† 福音書縦観 「人々の癒し」 マタイ12:15~21
マタイ12:15~21 マルコ3:7~12 ルカ6:17~19
マタイ12:15~21
Matt.12:16そして自分のことを人々にあらわさないようにと、彼らを戒められた。(3:11また、けがれた霊どもはイエスを見るごとに、みまえにひれ伏し、叫んで、「あなたこそ神の子です」と言った。 3:12イエスは御自身のことを人にあらわさないようにと、彼らをきびしく戒められた。 マルコ3:11~12) 口語訳聖書
† 日本語訳聖書 Matt.12:16
【漢訳聖書】
Matt.12:16 戒其勿揚焉、
【明治元訳】
Matt.12:16 我(われ)をに露(あらは)すこと勿(なか)れと戒(いましめ)たり
【大正文語訳】
Matt.12:16 かつ我を人に知らすなと戒め給へり。
【ラゲ訳】
Matt.12:16 且我を言顕すこと勿れ、と戒め給へり。
【口語訳】
Matt.12:16 そして自分のことを人々にあらわさないようにと、彼らを戒められた。
【新改訳改訂3】
Matt.12:16 そして、ご自分のことを人々に知らせないようにと、彼らを戒められた。
【新共同訳】
Matt.12:16 御自分のことを言いふらさないようにと戒められた。
【バルバロ訳】
Matt.12:16 そして、このことを人に知らせるなと戒められた。
【フランシスコ会訳】
Matt.12:16 そしてご自分のことを言いふらさないようにと、戒められた。
【日本正教会訳】
Matt.12:16 且之に己を顯す勿らんことを戒めたり。
【塚本虎二訳】
Matt.12:16 自分のことを世間に知らせるなと戒められた。
【前田護郎訳】
Matt.12:16 そして彼のことを公にせぬよういましめられた。
【永井直治訳】
Matt.12:16 かくて彼は己をになすべからずと、彼等に嚴しく命じ給ひたり。
【詳訳聖書】
Matt.12:16 そして、彼のことを公に知らせないようにと彼らに厳命された<きびしく[彼らに]警告された>。
† 聖書引照 Matt.12:16
Matt.12:16 かつ我を人に知らすなと戒め給へり。
[かつ我を人に知らすなと戒め給へり] マタ9:30; 17:9; マル7:36; ルカ5:14,15
† ギリシャ語聖書 Matt.12:16
Stephens 1550 Textus Receptus
και επετιμησεν αυτοις ινα μη φανερον αυτον ποιησωσιν
Scrivener 1894 Textus Receptus
και επετιμησεν αυτοις ινα μη φανερον αυτον ποιησωσιν
Byzantine Majority
και επετιμησεν αυτοις ινα μη φανερον αυτον ποιησωσιν
Alexandrian
και επετιμησεν αυτοις ινα μη φανερον αυτον ποιησωσιν
Hort and Westcott
και επετιμησεν αυτοις ινα μη φανερον αυτον ποιησωσιν
† ギリシャ語聖書 品詞色分け
Matt.12:16
καὶ ἐπετίμησεν αὐτοῖς ἵνα μὴ φανερὸν αὐτὸν ποιήσωσιν,
† ヘブライ語聖書 Matt.12:16
Matt.12:16
וְהִזְהִיר אוֹתָם שֶׁלֹּא יְגַלּוּ אוֹתוֹ,
† ラテン語聖書 Matt.12:16
Latin Vulgate
Matt.12:16
et præcepit eis ne manifestum eum facerent.
And he instructed them, lest they make him known.
† 私訳(詳訳)Matt.12:16
【私訳】 「そして、御自分のことをあらわにしないように<表面に出さないように、人々に伝えないように>、彼らをいさめられた<厳しく警告された、命じられた>」
† 新約聖書ギリシャ語語句研究
Matt.12:16
καὶ ἐπετίμησεν αὐτοῖς ἵνα μὴ φανερὸν αὐτὸν ποιήσωσιν,
【そして】 καὶ καί カイ kai {kahee} (cc 接続詞・等位)
1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた
(G2532 καί Apparently a primary particle, having a copulative and sometimes also a cumulative force; and, also, even, so, then, too, etc.; often used in connection (or composition) with other particles or small words: – and, also, both, but, even, for, if, indeed, likewise, moreover, or, so, that, then, therefore, when, yea, yet. Internet Sacred Text Archive)
【ご自分のことを】 αὐτὸν αὐτός アウトス autos {ow-tos‘} (npdm3p 代名詞・与男3)
1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど
(G846 αὐτός From the particle αὖ au (perhaps akin to the base of 109 through the idea of a baffling wind; backward); the reflexive pronoun self, used (alone or in the compound of 1438 of the third person, and (with the proper personal pronoun) of the other persons: – her, it (-self), one, the other, (mine) own, said, ([self-], the) same, ([him-, my-, thy-]) self, [your-] selves, she, that, their (-s), them ([-selves]), there [-at, -by, -in, -into, -of, -on, -with], they, (these) things, this (man), those, together, very, which. Compare 848. Internet Sacred Text Archive)
【言いふらす】 φανερὸν φανερός ふァネロス phaneros {fan-er-os‘} (a–am-s 形容詞・対男単)
1)目に見える、はっきりした 2)明らかな、明白な 3)あらわな、現れている 4)知られている 5)公然の
(G5318 φανερός From 5316 shining, that is, apparent (literally or figuratively); neuter (as adverb) publicly, externally: – abroad, + appear, known, manifest, open [+ -ly], outward ([+ -ly]). Internet Sacred Text Archive)
マタ12:16; 使徒4:16; ロマ1:19; 2:28; ガラ5:19
【~する】 ποιήσωσιν ποιέω ポイエオー poieō {poy-eh‘-o } (vsaa–3p 動詞・仮・1アオ・能・3複)
1)造る、こしらえる、建てる 2)創造する、原因となる、準備する、生み出す 3)やる、なす、行う~にならせる、~にする、こしらえる、準備する、~を~とする、ある状態にする 4)発芽する、結ぶ 5)行う、為す、行動する 6)過ごす 7)守る
(G4160 ποιέω Apparently a prolonged form of an obsolete primary; to make or do (in a very wide application, more or less direct): – abide, + agree, appoint, X avenge, + band together, be, bear, + bewray, bring (forth), cast out, cause, commit, + content, continue, deal, + without any delay, (would) do (-ing), execute, exercise, fulfil, gain, give, have, hold, X journeying, keep, + lay wait, + lighten the ship, make, X mean, + none of these things move me, observe, ordain, perform, provide, + have purged, purpose, put, + raising up, X secure, shew, X shoot out, spend, take, tarry, + transgress the law, work, yield. Compare 4238. Internet Sacred Text Archive)
【ない】 μὴ μή メー mē {may} (qn 不変化詞・否定)
1)~ない
(G3361 μή A primary particle of qualified negation (whereas 3756 expresses an absolute denial); (adverbially) not, (conjugationally) lest; also (as interrogitive implying a negative answer [whereas 3756 expects an affirmative one]); whether: – any, but, (that), X forbear, + God forbid, + lack, lest, neither, never, no (X wise in), none, nor, [can-] not, nothing, that not, un [-taken], without. Often used in compounds in substantially the same relations. See also 3362 3363 3364 3372 3373 3375 3378. Internet Sacred Text Archive)
【ように】 ἵνα ἵνα ヒナ hina {hin‘-ah} (cs 接続詞・従)
1)そこに(へ) 2)~するために 3)~する事を 4)~ので 5)という事は 6)~であるところの 7)~するように 8)すなわち
(G2443 ἵνα Probably from the same as the former part of 1438 (through the demonstrative idea; compare 3588 ; in order that (denoting the purpose or the result): – albeit, because, to the intent (that), lest, so as, (so) that, (for) to. Compare 3363. Internet Sacred Text Archive)
【彼らを】 αὐτοῖς αὐτός アウトス autos {ow-tos‘} (npdm3p 代名詞・与男3)
1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど
(G846 αὐτός From the particle αὖ au (perhaps akin to the base of 109 through the idea of a baffling wind; backward); the reflexive pronoun self, used (alone or in the compound of 1438 of the third person, and (with the proper personal pronoun) of the other persons: – her, it (-self), one, the other, (mine) own, said, ([self-], the) same, ([him-, my-, thy-]) self, [your-] selves, she, that, their (-s), them ([-selves]), there [-at, -by, -in, -into, -of, -on, -with], they, (these) things, this (man), those, together, very, which. Compare 848. Internet Sacred Text Archive)
【戒められた】 ἐπετίμησεν ἐπιτιμάω エピティマオー epitimaō {ep-ee-tee-mah‘-o} (viaa–3s 動詞・直・1アオ・能・3単)
< ἐπί + τιμή 値段
1)値踏みする 2)(悪く)評価する 3)非難する、いさめる、叱責する、悪し様にいう、しかりつける、厳しく命じる、警告する 4)葬る、祀る 5)値段を上げる 6)罰する、懲戒する、勧告する、いさめる、戒める 7)~せぬよう警告する
(G2008 ἐπιτιμάω From 1909 and 5091 to tax upon, that is, censure or admonish; by implication forbid: – (straitly) charge, rebuke. Internet Sacred Text Archive)
マタ8:26; 12:16; 16:20,22; 17:18; 19:3; 20:31; マル1:25; 3:12; 4:39; 8:30,32,33; 10:13,48 etc.
永井訳「彼らに厳しく命じ給いたり」
† 英語訳聖書 Matt.12:16
King James Version
12:16 And charged them that they should not make him known:
New King James Version
12:16 Yet He warned them not to make Him known,
American Standard Version
12:16 and charged them that they should not make him known:
New International Version
12:16 warning them not to tell who he was.
Bible in Basic English
12:16 Ordering them not to give people word of him:
Today’s English Version
12:16 and gave them orders not to tell others about him.
Darby’s English Translation
12:16 and charged them strictly that they should not make him publicly known:
Douay Rheims
12:16 And he charged them that they should not make him known.
Noah Webster Bible
12:16 And charged them that they should not make him known:
Weymouth New Testament
12:16 But He gave them strict injunctions not to blaze abroad His doings,
World English Bible
12:16 and charged them that they should not make him known:
Young’s Literal Translation
12:16 and did charge them that they might not make him manifest,
Amplified Bible
12:16 and warned them not to tell [publicly] who He was.
† 細き聲 聖書研究ノート
<かつ我を人に知らすなと戒め給へり>
イエスは病を癒された人に、イエスのことを人々に知らせないようにと言われた。
<かつ我を人に知らすなと戒め給へり>
マルコ並行記事によれば、「けがれた霊どもはイエスを見るごとに、みまえにひれ伏し、叫んで、『あなたこそ神の子です』と言った。イエスは御自身のことを人にあらわさないようにと、彼らをきびしく戒められた。」(マルコ3:11~12)とあり、「我を人に知らすな」の戒めは、直接的には「汚れた靈」につかれた者たちの「叫び」に対するものであるが、同時にそこに居るすべての者に向けられている。
† 心のデボーション
「かつ我を人に知らすなと戒め給へり」 マタイ12:16 大正文語訳聖書
「そしてご自分のことを言いふらさないようにと、戒められた」 フランシスコ会訳聖書
イエスの時はまだ来ていない。時が満ちるまでは明らかにしないでいるべきことがある。そうすることで「時」は満ちていく。
† 心のデボーション
「かつ我を人に知らすなと戒め給へり」 マタイ12:16 大正文語訳聖書
「そしてご自分のことを言いふらさないようにと、戒められた」 フランシスコ会訳聖書
「敵意をおこさせる証し」
元旦の初もうでの神社で、身動きできないほどの参拝者が神殿に向かっている。その行列に立ちはだかるようにして、マイクをもったキリスト教の信徒が「皆さんの行くのは地獄です」と叫んでいる。イエスがこの光景を御覧になれば、「御自分のことを言いふらさないように」とマイクを持った男を戒められるのではないか。
イエスは相手に敵意をおこさせるような「証し」をしないようにと言われるのである。
† 心のデボーション
「かつ我を人に知らすなと戒め給へり」 マタイ12:16 大正文語訳聖書
「そしてご自分のことを言いふらさないようにと、戒められた」 フランシスコ会訳聖書
「迫害を避ける」
イエスは危険が迫っているのを知って、迫害に身をさらすようなことは避けられる。
いたずらに迫害に身をさらすべきではない。しかし、信仰には避けることのできない危険もある。
† 心のデボーション
「かつ我を人に知らすなと戒め給へり」 マタイ12:16 大正文語訳聖書
「そしてご自分のことを言いふらさないようにと、戒められた」 フランシスコ会訳聖書
「かくて彼は己を顯(あらは)になすべからずと、彼等に嚴しく命じ給ひたり」 永井訳聖書
「己をあらわす」
我々は自分を「己を顯(あらは)になす」にも慎重でなければならない。自分が人に何を「顯(あらは)になした」か、それがどのように伝達されていくかについて無関心であってはならない。人が「顯(あらは)になせる」のは常に己の一部にすぎないからである。
† 細き聲 説教
「イエスの戒め」
「かつ我を人に知らすなと戒め給へり」 マタイ12:16 大正文語訳聖書
「そしてご自分のことを言いふらさないようにと、戒められた」 フランシスコ会訳聖書
イエスは病を癒された人に、イエスのことを人々に知らせないようにと強く戒められた。
病を癒すことが福音ではなく、癒しは福音の結果に過ぎないからである。
群衆は「奇跡の人イエス」ばかりに注目し、イエスの福音に目を向けようとしなかった。それはイエスに従う者の信仰を著しく損なうものであった。
サタンはイエスに「この石がパンになるように命じなさい」といい、「神殿の頂から身を投げてみなさい」と誘惑した。(マタイ4:1~7)「そうすれば、人間はお前をメシアと崇めるだろう」というのである。
奇跡に群がる信仰(それらはことごとく「奇跡」などではなくまやかしに過ぎない)は今もサタンの誘惑の中にあって、イエスに「そうすれば、私はあなたをメシアと崇めます」と告白しているのである。
サタンの誘惑に応えられたイエスのおられる教会には群衆は群がらないだろう。
教会はこの誘惑をもてあそぶ場であってはならない。
(皆川誠)
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