† 福音書縦観 「中風の者のいやし」 マタイ9:1~8
マタイ9:1~8 マルコ:1~12 ルカ5:17~26
マタイ9:1~8
Matt.9:7すると彼は起きあがり(すると病人は即座にみんなの前で起きあがり ルカ5:25)、(神をあがめながら ルカ5:25)家に帰って行った。(みんなの前を出て行ったので、一同は大いに驚き、神をあがめて、「こんな事は、まだ一度も見たことがない」と言った。 マルコ2:12 みんなの者は驚嘆してしまった。そして神をあがめ、おそれに満たされて、「きょうは驚くべきことを見た」と言った。 ルカ5:26) 口語訳聖書
† 日本語訳聖書 Matt.9:7
【漢訳聖書】
Matt.9:7 彼卽起、而歸其家。
【明治元訳】
Matt.9:7 起(おき)て家(いへ)に歸(かへ)りぬ
【大正文語訳】
Matt.9:7 彼おきてその家にかへる。
【ラゲ訳】
Matt.9:7 彼起きて家に往けり。
【口語訳】
Matt.9:7 すると彼は起きあがり、家に帰って行った。
【新改訳改訂3】
Matt.9:7 すると、彼は起きて家に帰った。
【新共同訳】
Matt.9:7 その人は起き上がり、家に帰って行った。
【バルバロ訳】
Matt.9:7 病人は起きて家へ帰った。
【フランシスコ会訳】
Matt.9:7 すると、彼は立ち上がり家に帰って行った。
【日本正教会訳】
Matt.9:7 彼即起きて、牀を取りて、其家に往けり。
【塚本虎二訳】
Matt.9:7 すると彼は起き上がって、家に帰って行った。
【前田護郎訳】
Matt.9:7 すると彼は起きて家へと立ち去った。
【永井直治訳】
Matt.9:7 乃ち起きて彼は己が家にと去れり。
【詳訳聖書】
Matt.:7 すると彼は起き上がって、自分の家に帰って行った。
† 聖書引照 Matt.9:7
Matt.9:7 彼おきてその家にかへる。
[彼おきてその家にかへる]
† ギリシャ語聖書 Matt.9:7
Stephens 1550 Textus Receptus
και εγερθεις απηλθεν εις τον οικον αυτου
Scrivener 1894 Textus Receptus
και εγερθεις απηλθεν εις τον οικον αυτου
Byzantine Majority
και εγερθεις απηλθεν εις τον οικον αυτου
Alexandrian
και εγερθεις απηλθεν εις τον οικον αυτου
Hort and Westcott
και εγερθεις απηλθεν εις τον οικον αυτου
† ギリシャ語聖書 品詞色分け
Matt. 9:7
καὶ ἐγερθεὶς ἀπῆλθεν εἰς τὸν οἶκον αὐτοῦ.
† ヘブライ語聖書 Matt.9:7
Matt.9:7
הוּא קָם וְהָלַךְ לְבֵיתוֹ
† ラテン語聖書 Matt.9:7
Latin Vulgate
Matt.9:7
Et surrexit, et abiit in domum suam.
And he arose and went into his house.
† 私訳(詳訳)Matt.9:7
【私訳】 「そして、彼は起き上がり<生き返って、甦えって、目を覚まして、立ち上がって>、自分の家に立ち去った<帰って行った>」
† 新約聖書ギリシャ語語句研究
Matt.9:7
καὶ ἐγερθεὶς ἀπῆλθεν εἰς τὸν οἶκον αὐτοῦ.
【そして】 καὶ καί カイ kai {kahee} (ch 接続詞・完)
1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた
(G2532 καί Apparently a primary particle, having a copulative and sometimes also a cumulative force; and, also, even, so, then, too, etc.; often used in connection (or composition) with other particles or small words: – and, also, both, but, even, for, if, indeed, likewise, moreover, or, so, that, then, therefore, when, yea, yet. Internet Sacred Text Archive)
【その人は起き上がり】 原文「かれは起き上がり」
【起き上がり】 ἐγερθεὶς ἐγείρω エゲイロー egeirō {eg-i‘-ro} (vpapnm-s 分詞・1アオ受主男単)
1)眠りからさます、おこす、めざめさせる、目を覚ます、呼び起こす、起こす、立ち上がる 2)動かす、刺激する 3)甦らせる、復活する、生き返らす
(G1453 ἐγείρω Probably akin to the base of 58 (through the idea of collecting one’s faculties); to waken (transitively or intransitively), that is, rouse (literally from sleep, from sitting or lying, from disease, from death; or figuratively from obscurity, inactivity, ruins, nonexistence): – awake, lift (up), raise (again, up), rear up, (a-) rise (again, up), stand, take up. Internet Sacred Text Archive)
マタ1:24; 2:13,14,20, 21; 11:11; 8:15,26; 11:5; 25:7; 26:46; マル4:27; 5:41; 14:42; 使徒3:15; 12:7; ロマ13:11; エペ1:20; 5:14 コロ2:12; Ⅰテサ1:10 etc.
【彼の】 αὐτοῦ αὐτός アウトス autos {ow-tos‘} (npgm3s 代名詞・属男3)
1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど
(G846 αὐτός From the particle αὖ au (perhaps akin to the base of 109 through the idea of a baffling wind; backward); the reflexive pronoun self, used (alone or in the compound of 1438 of the third person, and (with the proper personal pronoun) of the other persons: – her, it (-self), one, the other, (mine) own, said, ([self-], the) same, ([him-, my-, thy-]) self, [your-] selves, she, that, their (-s), them ([-selves]), there [-at, -by, -in, -into, -of, -on, -with], they, (these) things, this (man), those, together, very, which. Compare 848. Internet Sacred Text Archive)
【家】 οἶκον οἶκος オイコス oikos {oy‘-kos} (n-am-s 名詞・対男単)
1)家、建物 2)家屋、住居、住家、住処 3)部屋 4)家の者、家族、家系、一族、一家、世帯 5)家財、財産
(G362 οἶκος Of uncertain affinity; a dwelling (more or less extensive, literally or figuratively); by implication a family (more or less related, literally or figuratively): – home, house (-hold), temple. Internet Sacred Text Archive)
マタ2:11; 7:25,26; 8:6; 10:36; 12:25; 23:38; マル5:19; 8:3,26; ルカ2:49; 6:48,49; 10:7; 15:6,8; ヨハ12:3; 14:2; 19:27 etc.
【に】 εἰς εἰς エイス eis {ice} (pa 前置詞・対)
1)~の中へ 2)~へ 3)~まで 4)~のために 5)~に対して 6)~に向かって 7)~を目標にして 8)の間に
(G1519 εἰς A primary preposition; to or into (indicating the point reached or entered), of place, time, or (figuratively) purpose (result, etc.); also in adverbial phrases.: – [abundant-] ly, against, among, as, at, [back-] ward, before, by, concerning, + continual, + far more exceeding, for [intent, purpose], fore, + forth, in (among, at unto, -so much that, -to), to the intent that, + of one mind, + never, of, (up-) on, + perish, + set at one again, (so) that, therefore (-unto), throughout, till, to (be, the end, -ward), (here-) until (-to), . . . ward, [where-] fore, with. Often used in composition with the same general import, but only with verbs (etc.) expressing motion (literallyor figuratively. Internet Sacred Text Archive)
【帰って行った】 ἀπῆλθεν ἀπέρχομαι アペルこマイ aperchomai {ap-erkh‘-om-ahee} (viaa–3s 動詞・ 直・2アオ・能・3単)
< ἀπό ~から + ἔρχομαι 行く、来る
1)~から去る、~から離れる、離れて行く、立ち去る 2)行く、退く、出発する 3)やめる
(G565 ἀπέρχομαι From 575 and 2064 to go off (that is, depart), aside (that is, apart) or behind (that is, follow), literally or figuratively: – come, depart, go (aside, away, back, out, . . . ways), pass away, be past. Internet Sacred Text Archive)
マタ2:22; 5:30; 8:18;,19,21,33; 10:5; 13:28; 14:15,16; 16:21; 18:30; 20:4; 21:29; 22:5,18,25; 26:36,42,44; 27:5; 25:10 etc.
† 英語訳聖書 Matt.9:7
King James Version
9:7 And he arose, and departed to his house.
New King James Version
9:7 And he arose and departed to his house.
American Standard Version
9:7 And he arose, and departed to his house.
New International Version
9:7 And the man got up and went home.
Bible in Basic English
9:7 And he got up and went away to his house.
Today’s English Version
9:7 The man got up and went home.
Darby’s English Translation
9:7 And he rose up and went to his house.
Douay Rheims
9:7 And he arose, and went into his house.
Noah Webster Bible
9:7 And he arose, and departed to his house.
Weymouth New Testament
9:7 And he got up, and went off home.
World English Bible
9:7 He arose and departed to his house.
Young’s Literal Translation
9:7 And he, having risen, went to his house,
Amplified Bible
9:7 And he got up and went home [healed and forgiven].
† 細き聲 聖書研究ノート
<彼おきてその家にかへる>
罪をゆるされ、病を癒された男は床を担いで自分の足で歩いて家に帰った。
<彼おきてその家にかへ>
ルカは「病人は即座にみんなの前で起きあがり」と観察している。(ルカ5:25)
男は寝ていた床を担いで「みんなの前を出て行ったので、一同は大いに驚き、神をあがめて、「こんな事は、まだ一度も見たことがない」と言った。(マルコ2:12)
「みんなの者は驚嘆してしまった。そして神をあがめ、おそれに満たされて、「きょうは驚くべきことを見た」と言った」(ルカ5:26)
<起きあがり>
「ἐγείρω エゲイロー」は「眠りからさます、目を覚ます」の意味であるが「甦る、復活する、生き返る」の意味を含んでいる。
「神はこの方を死者の中から復活(ἐγείρω エゲイロー)させてくださいました」 使徒3:15 新共同訳聖書
男は新しい人に「よみがえらせられた」のである。
† 心のデボーション
「彼おきてその家にかへる」 マタイ9:7 大正文語訳聖書
「すると、彼は立ち上がり家に帰って行った」 フランシスコ会訳聖書
「復活のいのち」
「ἐγείρω エゲイロー」は「眠りからさます、目を覚ます、立ち上がる」の意味であるが「甦る、復活する、生き返る」の意味を含んでいる。
「神はこの方を死者の中から復活(ἐγείρω エゲイロー)させてくださいました」 使徒3:15 新共同訳聖書
病の床から立ち上がった男は新しい人に「よみがえらせられた」のである。
† 心のデボーション
「彼おきてその家にかへる」 マタイ9:7 大正文語訳聖書
「すると、彼は立ち上がり家に帰って行った」 フランシスコ会訳聖書
「医者ルカ」
医者であったルカは中風を患う男が「即座にみんなの前で起きあがった」(ルカ5:25)と癒しを医師の目で観察している。
「専門の目」は、しばしば、物事を深く観察し、その意味を引き出す。信仰もまた、それぞれの「専門の目」によって通常では見えないところが明らかにされる。
「専門の目」を持つ人にはその勤めがある。神が恵みとして与えられた「目」である。
† 心のデボーション
「彼おきてその家にかへる」 マタイ9:7 大正文語訳聖書
「すると、彼は立ち上がり家に帰って行った」 フランシスコ会訳聖書
「それまで自分の居た床」
中風を患っていた男は、それまで自分を拘束していた「床」を担いで帰る。罪赦された者は自分の「悩みの場」を担いで帰る。彼はもはやそれを必要としない。彼は誇らしげに「それまで自分の居た床」を担ぐだろう。それは新しい自分を証しする床となる。
† 細き聲 説教
「驚くべきこと」
「彼おきてその家にかへる」 マタイ9:7 大正文語訳聖書
「すると、彼は立ち上がり家に帰って行った」 フランシスコ会訳聖書
男は中風を患い、長い年月をその上で過ごしていた「床」から立ち上がり、床を担いで家に帰って行った。
「立ち上がる ἐγείρω エゲイロー」は「眠りからさます、目を覚ます、立ち上がる」の意味である。
この語は使徒3:15では「甦る、復活する、生き返る」の意味で復活されたイエスに用いられている。
「神はこの方を死者の中から復活(ἐγείρω エゲイロー)させてくださいました」 使徒3:15 新共同訳聖書
病の床から立ち上がった男は新しい人に「よみがえらせられた、復活した」のである。
寝ていた床を担いで家に戻っていく男を見て人々は、「一同は大いに驚き、神をあがめて、『こんな事は、まだ一度も見たことがない』と言った。」(マルコ2:12)
「みんなの者は驚嘆してしまった。そして神をあがめ、おそれに満たされて、「きょうは驚くべきことを見た」と言った」(ルカ5:26)
人の罪がゆるされることは、新しい人に甦ることである。人々が真に驚くべきは病の癒しであるよりも、そのことであった。
私たちもまた、癒しよりも罪からの解放、復活の福音にこそ驚くべきである。
(皆川誠)
コメント