† 福音書縦観 「ヨハネの出現」 マタイ3:1~6
マタイ3:1~6 マルコ1:1~6 ルカ3:1~6 ヨハネ1:6,23
マタイ3:1~6
Matt.3:5すると、エルサレムとユダヤ全土と(エルサレムの全住民とが マルコ1:5)ヨルダン附近一帯の人々が、ぞくぞくとヨハネのところに出てきて、 口語訳聖書
† 日本語訳聖書 Matt. 3:5
【漢訳聖書】
Matt. 3:5 斯時、耶路撒冷,擧猶太、及約但四方、咸出就之、
【明治元訳】
Matt. 3:5 斯(この)時(とき)エルサレム及(およ)びユダヤを擧(こぞり)またヨルダンの四方(しはう)より人々(ひとびと)出(いで)てヨハネに就(つき)
【大正文語訳】
Matt. 3:5 ここにエルサレム及びユダヤ全國、またヨルダンの邊なる全地方の人々、ヨハネの許に出できたり、
【ラゲ訳】
Matt. 3:5 時にエルザレムユデアの全國ヨルダン[河]に沿へる全地方[の人]彼の許に出で、
【口語訳】
Matt. 3:5 すると、エルサレムとユダヤ全土とヨルダン附近一帯の人々が、ぞくぞくとヨハネのところに出てきて、
【新改訳改訂3】
Matt. 3:5 さて、エルサレム、ユダヤ全土、ヨルダン川沿いの全地域の人々がヨハネのところへ出て行き、
【新共同訳】
Matt. 3:5 そこで、エルサレムとユダヤ全土から、また、ヨルダン川沿いの地方一帯から、人々がヨハネのもとに来て、
【バルバロ訳】
Matt. 3:5 さて、エルサレムとユダヤ全国、ヨルダン川のほどりの全地方の人々が、ヨハネのところに来て、
【フランシスコ会訳】
Matt. 3:5 さて、エルサレムや全ユダヤ、また、ヨルダン川周辺の全地域の人々がヨハネのもとに来て、
【日本正教会訳】
Matt. 3:5 當時イエルサリムと、全イウデヤと、イオルダンの四方と出でて、彼に就き、
【塚本虎二訳】
Matt. 3:5 するとエルサレムをはじめとしてユダヤ全体、またヨルダン川沿岸の地全体の人々がヨハネの所にでて来て、
【前田護郎訳】
Matt. 3:5 そこでエルサレムと全ユダヤとヨルダン周辺一帯から人が彼のところに出かけて来て、
【永井直治訳】
Matt. 3:5 そのときエロソルマ、またすべてユダヤ、またすべてヨルダンの圍(まはり)の地方〔の人々〕、彼の許に出で往き、
【詳訳聖書】
Matt. 3:5 その時、エルサレムとユダヤ全土およびヨルダン川の周辺のすべての地方の人々が彼のところに出かけて行き、
† 聖書引照 Matt. 3:5
Matt. 3:5 ここにエルサレム及びユダヤ全國、またヨルダンの邊なる全地方の人々、ヨハネの許に出できたり
[ここにエルサレム及びユダヤ全國、またヨルダンの邊なる全地方の人々、ヨハネの許に出できたり] マタ4:25; 11:7~12; マル1:5; ルカ3:7; 16:16; ヨハ3:23; 5:35
† ギリシャ語聖書 Matt. 3:5
Stephens 1550 Textus Receptus
τοτε εξεπορευετο προς αυτον ιεροσολυμα και πασα η ιουδαια και πασα η περιχωρος του ιορδανου
Scrivener 1894 Textus Receptus
τοτε εξεπορευετο προς αυτον ιεροσολυμα και πασα η ιουδαια και πασα η περιχωρος του ιορδανου
Byzantine Majority
τοτε εξεπορευετο προς αυτον ιεροσολυμα και πασα η ιουδαια και πασα η περιχωρος του ιορδανου
Alexandrian
τοτε εξεπορευετο προς αυτον ιεροσολυμα και πασα η ιουδαια και πασα η περιχωρος του ιορδανου
Hort and Westcott
τοτε εξεπορευετο προς αυτον ιεροσολυμα και πασα η ιουδαια και πασα η περιχωρος του ιορδανου
† ギリシャ語聖書 品詞色分け
Matt. 3:5
τότε ἐξεπορεύετο πρὸς αὐτὸν ῾Ιεροσόλυμα καὶ πᾶσα ἡ ᾽Ιουδαία καὶ πᾶσα ἡ περίχωρος τοῦ ᾽Ιορδάνου,
† ラテン語聖書 Matt. 3:5
Latin Vulgate
Matt. 3:5
Tunc exibat ad eum Ierosolyma, et omnis Iudæa, et omnis regio circa Iordanem;
Then Jerusalem, and all Judea, and the entire region around the Jordan went out to him.
† ヘブライ語聖書 Matt. 3:5
Matt. 3:5
אָז יָצְאוּ אֵלָיו יְרוּשָׁלַיִם וְכָל יְהוּדָה וְכָל כִּכַּר הַיַרְדֵּן
† 私訳(詳訳)Matt. 3:5
【私訳】 「そのとき<それで>、エルサレムとユダヤ全土、そしてヨルダン川周辺の全て〔の地域〕から、人々が〔ヨハネの所に〕出て行き」
† 新約聖書ギリシャ語語句研究
Matt. 3:5
τότε ἐξεπορεύετο πρὸς αὐτὸν ῾Ιεροσόλυμα καὶ πᾶσα ἡ ᾽Ιουδαία καὶ πᾶσα ἡ περίχωρος τοῦ ᾽Ιορδάνου,
【そこで】 τότε τότε トテ tote {tot‘-eh} (ab 副詞)
1)そのとき 2)それから 3)そうすれば 4)そのあとで 5)そこで 6)その時間に 7)次に 8)同時に
【エルサレム】 ῾Ιεροσόλυμα ῾Ιεροσόλυμα ヒエロソりゅマ Hierosoluma {hee-er-os-ol‘-oo-mah} (n-nn-p名詞・主中複)
エルサレム ヘブライ語「平和の住居、安全の邑」
マタ2:1,3; 3:5; 23:37; マル3:8; ルカ2:25,38,41; 13:34; ヨハ1:19; 使徒21:31; ロマ15:19,20; ガラ1:17; 2:1
【と】 καὶ καί カイ kai {kahee} (cc 接続詞・等位)
1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた
【ユダヤ全土】 πᾶσα ἡ ᾽Ιουδαία
【ユダヤ】 ᾽Ιουδαία Ιουδαία ユウーダイア Ioudaia {ee-oo-dah‘-yah} (n-nf-s 名詞・主女単)
1)ユダヤ 2)ユダヤ人
マタ2:1,5,22; 3:5; 4:25; 19:1; 24:16; マル1:5; 3:7; 10:1; 13:4; ルカ1:5; 2:4; 4:44; ヨハ4:3,47,54; 使徒1:8; 8:1 etc.
【全土】 πᾶσα πᾶς パース pas {pas} (a–nf-s 形容詞・主単)
1)どれでも、何であれ、何でも、あらゆる、みな 2)~全部の、あらんかぎりの、1つも欠けが無い、ひとり残らず 3)全体の、全部の、すべて 4)混じりものがなく、純粋な
πᾶσαι パーサイ 「πᾶς どれでも、全体の」の複数形
【と】 καὶ καί カイ kai {kahee} (cc 接続詞・等位)
1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた
【ヨルダン】 ᾽Ιορδάνου ᾽Ιορδάνης イオルダネース Iordanēs {ee-or-dan‘-ace} (n-gm-s 名詞・属男単)
1)ヨルダン(川) 2)古アラム語 「流れる」「河」
マタ3:5;,6,13; 4:15,25; 19:1; マル1:5,9; 3:8; 10:1; ルカ3:3; 4:1; ヨハ1:28; 3:26; 10:40
【川沿いの地方】 περίχωρος περίχωρος ペリこーロス perichōros {per-ikh‘-o-ros} (ap-nf-s 形容詞・主女単)
< περί まわり + χῶρος 地方
1)まわりの、周辺の 2)付近の、近隣の、周囲の、周囲にある 3)沿いの
【一帯】 πᾶσα πᾶς パース pas {pas} (a–nf-s 形容詞・主単)
1)どれでも、何であれ、何でも、あらゆる、みな 2)~全部の、あらんかぎりの、1つも欠けが無い、ひとり残らず 3)全体の、全部の、すべて 4)混じりものがなく、純粋な
πᾶσαι パーサイ 「πᾶς どれでも、全体の」の複数形
【から】 πρὸς πρός プロス pros {pros} (pa 前置詞・対)
1)~のところへ、~の方へ、~に向かって 2)~の近くに、~の側に、~に接して 3)~のために 4)~に対して 5)~について 6)~の面前で
【彼のところに】 αὐτὸν αὐτός アウトス autos {ow-tos‘} (npam3s 代名詞・対男3)
1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど
1) 彼・それ(三人称の代名詞) 2)自身(強調用法) 3)同じ 4)まさに
【人々が来て】 ἐξεπορεύετο ἐκπορεύομαι エクポレウオマイ ekporeuomai {ek-por-yoo‘-om-ahee}
(viin–3s 動詞・直・未完・能欠・3単)
< ἐκ から外へ + πορεύομαι 進む
1)出て行く、出かける、連れ出す 2)立ち去る、去る、往く 3)旅する、旅して外に出る 4)発する、流れ出す
マタ20:29; マル1:5; 6:11; 10:46; 11:19; 13:1; ルカ3:7; ヨハ15:26; 使徒25;4 etc.
† 英語訳聖書 Matt. 3:5
King James Version
3:5 Then went out to him Jerusalem, and all Judaea, and all the region round about Jordan,
American Standard Version
3:5 Then went out unto him Jerusalem, and all Judaea, and all the region round about the Jordan;
New International Version
3:5 People went out to him from Jerusalem and all Judea and the whole region of the Jordan.
Bible in Basic English
3:5 Then Jerusalem and all Judaea went out to him, and all the people from near Jordan;
Darby’s English Translation
3:5 Then went out to him Jerusalem, and all Judaea, and all the country round the Jordan,
Douay Rheims
3:5 Then went out to him Jerusalem and all Judea, and all the country about Jordan:
Noah Webster Bible
3:5 Then went out to him Jerusalem, and all Judea, and all the region about Jordan,
Weymouth New Testament
3:5 Then large numbers of people went out to him–people from Jerusalem and from all Judaea, and from the whole of the Jordan valley–
World English Bible
3:5 Then people from Jerusalem, all of Judea, and all the region around the Jordan went out to him.
Young’s Literal Translation
3:5 Then were going forth unto him Jerusalem, and all Judea, and all the region round about the Jordan,
Amplified Bible
3:5 At that time Jerusalem was going out to him, and all Judea and all the district around the Jordan;
† 細き聲 聖書研究ノート
<ここにエルサレム及びユダヤ全國、またヨルダンの邊なる全地方の人々、ヨハネの許に出できたり>
バプテスマのヨハネが荒野で悔改めの説教をはじめると、エルサレム、ユダヤ全国、ヨルダン川の周辺一帯の地方から(すなわち、サマリヤを除く全イスラエルから)夥しい人々がヨハネの元にやってきた。
<エルサレム及びユダヤ全國、またヨルダンの邊なる全地方の人々>
イスラエルの全地から多くの人々が集まった。しかし、集まった人々の地名のなかにサマリヤはない。サマリヤはユダヤ人と異邦人の混血が行われ「異邦人のサマリヤ」と呼ばれ、ユダヤ人はサマリヤを避けていた。
<荒野を彷徨う>
求めなければ与えられず、出て行かねば出会えない。だが、彷徨うことが目的ではない。人は時に、彷徨いの為にだけ荒野に出かける。荒野に「叫ぶ声」あり、それを聞かば、荒野を彷徨え。
<縁の人々>
「川沿いの地方一帯 περίχωρος ペリこーロス」は「περί まわり + χῶρος 地方」で、「都市 ポリス πόλις」の周辺部の地域をさす。「まわりの、付近の、周辺の、近隣の、周囲の」地である。荒野のヨハネに集まったのは都市(中央)の人々だけでなく、周辺に住む人々(縁の人々)に及んだ。人はみな「縁の人」としての自分に「私」を見つける。
<ヨルダン川>
「ヨルダン」の名称はセム語系の語根から「速やかに流れる」の意味とされる。水量の少ないパレスティナの川の中で豊富な水量のヨルダン川を描写した名称である。
† 心のデボーション
「ここにエルサレム及びユダヤ全國、またヨルダンの邊なる全地方の人々、ヨハネの許に出できたり」 マタイ3:5 大正文語訳聖書
「そこで、エルサレムとユダヤ全土から、また、ヨルダン川沿いの地方一帯から、人々がヨハネのもとに来て」 新改訳聖書
「荒野」
現代、人が求めて荒野に行くということがなくなったのは、荒野からヨハネの姿が消えたからだろうか。ヨハネのいない荒野は砂に埋もれた廃墟だ。それとも、人々の集まり住むところが荒野なので、出ていくまでもなくなったためか。はたまた、われらの足が萎え、荒野に赴く力を失くしたためか。
† 心のデボーション
「ここにエルサレム及びユダヤ全國、またヨルダンの邊なる全地方の人々、ヨハネの許に出できたり」 マタイ3:5 大正文語訳聖書
「そこで、エルサレムとユダヤ全土から、また、ヨルダン川沿いの地方一帯から、人々がヨハネのもとに来て」 新改訳聖書
「真の説教」
ヨハネは荒野で説教した。ヨハネの説教を聞くために「エルサレム及びユダヤ全國、またヨルダンの邊なる全地方の人々」が荒野にヨハネを訪れた。
だが、荒野に行かない(行けない)人々もいた。この人々にも、荒野の風は「ヨハネの声」を運んだろう。そこにいない人々に語られてこそ真の説教である。
† 細き聲 説教
「異邦人のサマリヤ」
「ここにエルサレム及びユダヤ全國、またヨルダンの邊なる全地方の人々、ヨハネの許に出できたり」 マタイ3:5 大正文語訳聖書
「そこで、エルサレムとユダヤ全土から、また、ヨルダン川沿いの地方一帯から、人々がヨハネのもとに来て」 新改訳聖書
バプテスマのヨハネが荒野で悔改めの説教をはじめると、エルサレム、ユダヤ全国、ヨルダン川の周辺一帯の地方から夥しい人々がヨハネの元にやってきた。
マタイはヨハネのもとにユダヤのどの地方から人々が集まったかを詳しくしるしている。「エルサレム、ユダヤ全国、ヨルダン川の周辺一帯の地方から」というリストから、イスラエル全国から人々が集まったことが分かる。しかし、このリストには「サマリヤ」が欠けている。
サマリヤはエルサレムとガリラヤの中間にあたるヨルダン川西岸の地方である。
サマリヤは前721年、サルゴンⅡ世の占領に伴い各地からの異民族が移植され残存していたイスラエル人との混血が行われた。そのため、サマリヤは「異邦人のサマリヤ」と呼ばれ、ユダヤ人はサマリヤの地を踏むことを避けるようになった。「サマリヤ人」は「異邦人」に次ぐ宗教的な蔑称であった。
イスラエルの全ての都市や地方から人々が荒野のヨハネを目指したが、その中にサマリヤ人はいなかったのだろうか。それとも、マタイは当時の習慣にしたがって地方リストにサマリヤを加えることをためらったのだろうカ。
いずれにしても、サマリヤは依然として福音の外に置かれていた。
どの時代にも、福音に遠く「暗黒の地」と呼ばれる地があり、そこに暮らす人々がいる。
しかし、イエスは十字架から復活された後に、弟子たちに「サマリヤの全土」に十字架と復活の証人となることを命じられるのである。
「然れど聖靈なんぢらの上に臨むとき、汝ら能力をうけん、而してエルサレム、ユダヤ全國、サマリヤ、及び地の極にまで我が證人とならん」 使徒1:8 大正文語訳聖書
そして、使徒たちの宣教によってサマリヤに教会が築き上げられたのである。
「然れど聖靈なんぢらの上に臨むとき、汝ら能力をうけん、而してエルサレム、ユダヤ全國、サマリヤ、及び地の極にまで我が證人とならん」 使徒9:31 大正文語訳聖書
(皆川誠)
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