† 福音書対観 「エジプト帰還とナザレ定住」 マタイ2:19~23
マタイ2:19~23
Matt. 2:21そこでヨセフは立って、幼な子とその母とを連れて、イスラエルの地に帰った。 口語訳聖書
† 日本語訳聖書 Matt. 2:21
【漢訳聖書】
Matt. 2:21 約瑟遂起、挈嬰兒與其母、至以色列地。
【明治元訳】
Matt. 2:21 彼(かれ)おきて嬰兒(をさなご)と其(その)母(はは)とを挈(たづさ)へてイスラエルの地(ち)に至(いたり)しが
【大正文語訳】
Matt. 2:21 ヨセフ起きて、幼兒とその母とを携へ、イスラエルの地に到りしに、
【ラゲ訳】
Matt. 2:21 ヨゼフ起きて孩兒と其母とを携へ、イスラエルの地に至りしに
【口語訳】
Matt. 2:21 そこでヨセフは立って、幼な子とその母とを連れて、イスラエルの地に帰った。
【新改訳改訂3】
Matt. 2:21 こで、彼は立って、幼子とその母を連れて、イスラエルの地に入った。
【新共同訳】
Matt. 2:21 そこで、ヨセフは起きて、幼子とその母を連れて、イスラエルの地へ帰って来た。
【バルバロ訳】
Matt. 2:21 ヨゼフは起きて、子どもと母を連れてイスラエルの地に帰ったが、
【フランシスコ会訳】
Matt. 2:21 ヨセフは起きて、幼な子とその母とを連れて、イスラエルに着いた。
【日本正教会訳】
Matt. 2:21 彼 起きて、 嬰兒と 其母とを 携へて、 イズライリの 地に 來れり。
【塚本虎二訳】
Matt. 2:21 そこでヨセフは起きて、幼児とその母とを連れて、イスラエルの地にかえった。
【前田護郎訳】
Matt. 2:21 彼は起きて幼子と母を伴い、イスラエルの地に入った。
【永井直治訳】
Matt. 2:21 乃ち彼は起きて幼兒とその母とを携へて、イスラエルの地に入り來れり。
【詳訳聖書】
Matt. 2:21 彼は目をさまし、起きて、幼子とその母を[大事に]連れて、イスラエルの地に入って来た。
† 聖書引照 Matt. 2:21
Matt. 2:21 ヨセフ起きて、幼兒とその母とを携へ、イスラエルの地に到りしに、
[ヨセフ起きて、幼兒とその母とを携へ、イスラエルの地に到りしに] 創世6:22; ヘブ11:8
† ギリシャ語聖書 Matt. 2:21
Stephens 1550 Textus Receptus
ο δε εγερθεις παρελαβεν το παιδιον και την μητερα αυτου και ηλθεν εις γην ισραηλ
Scrivener 1894 Textus Receptus
ο δε εγερθεις παρελαβεν το παιδιον και την μητερα αυτου και ηλθεν εις γην ισραηλ
Byzantine Majority
ο δε εγερθεις παρελαβεν το παιδιον και την μητερα αυτου και ηλθεν εις γην ισραηλ
Alexandrian
ο δε εγερθεις παρελαβεν το παιδιον και την μητερα αυτου και εισηλθεν εις γην ισραηλ
Hort and Westcott
ο δε εγερθεις παρελαβεν το παιδιον και την μητερα αυτου και εισηλθεν εις γην ισραηλ
† ギリシャ語聖書 品詞色分け
Matt. 2:21
ὁ δὲ ἐγερθεὶς παρέλαβεν τὸ παιδίον καὶ τὴν μητέρα αὐτοῦ καὶ εἰσῆλθεν εἰς γῆν ᾽Ισραήλ.
† ヘブライ語聖書 Matt. 2:21
Matt. 2:21
הוּא קָם וְלָקַח אֶת הַיֶּלֶד וְאֶת אִמּוֹ וּבָא לְאֶרֶץ יִשְׂרָאֵל.
† ラテン語聖書 Matt. 2:21
Latin Vulgate
Matt. 2:21
Qui consurgens, accepit puerum, et matrem eius, et venit in terram Israel.
And rising up, he took the boy and his mother, and he went into the land of Israel.
† 私訳(詳訳)Matt. 2:21
【私訳】 「そこで、彼〔ヨセフ〕は目覚めて<起きて、立ち上がって>、子どもとその母を連れて、イスラエルの地に入って<帰って>来た」
† 新約聖書ギリシャ語語句研究
Matt. 2:21
ὁ δὲ ἐγερθεὶς παρέλαβεν τὸ παιδίον καὶ τὴν μητέρα αὐτοῦ καὶ εἰσῆλθεν εἰς γῆν ᾽Ισραήλ.
【そこで】 δὲ δέ デ de {deh} (ch 接続詞・完)
1)ところで、しかし、さて、そして 2)しかも、そしてまた、なお、すると、また 3)次に、さらに 4)否、むしろ
【彼は目覚めて】 ἐγερθεςὶ ἐγείρω エゲイロー egeirō {eg-i‘-ro} (vpapnm-s 分詞・1アオ受主男単)
1)眠りからさます、おこす、めざめさせる、目を覚ます、呼び起こす、起こす、立ち上がる 2)動かす、刺激する 3)甦らせる、復活する、生き返らす
マタ1:24; 2:13,14,20, 21; 11:11; 8:15,26; 11:5; 25:7; 26:46; マル4:27; 5:41; 14:42; 使徒3:15; 12:7; ロマ13:11; エペ1:20; 5:14 コロ2:12; Ⅰテサ1:10 etc.
【子ども】 παιδίον παιδίον パイディオン paidion {pahee-dee‘-on} (n-an-s 名詞・対中単)
1)小さな子ども、生まれたての子、幼児、幼子 2)少年、少女 3)しもべ、奴隷
「παῖς 子ども」の指小詞
マタ2:8,9,11,13,14,20,21; マル5:39; 9:24,36,37; 10:15; ルカ9:47,48; 18:17; ヨハ4:49 etc.
【と】 καὶ καί カイ kai {kahee} (cc 接続詞・等位)
1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた
【彼の】 ατοὐῦ αὐτός アウトス autos {ow-tos‘} (npgm3s 代名詞・属男3)
1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど
【母を】 μητέρα μήτηρ メーテール mētēr {may‘-tare} (n-af-s 名詞・対女単)
1)母、生みの親 2)子宮、母胎、胎内 3)祖国、故郷
マタ1:18; 2:11; 12:49,50 マル3;35; ヨハ19:27; ロマ16:13; ガラ4:26; Ⅰテモ5:2; 黙示12:5
【連れて】 παρέλαβεν παραλαμβάνω パラらムバノー paralambanō {par-al-am-ban‘-o} (viaa–3s 動詞・直・2アオ・能・3単)
< παρά 傍らに + λαμβάνω 掴む
1)受け入れる、引き継ぐ、受け継ぐ、継承する、引き受ける、受け取る、受ける 2)相続する、わがものにする 3)配偶者を受け入れる、みとめる、共に連れて行く 4)連れ出す、連れて行く 5)取り去る、取り上げる
マタ1:20,24; 17:1; 26:37; マル4:36; 5:40; 7:4; ルカ9:10; ヨハ1:11; Ⅰコリ11:23; 15:1,3; ガラ1:9,12; ピリ4:9; コロ2:4; 4:17; Ⅰテサ2:13; 4:1; Ⅱテサ3:6; ヘブ12:28; etc.
詳訳聖書「幼子とその母を[大事に]お連れして」
【そして】 καὶ καί カイ kai {kahee} (cc 接続詞・等位)
1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた
【イスラエルの】 ᾽Ισραήλ ᾽Ισραήλ イスラエーる Israēl {is-rah-ale‘} (n-am-s 名詞・対男単)
イスラエル
1)神の子 2)ヤコブの別名 3)イスラエル人「神の子」
マタ2:6,20,21; 8:10; 9:33; 27:44; ルカ1:54,68,80; ヨハ1:49; 使徒4:10,27; 28:20; ロマ9:6; 11:2,7,25; エペ2:12 etc.
【地】 γῆν γῆ ゲー gē {ghay} (n-af-s 名詞・対女単)
1)地、大地 2)土地、陸、陸地、地面、土壌 3)国、国土、領地 4)地域、地方 5)故郷、祖国、世界
(γῆ はヘブル語の אֶרֶץ エレツ で「エレツ イスラエル」は「イスラエルの地(約束地)」)
マタ10:29; 13:5,8,23; 15:35; 23:35; 27:51; マル4:8,20,26,28,31; 8:6; 9:20; 14:35; ルカ13:7; 14:35;22:44; 24:5; ヨハ8:6,8: 12:24; ヘブ6:7; ヤコ5:5 etc.
【へ】 εςἰ εἰς エイス eis {ice} (pa 前置詞・対)
1)~の中へ 2)~へ 3)~まで 4)~のために 5)~に対して 6)~に向かって 7)~を目標にして 8)の間に
【帰って来た】 εσἰῆλθεν εἰσέρχομαι エイセルこマイ eiserchomai {ice-er’-khom-ahee} (viaa–3s 動詞・直・2アオ・能・3単)
< εἰς 中へ +ἔρχομαι 行く、来る
1)入る、入って行く、入り込む 2)(心中に)おきる、思いつく 3)生じる、起きる 4)登場する、出廷する 4)来る(行く)、到着する
マタ2:21; 8:5; 10:12; マル2:1; 11:11; ヨハ10:1,2,3; 使徒23,33 etc.
† 英語訳聖書 Matt. 2:21
King James Version
2:21 And he arose, and took the young child and his mother, and came into the land of Israel.
American Standard Version
2:21 And he arose and took the young child and his mother, and came into the land of Israel.
New International Version
2:21 So he got up, took the child and his mother and went to the land of Israel.
Bible in Basic English
2:21 And he got up, and took the young child and his mother, and came into the land of Israel.
Darby’s English Translation
2:21 And he arose and took to him the little child and its mother, and came into the land of Israel;
Douay Rheims
2:21 Who arose, and took the child and his mother, and came into the land of Israel.
Noah Webster Bible
2:21 And he arose, and took the young child and his mother, and came into the land of Israel.
Weymouth New Testament
2:21 So he roused himself and took the child and His mother and came into the land of Israel.
World English Bible
2:21 He arose and took the young child and his mother, and came into the land of Israel.
Young’s Literal Translation
2:21 And he, having risen, took the child and his mother, and came to the land of Israel,
Amplified Bible
2:21 Then Joseph got up, and took the Child and His mother, and came into the land of Israel.
† 細き聲 聖書研究ノート
<ヨセフ起きて、幼兒とその母とを携へ、イスラエルの地に到りしに>
ヨセフは目覚めるとすぐに幼子イエスと妻マリヤを連れてエジプトからイスラエルの地に戻った。
<イスラエルの地>
当時、イスラエルは「ユダの地」「約束の地」「カナンの国」等と呼ばれ、「イスラエルの地」は一般的な呼び名ではなかった。(「パレスチナ」という地名もイエスの時代には用いられていない)
<危険は去らず>
ヘロデは死んだが、後継者となったヘロデの息子アケラオは父より危険な王だった。ヨセフはあくまでも慎重であり、かつ大胆である。
<時は変化しながら流れる>
どのような状況も固定することはない。時は絶えず変化しながら流れる。一つの危機の終結は新たな危機の始まりである。だが、けっして変わることのないものがその底流にある。
「天地は過ぎ去る。しかし、わたしの言葉は過ぎ去ることはない」 マルコ3:31 フランシスコ会訳
† 心のデボーション
『いと高き處には榮光、神にあれ。 地には平和、主の悦び給ふ人にあれ』 ルカ2:14 大正文語訳聖書
「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に平和、御心に適う人にあれ」 新共同訳聖書
「地には平和」
ヨセフとマリヤはイエスを携えてエジプトからイスラエルに戻る。直接の危険は去ったが、依然として困難な状況は続いていた。いつの時代にも地に絶対の平和はない。それでも人は平和あれかしとして、その地に戻るのである。
† 心のデボーション
「幼子とその母を」 マタイ2:21 大正文語訳聖書
「幼子とその母を連れて」 新改訳聖書
「大事にお連れする」
「連れて παραλαμβάνω パラらムバノー」は「παρά 傍らに + λαμβάνω 掴む」で「その手を掴んで連れて行く」こと。漢訳聖書は「挈(たづさ)へて」とする。「挈」は「ひっかけて持つ」で、「左提右挈 さていゆうけつ」は左右の手で携えること。詳訳聖書は「[大事に]連れて」と意味を補って訳している。ヨセフは左右の手でマリヤとイエスを携え、「大事にお連れした」。(マタイ2:20 細き聲 研究ノート参照)
† 心のデボーション
「イエス言ひたまふ『狐は穴あり、空の鳥は塒(ねぐら)あり、されど人の子は枕する所なし』」 マタイ8:20大正文語訳聖書
「すると、イエズスは彼に、『きつねには穴があり、空の鳥にはねぐらがある。しかし、人の子には枕する所もない』と仰せになった」 フランシスコ会訳聖書
「安住の地」
人は安住の地を求める。しかし、イエスには「枕する所」もなかった。
安住の「安」は「宀 やね」+「女」で、屋根の下に女性が落ち着いて暮らす様子をあらわす。
家族が安らかに暮らせる地を求めて旅を続けるヨセフはマリヤの「屋根」だった。そして、人は神の大屋根の下で「安らか」である。
† 細き聲 説教
「難民と共に」
「ヨセフ起きて、幼兒とその母とを携へ、イスラエルの地に到りしに」 マタイ2:21 大正文語訳聖書
ヨセフとマリヤは幼子イエスを抱いてイスラエルの地に戻った。しかし、祖国イスラエルに安住の地を求めることは容易ではなかった。幼子イエスのいのちを狙ったヘロデ王は亡くなり、そこ子アケラオが治世を継いでいた。ヘロデ王に協力したエルサレムの祭司長たちに変化はなかった。
ヨセフとマリヤは国を追われた難民のように行き場を求めて彷徨わなければならなかった。
国連の統計によれ世界の難民は2009年に1000万人と推定されていた。しかし、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の2016年6月20日発表によれば2015年末で世界の6530万人が難民化しているという。これは世界の113人に1人が難民化したということを意味している。
子どもの手を引いて、国を脱出し安住の地を求める難民が世界を彷徨っている。
イエスも難民の群れの中におられたことに、現代の状況にたいする神の一つのメッセージがあろう。
イエスは彼らの中にあり、共に難を逃れて歩まれたのである。
世界はまだ難民に対する答えをもっていない。それは国の問題であるとともに人間の問題である。
(皆川誠)
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