† 福音書縦観 「十二弟子」
マタイ10:2~4 マルコ3:13~19a ルカ6:12~16
マタイ10:2~4
Matt.10:4熱心党のシモンとイスカリオテのユダ。このユダはイエスを裏切った者である。
口語訳聖書
† 日本語訳聖書 Matt.10:4
【漢訳聖書】
Matt.10:4 迦南西門、與賣耶穌之以色加畧猶大。
【明治元訳】
Matt.10:4 カナンのシモン、イスカリオテのユダすなはちイエスを賣(わた)しし者(もの)なり
【大正文語訳】
Matt.10:4 熱心黨のシモン及びイスカリオテのユダ、このユダはイエスを賣りし者なり。
【ラゲ訳】
Matt.10:4 カナアンのシモン及イエズスを売りしイスカリオテのユダ是なり。
【口語訳】
Matt.10:4 熱心党のシモンとイスカリオテのユダ。このユダはイエスを裏切った者である。
【新改訳改訂3】
Matt.10:4 熱心党員シモンとイエスを裏切ったイスカリオテ・ユダである。
【新共同訳】
Matt.10:4 熱心党のシモン、それにイエスを裏切ったイスカリオテのユダである。
【バルバロ訳】
Matt.10:4 熱心なシモンとイエズスを裏切ったイスカリオトのユダである。
【フランシスコ会訳】
Matt.10:4 熱心党のシモンと、イエズスを裏切ったイスカリオテのユダである。
【日本正教会訳】
Matt.10:4 シモン「カナニト」及びイウダ「イスカリオト」、即彼を賣りし者なり、
【塚本虎二訳】
Matt.10:4 熱心党のシモンと(あとで)イエスを売ったイスカリオテのユダ。
【前田護郎訳】
Matt.10:4 熱心党のシモンと彼を裏切ったイスカリオテのユダ。
【永井直治訳】
Matt.10:4 〔また〕カナン人なるシモンと彼を付せし者なるイスカリオデのユダ。
【詳訳聖書】
Matt.10:4 熱心党のシモンとイスカリオテのユダ、これはイエスを裏切る者になった。
† 聖書引照 Matt.10:4
Matt.10:4 熱心黨のシモン及びイスカリオテのユダ、このユダはイエスを賣りし者なり。
[熱心黨のシモン] マル3:18; ルカ6:15; Simon Zelotes. 使徒1:13
[及びイスカリオテのユダ、このユダはイエスを賣りし者なり] マタ26:14,47; 27:3; マル3:19; 14:10,43; ルカ6:16; 22:3,47;ヨハ 6:71; 13:2,26~30; 18:2~5; 使徒1:16~20,25
† ギリシャ語聖書 Matt.10:4
Stephens 1550 Textus Receptus
σιμων ο κανανιτησ και ιουδας ισκαριωτης ο και παραδους αυτον
Scrivener 1894 Textus Receptus
σιμων ο κανανιτησ και ιουδας ισκαριωτης ο και παραδους αυτον
Byzantine Majority
σιμων ο κανανιτησ και ιουδας ισκαριωτης ο και παραδους αυτον
Alexandrian
σιμων ο κανανιτησ και ιουδας ισκαριωτης ο και παραδους αυτον
Hort and Westcott
σιμων ο κανανιτησ και ιουδας ισκαριωτης ο και παραδους αυτον
† ギリシャ語聖書 品詞色分け
Matt.10:4
Σίμων ὁ Καναναῖος καὶ ᾽Ιούδας ὁ ᾽Ισκαριώτης ὁ καὶ παραδοὺς αὐτόν.
† ヘブライ語聖書 Matt.10:4
Matt.10:4
שִׁמְעוֹן הַקַּנַּאי וִיהוּדָה אִישׁ קְרִיּוֹת ־הָאִישׁ שֶׁמָּסַר אוֹתוֹ
† ラテン語聖書 Matt.10:4
Latin Vulgate
Matt.10:4
Simon Chananæus, et Iudas Iscariotes, qui et tradidit eum.
Simon the Canaanite, and Judas Iscariot, who also betrayed him.
† 私訳(詳訳)Matt.10:4
私訳 「熱心党のシモンと、彼〔イエス〕を裏切る<敵に手渡す、引き渡す、生命を死の危険にさらす>者となったイスカリオテ<カリオテの人>ユダ」
† 新約聖書ギリシャ語語句研究
Matt.10:4
Σίμων ὁ Καναναῖος καὶ ᾽Ιούδας ὁ ᾽Ισκαριώτης ὁ καὶ παραδοὺς αὐτόν.
【熱心党の】 Καναναῖος Κανανίτης カナナニテース Kananitēs {kan-an-ee‘-tace} (n-nm-s 名詞・主男単)
1)熱心党員
ヘブル語「i קִנאַה qin’ āh 熱心な」から出た言葉 「熱心党員 ζηλωτής」
(G2581 Κανανίτης Of Chaldee origin (compare [7067 ); zealous; Cananites, an epithet. (By mistake for a derivative from 5477 : – Canaanite [by mistake for a derivationfrom 5477 . Internet Sacred Text Archive)
マタ10:4; マル3:18
【シモン】 Σίμων Σίμων シモーン Simōn {see‘-mone} (n-nm-s 名詞・主男単)
シモン へブル名シメオンのギリシャ語名 ヘブル名「聴く」
(G4613 Σίμων Of Hebrew origin [8095 ; Simon (that is, Shimon), the name of nine Israelites: – Simon. Compare 4826. Internet Sacred Text Archive)
マタ4:18; 10:2; 16:16,17; 17:25; マル1:16,29,30,36,3:16; 14:37 etc.
【と】 καὶ καί カイ kai {kahee} (cc 接続詞・等位)
1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた
(G2532 καί Apparently a primary particle, having a copulative and sometimes also a cumulative force; and, also, even, so, then, too, etc.; often used in connection (or composition) with other particles or small words: – and, also, both, but, even, for, if, indeed, likewise, moreover, or, so, that, then, therefore, when, yea, yet. Internet Sacred Text Archive)
【イスカリオテのユダ】
【イスカリオテの】 ᾽Ισκαριώτης Ἰσκαριώτης イスカリオーテース Iskariōtēs {is-kar-ee-o‘-tace} 名詞
イスカリオテ 「ケリオテの人」
(G2469 Ἰσκαριώτης Of Hebrew origin (probably [377 and [7149 ); inhabitants of Kerioth; Iscariotes (that is, Keriothite), an epithet of Judas the traitor: – Iscariot. Internet Sacred Text Archive)
マタ10:4; マル3:19; 14:10; ルカ6:16
【ユダ】 ᾽Ιούδας ᾽Ιουδαῖος イゥーダイオス Ioudaia {ee-oo-dah‘-yah} (n-nm-s 名詞・主男単)
1)ユダヤの 2)ユダヤ人の
(G2453 ᾽Ιουδαῖος From 2448 (in the sense of 2455 as a country); udaean, that is, belonging to Jehudah: – Jew (-ess), of Juda. Internet Sacred Text Archive)
マタ2:2; 27:11,29,37; 28:15; マル7:3; 15:2,9,12,18; 15:26; ルカ7:3: 23:3,37,38,51; ヨハ1:19;2:6,13,18,20; 3:1,22,25; etc
【すなわち】 καὶ καί カイ kai {kahee} (ab 副詞)
1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた
(G2532 καί Apparently a primary particle, having a copulative and sometimes also a cumulative force; and, also, even, so, then, too, etc.; often used in connection (or composition) with other particles or small words: – and, also, both, but, even, for, if, indeed, likewise, moreover, or, so, that, then, therefore, when, yea, yet. Internet Sacred Text Archive)
【イエスを】 αὐτόν αὐτός アウトス autos {ow-tos‘} (npam3s 代名詞・対男3)
1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど
(G846 αὐτός From the particle αὖ au (perhaps akin to the base of 109 through the idea of a baffling wind; backward); the reflexive pronoun self, used (alone or in the compound of 1438 of the third person, and (with the proper personal pronoun) of the other persons: – her, it (-self), one, the other, (mine) own, said, ([self-], the) same, ([him-, my-, thy-]) self, [your-] selves, she, that, their (-s), them ([-selves]), there [-at, -by, -in, -into, -of, -on, -with], they, (these) things, this (man), those, together, very, which. Compare 848. Internet Sacred Text Archive)
【裏切った】 παραδοὺς παραδίδωμι パラディドーミ paradidōmi {par-ad-id‘-o-mee} (vpaanm-s 分詞・2アオ能主男単)
1)手渡す、引き渡す、捕える、手渡す 2)委ねる、任せる、預ける、託す 3)生命を死の危険にさらすこと 4)伝える、口頭で伝える 5)裏切る
(G3860 παραδίδωμι From 3844 and 1325 to surrender, that is, yield up, intrust, transmit: – betray, bring forth, cast, commit, deliver (up), give (over, up), hazard, put in prison, recommend. Internet Sacred Text Archive)
マタ4:12; 10:17,19,21,22; 17:22; 18:34; 20:18,19; 24:9,10; 26:15,16,45; 27:2,18,26; マル9:31; 10:33; 13:9;,11,12; 14:11,41; 15:1,10,15 etc.
† 英語訳聖書 Matt.10:4
King James Version
10:4 Simon the Canaanite, and Judas Iscariot, who also betrayed him.
New King James Version
10:4 Simon the Canaanite, and Judas Iscariot, who also betrayed Him.
American Standard Version
10:4 Simon the Cananaean, and Judas Iscariot, who also betrayed him.
New International Version
10:4 Simon the Zealot and Judas Iscariot, who betrayed him.
Bible in Basic English
10:4 Simon the Zealot, and Judas Iscariot, who was false to him.
Today’s English Version
10:4 Simon the Patriot, and Judas Iscariot, who betrayed Jesus.
Darby’s English Translation
10:4 Simon the Cananaean, and Judas the Iscariote, who also delivered him up.
Douay Rheims
10:4 Simon the Cananean, and Judas Iscariot, who also betrayed him.
Noah Webster Bible
10:4 Simon the Canaanite, and Judas Iscariot, who also betrayed him.
Weymouth New Testament
10:4 Simon the Cananaean, and Judas the Iscariot, who also betrayed Him.
World English Bible
10:4 Simon the Canaanite; and Judas Iscariot, who also betrayed him.
Young’s Literal Translation
10:4 Simon the Cananite, and Judas Iscariot, who did also deliver him up.
Amplified Bible
10:4 Simon the Cananaean (Zealot), and Judas Iscariot, the one who betrayed Him.
† 細き聲 聖書研究ノート
<熱心黨のシモン及びイスカリオテのユダ、このユダはイエスを賣りし者なり>
十二使徒の残りの名前として熱心党のシモンと、イスカリオテのユダが記録される。このイスカリオテのユダがイエスを十字架に売った男である。
<熱心黨のシモン>
「熱心党 Καναναῖος カナナイオス」はヘブル語「קִנאַה qin’ āh 熱心な」から出た言葉で「熱心党員 ζηλωτής (ゼロテ党員)」を指す。ローマ帝国にたいする過激な抵抗をし、律法を重んじ、祖国の為には死も厭わないユダヤ国家主義者であった。
King James Version 「Simon the Canaanite」(カナン人シモン)
New International Version 「Simon the Zealot」(熱狂者シモン)
<及びイスカリオテのユダ、このユダはイエスを賣りし者なり>
「裏切る παραδίδωμι パラディドーミ」は「手渡す、引き渡す」の意味で、日本正教会訳は「彼を賣りし者」とする。ラテン語 tradidit は「引き渡す」の意味し、英語「裏切る betray の語源である。
イスカリオテのユダは銀貨三十枚でイエスを「売った」。マタイ26:15
† 心のデボーション
「熱心黨のシモン及びイスカリオテのユダ、このユダはイエスを賣りし者なり」 マタイ10:4 大正文語訳聖書
「熱心党のシモン、それにイエスを裏切ったイスカリオテのユダである」 新共同訳聖書
「都会人ユダ」
「イスカリオテ」「カリオテの人」の意味で、ユダの出身地を指す。南ユダヤの村とされるが、特定はできない。「カリオテ」は「都会」を意味する所から、ユダはガリラヤの漁夫の多いイエスの弟子たちの中で唯一の「都会人」として際立つ人物であった。
† 心のデボーション
「熱心黨のシモン及びイスカリオテのユダ、このユダはイエスを賣りし者なり」 マタイ10:4 大正文語訳聖書
「熱心党のシモン、それにイエスを裏切ったイスカリオテのユダである」 新共同訳聖書
「神を賛美する者」
ユダは初めから「イエスと裏切ったイスカリオテのユダ」と紹介される。だが、この時、ユダ自身イエスを裏切ることになることを知らない。彼は神への「讃美」を名にもつ者であった。イエスを渡す者は神を賛美する者の中から出た。
† 心のデボーション
「熱心黨のシモン及びイスカリオテのユダ、このユダはイエスを賣りし者なり」 マタイ10:4 大正文語訳聖書
「熱心党のシモン、それにイエスを裏切ったイスカリオテのユダである」 新共同訳聖書
「イエスの十二弟子」
イエスの十二弟子には、漁師あり、兄弟あり、ボアネルゲ(雷の子・気烈しき人)あり、小さき者あり、収税人あり、熱狂者あり、裏切り者がいた。
キリスト者とは一見してそれと分かる人々ではない。人間のどの地にも神を怖れ敬う人々を見出すだろう。
† 細き聲 説教
「イスカリオテのユダ」
「熱心黨のシモン及びイスカリオテのユダ、このユダはイエスを賣りし者なり」 マタイ10:4 大正文語訳聖書 「熱心党のシモン、それにイエスを裏切ったイスカリオテのユダである」 新共同訳聖書
十二使徒の残りの名前として熱心党のシモンと、イスカリオテのユダが記録される。このイスカリオテのユダがイエスを十字架に売った男であった。
イエスの選ばれた十二使徒の中にイエスを裏切って十字架に渡すユダがいることほど、驚くことはない。
裏切りは最も身近で信頼できる者たちの中から生まれるのである。
「裏切る παραδίδωμι パラディドーミ」は「手渡す、引き渡す」の意味で、ラテン語 tradidit は「引き渡す」の意味し、英語「裏切る betray の語源である。
イスカリオテのユダは銀貨三十枚でイエスを「売った」。マタイ26:15
「ユダ」という名前は「賛美」の意味である。
イエスの弟子になったとき、ユダは自分がイエスを裏切るとは考えていない。かれはユダ「神を賛美する者」であった。
今、自分が神を賛美しているから、イエスを裏切るとは思えないというのは根拠のない考えである。
信仰はどれほど熱心であっても、それによって全うされるものではない。
信仰を全うするのは神の憐れみによるのである。
(皆川誠)
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