マタイによる福音書1章3節

マタイによる福音書
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† 福音書対観 「イエスの系図」 マタイ1:1~17

マタイ1:1~17  ルカ3:23~38  (ヨハネ1:1~18)マタイ1:1~17

Matt. 1:3ユダはタマルによるパレスとザラとの父、パレスはエスロンの父、エスロンはアラムの父、口語訳聖書

† 日本語訳聖書 Matt. 1:3

【漢訳聖書】
Matt. 1:3 猶大由大馬氏、生法勒士撒拉、法勒士生以士崙、以士崙生亞蘭、

【明治元訳】
Matt. 1:3 ユダ、タマルに由(より)てパレスとザラとを生(うみ)パレス、エスロンを生(うみ)エスロン、アラムを生(うみ)

【大正文語訳】
Matt. 1:3 ユダ、タマルによりてパレスとザラとを生み、パレス、エスロンを生み、エスロン、アラムを生み、

【ラゲ訳】
Matt. 1:3 ユダ タマルによりてファレスとザラとを生み、ファレス エスロンを生み、エスロン アラムを生み、

【口語訳】
Matt. 1:3 ユダはタマルによるパレスとザラとの父、パレスはエスロンの父、エスロンはアラムの父、

【新改訳改訂3】
Matt. 1:3 ユダに、タマルによってパレスとザラが生まれ、パレスにエスロンが生まれ、エスロンにアラムが生まれ、

【新共同訳】
Matt. 1:3 ユダはタマルによってペレツとゼラを、ペレツはヘツロンを、ヘツロンはアラムを、

【バルバロ訳】
Matt. 1:3 ユダはタマルによってペレズとゼラを生み、ペレズはヘズロンを生み、ヘズロンはラムを生み、

【フランシスコ会訳】
Matt. 1:3 ユダの子はタマルによるペレズとゼラ、ペレズの子はヘズロン、ヘズロンの子はラム、

【日本正教会訳】
Matt. 1:3 イウダはファマリに因(よ)りてファレス及びザラを生み、ファレスはエスロムを生み、エスロムはアラムを生み、

【塚本虎二訳】
Matt. 1:3 ユダの(その嫁)タマルによる(不倫の子)はパレスとザラ、パレスの子はエスロン、エスロンの子はアラム、

【前田護郎訳】
Matt. 1:3 ユダはタマルによるパレスとザラの父、パレスはエスロンの父、エスロンはアラムの父、

【永井直治訳】
Matt. 1:3 またユダはタマルにてパレスとザラとを生めり。またパレスはエスロムを生めり。またエスロムはアラムを生めり。

【詳訳聖書】
Matt. 1:3 ユダはパレスとザラの父、タマルがその母、パレスはエスロンの父、エスロンはアラムの父、

† 聖書引照 Matt. 1:3

Matt. 1:3 ユダ、タマルによりてパレスとザラとを生み、パレス、エスロンを生み、エスロン、アラムを生み

[ユダ]  創世38:27,29,30; 46:12
[タマル]  創38:6,11,24~26; ルツ4:18~23
[パレスとザラ]  創世46:12; 民数26:21; ルツ4:18; I歴代2: 3,4,5; 4:1;  ルカ3:33
[エスロン]  ルツ4:19;  ルカ3:33
[アラム]  ルツ4:19; I歴代2:9

† ギリシャ語聖書 Matt. 1:3

Stephens 1550 Textus Receptus
ιουδας δε εγεννησεν τον φαρες και τον ζαρα εκ της θαμαρ φαρες δε εγεννησεν τον εσρωμ εσρωμ δε εγεννησεν τον αραμ

Scrivener 1894 Textus Receptus
ιουδας δε εγεννησεν τον φαρες και τον ζαρα εκ της θαμαρ φαρες δε εγεννησεν τον εσρωμ εσρωμ δε εγεννησεν τον αραμ

Byzantine Majority
ιουδας δε εγεννησεν τον φαρες και τον ζαρα εκ της θαμαρ φαρες δε εγεννησεν τον εσρωμ εσρωμ δε εγεννησεν τον αραμ

Alexandrian
ιουδας δε εγεννησεν τον φαρες και τον ζαρα εκ της θαμαρ φαρες δε εγεννησεν τον εσρωμ εσρωμ δε εγεννησεν τον αραμ

Hort and Westcott
ιουδας δε εγεννησεν τον φαρες και τον ζαρα εκ της θαμαρ φαρες δε εγεννησεν τον εσρωμ εσρωμ δε εγεννησεν τον αραμ

† ギリシャ語聖書 品詞色分け

Matt. 1:3

᾽Ιούδας δὲ ἐγέννησεν τὸν Φάρες καὶ τὸν Ζάρα ἐκ τῆς ΘαμάρΦάρες δὲ ἐγέννησεν τὸν ῾Εσρώμ῾Εσρὼμ δὲ ἐγέννησεν  τὸν ᾽Αράμ,

† ヘブライ語聖書 Matt. 1:3

Matt. 1:3

יְהוּדָה הוֹלִיד אֶת פֶּרֶץ וְאֶת זֶרַח מִתָּמָר, פֶּרֶץ הוֹלִיד אֶת חֶצְרוֹן וְחֶצְרוֹן הוֹלִיד אֶת רָם.

† ラテン語聖書 Matt. 1:3

Latin Vulgate
Matt. 1:3

Iudas autem genuit Phares, et Zaram de Thamar. Phares autem genuit Esron. Esron autem genuit Aram.
And Judah conceived Perez and Zerah by Tamar. And Perez conceived Hezron. And Hezron conceived Ram.

† 私訳(詳訳)Matt. 1:3

【私訳】 「またユダはタマルによってパレスとザラとをもうけた、またパレスはエスロンをもうけた、またエスロンはアラムをもうけた」

† 新約聖書ギリシャ語語句研究

Matt. 1:3

᾽Ιούδας δὲ ἐγέννησεν τὸν Φάρες καὶ τὸν Ζάρα ἐκ τῆς Θαμάρ, Φάρες δὲ ἐγέννησεν τὸν ῾Εσρώμ, ῾Εσρὼμ δὲ ἐγέννησεν  τὸν ᾽Αράμ, 

【また】 δὲ  δέ  デ de {deh} (cc 接続詞・等位)

1)ところで、しかし、さて、そして 2)しかも、そしてまた、なお、すると、また 3)次に、さらに 4)否、むしろ

【ユダは】 ᾽Ιούδας  ᾽Ιούδας  イウーダス  Iouda {ee-oo-dah‘} (n-nm-s 名詞・主男単)

ユダ  ヘブライ名「彼を讃美しよう」

創世29:35; 37:18~27; 38章; 49:8~12; マタ1:2; 2:6;  ルカ1:39; ヘブ7:14;  黙示5:5

【タマルに】 Θαμάρ  Θαμάρ  たマル Thamar {tham’-ar}  (n-gf-s 名詞・属女単)

タマル  ヘブル名「棕櫚の樹、なつめやしの樹」

創世記38章; マタ1:3

【よって】 ἐκ  ἐκ エク  ek ex {ek, ex} (pg 前置詞・属)

1)から、~の中から 2)~の外に、~から外へ、~から出て 3)によって 4)で  (動作の出発点を示す) 5)のために

【ペレツ】 Φάρες  Φάρες  ふァレス Phares { far-es‘ }  (n-am-s 名詞・対男単)

パレス  ヘブル名「割り込む、破る」

創世記38章; マタ1:3; ルカ3:33

【と】 καὶ  καί カイ kai {kahee} (cc 接続詞・等位)

1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた

【ゼラを】 Ζάρα  Ζάρα  ザラ Zara { dzar-ah‘ }  (n-am-s 名詞・対男単)

ザラ  ヘブライ名 「輝く、あけぼの」

創世記38章; マタ1:3

【もうけ】 ἐγέννησεν  γεννάω  ゲンナオー  gennaō { ghen-nah‘-o } (viaa–3s 動詞・直・1アオ・能・単)

1)(父が子を)もうける、(母が子を)産む、~の父となる 2)生ませる、産出する、発生させる、生ぜしめる 3)生まれつき、生まれながら 4)(事物を)産出する、発生させる、生ずる、生ぜしめる

マタ1:2,16,20;  ヨハ1:13; 3:3,5;  Iヨハ4:7; 5:1

【また】 δὲ  δέ  デ de {deh} (cc 接続詞・等位)

1)ところで、しかし、さて、そして 2)しかも、そしてまた、なお、すると、また 3)次に、さらに 4)否、むしろ

【ペレツは】 Φάρες  Φάρες  ふァレス Phares { far-es‘ }  (n-nm-s 名詞・主男単)

パレス  ヘブル名「割り込む、破る」

創世記38章;  マタ1:3; ルカ3:33

【ヘツロンを】 ῾Εσρώμ  ῾Εσρώμ  ヘスローム Esrōm { es-rome‘ } (n-am-s 名詞・対男単)

ヘツロン(エスロン) へブル名 「囲構、村」

創世記46:9;  マタ1:3;  ルカ3:33

【もうけ】 ἐγέννησεν  γεννάω  ゲンナオー  gennaō { ghen-nah‘-o } (viaa–3s 動詞・直・1アオ・能・単)

1)(父が子を)もうける、(母が子を)産む、~の父となる 2)生ませる、産出する、発生させる、生ぜしめる 3)生まれつき、生まれながら 4)(事物を)産出する、発生させる、生ずる、生ぜしめる

マタ1:2,16,20;  ヨハ1:13; 3:3,5;  Iヨハ4:7; 5:1

【また】 δὲ  δέ  デ de {deh} (cc 接続詞・等位)

1)ところで、しかし、さて、そして 2)しかも、そしてまた、なお、すると、また 3)次に、さらに 4)否、むしろ

【ヘツロンは】 ῾Εσρώμ  ῾Εσρώμ  ヘスローム Esrōm { es-rome‘ } (n-am-s 名詞・対男単)

ヘツロン(エスロン) へブル名 「囲構、村」

創世記46:9;  マタ1:3;  ルカ3:33

【アラムを】 ᾽Αράμ  ᾽Αράμ  アラム Aram { ar-am‘ } (n-am-s 名詞・対男単)

アラム 名の意味不明

ルカ3:33では「アルニ」となっており、ルツ4:19、I歴代2:9 の「ラム」と同一視される。

I歴代2:9;  ルツ4:19;  マタ1:3,4;  ルカ3:33

【もうけ】 ἐγέννησεν  γεννάω  ゲンナオー  gennaō { ghen-nah‘-o } (viaa–3s 動詞・直・1アオ・能・単)

1)(父が子を)もうける、(母が子を)産む、~の父となる 2)生ませる、産出する、発生させる、生ぜしめる 3)生まれつき、生まれながら 4)(事物を)産出する、発生させる、生ずる、生ぜしめる

マタ1:2,16,20;  ヨハ1:13; 3:3,5;  Iヨハ4:7; 5:1

† 英語訳聖書 Matt. 1:3

King James Version
1:3 And Judas begat Phares and Zara of Thamar; and Phares begat Esrom; and Esrom begat Aram;

American Standard Version
1:3 and Judah begat Perez and Zerah of Tamar; and Perez begat Hezron; and Hezron begat Ram;

New International Version
1:3 Judah the father of Perez and Zerah, whose mother was Tamar, Perez the father of Hezron, Hezron the father of

Ram, Bible in Basic English
1:3 And the sons of Judah were Perez and Zerah by Tamar; and the son of Perez was Hezron; and the son of Hezron was Ram;

Darby’s English Translation
1:3 and Juda begat Phares and Zara of Thamar; and Phares begat Esrom, and Esrom begat Aram,

Douay Rheims
1:3 And Judas begot Phares and Zara of Thamar. And Phares begot Esron. And Esron begot Aram.

Noah Webster Bible
1:3 And Judah begat Phares and Zara of Thamar; and Phares begat Esrom; and Esrom begat Aram;

Weymouth New Testament
1:3 Judah was the father (by Tamar) of Perez and Zerah; Perez of Hezron; Hezron of Ram;

World English Bible
1:3 Judah became the father of Perez and Zerah by Tamar. Perez became the father of Hezron. Hezron became the father of Ram.

Young’s Literal Translation
1:3 and Judah begat Pharez and Zarah of Tamar, and Pharez begat Hezron, and Hezron begat Ram,

Amplified Bible
1:3 Judah was the father of Perez and Zerah by Tamar, Perez was the father of Hezron, and Hezron the father of Ram.

† 細き聲 聖書研究ノート

<ユダ、タマルによりてパレスとザラとを生み、パレス、エスロンを生み、エスロン、アラムを生み>

タマルはユダの長男エルの嫁であったが、不幸な事件から子がなく、一計を案じて義父ユダによって子を得た。(創世記38章) ユダからペレツにいたる救い主の家系は痛ましい事件によって繋がっている。

<系図 マタイ1:3 ユダの子>

ユダ - カナン人シェアの娘(創世記38章、I歴代誌2:3)

エル    - タマル(創世記38:6)
オナン - タマル(創世記38:8~10)
シェラ

ユダ - タマル(創世記38:11~26)

ペレツ ゼラ(双生児 創世記38:27~30)

ヘツロン(創世記46:12)

アラム (I歴代2:9)

<ユダ>

ユダはヤコブの第4子で、母はレアである。ヤコブの長子はルベンである。(創世記29:31~35)

ユダの子孫はユダ族であり、そしてユダ王国がつくられた。

<タマル>

タマルはユダの長男エルの嫁であったが、不幸な事件から子がなく、一計を案じて義父ユダによって子を得た。(創世記38章) ユダからペレツにいたる救い主の家系は痛ましい事件によって繋がっている。

タマルはペレツとゼラを生んだ。ゼラの子孫カルミの子「アカル」という名は「災いをもたらす者」の意味があり、「滅ぼし尽くしてささげるべきことに対して不誠実で、イスラエルに災いをもたらした」(I歴代2:7)。「アカル」はヨシュア記7章の「アカン」である。神に仕えるユダ族の中にも「災いをもたらす者」がいた。

ユダはタマルのことで自らの過ちを認めている。(創世記38:26)

<タマルに由(より)て>

「由(より)て」(日本正教会訳は「因(よ)りて」)。「由」「因」は共に理由、原因を表わすことばである。ユダにパレスとザラの出生には、タマルの存在と共に、その背後にある行為を示す。創世38:13~23

塚本虎二訳は「その嫁タマルによる不倫の子はパレスとザラ」として、意味を補う。

漢訳聖書に「大馬(たまる)氏」とあり、「氏」は結婚した女性につける呼称である。

<レビラート婚>

兄弟が共に暮らしていて、そのうちの一人が子どもを残さずに死んだ場合、その妻は夫の兄弟によって子どもを得、亡くなった夫の名を継がせた。これを「レビラート婚 Levirate marriage」と言った。レビラートはラテン語レビール levir 「夫の兄弟」に由来する。(申命記25:5~10) 死亡した妻の代わりにその姉妹が夫と結婚することはソロレート婚と呼ばれる。

タマルは「レビラート婚」によって子をもうけようとしたがオナンが拒んだので、義父ユダによってペレツとゼラをもうけたのである。

<四人の女性たち>

一般的にユダヤ人の系図に女性の名が記されることはない。マタイのメシア系図には「タマル、ラハブ、ルツ、ウリヤの妻」の四人の女性が記される。「タマル」は姑との不正な関係によって子どもを生み、「ラハブ」はエリコの娼婦であり、「ルツ」はモアブの異邦人の女性であり、「ウリヤの妻、バト・シェバ」はダビデとの姦淫によってソロモンを生んだ。聖書はイエスにユダヤ人が嫌悪する罪の血が流れていることを隠さない。

<ペレツとゼラ>

タマルは双生児を宿した。その出産のとき、一人の子が手を出したので、助産師がその手に赤い糸を結んだ。ところがその子は手を引っ込め、もう一人が出てきたので「ペレツ(出し抜き)」という名をつけた。その後、手に赤い糸を結んだ子が生まれたので「ゼラ 真っ赤」と名付けられた。(創世記38:27~30)

ペレツとゼラの間にあった確執は、その後、ユダ族の間の争いとして、根強く残される。

<エツロン>

旧約聖書では「ヘツロン」と呼ばれる(創世記46:9)、新約聖書では「エスロン ~Esrw,m」である。

「ヘヅロン人」の祖先となった。ユダ南部に「ヘヅロン」の地名が残されている。

<アラム>

「᾽Αράμ  アラム」はへブル名「ラム」のギリシャ名。I歴代2:9では「ラム」。そのため、いくつかの聖書ではマタイ1:3,4「アラム」を「ラム」と訳す。(フランシスコ会、バルバロ訳、NKJV、RSV、ASV、NLT等)ルカ3:33では「アルニ」と呼ばれている。

† 心のデボーション

「その產時手出しかば產婆是首にいづといひて絳(あか)き線(いと)をとりてその手にしばりしが」 創世記38:28 明治元訳聖書

「出産の時、一人の子が手を出したので、助産婦は、『これが先に出た』と言い、真っ赤な糸を取ってその手に結んだ」 新共同訳聖書

「激しく襲う者」

ユダとタマルの間には双子が誕生した。出産のとき、胎内にいた一人の子が手をだしたので、助産婦が「これが先に出た」と赤い糸を手に結んだ。しかし、その子は手を引込めて、もう一人が出てきたので、助産婦は「なんとまあ、この子は人を出し抜いたりして」と言って、その子を「ペレツ 出し抜き」と名付けた。赤い糸を結ばれた子がその後出て来たので「ゼラ 真っ赤」と名付けた。(創世記38:27~30)

こうして、ユダ部族は「ペレツ族」と「ゼラ族」の二つに分かれることになった。

「天の国は力ずくで襲われており、激しく襲う者がそれを奪い取ろうとしている」マタイ11:12 新共同訳聖書

神の国は「激しく襲う者」によって「奪い取られる」。その競争は誕生の時に始まる。

(†心のデボーション00566)

† 心のデボーション

「その產時手出しかば產婆是首にいづといひて絳(あか)き線(いと)をとりてその手にしばりしが」 創世記38:28 明治元訳聖書

「出産の時、一人の子が手を出したので、助産婦は、『これが先に出た』と言い、真っ赤な糸を取ってその手に結んだ」 新共同訳聖書

「確執」

「ペレツとゼラ」の兄弟間には誕生のときから「確執」があり、やがてそれは民族間の確執に発展していく。ペレツとゼラの誕生物語はアブラハム、イサク、ヤコブの歴史に民族間の確執が生じていくことを暗示する。ここに同じ民族間に生じる対立の歴史がはじまる。それは21世紀の現代の状況からも決して小さいことではない。

民族間の対立も一個の「人間」から発生する。一個の「人間」からはじまったものは、一個の「人間」、すなわち「私」として解決さなければならない。

(†心のデボーション00576)

† 心のデボーション

「ユダ、タマルによりてパレスとザラとを生み、パレス、エスロンを生み、エスロン、アラムを生み」 マタイ1:3 大正文語訳聖書

「ユダに、タマルによってパレスとザラが生まれ、パレスにエスロンが生まれ、エスロンにアラムが生まれ」 新改訳聖書

「私という織物」

人間の歴史は「祝福」を縦糸に、「災い」を横糸にして織られていく。「私」という織物もまた同じである。どの織物も他とは違った模様をその時々に織りなす。今、自分がどのような存在の模様を織り、その「私」は世界のどこに位置づけられるのかを知っておきたい。

だが、ときに「私」という織物がどのようなものか、その「模様」が見えないことがある。そのようなときは、織物を裏から見ているのかもしれない。織物をかえしてみれば、そこに見事な「模様」が織られていることがある。意味不明の模様の裏をかえしさえすれば必ず鮮やかな模様が現われるというものでもない。見たこともない見事な模様が現われるのは、意図的というよりも無意識になされたことからであることが多い。ある日、突如にしてそれは見えるのだ。ということは、それまで見えていた見事な模様が突如消え、意味不明の模様に変わることもあるということである。人生は多様である。

(†心のデボーション00604)

† 細き聲 説教

「悲しみの女 タマル」

「汝の家かのタマルがユダに生たるペレズの家のごとくなるにいたれ」 ルツ4:12 明治元訳聖書

タマルは不幸な女性である。ユダの長男エルと結婚したが、エルは神を怒らせる行為をし、そのことが原因で死ぬ。ユダヤの律法では、このような場合に、兄の弟は兄嫁と結婚し子孫を残すことを定めていた。(申命25:5~10)

タマルはエルの弟オナンの妻となるが、オナンはタマルが子を宿すことを嫌い、意図的に妊娠を妨げる。(このことからオナンは「オナニー 自慰行為」の語源となった)

オナンの行為は神を怒らせ、オナンも殺される。

タマルは父ユダのところで寡婦となった。ユダはタマルに「オナンの弟シラが成人したら結婚させる」と約束するが、シラが成人しても約束を果たそうとはしなかった。

父ユダにその気のないことを知ったタマルは父ユダから子を生むことを決意し、遊女に変装してユダに近づき、身分を隠したままでペレズとゼラの双子を生んだ。(創世記38章)

創世記38章はヨセフの物語の中に不自然に割り込んだ悲しい婦人の物語である。読む者は、何故、ここにタマルの物語が挿入されるか戸惑うかもしれない。

しかし、読者は「アブラハム、イサク、ヤコブ」の歴史を引き継ぐのは「ヨセフ」ではなく「ユダ」であることを知れば驚くに違いない。

タマルの「欺きには欺きをもって」のぞみ、それによって与えられた子パレスの子孫からダビデが誕生し、ダビデの子としてイエスキリストは誕生されるのである。

祝福の子ヨセフ物語の真ん中に置かれた「悲しみの女」の生涯を贖うかのように、イエスはユダ族の末として誕生されるのである。

「汝の家かのタマルがユダに生たるペレズの家のごとくなるにいたれ」 ルツ4:12 明治元訳聖書

結婚にのぞむ人々よ。ルツ4:12 の祝福を祈れ。多くの悲しみを癒しとられる神に「汝の家」を委ねよ。いのちの祝福を崇めることができるだろう。

(皆川誠)

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