マタイによる福音書2章13節

マタイによる福音書
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† 福音書対観 「エジプト避難と幼児殺戮」 マタイ2:13~18

マタイ2:13~18

Matt.2:13彼らが帰って行ったのち、見よ、主の使が夢でヨセフに現れて言った、「立って、幼な子とその母を連れて、エジプトに逃げなさい。そして、あなたに知らせるまで、そこにとどまっていなさい。ヘロデが幼な子を捜し出して、殺そうとしている」。

口語訳聖書

† 日本語訳聖書 Matt.2:13

【漢訳聖書】
Matt.2:13  彼既歸、主之使現夢於約瑟曰、起、挈嬰與其母、奔往埃及、寓彼、待余示爾、蓋希律將索嬰兒、欲殺之。

【明治元訳】
Matt.2:13  彼等(かれら)が去(され)るのち主(しゆ)の使者(つかひ)ヨセフの夢(ゆめ)に現(あらは)れて曰(いひ)けるはヘロデ嬰兒(をさなご)を索(もとめ)て殺(ころさ)んとする故(ゆゑ)に起(おき)て嬰兒(をさなご)と其(その)母(はは)とを挈(たづさ)へエジプトに逃(のがれ)て復(また)わが爾(なんぢ)に示(しめ)さん時(とき)まで彼處(かしこ)に止(とどま)れ

【大正文語訳】
Matt.2:13  その去り往きしのち、視よ、主の使、夢にてヨセフに現れていふ『起きて、幼兒とその母とを携へ、エジプトに逃れ、わが告ぐるまで彼處に留れ。ヘロデ幼兒を索(もと)めて亡さんとするなり』

【ラゲ訳】
Matt.2:13  博士等の去りし後、折しも主の使ヨゼフの夢に現れて云ひけうるは、起きて孩兒と其母とを携へてエジプトに逃れ、我が汝に告ぐるまで彼處に居れ、其はヘロデ孩兒を殺さんとて之を索めんとすればなり、と。

【口語訳】
Matt.2:13  彼らが帰って行ったのち、見よ、主の使が夢でヨセフに現れて言った、「立って、幼な子とその母を連れて、エジプトに逃げなさい。そして、あなたに知らせるまで、そこにとどまっていなさい。ヘロデが幼な子を捜し出して、殺そうとしている」。

【新改訳改訂3】
Matt.2:13  彼らが帰って行ったとき、見よ、主の使いが夢でヨセフに現れて言った。「立って、幼子とその母を連れ、エジプトへ逃げなさい。そして、私が知らせるまで、そこにいなさい。ヘロデがこの幼子を捜し出して殺そうとしています。」

【新共同訳】
Matt.2:13  占星術の学者たちが帰って行くと、主の天使が夢でヨセフに現れて言った。「起きて、子供とその母親を連れて、エジプトに逃げ、わたしが告げるまで、そこにとどまっていなさい。ヘロデが、この子を探し出して殺そうとしている。」

【バルバロ訳】
Matt.2:13  博士たちが去ってのち、また主の天使がヨゼフの夢に現れて、「起きて、子どもとその母親を連れてエジプトに逃げよ。ヘロデが子どもを捜し出して殺そうとたくらんでいる。私が知らせるまで、その地にとどまっておれ」と告げた。

【フランシスコ会訳】
Matt.2:13  博士たちが立ち去ると、主の使いがヨセフの夢に現われ、「起きよ。幼な子とその母とを連れて、エジプトに逃げよ。そして、わたしがおまえに知らせるまで、そこに留まれ。ヘロデが幼な子を殺すために捜すだろうから」と告げた。

【日本正教会訳】
Matt.2:13 彼等の 歸りし 後、 視よ、 主の 使 夢に イオシフに 現れて 曰く、 起きて、 嬰兒と 其母とを 携へて、 エギペトに 奔り、 彼處に 在りて、 我が 爾に 告ぐるを 待て、 蓋 イロドは 嬰兒を 索めて、 之を 殺さんと 謀る。

【塚本虎二訳】
Matt.2:13 博士たちが帰ってゆくと、見よ、主の使いが(また)夢でヨセフに現われて言った、「起きて幼児とその母とを連れてエジプトに逃げ、わたしが言うまでそこにおれ。ヘロデがその幼児をさがして殺そうともくろんでいるから。」

【前田護郎訳】
Matt.2:13 彼らが帰り去ったとき、見よ、主の使いが夢の中でヨセフに現われていう、「起きて幼子と母を伴い、エジプトにのがれよ。そしてなんじに(ふたたび)いうまでそこにとどまれ、ヘロデが幼子を探して殺そうとしているから」と。

【永井直治訳】
Matt.2:13 また彼等の立ち退きしとき、見よ、主の使夢にてヨセフに現はれ、云ひけるは、起きて幼兒とその母とを携へ、且つエジプトに遁れよ。かくて我が汝にいはんときまでそこにあれ。そはヘロデ將に幼兒を索(もと)めて亡ぼさんとすればなり。

【詳訳聖書】
Matt.2:13 彼らが行ってしまうと、見よ、主の使いが夢でヨセフに現れて言った、「起きなさい、幼子とその母を[大事に]お連れして、エジプトへ逃げなさい。そして私があなたに[別の指示を]告げるまでそこにとどまっていなさい。ヘロデがその幼子を滅ぼすために捜し出そうとしているからである」。

† 聖書引照 Matt.2:13

Matt.2:13  その去り往きしのち、視よ、主の使、夢にてヨセフに現れていふ『起きて、幼兒とその母とを携へ、エジプトに逃れ、わが告ぐるまで彼處に留れ。ヘロデ幼兒を索(もと)めて亡さんとするなり』

[その去り往きしのち、視よ、主の使、夢にてヨセフに現れていふ]  マタ2:19; 1:20; 使徒5:19; 10:7,22; 12:11; ヘブ1:13,14
[起きて、幼兒とその母とを携へ、エジプトに逃れ]  マタ10:23; 黙示12:6,14
[わが告ぐるまで彼處に留れ]  マタ2:19,20; ヨシュ3:13,17; 4:10,18; ダニ3:25,26; 使徒16:36
[ヘロデ幼兒を索(もと)めて亡さんとするなり]  マタ2:16; 出エ1:22; 2:2,3; ヨブ33:15,17; 使徒7:19; Rev 12:4

† ギリシャ語聖書 Matt.2:13

Stephens 1550 Textus Receptus
αναχωρησαντων δε αυτων ιδου αγγελος κυριου φαινεται κατ οναρ τω ιωσηφ λεγων εγερθεις παραλαβε το παιδιον και την μητερα αυτου και φευγε εις αιγυπτον και ισθι εκει εως αν ειπω σοι μελλει γαρ ηρωδης ζητειν το παιδιον του απολεσαι αυτο

Scrivener 1894 Textus Receptus
αναχωρησαντων δε αυτων ιδου αγγελος κυριου φαινεται κατ οναρ τω ιωσηφ λεγων εγερθεις παραλαβε το παιδιον και την μητερα αυτου και φευγε εις αιγυπτον και ισθι εκει εως αν ειπω σοι μελλει γαρ ηρωδης ζητειν το παιδιον του απολεσαι αυτο

Byzantine Majority
αναχωρησαντων δε αυτων ιδου αγγελος κυριου φαινεται κατ οναρ τω ιωσηφ λεγων εγερθεις παραλαβε το παιδιον και την μητερα αυτου και φευγε εις αιγυπτον και ισθι εκει εως αν ειπω σοι μελλει γαρ ηρωδης ζητειν το παιδιον του απολεσαι αυτο

Alexandrian
αναχωρησαντων δε αυτων ιδου αγγελος κυριου φαινεται κατ οναρ τω ιωσηφ λεγων εγερθεις παραλαβε το παιδιον και την μητερα αυτου και φευγε εις αιγυπτον και ισθι εκει εως αν ειπω σοι μελλει γαρ ηρωδης ζητειν το παιδιον του απολεσαι αυτο

Hort and Westcott
αναχωρησαντων δε αυτων ιδου αγγελος κυριου φαινεται κατ οναρ τω ιωσηφ λεγων εγερθεις παραλαβε το παιδιον και την μητερα αυτου και φευγε εις αιγυπτον και ισθι εκει εως αν ειπω σοι μελλει γαρ ηρωδης ζητειν το παιδιον του απολεσαι αυτο

† ギリシャ語聖書 品詞色分け

Matt. 2:13

᾽Αναχωρησάντων δὲ αὐτῶν δοἰὺ ἄγγελος κυρίου φαίνεται κατ ᾽ὄναρ τῷ᾽Ιωσὴφ λέγων᾽Εγερθεὶς παράλαβε τὸ παιδίον καὶ τὴν μητέρα αὐτοῦ καὶ φεῦγε εἰς Αἴγυπτον καὶ ἴσθι ἐκεῖ ἕως ἂν εἴπω σοι μέλλει γὰρ ῾Ηρῴδης ζητεῖν τὸ παιδίον τοῦ ἀπολέσαι αὐτό.

† ヘブライ語聖書 Matt.2:13

Matt.2:13

הֵם הָלְכוּ מִשָּׁם וּמַלְאַךְ יהוה נִרְאָה אֶל יוֹסֵף בַּחֲלוֹם וְאָמַר: “קוּם, קַח אֶת הַיֶּלֶד וְאֶת אִמּוֹ וּבְרַח לְמִצְרַיִם “וֶהֱיֵה שָׁם עַד אֲשֶׁר אֹמַר לְךָ, כִּי הוֹרְדוֹס יְחַפֵּשׂ אֶת הַיֶּלֶדכְּדֵי לְהַשְׁמִיד אוֹתוֹ.

† ラテン語聖書 Matt.2:13

Latin Vulgate
Matt.2:13

Qui cum recessissent, ecce Angelus Domini apparuit in somnis Ioseph, dicens: Surge, et accipe puerum, et matrem eius, et fuge in Ægyptum, et esto ibi usque dum dicam tibi. Futurum est enim ut Herodes quærat puerum ad perdendum eum.
And after they had gone away, behold, an Angel of the Lord appeared in sleep to Joseph, saying: “Rise up, and take the boy and his mother, and flee into Egypt. And remain there until I tell you. For it will happen that Herod will seek the boy to destroy him.

† 私訳(詳訳)Matt.2:13

【私訳】 「さて、彼ら〔占星術の学者たち、マギ〕が帰っていくと、見よ、驚くことに、主の天使<使者、使節、布告者、神の使い>が夢<夢、幻影>でヨセフに現れて<知らせて>言った。『目を覚まして、幼子〔子ども〕とその母を連れ、そしてエジプトに逃げ<亡命し>、そしてわたしが知らせる<言う、呼ぶ>までそこにとどまっていなさい<そこにあれ>。というのはヘロデが幼子〔その子〕を探し出して<求めて、追求して、探求して、捜索して、ねらって>彼を殺そうと<無きものにしようと、亡ぼそうと>しているからです』」

† 新約聖書ギリシャ語語句研究

Matt.2:13

᾽Αναχωρησάντων δὲ αὐτῶν δοἰὺ ἄγγελος κυρίου φαίνεται κατ ᾽ὄναρ τῷ᾽Ιωσὴφ λέγων, ᾽Εγερθεὶς παράλαβε τὸ παιδίον καὶ τὴν μητέρα αὐτοῦ καὶ φεῦγε εἰς Αἴγυπτον καὶ ἴσθι ἐκεῖ ἕως ἂν εἴπω σοι μέλλει γὰρ ῾Ηρῴδης ζητεῖν τὸ παιδίον τοῦ ἀπολέσαι αὐτό.

【さて】 δὲ  δέ  デ de {deh} (cc 接続詞・等位)

1)ところで、しかし、さて、そして 2)しかも、そしてまた、なお、すると、また 3)次に、さらに 4)否、むしろ

【占星術の学者たちが帰って行くと】

【彼らが】 ατὐῶν  αὐτός  アウトス autos {ow-tos‘}  (npgm3p 代名詞・属男3)

1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど

【帰って行くと】 ᾽Αναχωρησάντων ἀναχωρέω  アナこーレオー  anachōreō {an-akh-o-reh‘-o} (vpaagm-p 分詞・1アオ能属男複)

< ἀνά  戻る +χωρέω 進む

1)戻る、帰る、去る、後ずさりする、退く 2)退却する、引き下がる 3)危険を避けて逃れ去る、人目を避けて去る

マタ2:12; 4:12; 9:24; 14:13; 15:21 マル2:12,13,14; 12:15; 27:5; ヨハ6:15

【見よ、主の天使が夢でヨセフに現れて言った】 ἰδοὺ ἄγγελος κυρίου φαίνεται κατ᾽ ὄναρ τῷ ᾽Ιωσφ λέγωνὴ

【見よ】 ἰδοὺ  ἰδού イドゥ  idou {id-oo‘} (qs 不変化詞)

1)そら、ほら、さあ、まあ、それ 2)見よ、見よ驚くことに、ごらん

注意を喚起する言葉「見よ、驚くことに」

「見よ、驚くことに主の使いが夢に現れ」

【主の天使が】 ἄγγελος κυρίου

【主の】 κυρίου  κύριος キゆリオス  kurios {koo‘-ree-os} (n-gm-s 名詞・属男単)

1)自由にする力のある、支配する、権威のある、力のある 2)主人、君主、所有者、旦那、師 3)正当な、順当な 4)主、神

マタ1:20; 8:25; 9:38; 10:24; 12:4,8; 16:22;  マル1:3; 2:28: 12:9; 13:35;  ルカ6:5; 9:54; 10:17;12:6,46; 14:21  Ⅱコリ1:3,14;  エペ6:5,9;  Ⅰテモ1:2,14; 6:15  etc.

【天使が】 ἄγγελος  ἄγγελος  アンゲろス  aggelos {ang‘-el-os} (n-nm-s 名詞・主男単)

1)使者、使節、布告者、使いの者 2)天使、御使、神の使い

マタ1:20; 2:13; 4:6; 18:1,5;  マル1:2;  ルカ1:11,26; 16:22; 22:43;  ヨハ20:12;  使徒7:35; 10:3; 12:23; 27:23;  ガラ3:19;  黙示9:11; 14:8; 16:5  etc.

【夢で】 κατ ᾽ὄναρ 

【夢】  ὄναρ  ὄναρ  オナル  onar {on‘-ar} (n-an-s 名詞・対中単)

1)夢 2)幻影 3)夢で、夢の中で

マタ1:20; 2:12,113,19,22; 27:19

【で】 κατ᾽  κατά カタ kata {kat-ah‘} (pa 前置詞・対)

1)~から下へ、下まで 2)に従って、によって 3)に向って 4)~の向かい側に、の近くに  5)の間に 6)毎に 7)~に逆らって、反対して 8)~に誓って、~にかけて、~を指して 9)~の故に、~に関して、~の為に

【ヨセフに】 ᾽Ιωσφὴ  ᾽Ιωσήφ  イオーセーふ  Iōsēph {ee-o-safe‘} (n-dm-s 名詞・与男単)

ヨセフ  ヘブル名 「彼は増し加える」

(イエスの父ヨセフ 職業は「大工」 マタ1:16~24;  マル6:3;  ルカ1:27; 2:4,16; 3:23; 4:22;  ヨハ1:45;6:42)

【現れ】 φαίνεται φαίνω ふァイノー phainō {fah‘ee-no} (vipe–3s 動詞・直・現・両・3単)

1)輝く、光を放つ、見えるようになる、照らす、現われる、見える、姿を見せる 2)示す、出現させる 3)明るい 4)あらわにする、明らかにする 5)知らせる、訴える、告発する

マタ1:20; 2:7,13,19; 13:26; 24:27,30;  マル16:9;  ヨハ1:5; 5:35;  ロマ7:13;  Ⅱコリ13:7; Ⅱペテ1:19; Ⅰヨハ2:4;  黙示1:16 etc.

永井訳「夢にてあらわれ」

【言うには】 λέγων  λέγω れゴー legō {leg‘-o} (vppanm-s 分詞・現能主男)

1)言う、告げる、語る、話す、言い表す、述べる 2)呼ぶ、命ずる、指図する、言いつける 3)名づける、称する、呼びかける 4)意味する、指す

マタ1:20; 2:23; 5:44; 9:14,34;  マル2:11; 5:9; 12:18;  ルカ5:39; 6:46; 20:41;  ヨハ1:29; 2:6; 16:12;etc.

【起きて】 ᾽Εγερθεὶ  ἐγείρω  エゲイロー  egeirō {eg-i‘-ro} (vrapnm2s 動詞・命・1アオ・受・2単)

1)眠りからさます、おこす、めざめさせる、目を覚ます、呼び起こす、起こす、立ち上がる 2)動かす、刺激する 3)甦らせる、復活する、生き返らす

マタ1:24; 2:13,14,20, 21; 11:11; 8:15,26; 11:5; 25:7; 26:46;  マル4:27; 5:41; 14:42;  使徒3:15; 12:7;  ロマ13:11;  エペ1:20; 5:14  コロ2:12;  Ⅰテサ1:10 etc.

【幼子】 παιδίον  παιδίον  パイディオン paidion {pahee-dee‘-on} (n-an-s 名詞・対中単)

1)小さな子ども、生まれたての子、幼児、幼子  2)少年、少女 3)しもべ、奴隷

「παῖς 子ども」の指小詞

マタ2:8,9,11,13,14,20,21;  マル5:39; 9:24,36,37; 10:15;  ルカ9:47,48; 18:17;  ヨハ4:49 etc.

【と】 καὶ  καί カイ kai {kahee} (cc 接続詞・等位)

1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた

【その】 ατοὐ  αὐτός  アウトス autos {ow-tos‘}  (npgm3s 代名詞・属男3)

1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど

【母を】 μητέρα  μήτηρ  メーテール mētēr {may‘-tare} (n-af-s 名詞・対女単)

1)母、生みの親 2)子宮、母胎、胎内 3)祖国、故郷

マタ1:18; 2:11; 12:49,50  マル3;35;  ヨハ19:27;  ロマ16:13;  ガラ4:26;  Ⅰテモ5:2;  黙示12:5

【連れて】 παράλαβε  παραλαμβάνω  パラらムバノー  paralambanō {par-al-am-ban‘-o} (vmaa–2s 動詞・命・2アオ・能・2単)

< παρά  傍らに + λαμβάνω  掴む

1)受け入れる、引き継ぐ、受け継ぐ、継承する、引き受ける、受け取る、受ける 2)相続する、わがものにする 3)配偶者を受け入れる、みとめる、共に連れて行く 4)連れ出す、連れて行く 5)取り去る、取り上げる

マタ1:20,24; 17:1; 26:37;  マル4:36; 5:40; 7:4;  ルカ9:10;  ヨハ1:11;  Ⅰコリ11:23; 15:1,3;  ガラ1:9,12; ピリ4:9; コロ2:4; 4:17;  Ⅰテサ2:13; 4:1;  Ⅱテサ3:6;  ヘブ12:28; etc.

【そして】 καὶ  καί カイ kai {kahee} (cc 接続詞・等位)

1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた

【エジプト】 Αγυπτονἴ  Αἴγυπτος  アイグゆプトス Aiguptos {ah‘ee-goop-tos} (n-af-s 名詞・対女単)

エジプト

はじめはナイル河を呼ぶ名であったが、後に国を指すようになった。

マタ2:13,14,15,19;  使徒2:10; 7:9,10,11,12,15,17,18,34,36,39,40; 13:17; ヘブ3:16; 8:9; 11:26,27  ユダ5  黙示8:27

【へ】 εςἰ  εἰς エイス  eis {ice}  (pa 前置詞・対)

1)~の中へ 2)~へ 3)~まで 4)~のために 5)~に対して 6)~に向かって 7)~を目標にして 8)の間に

【逃げなさい】 φεγεῦ  φεύγω  ふェウゴー pheugō {fyoo‘-go} (vmpa–2s 動詞・命・現・能・2単)

1)逃げる、逃れる、逃げ去る 2)避ける、免れる 3)(国を)捨てる、亡命する

マタ2:13; 8:33; 10:23; 14:11; 24:16; 26:56;  マル5:14; 13:14; 14:50; 16:8;  ルカ8:34; 21:21;  ヨハ10:5,12;  使徒7:29; 27:30;  ヤコ4:7; 黙示9:6; 12:6

【そして】 καὶ  καί カイ kai {kahee} (cc 接続詞・等位)

1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた

【わたしが知らせるまで、そこにとどまっていなさい】 ἴσθι ἐκεῖ ἕως ἂν εἴπω σοι

永井訳 「我が汝にいわんときまで、そこにあれ」

【あなたに】 σοι\ σός ソス sos {sos} (npd-2s1 代名詞・与2単)

1)あなたの、お前の 2)あなたに

【知らせる】 επωἴ  εἶπον エイポン  eipon {i‘-pon} (vsaa–1s 動詞・仮・2アオ・能・1)

1)言う、話す、語る、告げる、言いあらわす、述べる、呼ぶ 2)命じる、願う、尋ねる 3)~と呼ぶ、称する 4)語られたこと、言葉、発言、発話、話の内容 5)出来事

【まで】 ἕως νἂ

ἕως  ἕως へオース  heōs {heh‘-oce} (cs 接続詞・従位)

1)~まで 2)~するまで 3)ところまで 4)の限度まで 5)に及ぶまで

ἂν  ἄν アン  an {an} (qv 不変化詞)

1)~まで 2)(~ならば~)です(仮定文で) 3)ともかく

事がある条件の元に起こることを示す

【そこに】 ἐκεῖ  ἐκεῖ エケイ ekei {ek-i‘} (ab 副詞)

1)そこに、そこで、かしこに、そちらへ、あちらへ、その方へ 2)その場所で 3)その時、当時

【とどまっていなさい】 ἴσθι  εἰμί エイミ  eimi {i-mee‘} (vmpa–2s 動詞・命・現・能・2単)

1)ある、いる、~である、~です、~だ 2)行われる、おこる、生ずる、現れる、来る 3)いる、滞在する、とどまる 4)存在する 5)生きている

【というのは】 γρὰ  γάρ  ガル gar {gar} (cs 接続詞・従位)

1)なぜなら、というのは、その理由は、だから 2)すなわち、では、いったい、結局 4)確かに、もちろん、だって

【ヘロデが】 ῾Ηρδηςῴ  ῾Ηρῴδης  ヘローデース Hērōdēs {hay-ro‘-dace} (n-nm-s 名詞・主男単)

ヘロデ  ギリシャ名「英雄」

(ヘロデ大王 マタ2:1~22;  ルカ1:5)

【幼子を】 παιδίον  παιδίον  パイディオン paidion {pahee-dee‘-on} (n-an-s 名詞・対中単)

1)小さな子ども、生まれたての子、幼児、幼子  2)少年、少女 3)しもべ、奴隷

「παῖς 子ども」の指小詞

マタ2:8,9,11,13,14,20,21;  マル5:39; 9:24,36,37; 10:15;  ルカ9:47,48; 18:17;  ヨハ4:49 etc.

【探し出して】 ζητεν ῖ ζητέω  ゼーテオー zēteō {dzay-teh‘-o} (+vnpa 不定詞・現能)

1)さがす、尋ね求める、捜し求める 2)追求する、探求する、捜索する、詮索する、調べる、求める、要求する 3)ねらう、計る

マタ2:13,20; 7:7,8; 12:43; 13:45; 18:12;  マル1:37;  ルカ2:48; 11:9,10,23; 13:6,7; 19:10;  ヨハ1:38;4:27; 5:30,44; 6:24; 7:18; 8:50; 18:4,7 etc.

【彼を】 ατόὐ  αὐτός  アウトス autos {ow-tos‘}  (npan3s 代名詞・対中3)

1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど

【殺そうと】 ἀπολέσαι  ἀπόλλυμι  アポるりゆーミ apollumi {ap-ol‘-loo-mee} (vnaag 不定詞・1アオ能属)

< ἀπό 完全に + ὄλλυμι 滅ぼす

1)全くないものにする、破滅する、絶やす、滅びる、破壊する、滅ぼす、無にする 2)失う、なくなる 3)救うことに失敗する 4)殺す、死ぬ、失われる、消滅する

マタ2:13; 5:29,30; 8:25; 10:28; 12:14; 18:14; 21:41; 22:7; 26:52; 27:20;  マル1:24; 3:6; 4:38; 9:22; 11:18;12:9;  ルカ4:34; 6:9; 8:24; 13:3;,5; 17:27,29; 20:16 etc.

【しているから】 μέλλει  μέλλω  メるろー  mellō {mel‘-lo} (vipa–3s+ 動詞・直・現・能・3単)

1)まさに~しようとしている 2)決心がつかずまだしていないが確実に来る 3)きっと~である、~に違いない 4)~でなければならない、~することになっている、~するつもりでいる 5)ためらう、ぐずぐずする、遅らせる

マタ2:13; 20:17,22;  マル10:32; 13:4; ルカ9:31; 10:1; 19:4; 21:7;  ヨハ6:6,15,71; 7:35,39; 12:4 etc.

† 英語訳聖書 Matt.2:13

King James Version
2:13 And when they were departed, behold, the angel of the Lord appeareth to Joseph in a dream, saying, Arise, and take the young child and his mother, and flee into Egypt, and be thou there until I bring thee word: for Herod will seek the young child to destroy him.

American Standard Version
2:13 Now when they were departed, behold, an angel of the Lord appeareth to Joseph in a dream, saying, Arise and take the young child and his mother, and flee into Egypt, and be thou there until I tell thee: for Herod will seek the young child to destroy him.

New International Version
2:13 When they had gone, an angel of the Lord appeared to Joseph in a dream. “Get up,” he said, “take the child and his mother and escape to Egypt. Stay there until I tell you, for Herod is going to search for the child to kill him.”

Bible in Basic English
2:13 And when they had gone, an angel of the Lord came to Joseph in a dream, saying, Get up and take the young child and his mother, and go into Egypt, and do not go from there till I give you word; for Herod will be searching for the young child to put him to death.

Darby’s English Translation
2:13 Now, they having departed, behold, an angel of the Lord appears in a dream to Joseph, saying, Arise, take to thee the little child and his mother, and flee into Egypt, and be there until I shall tell thee; for Herod will seek the little child to destroy it.

Douay Rheims
2:13 And after they were departed, behold an angel of the Lord appeared in sleep to Joseph, saying: Arise, and take the child and his mother, and fly into Egypt: and be there until I shall tell thee. For it will come to pass that Herod will seek the child to destroy him.

Noah Webster Bible
2:13 And when they had departed, behold, the angel of the Lord appeareth to Joseph in a dream, saying, Arise, and take the young child and his mother, and flee into Egypt, and be thou there until I bring thee word: for Herod will seek the young child to destroy him.

Weymouth New Testament
2:13 When they were gone, and angel of the Lord appeared to Joseph in a dream and said, ‘Rise: take the babe and His mother and escape to Egypt, and remain there till I bring you word. For Herod is about to make search for the child in order to destroy Him.’

World English Bible
2:13 Now when they had departed, behold, an angel of the Lord appeared to Joseph in a dream, saying, ‘Arise and take the young child and his mother, and flee into Egypt, and stay there until I tell you, for Herod will seek the young child to destroy him.’

Young’s Literal Translation
2:13 And on their having withdrawn, lo, a messenger of the Lord doth appear in a dream to Joseph, saying, ‘Having risen, take the child and his mother, and flee to Egypt, and be thou there till I may speak to thee, for Herod is about to seek the child to destroy him.’

Amplified Bible
2:13 Now when they had gone, an angel of the Lord appeared to Joseph in a dream and said, “Get up! Take the Child and His mother and flee to Egypt, and remain there until I tell you; for Herod intends to search for the Child in order to destroy Him.”

† 細き聲 聖書研究ノート

<その去り往きしのち、視よ、主の使、夢にてヨセフに現れていふ『起きて、幼兒とその母とを携へ、エジプトに逃れ、わが告ぐるまで彼處に留れ。ヘロデ幼兒を索(もと)めて亡さんとするなり』>

東の博士たちが国に戻っていくと、主の使いは夢でヨセフに、幼児と妻マリヤを連れてエジプトに逃れるようにと告げた。ヘロデ王が新しく生まれた王を殺害しようとしていたからである。

<逃げなければならない危険>

「帰る ἀναχωρέω  アナこーレオー」は「危険を避けて逃れ去る」の意味。何もかも放置して逃げなければならない危険というものがある。その時には後ろを見ずに一目散に逃げなければならない。

<神的なものの現れ>

夢に「神やサタン」が現れることがまれにある。「神的なもの」の夢への現れは注意深く扱わなければならない。魂に何らかの危機が迫っていることも少なくない。

<起きて>

「起きて ἐγείρω  エゲイロー」は「目をさまして」。「夢」はヨセフに「目覚める」よう命じる。「夜」が危険を告げたら、寝ていてはいけない。無意識が意識を目覚めさせようとしている。

<探す人>

ヘロデも「探す ζητέω  ゼーテオー」人であった。彼は熱心に探したが、求めるものを見出すことはできなかった。熱意さえあれば、「求めなさい。そうすれば、与えられる。探し(ζητέω  ゼーテオー)なさい。そうすれば、見つかる。門をたたきなさい。そうすれば、開かれる」(マタイ7:7)が実現するのでは、勿論ない。「求め ζητέω  ゼーテオー」もまた神から来るのである。

<そこにて存在せよ>

ヨセフが家族と共にとどまるように命じられたのは「異教の地、エジプト」だった。「そこにとどまっていなさい εἰμί エイミ」は「そこにて存在せよ」。神が語られるまでは、置かれた所に在ること。

<やがての現実>

まだ、ヘロデの心では幼子への殺意が具体化されていない。しかし、やがて現実になる「思い」は今の自分にすでに生み出されているのである。

「何をすべきか」は、まだ現実になっていないが確実に来ようとしているものから知らされる。未来からの「今ここ」へのメッセージである。

<「大事に」お連れする>

「連れて行く παραλαμβάνω  パラらムバノー」は「παρά  傍らに + λαμβάνω  掴む」こと。詳訳聖書は「〔大事に〕お連れして」と、その意味を伝えている。ヨセフは妻マリヤと幼子イエスを「自身そのもの」として引き受け、運んでゆく。夫は妻と子どもたちを安全なところに「大事に」お連れする者である。

<ヘロデの幼児虐殺事件>

「ヘロデの幼児虐殺事件」はマタイ福音書にのみ記録され、他の福音書にはない。また、歴史家ヨセフスも事件について言及していない。

「ヘロデの幼児虐殺事件」が史実としてどのようなものであったのかについて、その規模、及び犠牲者の数など、確かな資料は発見できていない。

一説によればベツレヘムは小さな寒村で当時の人口はわずか300人から多くても1000人ほどであったことから、殺害された幼児は20~30人ほどであったであろうという。この数字は正教会の14000人という見解とは大きな隔たりがある。

<稲むらの火>

「稲むらの火」は昭和12年から23年まで、初等科国語読本の教材としてとりあげられた物語である。原作はラフカジオ・ハーン(小泉八雲)である。ハーンは、安政元年22月6日、紀伊を襲った4日、5日の2回の南海大地震に際し、たまたま広村にいた濱口儀衛(梧稜)(現ヤマサ醤油7代目当主)が、大津波を予想し、自分の田に収穫された稲むらに火を放って村人に急を知らせ村人を救った話から『生ける神』として執筆したものを、後に小学校教師だった中井常蔵が『稲むらの火』と著したものである。

核の時代は人間に逃げることの無意味さを繰り返し告げた。現代のヘロデは「ベツレヘムとその周辺の二歳以下のすべての男の子」ばかりでなく、エジプトを含む全地域の子どもを一人残らず殺す手段を手に入れた。しかし、核時代の最も大きな成果は、一人の人間が大量殺戮兵器を手にしたことではなく、人民に逃げることの無意味さを教えることに成功したことにある。数百メートルの津波を目前にした人は、もはや、「稲むらの火」を見ても、逃げようとしない。

問題は、いったん逃げることの無意味さを認めた人間はあらゆることにおいて抵抗するのを止めてしまうことにある。核の時代において脱出は意味がない。現代の「エジプトへの避難」は逃げるというよりも、ヘロデに決断をさせないためにそこにとどまることにある。「稲むら」に火をつけるときがきている。

逃げるのと留まるのと、共に同じ勇気がいる。

† 心のデボーション

「その去り往きしのち、視よ、主の使、夢にてヨセフに現れていふ『起きて、幼兒とその母とを携へ、エジプトに逃れ、わが告ぐるまで彼處に留れ。ヘロデ幼兒を索(もと)めて亡さんとするなり』」 マタイ2:13 大正文語訳聖書

「なんじの敵より、おのが身を遠く離せ。またなんじの友に心せよ」 ベン=シラの知恵6:13 日本聖公会訳

「敵」

奇妙なことに、人は「敵」に近づきたがる。危険と知りながら関心を寄せる。「敵を愛する」はそういうことではない。そしてまた、「友」ならどんなに近づいてもよいものでもない。友は最も手ごわい敵に変わりやすい。敵から身を遠く離すだけでなく、友に心せよ。

† 心のデボーション

「起きて、幼兒とその母とを携へ、エジプトに逃れ」 マタイ2:13 大正文語訳聖書

「起きて、子供とその母親を連れて、エジプトに逃げ」 新共同訳聖書

「旅人」

トーキー映画「独裁者」で、チャップリンは独裁者アデノイド・ヒンケルと瓜二つの床屋のチャーリーの二役を演じて、ヒトラーを痛烈に批判した。床屋のチャーリーはユダヤ人だった。

当時、多くのユダヤ人は子どもに床屋の技術を身につけさせたという。ハサミとクシさえあれば、世界のどこに逃げてもそこで商売して生きていけると考えてのことだった。ユダヤ人にとって教育とは、子どもに生きていく技術を身につけさせることである。

旅人のように生きなければ、一夜のうちにエジプトに逃れることはできない。

(チャールズ・チャップリンは映画の役割からユダヤ人説がうまれたが、床屋の仕事をしたことがあるもののユダヤ人ではない)

† 心のデボーション

「ヘロデ幼兒を索(もと)めて亡さんとするなり」 マタイ2:13 大正文語訳聖書

「ヘロデが、この子を探し出して殺そうとしている」 新共同訳聖書

「自分の影」

ヘロデが王位を守るために徹底したことは「処刑と暗殺」であった。しかし、それだけでヘロデを「残忍な支配者」と決めつけるのは間違いである。ヘロデに「抹殺の意志」があったことは事実だが、それなくしては王位を維持することは難しいほどの陰謀がめぐらされていたのである。

周辺の諸国に飢饉がおこったときヘロデは寛大な支援を行っていることなどからも、ヘロデが単なる「残忍で狡猾な老人」ではなかったということもできるかもしれない。

ヘロデが心底怯えたのは「自分の影」に対してではなかったか。

一人の人間には正反対の側面が同量に含まれている。

† 心のデボーション

「エジプトに逃れ」 マタイ2:13 大正文語訳聖書

「エジプトに逃げ」 新共同訳聖書

「逃げゆく所」

「逃」の「兆」は占いで亀の甲羅を焼いて生じたひび割れのこと。右左に走るひび割れのように行く。だが、むやみにではない。「逃げる」には、「逃げゆく所」がなければならない。

小動物を広場に置くと、どこに行けばよいかわからず、固まって動けなくなる。逃げたことのない人は、どこに逃げたらよいかが分からない。「逃げる」ことを学ばなければ人生はひどい事になる。「逃げる術」を身につけること。

† 心のデボーション

「わが告ぐるまで彼處に留れ」 マタイ2:13 大正文語訳聖書

「わたしが告げるまで、そこにとどまっていなさい」 新共同訳聖書

「留まれ」

「留」は「開きそうになる窓や戸を押さえて止めること」(『漢字源』学研)という。「止」は足の形で、じっと一所に止まること。

「留まれ」という声を聞いたら、はやる心を押さえて一所に足を置く。何もしないのではなく、留まるべき所に身を置く。なすべきことはそこにある。

† 心のデボーション

「わが告ぐるまで彼處に留れ」 マタイ2:13 大正文語訳聖書

「わたしが告げるまで、そこにとどまっていなさい」 新共同訳聖書

「盗賊ディスマス」

伝説によれば、ヨセフがマリヤと幼子イエスを伴ってエジプトに逃れる途中、ディスマスという名の強盗に襲われるが、ディスマスは幼子イエスを見て心を動かされ、ヨセフたちに危害を加えず、「もし、私に憐れみをかけてくださる時が来たらば、この時のことを忘れないでください」と言った。イエスと共に十字架につけられた二人の強盗の一人はこのディスマスで十字架の上でゆるしを得たという。(ルカ23:39~43)

(「ディスマス」は聖人名簿に載せるためにつけられた名前で、実際の名は不明であり、正教会では「右盗」と呼ばれる)

† 細き聲 説教

「エジプト」

「その去り往きしのち、視よ、主の使、夢にてヨセフに現れていふ『起きて、幼兒とその母とを携へ、エジプトに逃れ、わが告ぐるまで彼處に留れ。ヘロデ幼兒を索(もと)めて亡さんとするなり』」 マタイ2:13 大正文語訳聖書

ヨセフは夢でヘロデ王の幼児殺害から逃れるためエジプトに行くように告げられ、直ちに出発する。

「エジプト」はユダヤ人にとって忘れることの出来ない国である。アブラハムの子ヤコブの時代に飢饉を逃れてエジプトに下り、400年の間、イスラエル民族は奴隷としてエジプトに留まり、モーセに導かれてエジプトを脱出してパレスティナに戻ったのである。

イエスはあたかもイスラエルの苦難の道を辿るかのようにエジプトに下られている。

エジプト滞在は長いものではなく、ヘロデ王の死と共にヨセフはガリラヤのナザレに戻る。

マタイは幼子イエスのエジプト滞在を語り、モーセによるイスラエル民族のエジプト脱出と主イエスの十字架による解放の福音を重ねて語るかのようである。

イエスは人間の苦悩をことごとく知り、そこからの解放を来たらせる救い主である。

(皆川誠)

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