マタイによる福音書4章5節

マタイによる福音書
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† 福音書縦観 「荒野の試み」 マタイ4:1~11

マタイ4:1~11  マルコ1:12~13  ルカ4:1~13
マタイ4:1~11

Matt.4:5それから悪魔は、イエスを聖なる都(エルサレム ルカ4:9)に連れて行き、宮の頂上に立たせて 口語訳聖書

† 日本語訳聖書 Matt. 4:5

【漢訳聖書】
Matt. 4:5 魔鬼遂攜之至聖城、立之於殿頂、

【明治元訳】
Matt. 4:5 是(ここ)に於(おい)て惡魔(あくま)かれを聖(きよき)京(みやこ)に携(たづさ)へゆき殿(みや)の頂上(いただき)に立(たた)せて曰(いひ)けるは

【大正文語訳】
Matt. 4:5 ここに惡魔イエスを聖なる都につれゆき、宮の頂上に立たせて言ふ、

【ラゲ訳】
Matt. 4:5 其時惡魔彼を携へて聖なる都に行き、[神]殿の頂に立たせて、

【口語訳】
Matt. 4:5 それから悪魔は、イエスを聖なる都に連れて行き、宮の頂上に立たせて

【新改訳改訂3】
Matt. 4:5 すると、悪魔はイエスを聖なる都に連れて行き、神殿の頂に立たせて、

【新共同訳】
Matt. 4:5 次に、悪魔はイエスを聖なる都に連れて行き、神殿の屋根の端に立たせて、

【バルバロ訳】
Matt. 4:5 また悪魔はイエズスを聖なる都に連れていき、神殿の頂上に立たせて、

【フランシスコ会訳】
Matt. 4:5 次に、悪魔はイエズスを聖なる都に連れて行き、神殿の頂に立たせて、

【日本正教会訳】
Matt. 4:5 其時惡魔は彼を攜(たづさ)へて聖なる城(まち)に至り、彼を殿(でん)の頂(いただき)に立たしめて

【塚本虎二訳】
Matt. 4:5 そこで悪魔はイエスを聖なる都(エルサレム)に連れてゆき、宮の屋根の上に立たせて

【前田護郎訳】
Matt. 4:5 そこで悪魔は彼を聖都へ連れ行き、宮の屋根に立たせて彼にいう、

【永井直治訳】
Matt. 4:5 そのとき惡魔、彼を聖き市(まち)に携へ〔往き〕、且つ彼を神殿の頂端に置けり。

【詳訳聖書】
Matt. 4:5 そこで悪魔はイエスを聖なる都に連れて行って、彼を宮の聖所のやぐら<頂、切り妻>の上に立たせた。

† 聖書引照 Matt. 4:5

Matt. 4:5 ここに惡魔イエスを聖なる都につれゆき、宮の頂上に立たせて言ふ、

[ここに惡魔イエスを聖なる都につれゆき]  ルカ4:9; ヨハ19:11
[聖なる都]  マタ27:53; ネヘ11:1; イザ48:2; 52:1; ダニ9:16; 黙示11:2
[宮の頂上に立たせて言ふ]  Ⅱコリ3:4

† ギリシャ語聖書 Matt. 4:5

Stephens 1550 Textus Receptus
τοτε παραλαμβανει αυτον ο διαβολος εις την αγιαν πολιν και ιστησιν αυτον επι το πτερυγιον του ιερου

Scrivener 1894 Textus Receptus
τοτε παραλαμβανει αυτον ο διαβολος εις την αγιαν πολιν και ιστησιν αυτον επι το πτερυγιον του ιερου

Byzantine Majority
τοτε παραλαμβανει αυτον ο διαβολος εις την αγιαν πολιν και ιστησιν αυτον επι το πτερυγιον του ιερου

Alexandrian
τοτε παραλαμβανει αυτον ο διαβολος εις την αγιαν πολιν και εστησεν αυτον επι το πτερυγιον του ιερου

Hort and Westcott
τοτε παραλαμβανει αυτον ο διαβολος εις την αγιαν πολιν και εστησεν αυτον επι το πτερυγιον του ιερου

† ギリシャ語聖書 Interlinear

Matt. 4:5

Τότε παραλαμβάνει αὐτὸν ὁ διάβολος εἰς τὴν ἁγίαν πόλιν καὶ ἔστησεν αὐτὸν ἐπὶ τὸ πτερύγιον τοῦ ἱεροῦ

Τότε   παραλαμβάνει  αὐτὸν  ὁ  διάβολος  εἰς   τὴν  ἁγίαν   πόλιν 
Then    takes           him   the devil     into  the  holy     city,

καὶ   ἔστησεν  αὐτὸν  ἐπὶ  τὸ   πτερύγιον  τοῦ     ἱεροῦ
and  stood      him   on  the    wing     of the  temple,

† ギリシャ語聖書 品詞色分け

Matt. 4:5

Τότε παραλαμβάνει αὐτὸν ὁ διάβολος εἰς τὴν ἁγίαν πόλιν καὶ ἔστησεν αὐτὸν ἐπὶ τὸ πτερύγιον τοῦ ἱεροῦ

† ラテン語聖書 Matt. 4:5

Latin Vulgate
Matt. 4:5

Tunc assumpsit eum diabolus in sanctam civitatem, et statuit eum super pinnaculum templi,
Then the devil took him up, into the holy city, and set him on the pinnacle of the temple,

† ヘブライ語聖書 Matt. 4:5

Matt. 4:5

לָקַח אוֹתוֹ הַשָֹטָן אֶל עִיר הַקֹּדֶשׁ וְהֶעֱמִידוֹ עַל פִּנַּת גַּג בֵּית הַמִּקְדָּשׁ

† 私訳(詳訳)Matt. 4:5

【私訳】 「それから、悪魔<中傷者、偽って告訴する者、サタン>は彼〔イエス〕を聖なる都<聖都<エルサレム>に共に連れて行き、神殿の小尖塔<屋根の端の突出部、頂、切り妻>に彼〔イエス〕を立たせて」

† 新約聖書ギリシャ語語句研究

Matt. 4:5

Τότε παραλαμβάνει αὐτὸν ὁ διάβολος εἰς τὴν ἁγίαν πόλιν καὶ ἔστησεν αὐτὸν ἐπὶ τὸ πτερύγιον τοῦ ἱεροῦ

【さて】 Τότε  τότε トテ tote {tot‘-eh}  (ab 副詞)

1) そのとき 2)それから 3)そうすれば 4)そのあとで 5)そこで 6)その時間に 7)次に 8)同時に

【悪魔は】 διάβολος  διάβολος  ディアボろス  diabolos {dee-ab‘-ol-os } (ap-nm-s 形容詞・主男単)

< διάβαλλω 中傷する < διά + βόλος 投網を投げる

1)悪く言いふらす、偽って告訴する者、中傷する 2)中傷者、誹謗者 3)悪魔

マタ4:1,5,8,11; 13:39; 25:41;  ルカ2,3,55,13; 8:12;  ヨハ6:70; 8:44; 13:2 etc.

【聖なる都】 「聖都、エルサレム」

【聖なる】 ἁγίαν  ἅγιος  ハギオス  hagios {hag‘-ee-os} (a–af-s 形容詞・対女単)

1)神聖な、神に献げられた、畏敬すべき 2)畏敬すべき 3)聖なる、聖い 4)清い、正しい 5)至聖所

マタ27:52;  マル1:8,24;  ルカ1:49;  ロマ1:4,7; 11:16; 12:1;  Ⅰコリ7:14; 16:20;  エペ1:4; 5:27;  ヘブ9:2,3,8,25,24; 12:10;  黙示4:8

【都】 πόλιν  πόλις  ポりス  polis {pol‘-is} (n-af-s 名詞・対女単)

1)城砦、都市、市、町、住民 2)都市国家、国家、自由都市 3)市民としての権利 4)天のエルサレム

マタ4:5;

【に】 εἰς  εἰς エイス  eis {ice}  (pa 前置詞・対)

1)~の中へ 2)~へ 3)~まで 4)~のために 5)~に対して 6)~に向かって 7)~を目標にして 8)の間に

【彼を】 αὐτὸν  αὐτός  アウトス autos {ow-tos‘}  (npam3s 代名詞・対男3)

1) 彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど

【連れて行き】 παραλαμβάνει παραλαμβάνω  パラらムバノー  paralambanō {par-al-am-ban‘-o}  (vipa–3s 動詞・直・現・能・3単)

< παρά  傍らに + λαμβάνω  掴む

1)受け入れる、引き継ぐ、受け継ぐ、継承する、引き受ける、受け取る、受ける 2)相続する、わがものにする 3)配偶者を受け入れる、みとめる、共に連れて行く 4)連れ出す、連れて行く 5)取り去る、取り上げる

マタ1:20,24; 17:1; 26:37;  マル4:36; 5:40; 7:4;  ルカ9:10;  ヨハ1:11;  Ⅰコリ11:23; 15:1,3; ガラ1:9,12; ピリ4:9; コロ2:4; 4:17;  Ⅰテサ2:13; 4:1;  Ⅱテサ3:6;  ヘブ12:28; etc.

【そして】 καὶ  καί カイ kai {kahee} (cc 接続詞・等位)

1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた

【神殿】 ἱεροῦ  ἱερόν  ヒエロン hieron {hee-er-on‘} (n-an-s 形容詞・属中単)

1)宮、神殿 2)神に献げられた場所 3)力強い、神聖な、聖なる、聖地、聖域 4)エルサム神殿

マタ4:5; 12:5,6; 21:12,14,15,23; 24:1; 26:55;  マル11:11,15,16,27; 12:35; 13:1,3; 14:49; etc.

【屋根の端】 πτερύγιον  πτερύγιον  プテリゆギオン  pterugion {pter-oog‘-ee-on} (n-an-s 名詞・対中単)

1)小さな翼 2)小塔、小尖塔  エルサレム神殿の屋根の突出部

マタ4:5;  ルカ4:9

【に】 ἐπὶ  ἐπί  エピ epi{ep-ee‘} (pa 前置詞・対)

1)の上に、近くに 2)よって 3)に向かって 4)に 5)を 6)へ

【彼を】 αὐτὸν  αὐτός  アウトス autos {ow-tos‘}  (npam3s 代名詞・対男3)

1) 彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど

【立たせて】 ἔστησεν ἵστημι  ヒステーミ histēmi {his‘-tay-mee} (viaa–3s 動詞・直・1アオ・能3)

1) 立つ、立ち止まる、立たせる、直立する 2)生起させる、立てる 3)置く、据える、配置する 4)現われる 5)確立する、すえる 6)負わせる、任命する

† 英語訳聖書 Matt. 4:5

King James Version
4:5 Then the devil taketh him up into the holy city, and setteth him on a pinnacle of the temple,

American Standard Version
4:5 Then the devil taketh him into the holy city; and he set him on the pinnacle of the temple,

New International Version
4:5 Then the devil took him to the holy city and had him stand on the highest point of the temple.

Bible in Basic English
4:5 Then the Evil One took him to the holy town; and he put him on the highest point of the Temple and said to him,

Darby’s English Translation
4:5 Then the devil takes him to the holy city, and sets him upon the edge of the temple,

Douay Rheims
4:5 Then the devil took him up into the holy city, and set him upon the pinnacle of the temple,

Noah Webster Bible
4:5 Then the devil taketh him up into the holy city, and setteth him on a pinnacle of the temple,

Weymouth New Testament
4:5 Then the Devil took Him to the Holy City and caused Him to stand on the roof of the Temple,

World English Bible
4:5 Then the devil took him into the holy city. He set him on the pinnacle of the temple,

Young’s Literal Translation
4:5 Then doth the Devil take him to the holy city, and doth set him on the pinnacle of the temple,

Amplified Bible
4:5 Then the devil took Him into the holy city [Jerusalem] and placed Him on the pinnacle (highest point) of the temple.

† 細き聲 聖書研究ノート

<ここに惡魔イエスを聖なる都につれゆき、宮の頂上に立たせて言ふ」>

第一の試みに失敗したサタンは、次にイエスを聖なる都エルサレムに誘い、神殿の頂上に立たせる。

<神殿>

イエスが立たれたのは、ヘロデの神殿の屋根である。ヘロデの神殿は紀元70年ユダヤ戦争でローマ軍によって火が放たれ、徹底的に破壊された。現在は、ヘロデの神殿の外壁の西側部分の「西の壁」と呼ばれる「嘆きの壁」が残されているのみである。

<聖なる都>

ユダヤ戦争期につくられたシェケル銀貨には古ヘブライ語で「聖なるエルサレム」と刻まれており「エルサレム貨幣」と呼ばれる。(バルバロ訳聖書 マタイ4:5に図示、これはユダヤ戦争第2年 紀元前67~68年のもので、中央に3つのザクロの実(熟していない?)をつけた枝があり、裏にはカリスと呼ばれる聖杯が描かれる)。「エルサレムは聖なり」「聖なるエルサレム」はユダヤ人の信仰の中心にあった。

<神殿の屋根の上で>

悪魔はイエスを「エルサレム神殿」に誘う。悪魔は「礼拝の場」で「人間とは何か」という問いを立てる。しかし、悪魔がイエスを立たせたのは、神殿の「πτερύγιον  プテリゆギオン 屋根の端、小尖塔」である。そこは神殿の屋根であって、礼拝の場ではない。そのこと自体がすでに異様であった。

「人間とは何か」という問いを立てる場を間違えれば、答えも、おのずと違ったものになってくる。正しい問いは正しい立ち位置を求める。

神殿の屋根で「人間」を問うものではない。しかし、悪魔の導く場にもイエスは立ち給う。

† 心のデボーション

「ここに惡魔イエスを聖なる都につれゆき、宮の頂上に立たせて言ふ」 マタイ4:5 大正文語訳聖書

「次に、悪魔はイエスを聖なる都に連れて行き、神殿の屋根の端に立たせて」 新共同訳聖書

「高さへの恐怖」

タワー・マンションに住む人の約半数は高層階を希望するという。「眺望」のよさは人を魅了する。しかし、地面を意識すると、下に落ちるような不安感を感じるかも知れない。

グランドキャニオンのスカイウォークは高さ1200メートルの絶壁から空中にせり出した回廊のような歩道で、床はガラス張りになっている。観光客は身のすくむような恐怖感を25ドル払って体験する仕組みである。

人間が「高さ」への危険を感じるのは正常な反応である。サタンがイエスを「神殿の最も高い所」に立たせたのは、イエスの「高さ」に対する思いを試みる目的もあったろう。

人間は「高さ」に恐怖を感じない方が病的と考えられている。

サタンは「明けの明星」と呼ばれる。(イザヤ14:12)

「あしたの子明星よいかにして天より隕しや もろもろの國をたふしし者よいかにして斫れて地にたふれしや 汝さきに心中におもへらく われ天にのぼり我くらゐを神の星のうへにあげ北の極なる集會の山にざし たかき雲漢(くもゐ)にのぼり至上者(いとたかきもの)のごとくなるべしと  然どなんぢは陰府におとされ坑の最下にいれられん」(イザヤ14:12~15 明治元訳聖書)

サタンの罪は自己を高め「至上者(いとたかきもの)のごとくなる」ことであった。

「自己」より自分を高くしてはいけない。「自己」より自分を低くしてもいけない。それはともに「罪」である。

† 心のデボーション

「ここに惡魔イエスを聖なる都につれゆき、宮の頂上に立たせて言ふ」 マタイ4:5 大正文語訳聖書

「次に、悪魔はイエスを聖なる都に連れて行き、神殿の屋根の端に立たせて」 新共同訳聖書

「頂上」

「頂上」は誘惑の一つの場である。長くとどまるべき所ではない。高嶺は登るよりも降るほうが危険に満ちている。

† 細き聲 説教

「神殿の屋根の端」

「ここに惡魔イエスを聖なる都につれゆき、宮の頂上に立たせて言ふ」 マタイ4:5 大正文語訳聖書

「次に、悪魔はイエスを聖なる都に連れて行き、神殿の屋根の端に立たせて」 新共同訳聖書

第一の試みに失敗したサタンは、次にイエスを聖なる都エルサレムに誘い、神殿の頂上に立たせる。イエスが立たれたのは、ヘロデの神殿の屋根である。

ヘロデの神殿は紀元70年ユダヤ戦争でローマ軍によって火が放たれ、徹底的に破壊された。現在は、ヘロデの神殿の外壁の西側部分の「西の壁」と呼ばれる「嘆きの壁」が残されている。

サタンがイエスを立たせたのは「神殿の屋根」であった。「神殿の屋根」は人の立つべき場所ではない。

ノアの洪水の後、人々は再び散らされることを恐れて集まり「頂が天に届く一つの塔(バベル)」を建てた。(創世記11:1~9) 神はご覧になって彼らのことばを混乱させられたので、人々は塔の建設を放棄し、全地に散らばった。

人は常に「高み」を目指す。「高きところ」は、人を神のごとき者にし、支配への憧れを実現する場である。

サタンはイエスに神殿の屋根に立たせて、「あなたこそ、ここに立つにふさわしい」と告げ、秘かにバベルの塔を築いた人間と同列にイエスを導こうとしている。

人はみな、この誘惑を如何に退けるのかを、イエスに学ばなければならない。

(皆川誠)

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