† 福音書縦観 「無抵抗」 マタイ5:38~42
マタイ5:38~42
マタイ5:38~42
Matt.5:41もし、だれかが、あなたをしいて一マイル行かせようとするなら、その人と共に二マイル行きなさい。口語訳聖書
† 日本語訳聖書 Matt.5:41
【漢訳聖書】
Matt.5:41 若有人强爾行一里、則偕之行二里。
【明治元訳】
Matt.5:41 人(ひと)なんぢに一里(いちり)の公役(こうえき)を強(しひ)なば之(これ)と偕(とも)に二里(にり)ゆけ
【大正文語訳】
Matt.5:41 人もし汝に一里ゆくことを強ひなば、共に二里ゆけ。
【ラゲ訳】
Matt.5:41 又汝を強て一千歩を歩ませんとする人あらば、尚二千歩を彼と共に歩め。
【口語訳】
Matt.5:41 もし、だれかが、あなたをしいて一マイル行かせようとするなら、その人と共に二マイル行きなさい。
【新改訳改訂3】
Matt.5:41 あなたに一ミリオン行けと強いるような者とは、いっしょに二ミリオン行きなさい。
【新共同訳】
Matt.5:41 だれかが、一ミリオン行くように強いるなら、一緒に二ミリオン行きなさい。
【バルバロ訳】
Matt.5:41 人があなたを一千歩歩かせるために徴用すれば彼とともに二千歩を歩け。
【フランシスコ会訳】
Matt.5:41 だれかが無理に一マイルの道を歩かせようとするならば、いっしょに二マイル歩きなさい。
【日本正教会訳】
Matt.5:41 人爾を强ひて、偕に一里を行かしめば、之と偕に二里を行け
【塚本虎二訳】
Matt.5:41 だれかが無理に一ミリオン[一キロ半]行かせようとするなら、一しょに二ミリオン行ってやれ。
【前田護郎訳】
Matt.5:41 あなたに一ミリオン行くよう強いるものにはともに二ミリオン行け。
【永井直治訳】
Matt.5:41 また誰か汝を强ひて一里往かしめなば、これと共に二〔里〕往け。
【詳訳聖書】
Matt.5:41 また、だれかがあなたに一キロメートル行くことを強制するならば、彼といっしょに二[キロメートル]行きなさい。
† 聖書引照 Matt.5:41
Matt.5:41 人もし汝に一里ゆくことを強ひなば、共に二里ゆけ。
[人もし汝に一里ゆくことを強ひなば、共に二里ゆけ] マタ27:32; マル15:21; ルカ23:26
† ギリシャ語聖書 Matt.5:41
Stephens 1550 Textus Receptus
και οστις σε αγγαρευσει μιλιον εν υπαγε μετ αυτου δυο
Scrivener 1894 Textus Receptus
και οστις σε αγγαρευσει μιλιον εν υπαγε μετ αυτου δυο
Byzantine Majority
και οστις σε αγγαρευσει μιλιον εν υπαγε μετ αυτου δυο
Alexandrian
και οστις σε αγγαρευσει μιλιον εν υπαγε μετ αυτου δυο
Hort and Westcott
και οστις σε αγγαρευσει μιλιον εν υπαγε μετ αυτου δυο
† ギリシャ語聖書 品詞色分け
Matt.5:41
καὶ ὅστις σε ἀγγαρεύσει μίλιον ἕν, ὕπαγε μετ᾽ αὐτοῦ δύο.
† ヘブライ語聖書 Matt.5:41
Matt.5:41
וּמִי שֶׁמְּאַלֵּץ אוֹתְךָ לָלֶכֶת אִתּוֹ מֶרְחָק שֶׁל מִיל אֶחָד, לֵךְ אִתּוֹ שְׁנַיִם
† ラテン語聖書 Matt.5:41
Latin Vulgate
Matt.5:41
Et quicumque te angariaverit mille passus, vade cum illo et alia duo.
And whoever will have compelled you for one thousand steps, go with him even for two thousand steps.
† 私訳(詳訳)Matt.5:41
【私訳】 「そして、あなたに一ミリオンを〔1000複歩(2000歩)1478.5m〕〔行くように〕強いる<無理に>行かせる、命令する>者とは、彼と一緒に二〔ミリオン 2000複歩(4000歩)2957m〕<二つ>行きなさい」
† 新約聖書ギリシャ語語句研究
Matt.5:41
καὶ ὅστις σε ἀγγαρεύσει μίλιον ἕν, ὕπαγε μετ᾽ αὐτοῦ δύο.
【そして】 καὶ καί カイ kai {kahee} (cc 接続詞・等位)
1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた
(G2532 καί Apparently a primary particle, having a copulative and sometimes also a cumulative force; and, also, even, so, then, too, etc.; often used in connection (or composition) with other particles or small words: – and, also, both, but, even, for, if, indeed, likewise, moreover, or, so, that, then, therefore, when, yea, yet. Internet Sacred Text Archive)
【だれかが、一ミリオン行くように強いるなら】 原文「あなたに一ミリオンを強いる者と一緒に」
【あなたに】 σε σύ スゆ sou {soo} (npa-2s 代名詞・対2単)
1)あなた 2)汝 3)君
(G4771 σύ The personal pronoun of the second person singular; thou: – thou. See also 4571 4671 4675 and for the plur. 5209 5210 5213 5216. Internet Sacred Text Archive)
【一ミリオン】
【一】 ἕν εἷς ヘイス heis {hice} (a-cnn-s 数詞・主中単)
1) 1 2)一つの、ただ一つの 3)全く同一の 4)ある人
(G1520 εἷς (Including the neuter [etc.] ἕν hen ); a primary numeral; one: – a (-n, -ny, certain), + abundantly, man, one (another), only, other, some. See also 1527 3367 3391 3762. Internet Sacred Text Archive)
【ミリオン】 μίλιον μίλιον ミリオン milion {mil‘-ee-on} (n-an-s 名詞・対中単)
1)ミリオン 1000複歩(2000歩)で1478.5m
(G3400 μίλιον Of Latin origin; a thousand paces, that is, a “mile”: – mile. Internet Sacred Text Archive)
マタ5:41;
【行くように強いる】 ἀγγαρεύσει ἀγγαρεύω アンガレウオー aggareuō {ang-ar-yew‘-o} (vifa–3s 動詞・直・未来・能・3単)
< ἄγγαρος ペルシャ国王の命令で備えられた騎馬伝令使
1)強いる 2)無理に行かせる
「強いる ἀγγαρεύω アンガペウオー」の語源はペルシャ語「飛脚」を意味する「ἄγγαρος アンガロス」で、ペルシャでは郵便制度が整い、騎馬伝令使は途中、馬でも舟でも人でも、強いて提供させることが認められ、彼らに「強いられ」たら従うことが義務づけられていた。ローマ帝国はこの制度を採用しローマ兵に強制労働権を与えた。
(G29 ἀγγαρεύω Of foreign origin (compare [104 ); properly to be a courier, that is, (by implication) to press into public service: – compel (to go). Internet Sacred Text Archive)
マタ5:41; 27:32; マル15:21
【者】 ὅστις ὅταν ホタン hotan {hot‘-an} (aprnm-s+ 関係代名詞・主男単)
1)~するとき、~時はいつも、~時に 2)~のような場合に、~する度ごとに
(G3752 ὅταν From 3753 and 302 whenever (implying hypothesis or more or less uncertainty); also causative (conjugationally) inasmuch as: – as long (soon) as, that, + till, when (-soever), while. Internet Sacred Text Archive)
【彼と】 αὐτοῦ αὐτός アウトス autos {ow-tos‘} (npgm3s 代名詞・属男3)
1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど
(G846 αὐτός From the particle αὖ au (perhaps akin to the base of 109 through the idea of a baffling wind; backward); the reflexive pronoun self, used (alone or in the compound of 1438 of the third person, and (with the proper personal pronoun) of the other persons: – her, it (-self), one, the other, (mine) own, said, ([self-], the) same, ([him-, my-, thy-]) self, [your-] selves, she, that, their (-s), them ([-selves]), there [-at, -by, -in, -into, -of, -on, -with], they, (these) things, this (man), those, together, very, which. Compare 848. Internet Sacred Text Archive)
【一緒に】 μετ᾽ μετά メタ meta {met-ah‘} (pg 前置詞・属)
1)~の真中に、~の間に 2)~と共に、連結、交際、協力、関与、互いに 3)同行、同伴 4)共働、助力 5)一体になる 6)後に、後方に
(G3326 μετά A primary preposition (often used adverbially); properly denoting accompaniment; “amid” (local or causal); modified variously according to the case (genitive case association, or accusative case succession) with which it is joined; occupying an intermediate position between 575 or 1537 and 1519 or 4314 less intimate than 1722 and less close than 4862 : – after (-ward),X that he again, against, among, X and, + follow, hence, hereafter, in, of, (up-) on, + our, X and setting, since, (un-) to, + together, when, with (+ -out). Often used in composition, in substantially the same relations of participation or proximity, and transfer or sequence. Internet Sacred Text Archive)
【二ミリオン】 δύο δύο ドゆオ duo {doo‘-o } (apcan-p 数詞・対中複)
1)二人 2)二つの 3)両
(G1417 δύο A primary numeral; “two”: – both, twain, two. Internet Sacred Text Archive)
【行きなさい】 ὕπαγε ὑπάγω フゆパゴー hupagō {hoop-ag‘-o} (vmpa–2s 動詞・命・現・能・2単)
1)引き下がる、下へと導く、去る、退く、退却する、帰る 2)行く、前進する、退かせる 3)逝く、去る 4)告発する、非難する
(G5217 ὑπάγω From 5259 and 71 to lead (oneself) under, that is, withdraw or retire (as if sinking out of sight), literally or figuratively: – depart, get hence, go (a-) way. Internet Sacred Text Archive)
マタ4:10; 5:24,41; 8:4,13,32; 9:6; 13:44; 16:23; 18:15; 19:21; 20:4,7,14; 21:28; 26:18; 27:65; 28:10 etc.
† 英語訳聖書 Matt.5:41
King James Version
5:41 And whosoever shall compel thee to go a mile, go with him twain.
New King James Version
5:41 “And whoever compels you to go one mile, go with him two.
American Standard Version
5:41 And whosoever shall compel thee to go one mile, go with him two.
New International Version
5:41 If someone forces you to go one mile, go with him two miles.
Bible in Basic English
5:41 And whoever makes you go one mile, go with him two.
Today’s English Version
5:41 And if one of the occupation troops forces you to carry his pack one mile, carry it two miles.
Darby’s English Translation
5:41 And whoever will compel thee to go one mile, go with him two.
Douay Rheims
5:41 And whosoever will force thee one mile, go with him other two,
Noah Webster Bible
5:41 And whoever shall constrain thee to go one mile, go with him two.
Weymouth New Testament
5:41 And whoever shall compel you to convey his goods one mile, go with him two.
World English Bible
5:41 Whoever compels you to go one mile, go with him two.
Young’s Literal Translation
5:41 ‘And whoever shall impress thee one mile, go with him two,
Amplified Bible
5:41 And whoever [m]forces you to go one mile, go with him two.
Footnotes:
[m]Roman soldiers were allowed to force civilian bystanders to carry their gear one mile for them.
† 細き聲 聖書研究ノート
<人もし汝に一里ゆくことを強ひなば、共に二里ゆけ>
ローマ兵から、荷をになって一里ゆくようにと強制されたら、共に二里ゆくべきである。
<人もし汝に一里ゆくことを強ひなば>
「強いる ἀγγαρεύω アンガレウオー」の語源はペルシャ語「飛脚」を意味する「ἄγγαρος アンガロス」で、ペルシャでは郵便制度が整い、騎馬伝令使は途中、馬でも舟でも人でも、強いて提供させることが認められ、彼らに「強いられ」たら従うことが義務づけられていた。ローマ帝国はこの制度を採用しローマ兵に強制労働権を与えた。
<共に二里ゆけ>
「目には目」の復讐をもって、一ミリオン行き、さらに二ミリオンを歩けば、復讐への思いは倍になる。イエスは喜びをもって一ミリオン行き、自由な意志でもう一ミリオン歩けと言われるのである。
「一ミリオン」は「一里」「一マイル」「一千歩」などと訳される。「一ミリオン」は1000複歩(2000歩)で1478.5m」で、「一里」は「3927m」であり、「1マイル」は「1609m」になり、「一千歩」は「739m」にあたる。「一ミリオン」の距離感からは「一マイル」が一番近い。
人間の歩行速度時速4㎞として計算すると、「一ミリオン」は約22分の歩行を強いられることになる。イエスの二ミリオンを行ったとすれば約44分の道行である。
「一ミリオン」を強いられて共に「二ミリオン」行くのは、実際に歩いてみれば思ったほどの距離でもなく、歩き出せば「一ミリオン」も「二ミリオン」もさほどの違いはないかもしれない。
だが、徴用される「一ミリオン」は僅かの距離であっても、ただ歩かせることはなく、荷を負わせられての「一ミリオン」であれば、それによっては「二ミリオン」にはかなりの覚悟がなければ歩くことは困難である。
負わせられるものが何であれ、「それからの一ミリオン」には「強要された一ミリオン」の意味がかかっている。
† 心のデボーション
「人もし汝に一里ゆくことを強ひなば、共に二里ゆけ」 マタイ5:41 大正文語訳聖書
「あなたに一ミリオン行けと強いるような者とは、いっしょに二ミリオン行きなさい」 新改訳聖書
「強いられた一ミリオン」
イエスが十字架を負われてゴルゴタの丘に向かわれた時、兵士はキレネ人シモン(キレネは北アフリカ、現在のリビアにあるギリシャの植民都市)という男に、イエスの十字架を「強いて ἀγγαρεύω アンガレウオー」担がせている(マルコ15:21)。シモンの「強いられた一ミリオン」はイエスと二人の「二ミリオン」だっただろうか。
† 心のデボーション
「人もし汝に一里ゆくことを強ひなば、共に二里ゆけ」 マタイ5:41 大正文語訳聖書
「あなたに一ミリオン行けと強いるような者とは、いっしょに二ミリオン行きなさい」 新改訳聖書
「強いられた」
強いられることほど嫌なことはない。しかし、大切なことの大半は「強いられた」ことにある。強いられることを避けていると、それと出会うこともない。
強いられて避けることができないなら、自らそれをなせ。強いられるからには、それだけの意味があるのだ。
† 細き聲 説教
「強いられてではなく」
「人もし汝に一里ゆくことを強ひなば、共に二里ゆけ」 マタイ5:41 大正文語訳聖書
「あなたに一ミリオン行けと強いるような者とは、いっしょに二ミリオン行きなさい」 新改訳聖書
「強いる ἀγγαρεύω アンガレウオー」の語源はペルシャ語「飛脚」を意味する「ἄγγαρος アンガロス」で、ペルシャでは郵便制度が整い、騎馬伝令使は途中、馬でも舟でも人でも、強いて提供させることが認められ、彼らに「強いられ」たら従うことが義務づけられていた。
ローマ帝国はこの制度を採用しローマ兵に強制労働権を与えた。
主イエスが十字架を負ってゴルゴダの丘に向かわれるとき、激しい疲労と痛みからそれ以上負うことができなくなられたとき、ローマ兵はクレネ人シモンという男を見つけ、「イエスの十字架をむりやりに背負わせた」(マタイ27:32)のはそのためである。「むりやりに」は強制労働権が行使されたのである。シモンはその命令に従わなければならなかった。
「一ミリオン」は「一里」「一マイル」「一千歩」などと訳される。「一ミリオン」は1000複歩(2000歩)で1478.5m」で、「一里」は「3927m」であり、「1マイル」は「1609m」になり、「一千歩」は「739m」にあたる。「一ミリオン」の距離感からは「一マイル」が一番近い。
人間の歩行速度時速4㎞として計算すると、「一ミリオン」は約22分の歩行を強いられることになる。イエスの二ミリオンを行ったとすれば約44分の道行である。
「一ミリオン」を強いられて共に「二ミリオン」行くのは、実際に歩いてみれば思ったほどの距離でもなく、歩き出せば「一ミリオン」も「二ミリオン」もさほどの違いはないかもしれない。
だが、「一ミリオン」は僅かの距離であっても、荷を負うことを強要される「重み」は非常に重く肩に食い込むのとなる。まして、強いられる「一ミリオン」にさらなえる「一ミリオン」を行くには、かなりの覚悟がなければできることではない。
不運としか思えないようなことを背負わせられるとき、それを「強いられて」ではなく、「自発的にわがものとして負い」、強いられた「一ミリオン」が過ぎても、さらなる「一ミリオン」を見出せとイエスはおしえられるのでる。その経験からはじまる祝福は限りない。
(皆川誠)
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