† 福音書縦観 「荒野の試み」 マタイ4:1~11
マタイ4:1~11 マルコ1:12~13 ルカ4:1~13
マタイ4:1~11
Matt.4:10するとイエスは彼に言われた、「サタンよ、退け。『主なるあなたの神を拝し、ただ神にのみ仕えよ』と書いてある」。 口語訳聖書
† 日本語訳聖書 Matt. 4:10
【漢訳聖書】
Matt. 4:10 耶穌遂謂之曰、撒但退、蓋錄有云、當拜主爾之神、且獨事彼。
【明治元訳】
Matt. 4:10 イエス彼(かれ)に曰(いひ)けるはサタンよ退(しりぞ)け主(しゆ)たる爾(なんぢ)の神(かみ)を拜(はい)し惟(ただ)之(これ)にのみ事(つか)ふべしと録(しる)されたり
【大正文語訳】
Matt. 4:10 ここにイエス言ひ給ふ『サタンよ、退け「主なる汝の神を拜し、ただ之にのみ事へ奉るべし」と録されたるなり』
【ラゲ訳】
Matt. 4:10 其時イエズス曰ひけるは、サタン退け、蓋録して「汝の神たる主を拝し、是にのみ事ふべし」とあり、と。
【口語訳】
Matt. 4:10 するとイエスは彼に言われた、「サタンよ、退け。『主なるあなたの神を拝し、ただ神にのみ仕えよ』と書いてある」。
【新改訳改訂3】
Matt.4:10 イエスは言われた。「引き下がれ、サタン。『あなたの神である主を拝み、主にだけ仕えよ』と書いてある。」
【新共同訳】
Matt. 4:10 すると、イエスは言われた。「退け、サタン。『あなたの神である主を拝み、/ただ主に仕えよ』/と書いてある。」
【バルバロ訳】
Matt. 4:10 そのときイエズスは、「サタン、退け、<神なる主を礼拝し、ただ神にだけ仕えねばならぬ>と書かれてある」と言われた。
【フランシスコ会訳】
Matt. 4:10 そこで、イエズスは仰せになった。「サタンよ、退け。『あなたの神、主を拝み、ただ主のみに仕えよ』と書き記さている」。
【日本正教会訳】
Matt. 4:10 其時イイスス之に謂ふ、サタナ、我より退け、蓋(けだし)錄せるあり、主爾の神を拜せよと、獨(ひとり)彼のみに事へよと。
【塚本虎二訳】
Matt. 4:10 そこでイエスは言われる、「引っ込んでいろ、悪魔!(聖書に)“あなたの神なる主をおがめ、”“主に”のみ“奉仕せよ”と書いてあるのだ。」
【前田護郎訳】
Matt. 4:10 そこでイエスはいわれる、「サタン、消えてうせよ。聖書にいわく、『なんじの神である主を拝み、彼ひとりに仕えよ』と」。
【永井直治訳】
Matt. 4:10 そのときイエス彼に云ひ給ふ、往け、サタナ。そは主、汝の神を拜し、且つ唯彼にのみ服事すべし、と録されたればなり。
【詳訳聖書】
Matt. 4:10 そこでイエスは彼に言われた、「サタンよ、退け。『あなたの神である主を拝し、ただ主にだけ仕えよ』と書かれてある」。
† 聖書引照 Matt. 4:10
Matt. 4:10 ここにイエス言ひ給ふ『サタンよ、退け「主なる汝の神を拜し、ただ之にのみ事へ奉るべし」と録されたるなり』
[サタンよ] 1歴代21:1; ヨブ1:6,12; 2:1; 詩篇109:6; ゼカ3:1,2
[退け] マタ16:23; ヤコ4:7; Ⅰペテ5:9
[主なる汝の神を拜し、ただ之にのみ事へ奉るべし] 申命6:13,14; 10:20; ヨシュ24:14; Ⅰサム7:3; ルカ4:8
† ギリシャ語聖書 Matt. 4:10
Stephens 1550 Textus Receptus
τοτε λεγει αυτω ο ιησους υπαγε σατανα γεγραπται γαρ κυριον τον θεον σου προσκυνησεις και αυτω μονω λατρευσεις
Scrivener 1894 Textus Receptus
τοτε λεγει αυτω ο ιησους υπαγε σατανα γεγραπται γαρ κυριον τον θεον σου προσκυνησεις και αυτω μονω λατρευσεις
Byzantine Majority
τοτε λεγει αυτω ο ιησους υπαγε σατανα γεγραπται γαρ κυριον τον θεον σου προσκυνησεις και αυτω μονω λατρευσεις
Alexandrian
τοτε λεγει αυτω ο ιησους υπαγε σατανα γεγραπται γαρ κυριον τον θεον σου προσκυνησεις και αυτω μονω λατρευσεις
Hort and Westcott
τοτε λεγει αυτω ο ιησους υπαγε σατανα γεγραπται γαρ κυριον τον θεον σου προσκυνησεις και αυτω μονω λατρευσεις
† ギリシャ語聖書 Interlinear
Matt. 4:10
τότε λέγει αὐτῷ ὁ ᾽Ιησοῦς, ῞Υπαγε, Σατανᾶ γέγραπται γάρ, Κύριον τὸν θεόν σου προσκυνήσεις καὶ αὐτῷ μόνῳ λατρεύσεις.
Τότε λέγει αὐτῷ ὁ ᾽Ιησοῦς,
Then says to him Jesus,
῞Υπαγε, Σατανᾶ γέγραπται γάρ,
Go, Satan: it has been written for
Κύριον τὸν θεόν σου προσκυνήσεις καὶ αὐτῷ μόνῳ λατρεύσεις
[The] Lord the God of thee thou shalt worship, and him only thou shalt serve.
† ギリシャ語聖書 品詞色分け
Matt. 4:10
τότε λέγει αὐτῷ ὁ ᾽Ιησοῦς, ῞Υπαγε, Σατανᾶ γέγραπται γάρ, Κύριον τὸν θεόν σου προσκυνήσεις καὶ αὐτῷ μόνῳ λατρεύσεις.
† ラテン語聖書 Matt. 4:10
Latin Vulgate
Matt. 4:10
Tunc dicit ei Iesus: Vade Satana: Scriptum est enim: Dominum Deum tuum adorabis, et illi soli servies.
Then Jesus said to him: “Go away, Satan. For it has been written: ‘You shall adore the Lord your God, and him only shall you serve.’ ”
† ヘブライ語聖書 Matt. 4:10
Matt. 4:10
הֵשִׁיב לוֹ יֵשׁוּעַ: הִסְתַּלֵּק, הַשָֹטָן, הֵן כָּתוּב,לַיהוה אֱלֹהֶיךָ תִּשְׁתַּחֲוֶה וְאוֹתוֹ לְבַדּוֹ
† 私訳(詳訳)Matt. 4:10
【私訳】 「すると、イエスは彼〔悪魔〕に言われた。『引き下がれ<退け、去れ、退却せよ、帰れ、退け>、サタン<悪魔、敵、告発する者>。「あなたの神、主を拝し<跪き、恭しく挨拶し、尊崇の意をあらわし、敬礼し、礼拝し>、ただ彼〔主〕にのみ仕えよ<礼拝せよ、従え、奴隷として仕えよ、奉仕せよ>」と書いてある<記録されている>』」
† 新約聖書ギリシャ語語句研究
Matt. 4:10
τότε λέγει αὐτῷ ὁ ᾽Ιησοῦς, ῞Υπαγε, Σατανᾶ γέγραπται γάρ, Κύριον τὸν θεόν σου προσκυνήσεις καὶ αὐτῷ μόνῳ λατρεύσεις.
【すると】 τότε τότε トテ tote {tot‘-eh} (ab 副詞)
1)そのとき 2)それから 3)そうすれば 4)そのあとで 5)そこで 6)その時間に 7)次に 8)同時に
【イエスは】 ᾽Ιησοῦς ᾽Ιησοῦς イエースウース Iēsous {ee-ay-sooce‘ } (n-nm-s 名詞・主男単)
イエス 意味は「ヤㇵウェは救いである」
「イエス」はヘブル語「 יְהוֺשׁוּעַ イェホーシュア Yehowshuwa` {yeh-ho-shoo’-ah} ”Jehovah is salvation” 主は救い、ヨシュア」の ギリシャ名
マタ16:16; マル5:7; ルカ1:32; ヨハ1:29,36; 14:6; 6:33,51; ロマ1:16; 3:29; 11:26; 14:9; Ⅰコリ1:24; 2:8; 15:45; Ⅰテモ6:15; ヘブ2:10; 3:6; 9:11,15; 12:24; 黙示1:5,8; 2:8; 3:14 etc.
【彼に】 αὐτῷ αὐτός アウトス autos {ow-tos‘} (npdm3s 代名詞・与男3)
1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど
【言われた】 λέγει λέγω れゴー legō {leg‘-o} (vipa–3s 動詞・直・現・能・3)
1)言う、告げる、語る、話す、言い表す、述べる 2)呼ぶ、命ずる、指図する、言いつける 3)名づける、称する、呼びかける 4)意味する、指す
マタ1:20; 2:23; 5:44; 9:14,34; マル2:11; 5:9; 12:18; ルカ5:39; 6:46; 20:41; ヨハ1:29; 2:6; 16:12;etc.
【退け】 ῞Υπαγε ὑπάγω フゆパゴー hupagō {hoop-ag‘-o} (vmpa–2s 動詞・命・現・能・2単)
1)引き下がる、下へと導く、去る、退く、退却する、帰る 2)行く、前進する、退かせる 3)逝く、去る 4)告発する、非難する
マタ4:10; 5:24,41; 8:4,13,32; 9:6; 13:44; 16:23; 18:15; 19:21; 20:4,7,14; 21:28; 26:18; 27:65; 28:10 etc.
【サタン】 Σατανᾶ Σατανᾶς サタナス Satanas {sat-an-as‘} (n-vm-s 名詞・呼男単)
サタン アラム語「サーターナー」 ヘブル語「שָׂטָז satan {saw-tawn’} サーターン」
1)敵 2)悪魔
マタ4:10; 12:26; 16:23; マル1:13; 3:23,26; 4:15; 8:33; ルカ10:18; 11:18; 13:16; 22:3,31; etc.
【なぜなら】 γάρ γάρ ガル gar {gar} (cs 接続詞・従位)
1)なぜなら、というのは、その理由は、だから 2)すなわち、では、いったい、結局 4)確かに、もちろん、だって
【あなたの】 σου σύ スゆ sou {soo} (npg-2s 代名詞・属2単)
1)あなた 2)汝 3)君
【神である】 θεόν θεός てオス theos {theh‘-os} (n-am-s 名詞・対男単)
1)神 2)神性 3)唯一の神
θεός の語源は次の二語に求められる
1 τεθειχέναι 万物を自らの基の上に置く
2 θέειν 駆ける
【主を】 Κύριον κύριος キゆリオス kurios {koo‘-ree-os} (n-am-s 名詞・対男単)
1)自由にする力のある、支配する、権威のある、力のある 2)主人、君主、所有者、旦那、師 3)正当な、順当な 4)主、神
マタ1:20; 8:25; 9:38; 10:24; 12:4,8; 16:22; マル1:3; 2:28: 12:9; 13:35; ルカ6:5; 9:54; 10:17;
【拝み】 προσκυνήσεις προσκυνέω プロスクゆネオー proskuneō {pros-koo-neh‘-o} (vifa–2s^vmpa–2s 動詞・直・未来・能・2単/命・現)
< πρός ~に + κυνέω 接吻する
1)平伏して敬意を表す、ひざまずく、拝する、恭しく挨拶する、尊崇の意をあらわす、敬礼する、2)拝する、礼拝する
マタ2:11; 4:10; 26:9 マル5:6; 15:19; ルカ4:8; ヨハ4:20,24; 9:38; 使徒10:35; ロマ1:25; Ⅰコリ14:25; 黙示3:9; 4:10; 9:20; 13:4; 19:10; 22:9 etc.
【そして】 καὶ καί カイ kai {kahee} (cc 接続詞・等位)
1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた
【ただ】 μόνῳ προσκυνέω プロスクゆネオー proskuneō {pros-koo-neh‘-o} (a–dm-s 形容詞・与男単)
< πρός ~に + κυνέω 接吻する
1)平伏して敬意を表す、ひざまずく、拝する、恭しく挨拶する、尊崇の意をあらわす、敬礼する、2)拝する、礼拝する
マタ2:11; 4:10; 26:9 マル5:6; 15:19; ルカ4:8; ヨハ4:20,24; 9:38; 使徒10:35; ロマ1:25; Ⅰコリ14:25; 黙示3:9; 4:10; 9:20; 13:4; 19:10; 22:9 etc.
【主に】 αὐτῷ αὐτός アウトス autos {ow-tos‘} (npdm3s 代名詞・与男3)
1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど
【仕えよ】 λατρεύσεις λατρεύω らトレウオー latreuō {lat-ryoo‘-o} (vifa–2s^vmpa–2s 動詞・直・未来・能・2単/命・現)
< λάτρις 雇われた召使い
1)奴隷である、奴隷として仕える 2)従う、仕える 3)奉仕する、神に仕える
マタ4:10; ルカ1:75; 4:8; ルカ7:7,42; 24:14; 27:23; ロマ1:9,25; Ⅱテモ1:3; ヘブ8:5; 9:14; 13:10; 黙示7:15; 22:3
【書いてある】 γέγραπται γράφω グラふォー graphō {graf‘-o} (virp–3s 動詞・直・完了・受・3単)
1)引っ掻く、刻み込む、掻き傷をつける 2)字を刻む、書き記す、記録する、銘記する、筆記する、書送る、焼印を押す
マタ4:4; マル1:2; ルカ10:20; Ⅰコリ10:11; Ⅱコリ3:2,3; ピリ4:3; ヘブ12:23; 黙示20:12;21:27
† 英語訳聖書 Matt. 4:10
King James Version
4:10 Then saith Jesus unto him, Get thee hence, Satan: for it is written, Thou shalt worship the Lord thy God, and him only shalt thou serve.
American Standard Version
4:10 Then saith Jesus unto him, Get thee hence, Satan: for it is written, Thou shalt worship the Lord thy God, and him only shalt thou serve.
New International Version
4:10 Jesus said to him, “Away from me, Satan! For it is written: `Worship the Lord your God, and serve him only.’ “
Bible in Basic English
4:10 Then said Jesus to him, Away, Satan: for it is in the Writings, Give worship to the Lord your God and be his servant only.
Darby’s English Translation
4:10 Then says Jesus to him, Get thee away, Satan, for it is written, Thou shalt do homage to the Lord thy God, and him alone shalt thou serve.
Douay Rheims
4:10 Then Jesus saith to him: Begone, Satan: for it is written, The Lord thy God shalt thou adore, and him only shalt thou serve.
Noah Webster Bible
4:10 Then saith Jesus to him, Be gone, Satan: for it is written, Thou shalt worship the Lord thy God, and him only shalt thou serve.
Weymouth New Testament
4:10 ‘Begone, Satan!’ Jesus replied; ‘for it is written, ‘To the Lord thy God thou shalt do homage, and to Him alone shalt thou render worship.”
World English Bible
4:10 Then Jesus said to him, ‘Get behind me, Satan! For it is written, ‘You shall worship the Lord your God, and him only shall you serve.”
Young’s Literal Translation
4:10 Then saith Jesus to him, ‘Go — Adversary, for it hath been written, The Lord thy God thou shalt bow to, and Him only thou shalt serve.’
Amplified Bible
4:10 Then Jesus said to him, “Go away, Satan! For it is written and forever remains written, ‘You shall worship the Lord your God, and serve Him only.’”
† 細き聲 聖書研究ノート
<ここにイエス言ひ給ふ『サタンよ、退け「主なる汝の神を拜し、ただ之にのみ事へ奉るべし」と録されたるなり』>
サタンはイエスに跪いて自分を礼拝するなら「栄華を求めて止まない人間」を与えると約束する。しかし、イエスは申命記6:13「あなたの神、主を畏れ、主にのみ仕え、その御名によって誓いなさい」から、その誘惑を退けられた。
<サタンを退ける>
「退け ὑπάγω フゆパゴー」は「去れ、帰れ、行け」とも読める。サタンは自身の所に「去る」よう命じられる。「悪」は決定的に殲滅させられていない。その都度「退ける」ことによって「人間」が完成される。この戦いは終わることがない。
<退け>
いつまでも悪魔と会話してはならない。「退け ὑπάγω フゆパゴー」の一言で会話を打ち切らねばならないときがある。
<仕える>
「仕える λατρεύω らトレウオー」は「召使い」から来たことばで、雇われた召使いが主人の指示に仕えること。神は我らに仕事を与えられる。それぞれの人にそれぞれの果たすべき神の仕事がある。
† 心のデボーション
「サタンよ、退け『主なる汝の神を拜し、ただ之にのみ事へ奉るべし』」 マタイ4:10 大正文語訳聖書
「そこで、イエズスは仰せになった。「サタンよ、退け。『あなたの神、主を拝み、ただ主のみに仕えよ』と書き記さている」 フランシスコ会訳聖書
「あなたの神」
サタンに対しても、「汝の神、主 Κύριον τὸν θεόν σου を拜し」と語られる。サタンは神を否定する者ではなく、最も深く神を知り、かつ恐れる存在である(その恐れは本物である)。そのゆえに、イエスはサタンに「あなたの神を拝し」と言われる。
† 心のデボーション
「サタンよ、退け『主なる汝の神を拜し、ただ之にのみ事へ奉るべし』」 マタイ4:10 大正文語訳聖書
「そこで、イエズスは仰せになった。「サタンよ、退け。『あなたの神、主を拝み、ただ主のみに仕えよ』と書き記さている」 フランシスコ会訳聖書
「悪魔礼拝」
現代文明の中には「悪魔礼拝」が存在する。その多くは無神論からのもので、神も悪魔も本当には信じられてはいない。単なるパフォーマンスであっても、それを芸術の表現手段として受け入れることの中に魂の危険性は存在するのではないか。
† 心のデボーション
「サタンよ、退け『主なる汝の神を拜し、ただ之にのみ事へ奉るべし』」 マタイ4:10 大正文語訳聖書
「そこで、イエズスは仰せになった。「サタンよ、退け。『あなたの神、主を拝み、ただ主のみに仕えよ』と書き記さている」 フランシスコ会訳聖書
「サタンよ、退け」
私が「サタンよ、退け」と言ったところで、サタンが出て行くものではない。イエスに言っていただくしかない。
一度だけではなく、その都度お願いする。
† 細き聲 説教
「第三の試み」
マタイ8~11章
「人間とは何か」という問いに、悪魔はまず「パンのために生きる者」を提示し、次に「神のごとき者」としての人間を描き、ついに第三の人間として世界の繁栄と栄光をもとめる人間」をもって答える。
悪魔の「もし、ひれ伏してわたしを拝むなら」という条件は「神を捨てて自分を礼拝せよ」というような露骨なものではない。悪魔は「人間が神に創られ、ゆえに神ではなく、ゆえに尊い存在であるならば、神をそのままにわたしを拝め、わたしもまた神的存在であり、人間を創るものなのだ」というのである。神が人間の創造者であるとき、悪魔もまた人間の創造神である。それを認めよ。そうすれば、善と悪は統合され、人間は完成されるであろうと悪魔は語る。
イエスは悪魔の第三の誘惑に対して、申命記6:13から「あなたの神である主を拝み、ただ主に仕えよ」と語られる。人間は神によって創造されたのであって、悪魔は人間の創造神ではない。神の前に立ち自らを「神ならざる者」とする人間は、何が善で何が悪かを神に問うことをもって自らを人間とするのである。「人間の完成」は自らを神に「創り出された者」とし、あらゆる状況に自らを「神」としない「尊さ」にある。
「聞け、イスラエルよ。我らの神、主は唯一の主である。あなたは心を尽くし、魂を尽くし、力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい」 申命記6:4~5
(皆川誠)
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