マタイによる福音書10章31節

マタイによる福音書
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† 福音書縦観 「宣教 ⅲ」 マタイ10:24~33

マタイ10:24~33 ルカ6:40 ヨハネ13:6,15:20

Matt.10:31それだから、恐れることはない。あなたがたは多くのすずめよりも、まさった者である。 口語訳聖書

† 日本語訳聖書 Matt.10:31

【漢訳聖書】
Matt.10:31 故母懼、爾貴於多雀乎。

【明治元訳】
Matt.10:31 故(ゆゑ)にるる勿(なか)れ爾曹(なんぢら)は多(おほく)の雀(すずめ)よりも優(まさ)れり

【大正文語訳】
Matt.10:31 この故におそるな、汝らは多くの雀よりも優るるなり。

【ラゲ訳】
Matt.10:31 故に怖るること勿れ、汝等は多くの雀に優れり。

【口語訳】
Matt.10:31 それだから、恐れることはない。あなたがたは多くのすずめよりも、まさった者である。

【新改訳改訂3】
Matt.10:31 だから恐れることはありません。あなたがたは、たくさんの雀よりもすぐれた者です。

【新共同訳】
Matt.10:31 だから、恐れるな。あなたがたは、たくさんの雀よりもはるかにまさっている。」

【バルバロ訳】
Matt.10:31 恐れることはない。あなたたちは多くのすずめよりも値打ちがある。

【フランシスコ会訳】
Matt.10:31 だから、恐れることはない。あなたたちは多くのすずめよりももっと値うちのあるものである。

【日本正教会訳】
Matt.10:31 故に懼るる勿れ、爾等は多くの雀より貴し。

【塚本虎二訳】
Matt.10:31 だから恐れることはない。多くの雀よりもあなた達は大切である。

【前田護郎訳】
Matt.10:31 それゆえおそれるな。あなた方は多くの雀よりまさっている。

【永井直治訳】
Matt.10:31 是の故に懼るる勿れ。汝等は多くの雀よりるるなり。

【詳訳聖書】
Matt.10:31 だから恐れるな。あなたたちは多くのすずめよりももっと値うちのあるものである。

† 聖書引照 Matt.10:31

Matt.10:31 この故におそるな、汝らは多くの雀よりも優るるなり。

[この故におそるな、汝らは多くの雀よりも優るるなり] マタ6:26; 12:11,12; 詩篇8:5; ルカ12:24; Ⅰコリ9:9,10

† ギリシャ語聖書 Matt.10:31

Stephens 1550 Textus Receptus
μη ουν φοβηθητε πολλων στρουθιων διαφερετε υμεις

Scrivener 1894 Textus Receptus
μη ουν φοβηθητε πολλων στρουθιων διαφερετε υμεις

Byzantine Majority
μη ουν φοβηθητε πολλων στρουθιων διαφερετε υμεις

Alexandrian
μη ουν φοβηθητε πολλων στρουθιων διαφερετε υμεις

Hort and Westcott
μη ουν φοβηθητε πολλων στρουθιων διαφερετε υμεις

† ギリシャ語聖書 品詞色分け

Matt.10:31

μὴ οὖν φοβεῖσθε πολλῶν στρουθίων διαφέρετε ὑμεῖς.

† ヘブライ語聖書 Matt.10:31

Matt.10:31

לָכֵן אַל תִּפְחֲדוּ; יְקָרִים אַתֶּם מִצִּפֳּרִים רַבּוֹת

† ラテン語聖書 Matt.10:31

Latin Vulgate
Matt.10:31

Nolite ergo timere: multis passeribus meliores estis vos.
Therefore, do not be afraid. You are worth more than many sparrows.

† 私訳(詳訳)Matt.10:31

【私訳】 「それゆえ、恐れる<驚愕する、こわがる、逃げる、心配する>な。あなたがたは多くの<夥しい数の、幾多の、大量の、群がる>雀よりも違っている<異なる、重要である、より優れている>」

† 新約聖書ギリシャ語語句研究

Matt.10:31

μὴ οὖν φοβεῖσθε πολλῶν στρουθίων διαφέρετε ὑμεῖς.

【それで】 οὖν οὖν ウーン oun {oon} (ch 接続詞・完等)

1)それで、それから、それゆえ、そうゆうわけで、故に、さて、ところで、そこで 2)そのように、実際に、確かに、いずれにしても、とにかく 3)だから、その理由で、そんなわけで 4)すると、それでは

(G3767 οὖν Apparently a primary word; (adverbially) certainly, or (conjugationally) accordingly: – and (so, truly), but, now (then), so (likewise then), then, therefore, verily, wherefore.  Internet Sacred Text Archive)

【恐れる】 φοβεῖσθε\ φοβέομαι  ふォベオマイ phobeō {fob-eh‘-o} (vmpn–2p 動詞・命・現・能欠・2複)

1)追い散らす、敗走させる、逃げる 2)恐怖に陥れる、恐れる、恐怖する、畏怖する、驚愕する、こわがる、おどす、心配する

(G5399 φοβέομαι From 5401 to frighten, that is, (passively) to be alarmed; by analogy to be in awe of, that is, revere: – be (+ sore) afraid, fear (exceedingly), reverence.  Internet Sacred Text Archive)

マタ1:20; 10:31; 14:30; 25:25; マル5:33; 6:20; 10:32; 16:8; ルカ1:50; 8:50; 12:7,32; ヨハ12:5; 19:8; 使徒16:38; 22:29; ロマ10:2; 11:20; 13:4; エペ5:33; ヘブ13:6; Ⅰペテ2:17 黙示14:7 etc.

【な】 μὴ  μή メー mē {may} (qn 不変化詞・否定)

1)~ない

(G3361 μή A primary particle of qualified negation (whereas 3756 expresses an absolute denial); (adverbially) not, (conjugationally) lest; also (as interrogitive implying a negative answer [whereas 3756 expects an affirmative one]); whether: – any, but, (that), X forbear, + God forbid, + lack, lest, neither, never, no (X wise in), none, nor, [can-] not, nothing, that not, un [-taken], without. Often used in compounds in substantially the same relations. See also 3362 3363 3364 3372 3373 3375 3378.  Internet Sacred Text Archive)

【あなた方は】 ὑμεῖς  σύ スゆ sou {soo} (npn-2p 代名詞・主2複)

1)あなた 2)汝 3)君

(G4771 σύ The personal pronoun of the second person singular; thou: – thou. See also 4571 4671 4675 and for the plur. 5209 5210 5213 5216.  Internet Sacred Text Archive)

【たくさんの】 πολλῶν  πολύς ポりゆス polus polos {pol-oos‘} (a–gn-p 形容詞・属中複)

1)(数が)多い、よリ多く、余る、余分にある、十分過ぎる、ほどである、余裕がある、余計である 2)(大きさ、強さ、程度の)大きい、激しい、大いなる、非常な、重大な、3)おびただしい、幾多の、幾つもの、大量の 4)より永い、より先の 5)価値の高い、より優れた、より大切な

(G4183 πολύς Including the forms from the alternate “pollos”; (singular) much (in any respect) or (plural) many; neuter (singular) as adverb largely; neuter (plural) as adverb or noun oftenmostlylargely: – abundant, + altogether, common, + far (passed, spent), (+ be of a) great (age, deal, -ly, while), long, many, much, oft (-en [-times]), plenteous, sore, straitly. Compare 4118 4119.  Internet Sacred Text Archive)

【雀よりも】 στρουθίων  στρουθίον ストルーてィオン  strouthion {stroo-thee‘-on} (n-gn-p 名詞・属中複)

1)小鳥 2)雀 3)ダチョウ

(G4765 στρουθίον Diminutive of στρουθός strouthos (a sparrow); a little sparrow: – sparrow.  Internet Sacred Text Archive)

マタ10:29,31; ルカ12:6,7

【はるかにまさっている】 διαφέρετε  διαφέρω ディアふェロー diapherō {dee-af-er‘-o} (vipa–2p 動詞・直・現・能・2複)

1)通って運ぶ、持って通り抜ける 2)色々の方向へ運ぶ 3)~とは違う、異なる、相違する、違う 4)持ち続ける、耐える、続ける 5)重要である、優れている、より優れている

(G1308 διαφέρω δFrom 1223 and 5342 to bear through, that is, (literally) transport; usually to bear apart, that is, (objectively) to toss about (figuratively report); subjectively to “differ”, or (by implication) surpass: – be better, carry, differ from, drive up and down, be (more) excellent, make matter, publish, be of more value.  Internet Sacred Text Archive)

マタ6:26; 10:31; 12:12; ルカ12:7,24

† 英語訳聖書 Matt.10:31

King James Version
10:31 Fear ye not therefore, ye are of more value than many sparrows.

New King James Version
10:31 “Do not fear therefore; you are of more value than many sparrows.

American Standard Version
10:31 Fear not therefore: ye are of more value than many sparrows.

New International Version
10:31 So don’t be afraid; you are worth more than many sparrows.

Bible in Basic English
10:31 Then have no fear; you are of more value than a flock of sparrows.

Today’s English Version
10:31 So do not be afraid; you are worth much more than many sparrows!

Darby’s English Translation
10:31 Fear not therefore; ye are better than many sparrows.

Douay Rheims
10:31 Fear not therefore: better are you than many sparrows.

Noah Webster Bible
10:31 Fear ye not therefore, ye are of more value than many sparrows.

Weymouth New Testament
10:31 Away then with fear; you are more precious than a multitude of sparrows.

World English Bible
10:31 Therefore don’t be afraid, you are of more value than many sparrows.

Young’s Literal Translation
10:31 be not therefore afraid, than many sparrows ye are better.

Amplified Bible
10:31 So do not fear; you are more valuable than many sparrows.

† 細き聲 聖書研究ノート

 <この故におそるな、汝らは多くの雀よりも優るるなり>

二羽で一アサリオンにすぎない雀も神の御許しがなければ地に落ちない。この故に恐れるな。あなたがたは多くの雀よりもはるかに優ったものではないか。

 <この故におそるな、汝らは多くの雀よりも優るるなり>

「雀 στρουθίον ストルーてィオン」は「小鳥」またいは「雀」を意味する。「さえずる小鳥」の総称である。パレスティナにも多数生息し、その種類も多く、食用にもされた。

普通、雀は群れをつくって行動するので、「多くの雀」の表現がある。

† 心のデボーション  

「この故におそるな、汝らは多くの雀よりも優るるなり」 マタイ10:31 大正文語訳聖書

「だから、恐れるな。あなたがたは、たくさんの雀よりもはるかにまさっている」 新共同訳聖書

 「愚かさ」

人間ははたして「雀」にまさっているだろうか。人間が歴史に残した「愚か」を思えば、人は小さな小鳥の有り様にも及ばない。しかし、神は、人間の内に「愚かさ」への怖れがあるのを御覧になって、「雀よりもはるかにまさっている」と励まされるのかもしれない。

† 心のデボーション  

「この故におそるな、汝らは多くの雀よりも優るるなり」 マタイ10:31 大正文語訳聖書

「だから、恐れるな。あなたがたは、たくさんの雀よりもはるかにまさっている」 新共同訳聖書

 「多くの雀」

自宅の駐輪所の屋根に「くず米」を置くと、雀が群れでやって来る。すぐに「餌場」に近づきはしない。しばらく遠巻きにして鳴いているが、そのうち、一羽が意を決したように餌をついばみ、素早く飛び退く。それを見て仲間が近づき、啄んでは飛び退く。飛び退いた雀は仲間の安全を見守るように周囲に注意を向けており、危険があれば鋭く鳴いて知らせる。それで仲間は安全に餌を啄むことができるのである。周辺に退いた雀はそんなことをしながら、次の自分の番が巡ってくるのを待つのである。人は「多くの雀」よりも「はるかに優っている」だろうか。

† 心のデボーション  

「この故におそるな、汝らは多くの雀よりも優るるなり」 マタイ10:31 大正文語訳聖書

「だから、恐れるな。あなたがたは、たくさんの雀よりもはるかにまさっている」 新共同訳聖書

 「小さいもの」

人間の存在は時代とともに小さいものにみなされようとしているようだ。一人の人間に何ができようか? しかし、人は、「あなたは小さいものではない」というイエスの言葉を聞く必要がある。世界を創るのも「一人の人間」なのだ。存在の小さいことの何に恐れようか?

† 心のデボーション  

「この故におそるな、汝らは多くの雀よりも優るるなり」 マタイ10:31 大正文語訳聖書

「だから、恐れるな。あなたがたは、たくさんの雀よりもはるかにまさっている」 新共同訳聖書

 「鵬」

荘子の「鵬」は、南の海に移るとき、水上をはばたいて滑走すること三千里、上昇すること九万里という伝説上最大の鳥であるが、もともと「朋」は群雀のことで小鳥の意味である。自然界では小さきものは大きく、大きなものは小さい。

† 細き聲 説教 

 「この故におそるな」

「この故におそるな、汝らは多くの雀よりも優るるなり」 マタイ10:31 大正文語訳聖書

「だから、恐れるな。あなたがたは、たくさんの雀よりもはるかにまさっている」 新共同訳聖書

二羽で一アサリオンにすぎない雀も神の御許しがなければ地に落ちない。この故に恐れるな。あなたがたは多くの雀よりもはるかに優ったものではないか。

確かに雀は二羽で一アサリオンにしかならない小さな鳥である。しかし、いのちの価値は金銭で決めることはできない。雀は小さくとも高く飛ぶ翼をもっている。翼をもたない人間には思うことも出来ない能力である。

雀と人間をとりあげるイエスの喩えは、ただの金銭的な価値の比較ではあるまい。

人間ははたして雀に優る存在だろうか?

人間が歴史に残したもののなかには雀にも劣る愚かさがある。しかし、雀は「愚かさ」とは無縁の存在であることを思えば、「歴史に残る愚かさ」に人間のみになし得る能力を見ることもできよう。雀は賢くも愚かでもない存在なのだ。

賢くも愚かにも成り得ると知るがゆえに、人は自らを恐れるのかもしれない。雀のようには生きない自分を哀しむのである。

しかし、恐れてはいけないと主は言われる。

神は人間を「賢くも愚かにも成り得る者」として創造されたのだ。

「賢くも愚かにも成り得る」という人間の存在を神は「たくさんの雀よりもはるかにまさっている」と言われるのである。

「賢くも愚かにも成り得えない雀」の一羽でさえも御許しなければ地に落ちないほどに惜しまれる神は、「賢くも愚かにも成り得る人間」が一人でさえも失われることを心底惜しまれ、そのいのちを見守られるのである。

(皆川誠)

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