほどの茨の真中というものを思考しなければならないであろう。
「聞く耳のある者」が実を結ぶのである。(マタイ11:15)
(皆川誠)
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