マタイによる福音書8章25節

マタイによる福音書
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† 福音書縦観  「暴風を静める」 マタイ8:23~27

マタイ8:23~27  マルコ4:35~41  ルカ8:22~25
マタイ8:23~27

Matt.8:25そこで弟子たちはみそばに寄ってきてイエスを起し、「主よ、お助けください、わたしたちは死にそうです」(「先生、わたしどもがおぼれ死んでも、おかまいにならないのですか」 マルコ4:38  「先生、先生、わたしたちは死にそうです」。 ルカ8:24)と言った。口語訳聖書

† 日本語訳聖書 Matt.8:25

【漢訳聖書】
Matt.8:25 門徒就而醒之、曰、主、救我、我儕亡矣。

【明治元訳】
Matt.8:25 弟子(でし)等(たち)これにきて醒(おこ)し曰(いひ)けるは主(しゆ)よ救(すくひ)たまへ我儕(われら)亡(ほろび)んとす

【大正文語訳】
Matt.8:25 弟子たち御許にゆき、起して言ふ『主よ、救ひたまへ、我らは亡ぶ』

【ラゲ訳】
Matt.8:25 弟子等近づきて之を起し、主よ、我等を救ひ給へ、我等亡ぶ、と云ひければ、

【口語訳】
Matt.8:25 そこで弟子たちはみそばに寄ってきてイエスを起し、「主よ、お助けください、わたしたちは死にそうです」と言った。

【新改訳改訂3】
Matt.8:25 弟子たちはイエスのみもとに来て、イエスを起こして言った。「主よ。助けてください。私たちはおぼれそうです。」

【新共同訳】
Matt.8:25 弟子たちは近寄って起こし、「主よ、助けてください。おぼれそうです」と言った。

【バルバロ訳】
Matt.8:25 弟子たちが近づいて起こし、「主よ、助けてください。私たちは死にそうです」と言った。

【フランシスコ会訳】
Matt.8:25 そこで弟子たちはイエズスに近寄って起こし、「主よ、助けてください。わたくしたちはおぼれそうです」と叫んだ。

【日本正教会訳】
Matt.8:25 門徒就きて、彼を醒まして曰へり、主よ、我等を救へ、殆ど亡ぶ。

【塚本虎二訳】
Matt.8:25 弟子たちがそばに来て、「主よ、お助けください、溺れます」と言って起した。

【前田護郎訳】
Matt.8:25 そこで彼らは近づいて彼を起こしていう、「主よ、お助けを、おぼれます」と。

【永井直治訳】
Matt.8:25 されば弟子等進み來りて彼を起し、云ひけるは、主よ、救ひ給へ我等亡びんとす。

【詳訳聖書】
Matt.8:25 弟子たちは彼のところに来て、彼を起こして言った、「主よ、私たちを救い出してください<いのちを守ってください>。私たちは滅んでしまいます」。

† 聖書引照 Matt.8:25

Matt.8:25 弟子たち御許にゆき、起して言ふ『主よ、救ひたまへ、我らは亡ぶ』

[弟子たち御許にゆき、起して言ふ]詩篇10:1; 44:22,23;イザ51:9,10;マル4:38,39;ルカ8:24
[『主よ、救ひたまへ、我らは亡ぶ』] Ⅱ歴代14:11; 20:12;ヨハ1:6

† ギリシャ語聖書 Matt.8:25

Stephens 1550 Textus Receptus 

και προσελθοντες οι μαθηται αυτου ηγειραν αυτον λεγοντες κυριε σωσον ημασ απολλυμεθα 

Scrivener 1894 Textus Receptus 
και προσελθοντες οι μαθηται αυτου ηγειραν αυτον λεγοντες κυριε σωσον ημασ απολλυμεθα 

Byzantine Majority 
και προσελθοντες οι μαθηται αυτου ηγειραν αυτον λεγοντες κυριε σωσον ημασ απολλυμεθα 

Alexandrian 
και προσελθοντες ηγειραν αυτον λεγοντες κυριε σωσον απολλυμεθα 

Hort and Westcott 
και προσελθοντες ηγειραν αυτον λεγοντες κυριε σωσον απολλυμεθα

† ギリシャ語聖書 品詞色分け

Matt.8:25

καὶ προσελθόντες ἤγειραν αὐτὸν λέγοντες, Κύριεσῶσονἀπολλύμεθα. 

† ヘブライ語聖書 Matt.8:25

Matt.8:25

נִגְּשׁוּ אֵלָיו וְהֵעִירוּ אוֹתוֹ בְּאָמְרָם: אֲדוֹנֵנוּ, הַצֵּל אוֹתָנוּ, אֲנַחְנוּ טוֹבְעִים 

† ラテン語聖書 Matt.8:25

Latin Vulgate
Matt.8:25

Et accesserunt ad eum discipuli eius, et suscitaverunt eum, dicentes: Domine, salva nos, perimus. 
And his disciples drew near to him, and they awakened him, saying: “Lord, save us, we are perishing.” 

† 私訳(詳訳)Matt.8:25

【私訳】 「そして、彼らは近寄って起こし<眠りからさまし、めざめさせ、呼び起こし、立ち上がらせ>、彼〔イエス〕に言った。『主よ。助けてください。私たちは滅びます<破滅します、破壊します、無になります、消滅します、死んでしまいます>』」

† 新約聖書ギリシャ語語句研究

Matt.8:25

καὶ προσελθόντες ἤγειραν αὐτὸν λέγοντες, Κύριε, σῶσον, ἀπολλύμεθα. 

【そして】 καὶ καί カイ kai {kahee} (cc 接続詞・等位) 

1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた 

(G2532 καί Apparently a primary particle, having a copulative and sometimes also a cumulative force; and, also, even, so, then, too, etc.; often used in connection (or composition) with other particles or small words: – and, also, both, but, even, for, if, indeed, likewise, moreover, or, so, that, then, therefore, when, yea, yet.  Internet Sacred Text Archive) 

【弟子たちは】 原文に「弟子たち」はなく「彼らは近寄って」 

【近寄って】 προσελθόντες  προσέρχομαι プロセルこマイ proserchomai {pros-er‘-khom-ahee} (vpaanm-p 分詞・2アオ能主男複)  

< πρός 向かって + ἔρχομαι 行く、来る 

1)近づく、来る、ある人の許に行く(来る)、ある場所に行く(来る)、寄る 2)立ち向かう 3)降服する 4)同意する 

(G4336 προσεύχομαι From 4314 and 2172 to pray to God, that is, supplicateworship: – pray (X earnestly, for), make prayer.  Internet Sacred Text Archive)  

マタ5:44; 6:5,6,7,9; 14:23; 19:13; 24:20; 24:20; 26:36,39,41,42,44  マル1:35; 6:46; 11:24,25; 12:40; 13:18; 14:32,35,38,39 etc. 

【起こし】 ἤγειραν  ἐγείρω  エゲイロー  egeirō {eg-i‘-ro} (viaa–3p 動詞・直・1アオ・能・3複)   

1)眠りからさます、おこす、めざめさせる、目を覚ます、呼び起こす、起こす、立ち上がる 2)動か す、刺激する 3)甦らせる、復活する、生き返らす 

(G1453  ἐγείρω Probably akin to the base of 58 (through the idea of collecting one’s faculties); to waken (transitively or intransitively), that is, rouse (literally from sleep, from sitting or lying, from disease, from death; or figuratively from obscurity, inactivity, ruins, nonexistence): – awake, lift (up), raise (again, up), rear up, (a-) rise (again, up), stand, take up.  Internet Sacred Text Archive) 

マタ1:24; 2:13,14,20, 21; 11:11; 8:15,26; 11:5; 25:7; 26:46;  マル4:27; 5:41; 14:42;  使徒3:15; 12:7;  ロマ13:11;  エペ1:20; 5:14  コロ2:12;  Ⅰテサ1:10 etc. 

【彼に】 αὐτὸν  αὐτός  アウトス autos {ow-tos‘}  (npam3s 代名詞・対男3) 

1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど 

(G846 αὐτός From the particle αὖ au (perhaps akin to the base of 109 through the idea of a baffling wind; backward); the reflexive pronoun self, used (alone or in the compound of 1438 of the third person, and (with the proper personal pronoun) of the other persons: – her, it (-self), one, the other, (mine) own, said, ([self-], the) same, ([him-, my-, thy-]) self, [your-] selves, she, that, their (-s), them ([-selves]), there [-at, -by, -in, -into, -of, -on, -with], they, (these) things, this (man), those, together, very, which. Compare 848.  Internet Sacred Text Archive) 

【言った】 λέγοντες  λέγω れゴー legō {leg‘-o} (vppanm-p 分詞・現能主男  

1)言う、告げる、語る、話す、言い表す、述べる 2)呼ぶ、命ずる、指図する、言いつける 3)名づける、称する、呼びかける 4)意味する、指す 

(G3004 λέγω  A primary verb; properly to “lay” forth, that is, (figuratively) relate (in words [usually of systematic or set discourse; whereas2036 and 5346 generally refer to an individual expression or speech respectively; while 4483 is properly to break silence merely, and 2980 means an extended or random harangue]); by implication to mean: – ask, bid, boast, call, describe, give out, name, put forth, say (-ing, on), shew, speak, tell, utter.  Internet Sacred Text Archive) 

マタ1:20; 2:23; 5:44; 9:14,34;  マル2:11; 5:9; 12:18;  ルカ5:39; 6:46; 20:41;  ヨハ1:29; 2:6; 16:12; etc. 

【主よ】 Κύριε  κύριος キゆリオス  kurios {koo‘-ree-os} (n-vm-s 名詞・呼男単)  

1)自由にする力のある、支配する、権威のある、力のある 2)主人、君主、所有者、旦那、師 3)正当な、順当な 4)主、神   

(G2962 κύριος From κῦρος kuros (supremacy); supreme in authority, that is, (as noun) controller; by implication Mr. (as a respectful title): – God, Lord, master, Sir.  Internet Sacred Text Archive)  

マタ1:20; 8:25; 9:38; 10:24; 12:4,8; 16:22;  マル1:3; 2:28: 12:9; 13:35;  ルカ6:5; 9:54; 10:17;  

【助けてください】 σῶσον  σῴζω  ソーゾー sōzō {sode‘-zo} (vmaa–2s 動詞・命・1アオ・能・2単)  

< σῶς 健康である 

1)救済、死の危険からの解放、救出する、救済する、救助する、助ける、救う、安全に護る 2)無事に保つ、保護する、保持する、保存する 3)癒す、直す 4)心に留める、覚えている、忘れない  

(G4982 σῴζω From a primary word σῶς sōs̄ (contraction for the obsolete σάος saos , “safe”); to save, that is, deliver or protect (literally or figuratively): – heal, preserve, save (self), do well, be (make) whole.  Internet Sacred Text Archive)  

マタ1:21; 9:21,22; 19:25;  マル5:23,28,34; 10:26;  ルカ7:50; 18:26;  ヨハ3:17;  使徒2:40;  ロマ5:9;  Ⅰコリ1:18;  Ⅱコリ2:15;  Ⅰテモ1:15; 2:4; ヤコ5:20; etc. 

【おぼれそうです】 ἀπολλύμεθα  ἀπόλλυμι  アポるりゆーミ apollumi {ap-ol‘-loo-mee} (vipm–1p 動詞・直・現・中・1複)  

 < ἀπό 完全に + ὄλλυμι 滅ぼす 

1)全くないものにする、破滅する、絶やす、滅びる、破壊する、滅ぼす、無にする 2)失う、なくなる 3)救うことに失敗する 4)殺す、死ぬ、失われる、消滅する 

(G622  ἀπόλλυμι From 575 and the base of 3639 to destroy fully (reflexively to perish, or lose), literally or figuratively: – destroy, die, lose, mar, perish.  Internet Sacred Text Archive) 

マタ2:13; 5:29,30; 8:25; 10:28; 12:14; 18:14; 21:41; 22:7; 26:52; 27:20;  マル1:24; 3:6; 4:38; 9:22; 11:18; 12:9;  ルカ4:34; 6:9; 8:24; 13:3;,5; 17:27,29; 20:16 etc. 

† 英語訳聖書 Matt.8:25

King James Version
8:25 And his disciples came to [him], and awoke him, saying, Lord, save us: we perish.

New King James Version
8:25 Then His disciples came to Him and awoke Him, saying, “Lord, save us! We are perishing!”

American Standard Version
8:25 And they came to him, and awoke him, saying, Save, Lord; we perish.

New International Version
8:25 The disciples went and woke him, saying, “Lord, save us! We’re going to drown!”

Bible in Basic English
8:25 And they came to him, and, awaking him, said, Help, Lord; destruction is near.

Today’s English Version
8:25 The disciples went to him and woke him up. “Save us, Lord!” they said. “We are about to die!”

Darby’s English Translation
8:25 And the disciples came and awoke him, saying, Lord save: we perish.

Douay Rheims
8:25 And they came to him, and awaked him, saying: Lord, save us, we perish.

Noah Webster Bible
8:25 And his disciples came to him, and awoke him, saying, Lord, save us: we perish.

Weymouth New Testament
8:25 So they came and woke Him, crying, ‘Master, save us, we are drowning!’

World English Bible
8:25 They came to him, and woke him up, saying, ‘Save us, Lord! We are dying!’

Young’s Literal Translation
8:25 and his disciples having come to him, awoke him, saying, ‘Sir, save us; we are perishing.’

Amplified Bible
8:25 And the disciples went and woke Him, saying, “Lord, save us, we are going to die!”

† 細き聲 聖書研究ノート

 <弟子たち御許にゆき、起して言ふ『主よ、救ひたまへ、我らは亡ぶ』>

夜の海で突発的な暴風に慄く弟子たちは寝ておられたイエスに「主よ、救ひたまへ、我らは亡ぶ」と訴えた。

 <主よ、救ひたまへ、我らは亡ぶ>

そこで、弟子たちは寝ているイエスを揺り起こし、「主よ、お助けください、わたしたちは死にそうです」とうったえた。マルコは「先生、わたしどもがおぼれ死んでも、おかまいにならないのですか」(マルコ4:38) と叫んだと記し、ルカは「先生、先生、わたしたちは死にそうですと言った。」(ルカ8:24)と記録している。

舟には多くの弟子たちが乗り込んでおり、口々にイエスに訴えたのである。マタイ、マルコ、ルカは自分の耳に入った弟子たちの叫び声を覚えていて、生々しい情景が描かれている。

† 心のデボーション

「弟子たち御許にゆき、起して言ふ『主よ、救ひたまへ、我らは亡ぶ』」 マタイ8:25 大正文語訳聖書

「そこで弟子たちはイエズスに近寄って起こし、「主よ、助けてください。わたくしたちはおぼれそうです」と叫んだ」 フランシスコ会訳聖書

 「主よ、助けて下さい」

弟子たちの多くは元漁師だったが、「おぼれる ἀπόλλυμι  アポるりゆーミ 全くないものにする、破滅する、絶やす、殺す、失う、滅びる、破壊する、滅ぼす、無にする」と怯えるほどに海は荒れた。

弟子たちはイエスの身体を揺すり、「主よ、助けて下さい」と叫び、眠りから目覚めさせようとした。しかし、「主よ、助けて下さい」が、神を眠りから目覚めさせんとする祈りであるなら、それは信仰の祈りとは言えない。

† 心のデボーション

「弟子たち御許にゆき、起して言ふ『主よ、救ひたまへ、我らは亡ぶ』」 マタイ8:25 大正文語訳聖書

「そこで弟子たちはイエズスに近寄って起こし、「主よ、助けてください。わたくしたちはおぼれそうです」と叫んだ」 フランシスコ会訳聖書

 「信仰なき者のごとく」

「主よ、救ひたまへ、我らは亡ぶ」という祈りを覚えておこう。その時には信仰なき者のごとくに神に祈ろう。

† 心のデボーション

「弟子たち御許にゆき、起して言ふ『主よ、救ひたまへ、我らは亡ぶ』」 マタイ8:25 大正文語訳聖書

「そこで弟子たちはイエズスに近寄って起こし、「主よ、助けてください。わたくしたちはおぼれそうです」と叫んだ」 フランシスコ会訳聖書

 「我らは亡ぶ」

「我らは亡ぶ」を「溺れそうです」と訳す聖書も多い。しかし、「ἀπόλλυμι  アポるりゆーミ」は「ἀπό 完全に+ὄλλυμι 滅ぼす」で、「破滅する、絶やす、滅びる」の意味である。

弟子たちは自分たちが「完全に滅びる」と、大げさに騒いだ。恐怖に襲われると禍は幾倍にも膨らんで見える。

† 細き聲 説教

 「主よ、救ひたまへ」

「弟子たち御許にゆき、起して言ふ『主よ、救ひたまへ、我らは亡ぶ』」 マタイ8:25 大正文語訳聖書

「そこで弟子たちはイエズスに近寄って起こし、「主よ、助けてください。わたくしたちはおぼれそうです」と叫んだ」 フランシスコ会訳聖書

2014年9月27日11時52分、御嶽山が噴火した。水蒸気爆発とみられている。その日、山頂は青く晴れ渡り、多くの登山者がいた。誰ひとり、その直後に噴火することに気づかず登山を楽しんでいた。犠牲者は54人、行方不明者10名(10月6日現在)に及び、現在もなお懸命の救出活動がなされている。

山頂にいた登山者は、近くに立ち上る噴煙を見た。まずしたことは、これは何かとカメラを向けることだった。そして、危ないと気づき逃げようとする登山者を噴煙がつつみ、噴石が雨のように降り注いだ。

人々は岩に身を寄せ、両手で頭をおおい、リュックで背中を守った。

その日、イエスと弟子たちが舟に乗り込み、ガリラヤ湖に漕ぎ出したのは日も暮れる時刻だった。ガリラヤ湖は「海」と呼ばれるほどに大きい。弟子たちは交代で舟を漕ぎ、真夜中の海を渡った。しかし、突然、海に「振動」がおこり、猛烈な風雨に襲われた。想像を超える巨大な波が舟を持ち上げ、底に引きずり込んだ。

弟子たちの多くは漁師だった。「海」を知り尽くしている彼らですら、恐怖をおさえることはできなかった。弟子たちは寝ていたイエスを起こし、「主よ、救ひたまへ、我らは亡ぶ」と叫んだ。

イエスは狼狽える弟子たちを「なにゆゑ臆するか、信仰うすき者よ」と叱られている。「信仰うすき者」とは「信仰小さき者」の意味である。

視界も閉ざされ、周囲に岩石が雨のように降るなかで、人がなしうる最後の祈りは「主よ、救ひたまへ、我らは亡ぶ」ではないだろうか。この祈り以外に、どのような祈りがあるだろうか。それは「信仰うすき者の祈り」だろうか。

しかし、イエスは死の恐怖から「主よ、救ひたまへ」と叫ぶことを「信仰うすき者」と言われたのでは決してないと知るべきである。

弟子たちの不信仰は、荒れる海に恐怖に怯えたことでも、イエスに狼狽えて助けを求めたことでもない。イエスが身近なところにおられるところで「我らは亡ぶ」と怯えたことにある。それに対してイエスは「あなたがたの信仰は、どこにあるのか」(ルカ8:25)と叱られたのではないか。

だから、私も噴石から頭を守り、手で口を覆い、怯え、狼狽え、「主よ、救ひたまへ。されど汝我とともに在さば、我は滅びず」と祈ることのできる「信仰小さき者」でありたい。

(皆川誠)

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