マタイによる福音書 2章3節

マタイによる福音書
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† 福音書対観 「東方の博士の来訪」 マタイ2:1~12

マタイ2:1~12

Matt. 2:3ヘロデ王はこのことを聞いて不安を感じた。エルサレムの人々もみな、同様であった。 口語訳聖書

† 日本語訳聖書 Matt. 2:3

【漢訳聖書】
Matt. 2:3 希律王聞此、則懼、擧耶路撒冷皆然。

【明治元訳】
Matt. 2:3 ヘロデ王(わう)これを聞(きき)て痛(いた)む又(また)エルサレムの民(たみ)もみな然(しか)り

【大正文語訳】
Matt. 2:3 ヘロデ王これを聞きて惱みまどふ、エルサレムも皆然り。

【ラゲ訳】
Matt. 2:3 ヘロデ王之を聞きて狼狽(うろた)へしが、エルザレムも亦挙(こぞ)りて然ありき。

【口語訳】
Matt. 2:3 ヘロデ王はこのことを聞いて不安を感じた。エルサレムの人々もみな、同様であった。

【新改訳改訂3】
Matt.2:3  それを聞いて、ヘロデ王は恐れ惑った。エルサレム中の人も王と同様であった。

【新共同訳】
Matt. 2:3 これを聞いて、ヘロデ王は不安を抱いた。エルサレムの人々も皆、同様であった。

【バルバロ訳】
Matt. 2:3 これを知ってヘロデ王はひどくうろたえた。エルサレムの人々とても同じことだった。

【フランシスコ会訳】
Matt. 2:3 これを聞いたヘロデ王はうろたえたが、エルサレムの人々も皆同じだであった。

【日本正教会訳】
Matt. 2:3 イロド王 之を 聞きて 心 騒げり、 イエルサリム 擧(こぞ)りて 亦(また) 然り。

【塚本虎二訳】
Matt. 2:3 (救世主が生まれたと)聞いて、ヘロデ王はもちろんエルサレム中の人々も王と共にうろたえた。

【前田護郎訳】
Matt. 2:3 それを聞いてヘロデ王はうろたえた。全エルサレムもそうであった

【永井直治訳】
Matt. 2:3 然るにヘロデ王聞きて當惑せしめられき、またすべてエロソルマも彼と共〔なりき〕。

【詳訳聖書】
Matt. 2:3 それを聞いてヘロデ王はうろたえた。全エルサレムもそうであった。

† 聖書引照 Matt. 2:3

Matt. 2:3 ヘロデ王これを聞きて惱みまどふ、エルサレムも皆然り。

[ヘロデ王これを聞きて惱みまどふ]  マタ8:29; 23:37; Ⅰ列王18:17,18; ヨハ11:47,48; 使徒4:2,24~27; 5:24~28; 16:20,21; 17:6,7

† ギリシャ語聖書 Matt. 2:3

Stephens 1550 Textus Receptus
ακουσας δε ηρωδησ ο βασιλευς εταραχθη και πασα ιεροσολυμα μετ αυτου

Scrivener 1894 Textus Receptus
ακουσας δε ηρωδησ ο βασιλευς εταραχθη και πασα ιεροσολυμα μετ αυτου

Byzantine Majority
ακουσας δε ηρωδησ ο βασιλευς εταραχθη και πασα ιεροσολυμα μετ αυτου

Alexandrian
ακουσας δε ο βασιλευς ηρωδησ εταραχθη και πασα ιεροσολυμα μετ αυτου

Hort and Westcott
ακουσας δε ο βασιλευς ηρωδησ εταραχθη και πασα ιεροσολυμα μετ αυτου

† ギリシャ語聖書 品詞色分け

Matt. 2:3

ἀκούσας δὲ ὁ βασιλεὺς ῾Ηρῴδης ἐταράχθη καὶ πᾶσα ῾Ιεροσόλυμα μετ ᾽αὐτοῦ,

† ヘブライ語聖書 Matt. 2:3

Matt. 2:3

כַּאֲשֶׁר שָׁמַע זֹאת הוֹרְדוֹס הַמֶּלֶךְ נִדְהַם הוּא וְכָל יְרוּשָׁלַיִם עִמּוֹ.

† ラテン語聖書 Matt. 2:3

Latin Vulgate
Matt. 2:3

Audiens autem Herodes rex, turbatus est, et omnis Ierosolyma cum illo.
Now king Herod, hearing this, was disturbed, and all Jerusalem with him.

† 私訳(詳訳)Matt. 2:3

【私訳】 「それでヘロデ王は〔これを〕聞いて<傾聴して、耳を傾けて、理解して>動揺<心を騒がせ、不安を抱き、混乱、心騒がせ、恐れ惑い>した。それで、エルサレム中の人々も彼〔ヘロデ〕と共にあった<彼と共に動揺し、心を騒がせ、混乱した>」

† 新約聖書ギリシャ語語句研究

Matt. 2:3

ἀκούσας δὲ ὁ βασιλεὺς ῾Ηρῴδης ἐταράχθη καὶ πᾶσα ῾Ιεροσόλυμα μετ ᾽αὐτοῦ,

【それで】 δὲ  δέ  デ de {deh}  (ch 接続詞・完等)

1)ところで、しかし、さて、そして 2)しかも、そしてまた、なお、すると、また 3)次に、さらに 4)否、むしろ

【これを聞いて】 ἀκούσας  ἀκούω アクーオー akouō {ak-oo‘-o} (vpaanm-s 分詞・1アオ能主男)

1)聞く、傾聴する、伝え聞く 2)耳に入る、知らせを受け取る、聞こえる 3)耳を傾ける、聞き従う、理解する 4)~と呼ばれる

【ヘロデ】 ῾Ηρδηςῴ  ῾Ηρῴδης  ヘローデース Hērōdēs {hay-ro‘-dace} (n-nm-s 名詞・主男単)

ヘロデ  ギリシャ名「英雄」

(ヘロデ大王) マタ2:1~22;  ルカ1:5

【王は】 βασιλεςὺ  βασιλεύς  バシれウス  basileus {bas-il-yooce‘} (n-nm-s 名詞・主男単)

1)王、君侯、支配者、族長 2)(無定冠詞で)ペルシャ王、ローマ皇帝 3)王族、貴族 4)統治、支配、王威、王国、王権 5)神 6)キリスト信徒

マタ1:6; 2:2; 17:25; 27:11;  マル6:14,22  ルカ1: 22,25;  使徒7:10; Ⅰテモ2:2; 6:15;  Ⅰペテ2:13; 黙示15:3; 17:14

【不安を抱いた】 ἐταράχθη  ταράσσω  タラスソー  tarassō {tar-as‘-so}  (viap–3s 動詞・直・1アオ・受・3単)

1)水を乱す、騒ぐ、掻き回す、乱す、掻き乱す、波立つ  2)動揺する、混乱する、恐れ惑う、騒ぐ、

不安を感じさせる 3)扇動する、かき乱す

マタ2:3; 14:26;  マル6:50;  ルカ1:7,12; 5:10; 24:38;  ヨハ5:7; 11:33; 12:27; 13:21; 14:1,27;  使徒15:24;17:8,13; Ⅰペテ3:14

山浦玄嗣訳 「これを聞いたヘロデ王は怖気を震い」

【それで】 καὶ  καί カイ kai {kahee} (cc 接続詞・等位)

1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた

【エルサレムの人々も】 ῾Ιεροσόλυμα  原文「エルサレムに住む人々はすべて」

【エルサレムの】 ῾Ιεροσόλυμα  ῾Ιεροσόλυμα  ヒエロソりゅマ Hierosoluma {hee-er-os-ol‘-oo-mah}

(n-nf-s 名詞・主女単)

エルサレム  ヘブライ語「平和の住居、安全の邑」

マタ2:1,3; 3:5; 23:37;  マル3:8;  ルカ2:25,38,41; 13:34;   ヨハ1:19;  使徒21:31; ロマ15:19,20;  ガラ1:17; 2:1

【~中の】 πσαᾶ  πᾶς パース pas {pas}  (a–nf-p 形容詞・主複)

1)どれでも、何であれ、何でも、あらゆる、みな  2)~全部の、あらんかぎりの、1つも欠けが無い、ひとり残らず 3)全体の、全部の、すべて 4)混じりものがなく、純粋な

πᾶσαι  パーサイ 「πᾶς どれでも、全体の」の複数形

【王と同様であった】 μετ α᾽ὐτοῦ  原文「彼(ヘロデ)と共にあった」

【彼と】 ατοὐῦ  αὐτός  アウトス autos {ow-tos‘}  (npgm3s 代名詞・属男3)

1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど

【共にあった】 μετ᾽  μέτα  メタ  meta {met-ah‘} (pg 前置詞・属)

1)~の真中に、~の間に 2)~と共に、連結、交際、協力、関与、互いに 3)同行、同伴 4)共働、助力 5)一体になる 6)後に、後方に

† 英語訳聖書 Matt. 2:3

King James Version
2:3 When Herod the king had heard [these things], he was troubled, and all Jerusalem with him.

American Standard Version
2:3 And when Herod the king heard it, he was troubled, and all Jerusalem with him.

New International Version
2:3 When King Herod heard this he was disturbed, and all Jerusalem with him.

Bible in Basic English
2:3 And when it came to the ears of Herod the king, he was troubled, and all Jerusalem with him.

Darby’s English Translation
2:3 But Herod the king having heard of it, was troubled, and all Jerusalem with him;

Douay Rheims
2:3 And king Herod hearing this, was troubled, and all Jerusalem with him.

Noah Webster Bible
2:3 When Herod the king had heard these things, he was troubled, and all Jerusalem with him.

Weymouth New Testament
2:3 Reports of this soon reached the king, and greatly agitated not only him but all the people of Jerusalem.

World English Bible
2:3 When Herod the king heard it, he was troubled, and all Jerusalem with him.

Young’s Literal Translation
2:3 And Herod the king having heard, was stirred, and all Jerusalem with him,

Amplified Bible
2:3 When Herod the king heard this, he was disturbed, and all Jerusalem with him.

† 細き聲 聖書研究ノート

<ヘロデ王これを聞きて惱みまどふ、エルサレムも皆然り>

ヘロデ王は異国のマギによる「新しい王の誕生」の報に心はかき乱された。この情報は直ちにエルサレムの住民に伝わり、エルサレム中に動揺がひろまった。

<ヘロデ王>

ギリシャ語写本の中には「ヘロデ王 ηρωδησ ο βασιλευς」を「ヘロデ」の名を欠いて「王 ο βασιλευς」とするものがあが、その場合「ο βασιλευς」は「ヘロデ王」の意味である。

<不安>

「英雄」という名を与えられた「ヘロデ」も、東方の博士の来訪に心が波立つのを押さえることができない。「不安を抱く ταράσσω  タラスソー」は「水を乱す」から来る。心に暴動が発生すること。フランシスコ会訳は「これを聞いたヘロデ王はうろたえた」と訳す。内村鑑三は「おどろく」で「聞いて周章狼狽したのである」とする。山浦玄嗣訳 「これを聞いたヘロデ王は怖気を震い」。

「ταράσσω  タラスソー」は反対者にいち早く発生する。「不安」を知るという意味では、ヘロデは「英雄」の資格がある。しかし、ヘロデは「不安」の根源を知り得ず、それに対処できなかったことで「英雄」にはなれなかった。

「不安」は無関心な者には何のこともない。無関心はヘロデにも及ばない。

<不穏な空気>

ヘロデ王の動揺は速やかに、王に反発する全ユダヤ人に伝わった。不穏な空気をかぎとる能力が欠けては生きていけない。しかし、彼らに必要なことは「不穏な空気」に「よきおとずれ」を読み取る能力だった。

ユダヤ人社会がヘロデに反応して「不穏な空気」に怯えたことは、我々日本人の不安を感じない社会からすれば、むしろ健全である。見えないことには不安を感じないでいれば、やがて、見えても不安を感じなくなる。

<動揺>

ヘロデ王は「新しいユダヤ人の王の誕生」に「動揺 ταράσσω  タラスソー」し、ユダヤ人はその「ヘロデ王の動揺」に「波立つ水」のようにざわざわと心を乱された。ヘロデの動揺とユダヤ人のそれは同じではなく、しかも共に的が外れている。人が真に「動揺」すべきは別のところにある。

<正しからざる者悩む>

黒崎幸吉氏は本節について「正しき者顕るる時、正しからざる者悩む」と注釈している。「正しからざる者」悩むことなきは、「正しき者」無きか? 「正しからざる者」が正しく悩むことはまれである。「正しからざる者」の悩みもまた「正しからざるもの」である。

<動揺>

地震に揺れる大地を空から見ると、池に投げ込まれた石が作る波紋のように大地が波打って動くのが見えるという。「動揺」も波紋のように広がる性質がある。中心から周辺にいくほど増幅され、作用も大きくなる。ヘロデの不安がエルサレムのユダヤ人に伝わるのに、さして時間もかからなかった。

「動揺」の波紋は伝わるにつれて内容も力も変化しながら成長する。震源とは違った破壊力に育つ。

† 心のデボーション

「なんぢら心を騷がすな、神を信じ、また我を信ぜよ」 ヨハネ14:1 大正文語訳聖書

「あなたがたは心を騒がせてはなりません。神を信じ、またわたしを信じなさい」

新改訳聖書

「信じる力」

「心を騒がせる」は「ταράσσω  タラスソー  不安を抱く」である。些細なことから始まった「不安」は、やがて「心を騒がせる」ものへとなる。「信じる力」は「不安」を鎮める。そのような「信じる力」は神からのものである。

† 心のデボーション

「ヘロデ王これを聞きて惱みまどふ、エルサレムも皆然り」 マタイ2:3 大正文語訳聖書

「これを聞いたヘロデ王はうろたえたが、エルサレムの人々も皆同じだであった」 フランシスコ会訳聖書

「未知の不安」

ヘロデは自分に起こった「不安の感情」がエルサレムの住民に拡散していくことを知らない。

人は自身の内におこる「不安の感情」がどこから来て、どこに行くのかを知らない。「不安の感情」は遠くを旅する間に巨大な力にふくれ上がり、再び自身の元に戻ってくる。それは「未知の不安」として人を苦しめる。しかし、元をたどれば自身から出たものである。

† 心のデボーション

「ヘロデ王これを聞きて惱みまどふ、エルサレムも皆然り」 マタイ2:3 大正文語訳聖書

「ヘロデ王之を聞きて狼狽(うろた)へしが、エルザレムも亦挙(こぞ)りて然ありき」 ラゲ訳聖書

「うろたえる」

「うろたえる ταράσσω  タラスソー」は「水を乱す、掻き回す、掻き乱す」で「動揺して心が波立つ」を意味

する。ラテン語は turbido で「濁す」の意味である。

悩みは人の心を搔き回し、濁す。そのため先を見ることができない。

(†心のデボーション00769)

† 心のデボーション

「ヘロデ王これを聞きて惱みまどふ、エルサレムも皆然り」 マタイ2:3 大正文語訳聖書

「これを聞いたヘロデ王はうろたえたが、エルサレムの人々も皆同じだであった」 フランシスコ会訳聖書

「サーベルを鳴らす」

「サーベルを鳴らす rattle one’s saber」は、騎兵隊のサーベルをガチャガチャ鳴らすことで、武力をちらつかせること。ヘロデは不安気な表情をうかべるだけでよかった。それだけで、エルサレムの住民には「サーベルの音」が確実に伝わったのである。

† 心のデボーション

「ヘロデ王これを聞きて惱みまどふ、エルサレムも皆然り」 マタイ2:3 大正文語訳聖書

「ヘロデ王之を聞きて狼狽(うろた)へしが、エルザレムも亦挙(こぞ)りて然ありき」 ラゲ訳聖書

「悩みまどう」

「惱みまどふ」はラゲ訳では「狼狽(うろた)へしが」と訳される。

「狼狽 ろうばい」は、中国では「狼」も「狽」も共に想像上の動物で、「狼」は前足が長く、「狽」は後ろ足が長く、互いに支えあって暮らし、二頭は相手がいなければ歩くこともできなかったという。そこから中国では「狼狽」は「苦しみ悩む」の意味に使われる。日本では、「狼」と「狽」が離れると倒れてしまい、うろたえることから「あわてふためく」の意味に用いる。

ヘロデはマギの言葉を受け止めることができず、「狼」と「狽」がそれぞれ勝手に動き回り、思いがあちこち落ち着きなく彷徨ったのである。

「狼狽」は仲間と連れ立ってやって来る。仲間を引き離して、一つ一つにすれば身動きできずにおとなしくなる。

† 心のデボーション

「ヘロデ王これを聞きて惱みまどふ、エルサレムも皆然り」 マタイ2:3 大正文語訳聖書

「ヘロデ王之を聞きて狼狽(うろた)へしが、エルザレムも亦挙(こぞ)りて然ありき」 ラゲ訳聖書

「心騒がすな」

「なんぢら心を騷がすな、神を信じ、また我を信ぜよ」 ヨハネ14:1

ヘロデはメシア誕生の知らせに心を「騒がせ ταράσσω  タラスソー」た。イエスは弟子たちに「心騒がすな ταράσσω  タラスソー」と語られる。(ヨハネ14:1)

イエスは信じる者の心の濁りを取り去り給う。

† 心のデボーション

「エルサレムも皆然り」 マタイ2:3 大正文語訳聖書

「エルサレムの人々も皆同じだであった」 フランシスコ会訳聖書

「エルサレム」

「エルサレム ῾Ιεροσόλυμα  ヒエロソりゅマ Hierosoluma {hee-er-os-ol‘-oo-mah} 」はヘブル語 יְרוּשָׁלַיִם  Yerushaláyim, イェルシャラユィム「平和の住居、安全の邑」を意味する。

しかし、今やこの都に「平和の王」の来訪が伝えられると動揺がひろがり、「平和」は失われた。

エルサレムはAD70にローマ軍により陥落し、その後数奇な歴史をたどり、1947年イスラエル建国とともにその永久信託統治が決議された。しかし、その支配を巡って、力による対立、宗教的な紛争の火種となって現代に到る。

エルサレムが「平和の住居、安全の邑」とされる道筋は、そのまま「世界の平和と安全」への道程であろう。

† 心のデボーション

「ヘロデ王これを聞きて惱みまどふ、エルサレムも皆然り」 マタイ2:3 大正文語訳聖書

「ヘロデ王之を聞きて狼狽(うろた)へしが、エルザレムも亦挙(こぞ)りて然ありき」 ラゲ訳聖書

「うろたえる」

「うろたえる ταράσσω  タラスソー」は「水を乱す、掻き回す、掻き乱す」で「動揺して心が波立つ」を意味する。ラテン語は turbido で「濁す」の意味である。

悩みは人の心を搔き回し、濁す。そのため先を見ることができない。

(†心のデボーション00769)

† 細き聲 説教

「世の救い」

「ヘロデ王これを聞きて惱みまどふ、エルサレムも皆然り」 マタイ2:3 大正文語訳聖書

「ヘロデ王之を聞きて狼狽(うろた)へしが、エルザレムも亦挙(こぞ)りて然ありき」 ラゲ訳聖書

ヘロデ王は異国のマギたちから「新しい王の誕生」の情報を得て、心はかき乱された。ヘロデ王の困惑は直ちにエルサレムの住民に伝わり、エルサレム中に動揺がひろまった。

この世はメシアの到来を恐れる。メシアが彼らの支配を揺るがすからである。この世は彼らに支配された者たちが解放されることを何よりも恐れるのである。

支配者は民がいつまでも「おとなしい羊」であることを期待し、民を油断なく見張る。

しかし、メシアはこの世の支配を壊すためにこられるのではない。この世もまた、救いの対象である。

「世」を意味するギリシャ語「αἰών  アイオーン」は「この世、現世」を意味するとともに「時代、年月、人の一生、生涯、人生、運命」を意味する。

「世の救い」への祈りは、私の「時代、年月、人の一生、生涯、人生、運命」の全体に救いが及ぶことへの熱望によってもたらされるのである。

(皆川誠)

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