マタイによる福音書4章2節

マタイによる福音書
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† 福音書縦観 「荒野の試み」 マタイ4:1~11

マタイ4:1~11 マルコ1:12~13 ルカ4:1~13
マタイ4:1~11

Matt.4:2(そのあいだ何も食べず、その日数がつきると、空腹になられた。ルカ4:2)そして、四十日四十夜、断食をし、そののち空腹になられた。 (イエスは四十日のあいだ荒野にいて、サタンの試みにあわれた。そして獣もそこにいたが、御使たちはイエスに仕えていた マルコ1:13)口語訳聖書

† 日本語訳聖書 Matt. 4:2

【漢訳聖書】
Matt. 4:2 既禁食四十日四十夜後、則饑。

【明治元訳】
Matt. 4:2 四(し)十(じふ)日(にち)四(し)十(じふ)夜(や)食(くら)ふ事(こと)をせず後(のち)うゑたり

【大正文語訳】
Matt. 4:2 四十日四十夜斷食して、後に飢ゑたまふ。

【ラゲ訳】
Matt. 4:2 四十日四十夜断食し給ひしかば、後に飢ゑ給へり。

【口語訳】
Matt. 4:2 そして、四十日四十夜、断食をし、そののち空腹になられた。

【新改訳改訂3】
Matt. 4:2 そして、四十日四十夜断食したあとで、空腹を覚えられた。

【新共同訳】
Matt. 4:2 そして四十日間、昼も夜も断食した後、空腹を覚えられた。

【バルバロ訳】
Matt. 4:2 四十日四十夜断食してのち飢えを感じられた。

【フランシスコ会訳】
Matt. 4:2 そして、四十日四十夜、断食したのち、飢えておられた。

【日本正教会訳】
Matt. 4:2 既(すで)に齋(ものいみ)せしこと四十日四十夜にして、遂(つい)に飢ゑたり。

【塚本虎二訳】
Matt. 4:2 四十日四十夜断食をされると、ついに空腹を覚えられた。

【前田護郎訳】
Matt. 4:2 四十日四十夜断食し、ついに飢えられた。

【永井直治訳】
Matt. 4:2 かくて四十日と四十夜斷食し給ひて、後に飢ゑ給へり。

【詳訳聖書】
Matt. 4:2 そして四十日四十夜何も食べないで過ごして、そのあとで飢えを覚えられた。

† 聖書引照

Matt. 4:2 四十日四十夜斷食して、後に飢ゑたまふ。

[四十日四十夜斷食して] 出エ24:18; 34:28; 申命9:9,18,25; 18:18; Ⅰ列王19:8; ルカ4:2
[後に飢ゑたまふ] マタ21:18; マル11:12; ヨハ4:6; ヘブ2:14~17

† ギリシャ語聖書 Matt. 4:2

Stephens 1550 Textus Receptus
και νηστευσας ημερας τεσσαρακοντα και νυκτας τεσσαρακοντα υστερον επεινασεν

Scrivener 1894 Textus Receptus
και νηστευσας ημερας τεσσαρακοντα και νυκτας τεσσαρακοντα υστερον επεινασεν

Byzantine Majority
και νηστευσας ημερας τεσσαρακοντα και νυκτας τεσσαρακοντα υστερον επεινασεν

Alexandrian
και νηστευσας ημερας τεσσαρακοντα και νυκτας τεσσαρακοντα υστερον επεινασεν

Hort and Westcott
και νηστευσας ημερας τεσσαρακοντα και νυκτας τεσσαρακοντα υστερον επεινασεν

† ギリシャ語聖書 Interlinear

Matt. 4:2

καὶ νηστεύσας ἡμέρας τεσσεράκοντα καὶ νύκτας τεσσεράκοντα, ὕστερον ἐπείνασεν.

καὶ νηστεύσας ἡμέρας τεσσεράκοντα καὶ νύκτας τεσσεράκοντα, ὕστερον ἐπείνασεν.
And  having fasted  days    forty    and  nights   forty,  afterward hungry.

† ギリシャ語聖書 品詞色分け

Matt. 4:2

καὶ νηστεύσας ἡμέρας τεσσεράκοντα καὶ νύκτας τεσσεράκοντα, ὕστερον ἐπείνασεν.

† ラテン語聖書 Matt. 4:2

Latin Vulgate
Matt. 4:2

Et cum ieiunasset quadraginta diebus, et quadraginta noctibus, postea esuriit.
And when he had fasted for forty days and forty nights, afterwards he was hungry.

† ヘブライ語聖書 Matt. 4:2

Matt. 4:2

וּלְאַחַר שֶׁצָּם אַרְבָּעִים יוֹם וְאַרְבָּעִים לַיְלָה הָיָה רָעֵב

† 私訳(詳訳)Matt. 4:2

【私訳】 「そして、四十の日と四十の夜<四十日と四十夜>断食した後、空腹に<餓え<欠乏>を覚え>なられた」

† 新約聖書ギリシャ語語句研究

Matt. 4:2

καὶ νηστεύσας ἡμέρας τεσσεράκοντα καὶ νύκτας τεσσεράκοντα, ὕστερον ἐπείνασεν.

【そして】 καὶ  καί カイ kai {kahee} (cc 接続詞・等位)

1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた

【四十日四十夜】 ἡμέρας τεσσεράκοντα καὶ νύκτας τεσσεράκοντα, 「四十の日と四十の夜」

【四十】 τεσσεράκοντα  τεσσεράκοντα テスセラコンタ tessarakonta {tes-sar-ak‘-on-tah} (a-caf-p 数詞・対女複)

1)40(の)

マタ4:2; マル1:13; ルカ4:1; ヨハ2:20; 使徒1:3; 4:22; 7:30,36,42; 13:21; 23:13,21 etc.

【日】 ἡμέρας  ἡμέρα ヘーメラ hēmera {hay-mer‘-ah} (n-af-p 名詞・対女複)

1)日、時 2)昼間、日中 3)時期、時代 4)人生、生活

マタ2:1; 4:2; 7:22; 10:15; 12:40; 20:2; マル4:27; 5:5; ルカ2:37,44; 4:42; 6:13; 9:12; ヨハ1:39; 11:9; 使徒5:32; 9:24; 12:18; ロマ13:12,13 Ⅰテサ5:5,8 etc.

【と】 καὶ  καί カイ kai {kahee} (cc 接続詞・等位)

1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた

【四十】 τεσσεράκοντα  τεσσεράκοντα テスセラコンタ tessarakonta {tes-sar-ak‘-on-tah} (a-caf-p 数詞・対女複)

1)40(の)

マタ4:2; マル1:13; ルカ4:1; ヨハ2:20; 使徒1:3; 4:22; 7:30,36,42; 13:21; 23:13,21 etc.

【夜】 νύκτας  νύξ ヌゆクス nux {noox} (n-af-p 名詞・対女複)

1)夜 2)暗闇 3)闇

マタ2:14; ヨハ9:4; 11;10; 使徒16:9; 18:9; 20:31; ロマ13:12; Ⅰテサ2:9; 3:10; 5:5; Ⅰテモ5:5; Ⅱテモ1:3 黙示7:15; 8:12; 22:5

「四十日四十夜」 ノアの洪水の「四十日四十夜」(創世記7:4)、モーセの十戒 シナイ山の「四十日四十夜」(出エジプト24:28)、エリアのホレブへの旅の「四十日四十夜」(Ⅰ列王19:8)

【断食した】 νηστεύσας  νηστεύω ネーステウオー nēsteuō {nace-tyoo‘-o} (vpaanm-s 分詞・1アオ能主男単)

<νῆστις < νῆ 否定+ ἐσθίω 食べる

1)断食する 2)~を控える

マタ4:2; 6:16,17,18; 9:14,15; マル2:18,19,20; ルカ5:33,34,35; 18:12; 使徒13:2,3

【後で】 ὕστερον  ὕστερος ヒゆステロス husteron {hoos‘-ter-on} (abm 副詞・比較)

1)~より後の 2)(空間的に)後の、後方の 3)(時間的に)後の、次の、~の後で 5)下である 6)劣る

マタ4:2; 21:30,32; 25:11; 26:60; マル16:14; ルカ20:32; ヨハ13:36; ヘブ12:11

【空腹を覚えられた】 ἐπείνασεν  πεινάω ペイナオー peinaō {pi-nah‘-o} (viaa–3s 動詞・直・1アオ・能・3単)

< πεῖνα 飢え

1)飢える、食を求める、飢える 2)飢え求める、切望する、渇望する、熱望する、欲求する 3)空腹である 4)欠けている、足りない

マタ4:2; 5:6; 12:1,3; 21:18; 25:35,37,42,44; マル2:25; 11:12; ルカ1:53; 4:2; 6:3;,21,25; ヨハ6:35 etc.

† 英語訳聖書 Matt. 4:2

King James Version
4:2 And when he had fasted forty days and forty nights, he was afterward an hungred.

American Standard Version
4:2 And when he had fasted forty days and forty nights, he afterward hungered.

New International Version
4:2 After fasting forty days and forty nights, he was hungry.

Bible in Basic English
4:2 And after going without food for forty days and forty nights, he was in need of it.

Darby’s English Translation
4:2 and having fasted forty days and forty nights, afterwards he hungered.

Douay Rheims
4:2 And when he had fasted forty days and forty nights, afterwards he was hungry.

Noah Webster Bible
4:2 And when he had fasted forty days and forty nights, he was afterward hungry.

Weymouth New Testament
4:2 There He fasted for forty days and nights; and after that He suffered from hunger.

World English Bible
4:2 When he had fasted forty days and forty nights, he was hungry afterward.

Young’s Literal Translation
4:2 and having fasted forty days and forty nights, afterwards he did hunger.

Amplified Bible
4:2 After He had gone without food for forty days and forty nights, He became hungry.

† 細き聲 聖書研究ノート

<四十日四十夜斷食して、後に飢ゑたまふ>

荒野でイエスは四十日四十夜断食をされ、その後ひどい空腹をおぼえられた。

<四十日四十夜>

ノアの洪水は「四十日四十夜」続き、モーセは十戒を授けられるために「四十日四十夜」シナイ山にとどまり、その間パンも食べず、水も飲まなかった。エリアは神の山ホレブに「四十日四十夜」の旅をし、イエスは荒野で「四十日四十夜」の断食をされる。

旧約聖書で「四十日四十夜」は「審判と試み」の期間である。

<空腹>

「空腹 πεινάω ペイナオー」は「飢える、食を求める、飢え求める、切望する、渇望する、熱望する、欲求する、空腹である、欠けている、足りない」である。「孤独」の中で人は「魂」の「空腹 πεινάω ペイナオー」を知る。神への「空腹 πεινάω ペイナオー」である。空腹を知らない信仰者を見たことはない。

<断食>

通常、人間が断食、断水で生きられる生理的限界は3日間とされる。

比叡山延暦寺の修行「千日回峰」では、回峰七百日を満峰すると、その日から無動寺谷の明王堂に籠り足掛け九日間(丸七日半)の断食、断水、断眠、断臥の行にはいる。命懸けの行である。

<誘惑の山>

イエスがサタンの試みを受けられた「誘惑の山 Mount of Temptation」は、ヨルダン川西岸地区エリコの11km西郊外にある山(海抜366m)とされ、現在この山の中腹には12世紀に建設されたギリシャ正教の「誘惑の修道院 Monastery of Temptation」が残されている。

† 心のデボーション

「四十日四十夜斷食して、後に飢ゑたまふ」 マタイ4:2 大正文語訳聖書

「そして、四十日四十夜断食したあとで、空腹を覚えられた」 新改訳聖書

「四十日四十夜」

「四十日四十夜」は、人から離れ、孤独に過ごす期間である。

孤独に耐えよ。
決して孤独ではないと知るまで。
孤独の中でしか、孤独でない自分を見つけることはできない。

† 心のデボーション

「四十日四十夜斷食して、後に飢ゑたまふ」 マタイ4:2 大正文語訳聖書

「そして、四十日四十夜断食したあとで、空腹を覚えられた」 新改訳聖書

「空腹」

「空腹 πεινάω ペイナオー」は「飢える、食を求める、飢え求める、切望する、渇望する、熱望する、欲求する、空腹である、欠けている、足りない」である。

「孤独」の中で人は「魂」の「空腹 πεινάω ペイナオー」を知る。神への「空腹 peina,w  ペイナオー」である。空腹を知らない信仰者を見たことはない。

† 心のデボーション

「四十日四十夜斷食して、後に飢ゑたまふ」 マタイ4:2 大正文語訳聖書

「そして、四十日四十夜断食したあとで、空腹を覚えられた」 新改訳聖書

「聖パトリックスデー」

聖パトリックスデーは、5世紀のアイルランドにキリスト教を伝えた守護聖人、聖パトリック(西暦423年3月17日歿)を記念して名付けられた祝日である。(日本では1992年から原宿表参道で3月17日の前後の日曜日にパレードがおこなわれる)。この日、アイルランド系移民は緑色の服を着てパレードを楽しむ。

アイルランドの西海岸にアイルランド語で「Croagh Patrick クロー・パトリック」という700m近くの岩山がある。「パトリックの山」とも呼ばれる。かつてこの山で聖パトリックがイエスの荒れ野での40日間の体験に倣って、40日間の苦行をした聖地とされる。頂上には教会が建ち、聖パトリックが使用したとされる石のベッドがある。毎年7月の最終日曜日は「Reek Sunday リーク・サンデー」と呼ばれる特別な日で、アイルランド全土から数千人の巡礼者が集まり、「Croagh Patrick クロー・パトリック」に登る。

「聖パトリック」の像は、彼が三つ葉のクローバーを使って「三位一体」を教えたことから、手にシャムロックと呼ばれる三つ葉のクローバーを持っている。一説によれば、この山で聖パトリックが『蛇よけのお祓い』をした為、アイルランド中の蛇が死んでしまい、以来アイルランドには蛇がいなくなったのだという。

† 細き聲 説教

「断食」

「四十日四十夜斷食して、後に飢ゑたまふ」 マタイ4:2 大正文語訳聖書

「そして、四十日四十夜断食したあとで、空腹を覚えられた」 新改訳聖書

イエスは宣教の初めに荒野で四十日四十夜の断食をなされた。信仰生活は貧しさを大切にする。豊穣を貪ることをしない。

「断食」は多くの宗教によって行われる宗教行事の一つであり、キリスト教諸派にも多くみられる。

ユダヤ教は、年に6回(ヨム・キプル、ティシュアー・ベ=アーブ、ゲダリヤの断食、テベトの10日、タンムズの17日、エステルの断食)の断食を行う。ヨム・キプルは1年で最も大事な日とされ、日没から次の日没まで丸一日断食が行われる。る。

正教会では、年に4回の断食(斎)の期間があり、暦の中に位置づけられている。

ローマ・カトリック教会の断食は、1日の食事を十分な量(動物の肉を含む場合もある)を1回と少量を2回(朝食と夕食)にする。食事の間で固形物を食べるのは許されていない。また、小斎の期間は動物の肉を食べない。

これに対して、プロテスタント教会では、宗教改革の際に「断食は外部の習慣であり個人の救済は決して得られない」と批判したのである。(今日、カリスマ系教会において断食はより神に近づく探求のために実行される)

プロテスタント教会の立場は「断食」を個人の救済の条件ではないというもので、個人が信仰生活のために行う信仰的な断食を否定するものではない。

その際にも「断食」は悔改めと悲しみ、祈りの集中のために行うのであって、宗教的鍛錬として「神に近づく」手段に代わるものでは決してないことを理解すべきである。

「夜も晝も斷食と祈祷とを爲して神に事ふ」 ルカ2:37 大正文語訳聖書

「なんぢら斷食するとき、僞善者のごとく、悲しき面容をすな。彼らは斷食することを人に顯さんとて、その顏色を害ふなり。誠に汝らに告ぐ、彼らは既にその報を得たり」 マタイ6:16 大正文語訳聖書

(皆川誠)

† 細き聲 説教

「飢餓」

「四十日四十夜斷食して、後に飢ゑたまふ」 マタイ4:2 大正文語訳聖書

「そして、四十日四十夜断食したあとで、空腹を覚えられた」 新改訳聖書

イエスは「餓え」を知られる。

国連WFPの報告によれば、2013 年 世界では、およそ7億9,500万人(9人に1人)が、健康で活動的な生活を送るために必要かつ十分な食糧を得られていないという。

途上国の人口の12.9%が栄養不良に苦しみ、サハラ砂漠以南のアフリカでは、4人に1人が栄養不良に陥っている。5歳になる前に命を落とす子どもの半数近く(45%)は栄養不良が原因で、その数は毎年、310万人にのぼる。 開発途上国の子どもの6人に1人(約1億人)が低体重であり、世界の子どもの4人に1人は、発育阻害の状況にあります。開発途上国では、この割合が3人に1人に達する。

開発途上国全体で6,600万人の小学生が空腹のまま学校に通っており、そのような子どもはアフリカだけで2,300万人もいる。

慢性的な飢餓に直面している世界の状況に対して、日本では夥しい食料遺棄がなされている。

政府広報によれば、日本では年間1900万トンの食品廃棄物が出ており、これは世界の7000万人が1年間食べていける量だという。(民間の調査では、2700万トンという報告もある) そのうち、まだ食べられるのに捨てられてしまうもの、いわゆる「食品ロス」が500万トンから900万トンもあるといわれている。日本は食料の多くを海外からの輸入に頼っているが、その半分近くを捨てていることになる。金額にすると、111兆円にものぼるという。

イエスは餓えの苦しみを自らの身をもって知られ、「五千人の給食」の際には、人々の食べ残した「パンの切れ端」を弟子たちに命じて集めさせておられる。(マタイ14:20)

「凡ての人食ひて飽く、裂きたる餘を集めしに十二の筐に滿ちたり」 マタイ14:20 大正文語訳聖書

宣教に先立ってイエスが荒野で「四十日四十夜断食」を通して「餓え」を経験されたことに、私たちは現代の飢餓をめぐる状況に無関していることは許されない。

(皆川誠)

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