† 福音書対観 「東方の博士の来訪」 マタイ2:1~12
マタイ2:1~12
Matt. 2:4そこで王は祭司長たちと民の律法学者たちとを全部集めて、キリストはどこに生れるのかと、彼らに問いただした。 口語訳聖書
† 日本語訳聖書 Matt. 2:4
【漢訳聖書】
Matt. 2:4 乃集祭司諸長、興民間士子、問之曰、基督當於何處生。
【明治元訳】
Matt. 2:4 凡(すべて)の祭司(さいし)の長(をさ)と民(たみ)の學者(がくしや)とを集(あつめ)てヘロデ問(とひ)けるはキリストの生(うま)るべき處(ところ)は何所(いづこ)なる乎(や)
【大正文語訳】
Matt. 2:4 王、民の祭司長・學者らを皆あつめて、キリストの何處(いづこ)に生(うま)るべきを問ひ質(ただ)す。
【ラゲ訳】
Matt. 2:4 王は司祭長と民間の律法學士とを悉(ことごと)く集めて、キリスト何處(いづこ)に生るべきかと問ひたるに
【口語訳】
Matt. 2:4 そこで王は祭司長たちと民の律法学者たちとを全部集めて、キリストはどこに生れるのかと、彼らに問いただした。
【新改訳改訂3】
Matt.2:4 そこで、王は、民の祭司長たち、学者たちをみな集めて、キリストはどこで生まれるのかと問いただした。
【新共同訳】
Matt. 2:4 王は民の祭司長たちや律法学者たちを皆集めて、メシアはどこに生まれることになっているのかと問いただした。
【バルバロ訳】
Matt. 2:4 ヘロデ王は司祭長たちと民間の律法学士たちを呼び寄せて、キリストはどこに生まれるはずなのかと尋ねた。
【フランシスコ会訳】
Matt. 2:4 王は大祭司や民の律法学者たちを全部集めて、メシアはどこに生まれるのかを、問いただした。
【日本正教会訳】
Matt. 2:4 乃(すなわち) 凡(およそ)の 司祭長と 民間の 學士とを 集めて、 彼等に 問へり、 ハリストスは 何處(いづこ)に生るべきか。
【塚本虎二訳】
Matt. 2:4 そこで王は国の大祭司連、聖書学者たちを全部集めて、救世主はどこで生まれるべきであるかとたずねた。
【前田護郎訳】
Matt. 2:4 彼は民の大祭司と学者らすべてを集めてたずねた、「どこにキリストがお生まれになるのか」と。
【永井直治訳】
Matt. 2:4 かくて彼はすべて民の祭司長等及び學者等を集めて、キリストは何處に生まれ給ふべきやを、彼等に尋ねたり。
【詳訳聖書】
Matt. 2:4 それで、彼は民のすべての祭司長と学者<書記官>を招集して、キリスト<メシア>が生まれるのはどこかを彼らにしきりに尋ねた。
† 聖書引照 Matt. 2:4
Matt. 2:4 王、民の祭司長・學者らを皆あつめて、キリストの何處(いづこ)に生(うま)るべきを問ひ質(ただ)す。
[民の祭司] マタ21:15,23; 26:3,47; 27:1; Ⅰコリ24:4-19; Ⅱコリ36:14; エズ10:5; ネヘ12:7; 詩篇2:2; ヨハ7:32; 18:3
[學者ら] マタ7:29; 13:52; Ⅱコリ34:13,15; エズ7:6,11,12; エレ8:8; マル8:31; ルカ20:19; 23:10; ヨハ8:3; 使徒4:5; 6:12; 23:9
[問ひ質(ただ)す] マラ2:7; ヨハ3:10
† ギリシャ語聖書 Matt. 2:4
Stephens 1550 Textus Receptus
και συναγαγων παντας τους αρχιερεις και γραμματεις του λαου επυνθανετο παρ αυτων που ο χριστος γενναται
Scrivener 1894 Textus Receptus
και συναγαγων παντας τους αρχιερεις και γραμματεις του λαου επυνθανετο παρ αυτων που ο χριστος γενναται
Byzantine Majority
και συναγαγων παντας τους αρχιερεις και γραμματεις του λαου επυνθανετο παρ αυτων που ο χριστος γενναται
Alexandrian
και συναγαγων παντας τους αρχιερεις και γραμματεις του λαου επυνθανετο παρ αυτων που ο χριστος γενναται
Hort and Westcott
και συναγαγων παντας τους αρχιερεις και γραμματεις του λαου επυνθανετο παρ αυτων που ο χριστος γενναται
† ギリシャ語聖書 品詞色分け
Matt. 2:4
καὶ συναγαγὼν πάντας τοςὺ ἀρχιερεῖς καὶ γραμματεῖς τοῦ λαοῦ ἐπυνθάνετο παρ ᾽αὐτῶν ποῦ ὁ Χριστὸς γεννᾶται.
† ヘブライ語聖書 Matt. 2:4
Matt. 2:4
הוּא כִּנֵּס אֶת כָּל רָאשֵׁי הַכֹּהֲנִים וְסוֹפְרֵי הָעָם וְשָׁאַל אוֹתָם אֵיפֹה יִוָּלֵד הַמָּשִׁיחַ.
† ラテン語聖書 Matt. 2:4
Latin Vulgate
Matt. 2:4
Et congregans omnes principes sacerdotum, et Scribas populi, sciscitabatur ab eis ubi Christus nasceretur.
And gathering together all the leaders of the priests, and the scribes of the people, he consulted with them as to where the Christ would be born.
† 私訳(詳訳)Matt. 2:4
【私訳】「それで、彼〔ヘロデ王〕は祭司長たちと人々<民、民間人、民衆>の律法学者たちをみな<ことごとく、一人残らず>招集し<一つ所に集め、取りまとめ>、キリスト<メシア>はどこに生まれるかを彼らに問いただした<尋ねて確かめた、聴聞した>」
† 新約聖書ギリシャ語語句研究
Matt. 2:4
καὶ συναγαγὼν πάντας τοςὺ ἀρχιερεῖς καὶ γραμματεῖς τοῦ λαοῦ ἐπυνθάνετο παρ ᾽αὐτῶν ποῦ ὁ Χριστὸς γεννᾶται.
【それで】 καὶ καί カイ kai {kahee} kai {kahee} (ch 接続詞・完)
1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた
【王は】 原文に「王」はない。
【祭司長たち】 ἀρχιερεςῖ ἀρχιερεύς アルきエレウス archiereus {ar-khee-er-yuce‘} (n-am-p名詞・対男)
< ἀρχή 支配者、長、長官、頭 + ἱερεύς 祭司
1)大祭司、祭司長 (複数)祭司長、(単数)大祭司
ラテン語では pontifex ポンティフェックス で、この語には「橋をかける人」の意味がある。
神と人の仲立ちをする者。
マタ2:4; 16:21;26:3; 27:41; マル8:31; 14:1; 15:1; ルカ19:47; 22:52,66; 23:4; 24:20; ヨハ7:32;18:35; 使徒4:23; 5:24; 9:14,21; 22:30; 23:14
【と】 καὶ καί カイ kai {kahee} (cc 接続詞・等位)
1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた
【民の】 λαοῦ λαός らオス laos {lah-os‘} (n-gm-s 名詞・属男単)
1)人々、人の群れ 2)群衆、民衆、大衆 3)民、民族 4)国民、種族 5)イスラエル民族
マタ1:21; 2:4; 4:23; 13:15; 21:23; 26:3,42; 27:1; マル7:6; ルカ1:17,68; 2:10; 19:47; 22:66; ヨハ11:50; 使徒3:23; 4:8,10; 15:14; ロマ9:23,26; ヘブ4:9; 11:25; Ⅰペテ2:10; Ⅱペテ2:1; 黙示18:4 etc.
【律法学者たちを】 γραμματεςῖ γραμματεύς グラムマテウス grammateus {gram-mat-yooce‘} (n-am-p 名詞・対男複)
< γράμμα 文字
1)書記、記録係 2)律法学者 3)学者
彼らは聖書の筆写から始まり、律法を日常生活に適用するための研究を目指した
マタ2:4; 5:20; 9:3; 15:1; 17:10; 21:15; 23:2,34; マル2:6; 7:1; 9:11; 11:18,27; 12:23,35; 15:1; ルカ19:47;20:1; 22:2; Ⅰコリ1:20
【皆】 πάντας πᾶς パース pas {pas} (a–am-p 形容詞・対複)
1)どれでも、何であれ、何でも、あらゆる、みな 2)~全部の、あらんかぎりの、1つも欠けが無い、ひとり残らず 3)全体の、全部の、すべて 4)混じりものがなく、純粋な
πᾶσαι パーサイ 「πᾶς どれでも、全体の」の複数形
【集め】 συναγαγνὼ συνάγω スゆナゴー sunagō {soon-ag‘-o} (vpaanm-s 分詞・2アオ能主男単)
< σύν ~と一緒に + ἄγω 行く、来る
1)運ぶ 2)集める、寄せ集める、一つところにもってくる、持ち寄る 3)集まる、集合する 4)まとめる、取り入れる 5)結び合わせる、和解させる 6)招集する 7)家に迎える、厚くもてなす、歓待する
マタ2:4; 3:12; 6:26; 13:30,47; 22:10;25:24,26; ルカ15:12; ヨハ4:36; 6:12,13; 11:47; 15:6 使徒14:27;15:30; 黙示16:14,16; 20:8 etc.
【メシアは】 Χριστςὸ 原文は「キリスト」
【メシアは】 Χριστςὸ Χριστός くリストス Christos { khris-tos‘ } (n-nm-s 名詞・主男単)
キリスト ヘブライ語「םָשִׁיחַ メシーハー mashiyach {maw-shee’-akh}」、アラム語の「メシアーハー」のギリシャ名で「油そそがれた者、メシア」の意味
「油そそぎ」は王や大祭司の任職式に行なわれた。(Ⅰサムエル10:1、出エジプト30:22~30「聖なるそそぎ油」(出エジプト30:25)と呼ばれ、「油そそがれたもの」は聖なるものとされた。(出エジプト30:29)
マタ16:16; 24:24; マル8:29; 13:22; ルカ9:20; 24:46; ヨハ4:25; 使徒17:3; ピリ1:15; Ⅰヨハ2:22; 5:1; 黙示20:4 etc.
【どこに】 ποῦ ποῦ プー pou {poo} (abt 副詞・疑)
1)どこに、どこへ 2)どの場所に 3)どのように 4)どうして
【生まれるか】 γεννταιᾶ γεννάω ゲンナオー gennaō { ghen-nah‘-o } (vipp–3s 動詞・直・現・受・3単)
1)(父が子を)もうける、(母が子を)産む、~の父となる 2)生ませる、産出する、発生させる、生ぜしめる 3)生まれつき、生まれながら 4)(事物を)産出する、発生させる、生ずる、生ぜしめる
マタ1:2,16,20; ヨハ1:13; 3:3,5; Ⅰヨハ4:7; 5:1
【彼ら】 ατὐῶν αὐτός アウトス autos {ow-tos‘} (npgm3p 代名詞・属男3)
1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど
【から】 παρ᾽ παρά パラ para {par-ah‘} (pg 前置詞・属)
1)~から 2)の傍らで 3)の所へ
【問いただした】 ἐπυνθάνετο πυνθάνομαι プゆンたノマイ punthanomai {poon-than‘-om-ahee}
1)問い尋ねる、尋ねて確かめる、問いただす、尋ねる 2)聞き知る
マタ2:4; ルカ15:26; 18:36; ヨハ4:52; 使徒4:7; 10:18,28; 21:33; 23:19,20
† 英語訳聖書 Matt. 2:4
King James Version
2:4 And when he had gathered all the chief priests and scribes of the people together, he demanded of them where Christ should be born.
American Standard Version
2:4 And gathering together all the chief priests and scribes of the people, he inquired of them where the Christ should be born.
New International Version
2:4 When he had called together all the people’s chief priests and teachers of the law, he asked them where the Christ was to be born.
Bible in Basic English
2:4 And he got together all the chief priests and scribes of the people, questioning them as to where the birth-place of the Christ would be.
Darby’s English Translation
2:4 and, assembling all the chief priests and scribes of the people, he inquired of them where the Christ should be born.
Douay Rheims
2:4 And assembling together all the chief priests and the scribes of the people, he inquired of them where Christ should be born.
Noah Webster Bible
2:4 And when he had assembled all the chief priests and scribes of the people, he inquired of them where Christ should be born.
Weymouth New Testament
2:4 So he assembled all the High Priests and Scribes of the people, and anxiously asked them where the Christ was to be born.
World English Bible
2:4 Gathering together all the chief priests and scribes of the people, he asked them where the Christ would be born.
Young’s Literal Translation
2:4 and having gathered all the chief priests and scribes of the people, he was inquiring from them where the Christ is born.
Amplified Bible
2:4 So he called together all the chief priests and [d]scribes of the people and [anxiously] asked them where the Christ (the Messiah, the Anointed) was to be born.
Footnotes:
Teachers and professional scholars specializing in the Law (Hebrew Bible, the Old Testament) and writings of the prophets.
† 細き聲 聖書研究ノート
<王、民の祭司長・學者らを皆あつめて、キリストの何處(いづこ)に生(うま)るべきを問ひ質(ただ)す>
ヘロデ王はマギたちを官邸にとどめ、祭司長、律法学者たちを招集し、「キリスト(メシア)がどこに生まれるのかを聞き出そうとした。
<橋を架ける人>
「祭司長 ἀρχιερεύς アルきエレウス」はラテン語の「ポンティフェックス pontifex」で、「橋を架ける人」の意味がある。
古代ローマでは神官団(Pontifices)が宗教的権威と統治機構の権威を兼ね備える重要な地位を占めていた。神官の長として神官団を代表したのが「最高神祇官(ポンティフェクス・マクシムス、Pontifex Maximus)」であった。Pontifex は、pons 橋 fasio 建設する で「橋を架ける人」の意味である。神と人の間をとりもつ者とされた。
後に、キリスト教が公認されると、教皇は古代ローマ国家の長としての「最高神祇官(ポンティフェクス・マクシムス、Pontifex Maximus)」をそのまま用いることになり、ローマ教皇の正式名称は Pontifex maximus(最高の司教)となった。「橋」は地上から天国に至る道ともみられている。…
ちなみに、第265代ローマ法王ベネディクト16世は2012年12月3日、法王として初のツイッター「@Pontifex」を開設している。
<橋を架ける人>
神と人の間に「橋を架ける」のは「私」である。その意味からも人はみな祭司である。
<根源の人>
「祭司長 ἀρχιερεύς アルきエレウス」の「長 ἀρχή アルケー 支配者、長、長官、頭」には「はじめ、根源」の意味がある。「長」たる者は、「はじめ」に立ち、「根源」となることによって、「頭」とされる。「指導者」は、時と出来事の「はじめ」に立ち、「根源」を示す者のことである。
神は人を「根源」を持つ者として創造された。だが、人は自らの「根源」に至るために生涯をついやさなければならない。
<律法学者>
旧約聖書では「書記、秘書」とよばれ、聖書の筆写をする者であったが、次第に律法の解釈を行うようになった。捕囚後、神殿に代わって建設されたシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)で人々を教え、教育する教師、学者であった。サンヘドリン(ユダヤ人の最高議会)は祭司、長老、律法学者によって構成された。
<問の立て方>
「問いただす πυνθάνομαι プゆンたノマイ」は「尋ねて確かめる」こと。ヘロデが知りたかったのは「メシア」についてではなく、「何処に生まれるか」だった。問いの立て方を間違えると確かめられるものは何もない。
<どこに生まれることになっているか?>
東の博士たちは「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか」とイエスがすでに誕生されたものとしてヘロデに尋ねているのに対して、ヘロデは祭司長、律法学者たちに「メシアはどこに生まれることになっているか」と問いただしている。ヘロデは俄かにはイエスの誕生を認めない。
ギリシャ語で「疑う」は διστάζω ディスタゾー で、「ためらい、困惑し、躊躇する」の意味を含む。ヘロデは半信半疑だったが、その心はもたらされた疑惑に大きく揺れていた。
† 心のデボーション
「王、民の祭司長・學者らを皆あつめて、キリストの何處(いづこ)に生(うま)るべきを問ひ質(ただ)す」マタイ2:4 大正文語訳聖書
「ヘロデ王は司祭長たちと民間の律法学士たちを呼び寄せて、キリストはどこに生まれるはずなのかと尋ねた」 バルバロ訳聖書
「文献の富に酔う」
ヘロデは「民の祭司長たちや律法学者たち」を皆集める。
柳田國男氏に次のような文がある。
「明治の末頃に、私はある一つの大きな文庫の管理者となり、昔からよく謂う汗牛充棟の見本を体験した。一言でいえは文献の富に酔うたのである。本さえ熱心に読んでおれば、しまいには御国の昔の事はみなわかるだろうというような、まちがった夢を見たのも実は私であった。ところが実際は見当がつかなければ文の林には入って行けない。何を知りたいのかの筋が立たぬ限り、書物は我々の相談相手にはなってくれない。そうしてこの研究の発足点となったのは、やはり芥子粒ほどの民間の伝承と、是を不思議としてわけを問わずには居られなかった、子ども見たような私の好奇心とであった」(柳田國男『妹の力』)
「祭司長、律法学者」もまた「文献の富に酔う」人々であった。そして、現代、人はインターネットという「文献の富に酔う」時代に入った。しかし、「見当がつかなければ文の林には入って行けない。何を知りたいのかの筋が立たぬ限り、書物(インターネット)は我々の相談相手にはなってくれない」のである。
† 心のデボーション
「王、民の祭司長・學者ら」マタイ2:4 大正文語訳聖書
「ヘロデ王は司祭長たちと民間の律法学士たち」 バルバロ訳聖書
「橋を架ける人」
神と人の間に「橋」を架けるのは聖なる働きである。しかし、問題は「橋を架ける人」が橋の入口に立ち、ある者を通し、ある者の通過を拒むようになったことである。橋を架ける者は橋の門番になってはならない。橋は渡すために造られるのであって、拒むためにつくられるのではない。
† 心のデボーション
「キリストの何處(いづこ)に生(うま)るべきを問ひ質(ただ)す」マタイ2:4 大正文語訳聖書
「キリストはどこに生まれるはずなのかと尋ねた」 バルバロ訳聖書
「問いただす」
「So he assembled all the High Priests and Scribes of the people, and anxiously asked them where the Christ was to be born.」Matt. 2:4 Weymouth New Testament
「問いただす」をWeymouth New Testamentは「anxiously(心配して、案じて、切望して) asked(問いただす)」と訳す。ヘロデにとってキリストは「気がかりな」存在であり、「切望」の対象であった。それを求める思いは信じる者を上回るのである。
† 心のデボーション
「王、民の祭司長・學者らを皆あつめて、キリストの何處(いづこ)に生(うま)るべきを問ひ質(ただ)す」マタイ2:4 大正文語訳聖書
「ヘロデ王は司祭長たちと民間の律法学士たちを呼び寄せて、キリストはどこに生まれるはずなのかと尋ねた」 バルバロ訳聖書
「その何事なるかを問ふ」
放蕩息子の兄は畑から帰って、いつもとは違う家の賑わいに「僕の一人を呼びてその何事なるかを問ふ(πυνθάνομαι プゆンたノマイ 問いただし)」た。(ルカ15:26)
ある目の不自由な男はイエスが通られたとき、いつもとは違う道の賑わいに「その何事なるかを問ふ(πυνθάνομαι プゆンたノマイ 問いただし)」た。(ルカ18:36)
いつもとは違うものが現れたとき、「その何事なるかを問ふ(πυνθάνομαι プゆンたノマイ)」がよい。イエスと出会うことができる。
† 心のデボーション
「王、民の祭司長・學者らを皆あつめて、キリストの何處(いづこ)に生(うま)るべきを問ひ質(ただ)す」マタイ2:4 大正文語訳聖書
「ヘロデ王は司祭長たちと民間の律法学士たちを呼び寄せて、キリストはどこに生まれるはずなのかと尋ねた」 バルバロ訳聖書
「尋ねて確かめる」
「問いただす πυνθάνομαι プゆンたノマイ punthanomai {poon-than‘-om-ahee}」は「尋ねて確かめる」ことである。「問ふ」の漢字は「門」に「口」で、二つの扉を閉ざして中を隠す「門」の前に立ち、わからないことを「口」で探り出すの意味である。
「門を叩け、さらば開かれん」(マタイ7:7 大正文語訳聖書)は、「問ふ者」に与えられる言葉である。
† 心のデボーション
「王、民の祭司長・學者らを皆あつめて」マタイ2:4 大正文語訳聖書
「ヘロデ王は司祭長たちと民間の律法学士たちを呼び寄せて」 バルバロ訳聖書
「主の会衆」
「あつめて」は、ラテン語訳 congregans で、congrego 「集める、集結する」の意味である。
英語 congregation は「集合、集会、修養会」の意味である。
「汝等イスラエルの全會衆に告て言べし」(出エジプト12:3)。 モーセによってエジプトを脱出したユダヤ民族は「Congregation 会衆」と呼ばれた。へブル語 「עֵדַה 会衆」は「指定されて集まった者]」の意味である。
「主の会衆」(申命31:30)であった。
ヘロデは祭司長、律法学者を「congrego 招集」した。ヘロデの「congregation」においても、彼らは本来
「Congregation 主の会衆」としての自己を見失うべきではなかった。
† 細き聲 説教
「エルサレムの識者たち」
「王、民の祭司長・學者らを皆あつめて、キリストの何處(いづこ)に生(うま)るべきを問ひ質(ただ)す」マタイ2:4 大正文語訳聖書
「ヘロデ王は司祭長たちと民間の律法学士たちを呼び寄せて、キリストはどこに生まれるはずなのかと尋ねた」バルバロ訳聖書
東の博士たちがもたらした「新しき王の誕生」に驚愕したヘロデ王はユダヤ人の祭司長、律法学者たちを集めてどこに生まれるかを調べさせた。
祭司長、律法学者たちは直ちに聖書を調べ、答えを出して見せる。
彼らは日々、聖書を読み、知識を蓄えた「エルサレムの識者」である。その知識は直ちに「東の国に出現した不思議な星」の意味を突き止めることができた。
しかし、その知識は彼らの日常を動かすことがない。彼らは依然として神殿にとどまり、東の博士たちのようにメシアのところに急ぎ尋ねることをしない。
彼らは聖書に語らせるが、実は、聖書によって自分の言葉を語るに過ぎない。
学ぶだけで行動のない信仰から見出すものはない。
(皆川誠)
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