† 福音書縦観 「婚宴の譬え」
マタイ22:1~14 ルカ14:15~24
マタイ22:1~14
Matt.22:11王は客を迎えようとしてはいってきたが、そこに礼服をつけていないひとりの人を見て、 口語訳聖書
† 日本語訳聖書 Matt.22:11
【漢訳聖書】
Matt.22:11 君入觀賓、見在彼、有一人不衣禮服
【明治元訳】
Matt.22:11 王(わう)客(きやく)をんとて來(きた)りけるに茲(ここ)に一人(ひとり)の禮服(れいふく)を着(き)ざる者(もの)あるを見(み)て
【大正文語訳】
Matt.22:11 王、客を見んとて入り來り、一人の禮服を著けぬ者あるを見て、
【ラゲ訳】
Matt.22:11 王客を見んとて入來り、一人婚禮の服を着けざる者あるを見て是に向ひ、
【口語訳】
Matt.22:11 王は客を迎えようとしてはいってきたが、そこに礼服をつけていないひとりの人を見て、
【新改訳改訂3】
Matt.22:11 ところで、王が客を見ようとして入って来ると、そこに婚礼の礼服を着ていない者がひとりいた。
【新共同訳】
Matt.22:11 王が客を見ようと入って来ると、婚礼の礼服を着ていない者が一人いた。
【バルバロ訳】
Matt.22:11 客を見ようとして入ってきた王は、一人が礼服をつけていないので、
【フランシスコ会訳】
Matt.22:11 王は客を見ようとして入っていった。すると、そこに婚礼の礼服をつけていない者がいるのに気づいた。
【日本正教会訳】
Matt.22:11 王は席坐する者を觀ん爲に入りて、彼處に一人の婚禮の服を衣ざる者あるを見て、
【塚本虎二訳】
Matt.22:11 王は客を見ようとして入ってきたが、そこに礼服を着けていない者が一人いるのを見て
【前田護郎訳】
Matt.22:11 王が客を見に入ると、そこに婚礼の服をつけぬ人が目にとまった。
【永井直治訳】
Matt.22:11 かくて王は席に着ける者を看んとて入り來りしに、婚筵の衣を着けざる人を見出だせり。
【詳訳聖書】
Matt.22:11 けれども、王が客を見にはいって来た時、彼はそこにいる婚礼の礼服を着ていないひとりの人にじっと目を留めた。
† 聖書引照 Matt.22:11
Matt.22:11 王、客を見んとて入り來り、一人の禮服を著けぬ者あるを見て、
[王、客を見んとて入り來り] マタ3:12; 13:30; 25:31,32; ゼパ1:12; Ⅰコリ4:5; ヘブ4:12,13; 黙示2:23
[一人の禮服を著けぬ者あるを見て] Ⅱ列王10:22; 詩篇45:13,14; イザ52:1; 61:3-10; 64:6; ゼカ3:3,4; 哀歌5:22; ロマ3:22; 13:14; ガラ3:27; Ⅱコリ5:3; エペ4:24; コロ3:10,11; 黙示3:4,5,18; 16:15; 19:8
† ギリシャ語聖書 Matt.22:11
Stephens 1550 Textus Receptus
εισελθων δε ο βασιλευς θεασασθαι τους ανακειμενους ειδεν εκει ανθρωπον ουκ ενδεδυμενον ενδυμα γαμου
Scrivener 1894 Textus Receptus
εισελθων δε ο βασιλευς θεασασθαι τους ανακειμενους ειδεν εκει ανθρωπον ουκ ενδεδυμενον ενδυμα γαμου
Byzantine Majority
εισελθων δε ο βασιλευς θεασασθαι τους ανακειμενους ειδεν εκει ανθρωπον ουκ ενδεδυμενον ενδυμα γαμου
Alexandrian
εισελθων δε ο βασιλευς θεασασθαι τους ανακειμενους ειδεν εκει ανθρωπον ουκ ενδεδυμενον ενδυμα γαμου
Hort and Westcott
εισελθων δε ο βασιλευς θεασασθαι τους ανακειμενους ειδεν εκει ανθρωπον ουκ ενδεδυμενον ενδυμα γαμου
† ギリシャ語聖書 品詞色分け
Matt.22:11
εἰσελθὼν δὲ ὁ βασιλεὺς θεάσασθαι τοὺς ἀνακειμένους εἶδεν ἐκεῖ ἄνθρωπον οὐκ ἐνδεδυμένον ἔνδυμα γάμου·
† ヘブライ語聖書 Matt.22:11
Matt.22:11
כְּשֶׁבָּא הַמֶּלֶךְ לִרְאוֹת אֶת הַמְסֻבִּים רָאָה שָׁם אִישׁ שֶׁאֵינֶנּוּ לָבוּשׁ בִּגְדֵי חֲתֻנָּה.
† ラテン語聖書
Latin Vulgate
Matt.22:11
Intravit autem rex ut viderent discumbentes, et vidit ibi hominem non vestitum veste nuptiali.
Then the king entered to see the guests. And he saw a man there who was not clothed in a wedding garment.
† 私訳(詳訳)Matt.22:11
【私訳】 「しかし、王が〔食事の長椅子に〕横たわる人<客>を見ようと入ってくると、そこに婚宴の服を身につけていない一人の人を見つけた<認めた、探し出した>」
† 新約聖書ギリシャ語語句研究
Matt.22:11
εἰσελθὼν δὲ ὁ βασιλεὺς θεάσασθαι τοὺς ἀνακειμένους εἶδεν ἐκεῖ ἄνθρωπον οὐκ ἐνδεδυμένον ἔνδυμα γάμου·
【しかし】 δὲ δέ デ de {deh} (cc 接続詞・等位)
1)ところで、しかし、さて、そして 2)しかも、そしてまた、なお、すると、また 3)次に、さらに 4)否、むしろ
(G1161 δέ A primary particle (adversative or continuative); but, and, etc.: – also, and, but, moreover, now [often unexpressed in English]. Internet Sacred Text Archive)
【王が】 βασιλεὺς βασιλεύς バシれウス basileus {bas-il-yooce‘} (n-nm-s 名詞・主男単)
1)王、君侯、支配者、族長 2)(無定冠詞で)ペルシャ王、ローマ皇帝 3)王族、貴族 4)統治、支配、王威、王国、王権 5)神 6)キリスト信徒
(G935 βασιλεύς Probably from 939 (through the notion of a foundation of power); a sovereign (abstractly, relatively or figuratively): – king. Internet Sacred Text Archive)
マタ1:6; 2:2; 17:25; 27:11; マル6:14,22 ルカ1: 22,25; 使徒7:10; Ⅰテモ2:2; 6:15; Ⅰペテ2:13; 黙示15:3; 17:14
【客を】 ἀνακειμένους ἀνάκειμαι アナケイマイ anakeimai {an-ak-i‘-mahee} (vppnam-p 分詞・現能欠対男複)
< ἀνά + κεῖμαι 横たわる
1)横たわっている、横になる 2)(食事の長椅子に)横たわる 3)食事の席についている
(G345 ἀνάκειμαι From 303 and 2749 to recline (as a corpse or at a meal): – guest, lean, lie, sit (down, at meat), at the table. Internet Sacred Text Archive)
マタ9:10; マル14:18; ヨハ12:2: 13:28l;
【見ようと】 θεάσασθαι θεάομαι てアオマイ theaomai {theh-ah‘-om-ahee} (vnad 不定詞・1アオ能欠)
1)驚きの目で見る 2)観察する 3)じっくりと眺める、観察する、視察する、偵察する、見物する 4)感づく、見つける 5)会う 6)感づく、見つける、看取する
(G2300 θεάομαι A prolonged form of a primary verb; to look closely at, that is, (by implication) to perceive (literally or figuratively); by extension to visit: – behold, look (upon), see. Compare 3700. Internet Sacred Text Archive)
マタ6:1; 22:11; 23:5; マル16:14; ルカ5:27; 23:5; ヨハ1:14,32,28; 4:35; 6:5; 8:10; 11:45 etc.
【入って来ると】 εἰσελθὼν εἰσέρχομαι エイセルこマイ eiserchomai {ice-er’-khom-ahee} (vpaanm-s 分詞・2アオ能主男単)
< εἰς 中へ + ἔρχομαι 行く、来る
1)入る、入って行く、入り込む 2)(心中に)おきる、思いつく 3)生じる、起きる 4)登場する、出廷する 4)来る(行く)、到着する
(G1525 εἰσέρχομαι From 1519 and 2064 to enter (literally or figuratively): – X arise, come (in, into), enter in (-to), go in (through). Internet Sacred Text Archive)
マタ2:21; 8:5; 10:12; マル2:1; 11:11; ヨハ10:1,2,3; 使徒23,33 etc.
【そこに】 ἐκεῖ ἐκεῖ エケイ ekei {ek-i‘} (ab 副詞)
1)そこに、そこで、かしこに、そちらへ、あちらへ、その方へ 2)その場所で 3)その時、 当時
(G1563 ἐκεῖ Of uncertain affinity; there; by extension thither: – there, thither (-ward), (to) yonder (place). Internet Sacred Text Archive)
【婚礼の】 γάμου γάμος ガモス gamos {gam‘-os} (n-gm-s 名詞・属男単)
1) 結婚、婚姻 2)婚礼、結婚式、婚宴
(G1062 γάμος Of uncertain affinity; nuptials: – marriage, wedding. Internet Sacred Text Archive)
マタ22,2,3,etc25:10; ルカ12:36; 14:8; ヨハ2:1,2; ヘブ13:4; 黙示19:2,7;
【礼服を】 ἔνδυμα ἔνδυμα エンどゆマ enduma {en‘-doo-mah} (n-an-s 名詞・対中単)
< ἐνύω 着せる
1)衣類 2)衣服 3)着物 4)着衣 5)着る、被せる 6)身に着ける
(G1742 ἔνδυμα From 1746 apparel (especially the outer robe): – clothing, garment, raiment. InternetSacred Text Archive)
マタ3:4; 6:25,28; 7:15; 22:11,1228:3; ルカ12:23;
【着て】 ἐνδεδυμένον ἐνδύω エンどゆオー enduō {en-doo‘-o} (vprmam-s 分詞・完了中対男単)
1)着る、まとう 2)着せる、被せる、身に着ける 3)(武具を)身を固める 4)入り込む、忍び込む
(G1746 ἐνδύω From 1722 and 1416 (in the senese of sinking into a garment); to invest with clothing (literally or figuratively): – array, clothe (with), endue, have (put) on. Internet Sacred Text Archive)
マタ6:25; 27:31; マル1:6; 6:9; 15:20; ルカ8:27; 12:22; 15:22; 24:29 tec.
【いない】 οὐκ οὐ ウー ou {oo} (qn 不変化詞・否定)
1)否 2)~ない 3)~でない
(G3756 οὐ Also οὐκ ouk ook used before a vowel and οὐχ ouch ookh before an aspirate. A primary word; the absolutely negative (compare 3361 adverb; no or not: – + long, nay, neither, never, no (X man), none, [can-] not, + nothing, + special, un ([-worthy]), when, + without, + yet but. See also 3364 3372. Internet Sacred Text Archive)
【人を】 ἄνθρωπον ἄνθρωπος アンとローポス anthrōpos {anth‘-ro-pos} (n-am-s 名詞・対男)
< ἄνήρ 人 +ὤψ 顔
1)人間、人、人類 2)男、夫 3)ある人、或る者、この人
(G444 ἄνθρωπος From 435 and ὤψ ōps (the countenance; from 3700 ; manfaced, that is, a human being: – certain, man. Internet Sacred Text Archive)
【見た】 εἶδεν εἶδον εἶδοω ὁράω エイドン ホラオー eidon {i’-don} (viaa–3s 動詞・直・2アオ・能・3単)
1)見る、~の方を見る、目で見る 2)感知する、知る、味わう、経験する、見て知る、洞察する、理解する、悟る、認める 3)探す、考える、心に調べる、分かる、見つける、発見する 4)注意する、心に調べる、探す 5)面会する、訪問する、行く
(G1492 εἶδοω A primary verb; used only in certain past tenses, the others being borrowed from the equivalent, 3700 and 3708 properly to see (literally or figuratively); by implication (in the perfect only) to know: – be aware, behold, X can (+ not tell), consider, (have) known (-ledge), look (on), perceive, see, be sure, tell, understand, wist, wot. Compare 3700. Internet Sacred Text Archive)
マタ2:2; 4:26;27:49; 14:14; 28:6; マル1:10,16; 2:1; 8:33; ルカ5:26; 7:22;14:18; ヨハ1:47,48; 6:26; 7:52;19:6; 使徒9:35; 12:16; ガラ1:19; Ⅰテモ6:16 etc.
† 英語訳聖書 Matt.22:11
King James Version
22:11 And when the king came in to see the guests, he saw there a man which had not on a wedding garment:
New King James Version
22:11 “But when the king came in to see the guests, he saw a man there who did not have on a wedding garment.
American Standard Version
22:11 But when the king came in to behold the guests, he saw there a man who had not on a wedding-garment:
New International Version
22:11 “But when the king came in to see the guests, he noticed a man there who was not wearing wedding clothes.
Bible in Basic English
22:11 But when the king came in to see the guests, he saw there a man who had not on a guest’s robe;
Today’s English Version
22:11 “The king went in to look at the guests and saw a man who was not wearing wedding clothes.
Darby’s English Translation
22:11 And the king, having gone in to see the guests, beheld there a man not clothed with a wedding garment.
Douay Rheims
22:11 And the king went in to see the guests: and he saw there a man who had not on a wedding garment.
Noah Webster Bible
22:11 And when the king came in to see the guests, he saw there a man who had not a wedding-garment:
Weymouth New Testament
22:11 ‘Now the king came in to see the guests; and among them he discovered one who was not wearing a wedding-robe.
World English Bible
22:11 But when the king came in to see the guests, he saw there a man who didn’t have on wedding-clothing,
Young’s Literal Translation
22:11 ‘And the king having come in to view those reclining, saw there a man not clothed with clothing of the marriage-feast,
† 細き聲 聖書研究ノート
Matt.22:11
εἰσελθὼν δὲ ὁ βασιλεὺς θεάσασθαι τοὺς ἀνακειμένους εἶδεν ἐκεῖ ἄνθρωπον οὐκ ἐνδεδυμένον ἔνδυμα
<王、客を見んとて入り來り、一人の禮服を著けぬ者あるを見て>
王が宴席の客を見ようとして宴会場に行くと、そこに礼服をつけない人がいるのを見つけた。
「人 ἄνθρωπος アンとローポス」は単数形なので、礼服をつけていない「一人の人」である。
<王、客を見んとて入り來り、一人の禮服を著けぬ者あるを見て>
王の婚宴には町の大通りから小道、そして垣根まで探し、「貧乏人、不具者、盲人、足なえなどがみな」集まっていた。しかし、王が宴席で見出した「礼服の未着用者」は一人の男である。そこから、驚くことに他の者たちはみな礼服を着用していたことが分かる。
ユダヤでは貧しい人が婚宴に招かれる時には、入口で「ἔνδυμα γάμου 婚礼の服」が手渡され、それを衣のうえ羽織って入場した。ところが、この男は手渡された婚礼の服を着ないで席に着いていたのである。
† 心のデボーション
「王、客を見んとて入り來り、一人の禮服を著けぬ者あるを見て」 マタイ22:11 大正文語訳聖書
「ところで、王が客を見ようとして入って来ると、そこに婚礼の礼服を着ていない者がひとりいた」 新改訳聖書
「婚宴の服」
王が宴席の客を見ようとして宴会場に行くと、そこに礼服をつけない人がいるのを見つけた。
ユダヤでは貧しい人々を婚宴に招ときには、主催者が「婚礼の服」を用意して入口で手渡した。そのため、婚礼の服のない者はそれを衣のうえから羽織って出席することができた。
神の婚宴に招かれて、何を身にまとうか心配することはない。神御自身が「婚宴の服」を用意しておられる。
神の婚宴には無一物で集えばよい。
† 心のデボーション
「王、客を見んとて入り來り、一人の禮服を著けぬ者あるを見て」 マタイ22:11 大正文語訳聖書
「ところで、王が客を見ようとして入って来ると、そこに婚礼の礼服を着ていない者がひとりいた」 新改訳聖書
「礼拝の装い」
かつて、日本に信徒も牧師もモーニング姿で礼拝に集った教会があった。現在でも礼拝に礼服を身につける教会もある。礼拝に決まった礼服はないが、ふさわしい装いがある。
† 心のデボーション
「王、客を見んとて入り來り、一人の禮服を著けぬ者あるを見て」 マタイ22:11 大正文語訳聖書
「ところで、王が客を見ようとして入って来ると、そこに婚礼の礼服を着ていない者がひとりいた」 新改訳聖書
「自由の代償」
王は宴席に婚礼の礼服をつけない一人の男がいるのを見出した。この男は貧しい者に王が準備した婚礼の服を身につけることを拒んで席についていたのである。
人は神の婚宴に全く自由な姿で臨むべきではない。何をしても自由という者は神の婚宴で何一つ受けることができないばかりか、外に出されるだろう。
† 細き聲 説教
「ふさしからぬ人」
「王、客を見んとて入り來り、一人の禮服を著けぬ者あるを見て」 マタイ22:11 大正文語訳聖書
「ところで、王が客を見ようとして入って来ると、そこに婚礼の礼服を着ていない者がひとりいた」 新改訳聖書
王が宴席の客を見ようとして宴会場に行くと、そこに礼服をつけない人がいるのを見つけた。
「人 ἄνθρωπος アンとローポス」は単数形なので、礼服をつけていない「一人の人」である。
王の婚宴には町の大通りから小道、そして垣根まで探し、「貧乏人、不具者、盲人、足なえなどがみな」集まっていた。しかし、王が宴席で見出した「礼服の未着用者」は一人の男である。そこから、驚くことに他の者たちはみな礼服を着用していたことが分かる。
ユダヤでは貧しい人が婚宴に招かれる時には、入口で「ἔνδυμα γάμου 婚礼の服」が手渡され、それを衣のうえ羽織って入場した。ところが、この男は手渡された婚礼の服を着ないで席に着いていたのである。
王の息子の婚礼の席についたのは、大通りから連れてこられた婚礼にふさわしくない人々だった。しかし、その人々とて王の正式な招待を受けたことに変わりはない。
王は彼らを、礼を尽くして招待した。招かれた人々は「ふさわしくない者」であっても、礼をつくして招きに応じるべきである。
王はすっかり準備の整った宴会場を見た。その目は「ふさわしからぬ人々」の一人一人を「正式の招待客」として見て、満足するものだった。王の息子の婚礼が始まるのである。
しかし、王の目は、大勢の「ふさわしからぬ人々」の中に「一人の受け入れ難い客」を見つけ出した。彼は「婚礼の礼服」をつけていなかったのである。
大通りから連れてこられた人々は、もとより貧しい人々であり、王の婚礼にふさわしい礼服など持っていなかった。しかし、王はそのために、宴会場の入り口に、人々のために礼服を準備していたのである。
すべての「ふさわしからぬ人々」は礼服をつけて宴会場の席についていた。しかし、一人の男が礼服を拒んで席についていたのである。
神の国には「招かれざる人々」が招かれる。その席につくには、神の国にふさわしい装束を身につけなければならない。神の国にふさわしく「身を整える」ことに戸惑う必要はない。「ふさわしい装束」は神の国の入り口にあらかじめ準備されているからである。
しかし、客の中に、準備された礼服を拒む者が一人いた。神の国は「たった一人の礼服を拒む者」を見逃すことはない。その理由を問わずにはおかない。
すくなからぬ「たった一人の準備された礼服を拒む者」がいることを、私たちは自らの内に知るのである。
(皆川誠)
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