† 福音書対観 「悪霊につかれたおしのいやし」 マタイ9:32~34
マタイ9:32~34 マルコ3:22
マタイ9:32~34
Matt.9:32彼らが出て行くと、人々は悪霊につかれたおしをイエスのところに連れてきた。
† 日本語訳聖書 Matt.9:32
【漢訳聖書】
Matt.9:32 當其出時、有攜暗啞而患鬼者就之。
【明治元訳】
Matt.9:32 聾者(めしひ)のるとき人々(ひとびと)鬼(おに)に憑(つか)れたる暗唖(おふし)をイエスに携(つれ)來(きた)りしに
【大正文語訳】
Matt.9:32 盲人どもの出づるとき、視よ、人々、惡鬼に憑かれたる唖者を御許につれきたる。
【ラゲ訳】
Matt.9:32 彼等の出でたる折しも、人々惡魔に憑かれたる一人の唖者をイエズスに差出ししかば、
【口語訳】
Matt.9:32 彼らが出て行くと、人々は悪霊につかれて口のきけない人をイエスのところに連れてきた。
【新改訳改訂3】
Matt.9:32 この人たちが出て行くと、見よ、悪霊につかれて口のきけない人が、みもとに連れて来られた。
【新共同訳】
Matt.9:32 二人が出て行くと、悪霊に取りつかれて口の利けない人が、イエスのところに連れられて来た。
【バルバロ訳】
Matt.9:32 盲人が去ると、唖の悪魔つきが人に連れられてきた。そして悪魔は追い出され、唖は話すようになった。群衆は驚いて、「こんなことは今までイスラエルで見たことがない」と言ったが、
【フランシスコ会訳】
Matt.9:32 盲人たちが出て行くと、人々は悪魔につかれた口のきけない人をイエズスのもとに連れて来た。
【日本正教会訳】
Matt.9:32 彼等の出づる時、視よ、唖にして魔鬼に憑らるる人をイイススに攜へ來れるあり。
【塚本虎二訳】
Matt.9:32 ちょうど二人と入れ違いに、人々が悪鬼につかれた唖をつれて来た。
【前田護郎訳】
Matt.9:32 彼らが外に出ると、見よ、悪霊つきの唖者が連れて来られた。
【永井直治訳】
Matt.9:32 また彼等の出で往きしとき、見よ、人々惡鬼に憑かれたる唖の人を彼の許に連れ來れり。
【詳訳聖書】
Matt.9:32 この人たちが出て行くと、見よ、悪鬼の力の下にあるひとりのおしの男がイエスのところに連れて来られた。
† 聖書引照 Matt.9:32
Matt.9:32 盲人どもの出づるとき、視よ、人々、惡鬼に憑かれたる唖者を御許につれきたる。
[盲人どもの出づるとき、視よ、人々、惡鬼に憑かれたる唖者を御許につれきたる] マタ12:22,23; マル9:17-27; ルカ11:14
† ギリシャ語聖書 Matt.9:32
Stephens 1550 Textus Receptus
αυτων δε εξερχομενων ιδου προσηνεγκαν αυτω ανθρωπον κωφον δαιμονιζομενον
Scrivener 1894 Textus Receptus
αυτων δε εξερχομενων ιδου προσηνεγκαν αυτω ανθρωπον κωφον δαιμονιζομενον
Byzantine Majority
αυτων δε εξερχομενων ιδου προσηνεγκαν αυτω ανθρωπον κωφον δαιμονιζομενον
Alexandrian
αυτων δε εξερχομενων ιδου προσηνεγκαν αυτω ανθρωπον κωφον δαιμονιζομενον
Hort and Westcott
αυτων δε εξερχομενων ιδου προσηνεγκαν αυτω κωφον δαιμονιζομενον
† ギリシャ語聖書 品詞色分け
Matt.9:32
Αὐτῶν δὲ ἐξερχομένων ἰδοὺ προσήνεγκαν αὐτῷ ἄνθρωπον κωφὸν δαιμονιζόμενον.
† ヘブライ語聖書 Matt.9:32
Matt.9:32
לְאַחַר שֶׁיָּצְאוּ הֵבִיאוּ אֵלָיו אִישׁ אִלֵּם אֲחוּז שֵׁד
† ラテン語聖書 Matt.9:32
Latin Vulgate
Matt.9:32
Egressis autem illis, ecce obtulerunt ei hominem mutum, dæmonium habentem.
Then, when they had departed, behold, they brought him a man who was mute, having a demon.
† 私訳(詳訳)Matt.9:32
【私訳】 「また、彼らが出ていくと、見よ驚くことに、悪霊<死者の霊、偽りの神>にとりつかれて口のきけない人が彼〔イエス〕に連れてこられた<差し出された、捧げられた>」
† 新約聖書ギリシャ語語句研究
Matt.9:32
Αὐτῶν δὲ ἐξερχομένων ἰδοὺ προσήνεγκαν αὐτῷ ἄνθρωπον κωφὸν δαιμονιζόμενον.
【また】 δὲ δέ デ de {deh} (cc 接続詞・等位)
1)ところで、しかし、さて、そして 2)しかも、そしてまた、なお、すると、また 3)次に、さらに 4)否、むしろ
(G1161 δέ A primary particle (adversative or continuative); but, and, etc.: – also, and, but, moreover, now [often unexpressed in English]. Internet Sacred Text Archive)
【彼らが出て行くと】 原文「彼らが出て行くと」
【彼らが】 Αὐτῶν αὐτός アウトス autos {ow-tos‘} (npgm3p 代名詞・与男3)
1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど
(G846 αὐτός From the particle αὖ au (perhaps akin to the base of 109 through the idea of a baffling wind; backward); the reflexive pronoun self, used (alone or in the compound of 1438 of the third person, and (with the proper personal pronoun) of the other persons: – her, it (-self),one, the other, (mine) own, said, ([self-], the) same, ([him-, my-, thy-]) self, [your-] selves, she, that, their (-s), them ([-selves]), there [-at, -by, -in, -into, -of, -on, -with], they, (these) things, this (man), those, together, very, which. Compare 848. Internet Sacred Text Archive)
【出て行くと】 ἐξερχομένων ἐξέρχομαι エクセルこマイ exerchomai {ex-er‘-khom-ahee} (vppngm-p 分詞・現能欠属男複)
< ἕξ + ἔρχομαι 来る、行く
1)中から外へ出て行く、出る、出て行く、出て来る、2)出かける 3)立ち去る、捨て去る 4)発する 5)伝わる 6)(うわさが)出る、聞こえる、広まる
(G1831 ἐξέρχομαι From 1537 and 2064 to issue (literally or figuratively): – come-(forth, out), depart (out of), escape, get out, go (abroad, away, forth, out, thence), proceed (forth), spread abroad.Internet Sacred Text Archive)
マタ2:6; 10:14; マル5:2; 7:31; ルカ9:5; 11:24; ヨハ4:30; 13:3; 16:27; 使徒7:3.4; 16:40; Ⅱコリ6:17;ヘブ7:5; 13:3
【見よ】 ἰδοὺ ἰδού イドゥ idou {id-oo‘} (qs 不変化詞)
1)そら、ほら、さあ、まあ、それ 2)見よ、見よ驚くことに、ごらん
注意を喚起する言葉「見よ、驚くことに」
(G2400 ἰδού Second person singular imperative middle voice of 1492 used as imperative lo!: – behold, lo, see. Internet Sacred Text Archive)
【悪霊にとりつかれて】 δαιμονιζόμενον δαιμόνιον ダイモニオン daimonion {dahee-mon‘-ee-on} (vppnam-s 分詞・現能欠対男単)
1)神的なもの(存在)、神的力、神霊、神 2)異教の神々、偽りの神 3)悪霊、悪鬼、死者の霊、死霊
(G1140 δαιμόνιον Neuter of a derivative of 1142 a daemonic being; by extension a deity: – devil, god. Internet Sacred Text Archive)
マタ7:22; 9:33,34; 10:8; 11:18; 12:24,27,28; 17:18; マル1:34,39; 3:15,22; 6:13; 7:26,29,30; 9:38; 16:9,17; etc.
【口の利けない】 κωφὸν κωφός コーふォス kōphos {ko-fos‘} (a–am-s 形容詞・対男)
1)口の利けない 2)物の言えない 3)耳が聞こえぬ 4)鈍い、はっきりしない、かすかな
(G2974 κωφός From 2875 blunted, that is, (figuratively) of hearing (deaf) or speech (dumb): – deaf, dumb, speechless. Internet Sacred Text Archive)
マタ9:32; 33; 12:22; 15:30,31; ルカ1:22; 11:14
【人が】 ἄνθρωπον ἄνθρωπος アンとローポス anthrōpos {anth‘-ro-pos} (n-am-s 名詞・対男)
< ἄνήρ 人 +ὤψ 顔
1)人間、人、人類 2)男、夫 3)ある人、或る者、この人
(G444 ἄνθρωπος From 435 and ὤψ ōps (the countenance; from 3700 ; manfaced, that is, a human being: – certain, man. Internet Sacred Text Archive)
【彼〔イエス〕のところに】 αὐτῷ αὐτός アウトス autos {ow-tos‘} (npdm3s 代名詞・与男3)
1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど
(G846 αὐτός From the particle αὖ au (perhaps akin to the base of 109 through the idea of a baffling wind; backward); the reflexive pronoun self, used (alone or in the compound of 1438 of the third person, and (with the proper personal pronoun) of the other persons: – her, it (-self), one, the other, (mine) own, said, ([self-], the) same, ([him-, my-, thy-]) self, [your-] selves, she, that, their (-s), them ([-selves]), there [-at, -by, -in, -into, -of, -on, -with], they, (these) things, this (man), those, together, very, which. Compare 848. Internet Sacred Text Archive)
【連れてこられた】 προσήνεγκαν προσφέρω プロスふェロー prospherō {pros-fer‘-o} (viaa–3p 動詞・直・1アオ・能・3複)
< πρός ~から + φέρω 運ぶ
1)持って行く、運んでくる、連れてくる 2)近づける、くっつける、あてがう 3)加える、差し出 す、提供する、ささげる、贈る 、~にもってくる、献げものを献げる 4)適用する 5)申し出る、申し入れる
(G4374 προσφέρω From 4314 and 5342 (including its alternate); to bear towards, that is, lead to, tender (especially to God), treat: – bring (to, unto), deal with, do, offer (unto, up), present unto, put to. Internet Sacred Text Archive)
マタ2:11; 4:24; 5:23,24; 8:4,16; 9:2,32; 12:22; 14:35; 17:16; マル1:44; 使徒7:42; ヘブ5:1,7; 8:3,4; 9:7,9,25,28; 10:1;,2,8,12; 11:4,17 etc.
† 英語訳聖書 Matt.9:32
King James Version
9:32 As they went out, behold, they brought to him a dumb man possessed with a devil.
New King James Version
9:32 As they went out, behold, they brought to Him a man, mute and demon-possessed.
American Standard Version
9:32 And as they went forth, behold, there was brought to him a dumb man possessed with a demon.
New International Version
9:32 While they were going out, a man who was demon-possessed and could not talk was brought to Jesus.
Bible in Basic English
9:32 And while they were going away, there came to him a man without the power of talking, and with an evil spirit.
Today’s English Version
9:32 As the men were leaving, some people brought to Jesus a man who could not talk because he had a demon.
Darby’s English Translation
9:32 But as these were going out, behold, they brought to him a dumb man possessed by a demon.
Douay Rheims
9:32 And when they were gone out, behold they brought him a dumb man, possessed with a devil.
Noah Webster Bible
9:32 As thy went out, behold, they brought to him a dumb man possessed with a demon.
Weymouth New Testament
9:32 And as they were leaving His presence a dumb demoniac was brought to Him.
World English Bible
9:32 As they went forth, behold, there was brought to him a mute man who was demon possessed.
Young’s Literal Translation
9:32 And as they are coming forth, lo, they brought to him a man dumb, a demoniac,
Amplified Bible
9:32 While they were going away, a mute, demon-possessed man was brought to Jesus.
† 細き聲 聖書研究ノート
<盲人どもの出づるとき、視よ、人々、惡鬼に憑かれたる唖者を御許につれきたる>
二人の目の不自由な人々が病を癒されたあと、ただちにそのことを人々に触れ廻ったので人々は「惡鬼に憑かれたる唖者」たちをイエスのところに連れて来た。
<盲人どもの出づるとき>
二人の目の不自由な人は家から出て行き、身に起きたことを触れ廻った。それを聴いた人々は「悪霊につかれた物言うことのできない人」を連れて来た。
イエスが二人の目の不自由な人々に「厳しく戒められた」のは、そのような「大騒ぎ」を防ぐためでもあった。
<視よ、人々、惡鬼に憑かれたる唖者を御許につれきたる>
「悪霊にとりつかれた人 δαιμονίζομαι ダイモニゾマイ」は、「δαίμων ダイモーン 悪魔」の力にとりこになった者、死者の霊にとりつかれた者である。
当時の人々は、「悪霊」が人間に肉体的、精神的な疾患をもたらすと信じた。
現代、我々は肉体的、精神的疾患が「悪霊」によるものとは考えていない。しかし、人間に苦しみをあたえる疾患が何によって引き起こされるのかについてわかったのでもない。ただ、それが「悪しきものだ」という予感はなお人間の心にある。
† 心のデボーション
「盲人どもの出づるとき、視よ、人々、惡鬼に憑かれたる唖者を御許につれきたる」 マタイ9:32 大正文語訳聖書
「二人が出て行くと、悪霊に取りつかれて口の利けない人が、イエスのところに連れられて来た」 新共同訳聖書
「霊的混乱」
この人は悪霊にとりつかれ、物言うことができなかった。霊的混乱のもたらす影響は身体的機能を損うこともあり、その悩みは深刻である。霊的混乱は霊的(全体的、現実的)に解決されるべきものである。
悪霊にとりつかれた人には、しばしば複数の障害が生じることがある、それぞれの障害を個別に取り除くことは困難である。
† 心のデボーション
「盲人どもの出づるとき、視よ、人々、惡鬼に憑かれたる唖者を御許につれきたる」 マタイ9:32 大正文語訳聖書
「二人が出て行くと、悪霊に取りつかれて口の利けない人が、イエスのところに連れられて来た」 新共同訳聖書
「悪霊の業」
人にとりつき言葉を「乱し」「閉ざす」のは「悪霊の業」とされた。「意味不明のことば」は人を本能的に脅かす。
イエスが私の内にある「ことばにならない思い」に語りかけられるとき、私はそれを「言葉」として表現できる。
† 細き聲 説教
「悪霊に取りつかれた人」
「盲人どもの出づるとき、視よ、人々、惡鬼に憑かれたる唖者を御許につれきたる」 マタイ9:32 大正文語訳聖書
「二人が出て行くと、悪霊に取りつかれて口の利けない人が、イエスのところに連れられて来た」 新共同訳聖書
二人の目の不自由な人は家から出て行き、身に起きたことを触れ廻った。それを聴いた人々は「悪霊につかれた物言うことのできない人」を連れて来た。
イエスが二人の目の不自由な人々に「厳しく戒められた」のは、そのような「大騒ぎ」を防ぐためでもあった。
「悪霊にとりつかれた人 δαιμονίζομαι ダイモニゾマイ」は、「δαίμων ダイモーン 悪魔」の力にとりこになった者、死者の霊にとりつかれた者である。
「口のきけない人」が「悪霊に憑かれた人」なのではない。
彼らの場合は、悪霊に憑かれた結果、物言うことができなくなったのである。
彼らは悪霊によって「物言うこと」も「物きくこと」もできなくされた不幸な人であったろう。
悪霊が人の「物言う」こと「物聞く」ことを妨げるのは注意深く見なければならない。
なぜなら、悪霊によって物語る人はそれ以上に多いからである。
しかし、何が悪霊の業であるかは、軽々しく決めることは厳に戒めるべきである。
悪霊の業は、見た目で誰にもわかるようなものではないからである。
(皆川誠)
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