マタイによる福音書21章29節

マタイによる福音書
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† 福音書縦観 「二人の息子」

マタイ21:28~32
マタイ21:28~32

Matt.21:29すると彼は『おとうさん、参ります』と答えたが、行かなかった。 口語訳聖書

† 日本語訳聖書 Matt.21:29

【漢訳聖書】
Matt.21:29 答曰、我不徃、然後悔而徃。

【明治元訳】
Matt.21:29 答て否と曰しがのち悔て往たり

【大正文語訳】
Matt.21:29 答へて「主よ、我ゆかん」と言ひて終に往かず。

【ラゲ訳】
Matt.21:29 彼答へて、否と云ひしも、遂に後悔して往きたり。

【口語訳】
Matt.21:29 すると彼は『おとうさん、参ります』と答えたが、行かなかった。

【新改訳改訂3】
Matt.21:29 兄は答えて『行きます。お父さん』と言ったが、行かなかった。

【新共同訳】
Matt.21:29 兄は『いやです』と答えたが、後で考え直して出かけた。

【バルバロ訳】
Matt.21:29 息子は<行かない>と答えたけれど、あとで思い直して出かけていった。

【フランシスコ会訳】
Matt.21:29 長男は、『いやです』と答えた。しかし、後で思い直し、出かけていった。

【日本正教会訳】
Matt.21:29 彼答へて曰へり、我欲せず、然れども後悔いて往けり。

【塚本虎二訳】
Matt.21:29 長男は『いやです』と答えたが、あとで後悔して出かけた。

【前田護郎訳】
Matt.21:29 答えて『はい』といったが行かなかった。

【永井直治訳】
Matt.21:29 然るに彼答へていへり、我は欲せず。されど後に悔いて往けり

【詳訳聖書】
Matt.21:29 すると彼は、『行きたくありません』と答えた。けれどもあとで思い直して出かけて行った。

† 聖書引照 Matt.21:29

Matt.21:29 答へて「主よ、我ゆかん」と言ひて終に往かず。

[答へて「主よ、我ゆかん」と言ひて終に往かず]  マタ21:31; エレ44:16; エペ4:17-19  マタ3:2-8; Ⅱ歴代33:10-19; イザ1:16-19; 55:6,7; エゼ18:28-32; ダニ4:34-37; ヨハ3:2,8-10; ルカ15:17,18; 使徒26:20; Ⅰコリ6:11; エペ2:1-13

† ギリシャ語聖書 Matt.21:29

Stephens 1550 Textus Receptus
ο δε αποκριθεις ειπεν ου θελω υστερον δε μεταμεληθεις απηλθεν

Scrivener 1894 Textus Receptus
ο δε αποκριθεις ειπεν ου θελω υστερον δε μεταμεληθεις απηλθεν

Byzantine Majority
ο δε αποκριθεις ειπεν ου θελω υστερον δε μεταμεληθεις απηλθεν

Alexandrian
ο δε αποκριθεις ειπεν ου θελω υστερον δε μεταμεληθεις απηλθεν

Hort and Westcott

ο δε αποκριθεις ειπεν εγω κυριε και ουκ απηλθ

† ギリシャ語聖書 品詞色分け

Matt.21:29

ὁ δὲ ἀποκριθεὶς εἶπεν, οὐ θέλωὕστερον δὲ μεταμεληθεὶς ἀπῆλθεν.

† ヘブライ語聖書 Matt.21:29

Matt.21:29

.הֵשִׁיב הָרִאשׁוֹן, ‘אֵינֶנִּי רוֹצֶה’, אֲבָל לְאַחַר מִכֵּן הִתְחָרֵט וְהָלַךְ 

† ラテン語聖書 Matt.21:29

Latin Vulgate
Matt.21:29

Ille autem respondens, ait: Nolo. Postea autem, pœnitentia motus, abiit.
And responding, he said, ‘I am not willing.’ But afterwards, being moved by repentance, he went.

† 私訳(詳訳)Matt.21:29

【私訳】 「しかし、彼は答えて言った。『私はそうしたいと思いません』 しかし、彼は後で考え直して<後悔して、心を入れかえて>、出かけて行った」

† 新約聖書ギリシャ語語句研究

Matt.21:29

ὁ δὲ ἀποκριθεὶς εἶπεν, οὐ θέλωὕστερον δὲ μεταμεληθεὶς ἀπῆλθεν.

【しかし】 δὲ  δέ  デ de {deh} (ch 接続詞・完)

1)ところで、しかし、さて、そして 2)しかも、そしてまた、なお、すると、また 3)次に、さらに 4)否、むしろ

(G1161 δέ A primary particle (adversative or continuative); butand, etc.: – also, and, but, moreover, now [often unexpressed in English].  Internet Sacred Text Archive)

【答えて】 ἀποκριθεὶς  ἀποκρίνομαι   アポクリノマイ apokrinomai {ap-ok-ree‘-nom-ahee} (vpaonm-s 分

詞・1アオ能欠主男単)

< ἀπό + κρίνω 審く、分ける

1)分離する、分ける、区別する、退ける 2)離れる、分かれる、帰着する 3)答える、返答する、答弁する、弁明する、言葉を続ける 4)選ぶ、選び出す

(G611  ἀποκρίνομαι From 575 and κρινω krino ; to conclude for oneself, that is, (by implication) to respond; by Hebraism (compare [6030 ) to begin to speak (where an address is expected): – answer.  Internet Sacred Text Archive)

【言った】 εἶπεν  εἶπον エイポン  eipon {i‘-pon}  (viaa–3s 動詞・直・2アオ・能・3)

1)言う、話す、語る、告げる、言いあらわす、述べる、呼ぶ 2)命じる、願う、尋ねる 3)~と呼ぶ、称する 4)語られたこと、言葉、発言、発話、話の内容 5)出来事

εἶπον は ἔπω の2アオリスト形で実際には λέγω のアオリストとして用いられる

(G2036 ἔπω A primary verb (used only in the definite past tense, the others being borrowed from 2046 4483 and 5346 ; to speak or say (by word or writting): – answer, bid, bring word, call, command, grant, say (on), speak, tell. Compare 3004.  Internet Sacred Text Archive)

【いやです】 οὐ θέλω

【望み】 θέλω  θέλω  てろー  thelō ethelō {thel‘-o, eth-el‘-o} (vipa–1s 動詞・直・現・能・1単)

1)欲する、望む、願望する、したいと思う、主張する 2)~の気がある、気が向く、用意がある、~しようとする、心に持つ、(~する)つもりである、志す、決意する 3)好む 4)心に持つ 5)惑わす、呪縛する

(G2309 θέλω Either the first or the second form may be used. In certain tenses θελέω theleō thel-eh‘-o (and ἐθέλέω etheleō eth-el-eh‘-o ) are used, which are otherwise obsolete; apparently strengthened from the alternate form of 138 to determine (as an active voice option from subjective impulse; whereas 1014 properly denotes rather a passive voice acquiescence in objective considerations), that is, choose or prefer (literally or figuratively); by implication to wish, that is, be inclined to (sometimes adverbially gladly); impersonally for the future tense, to be about to; by Hebraism to delight in: – desire, be disposed (forward), intend, list, love, mean, please, have rather, (be) will (have, -ling, -ling [ly]).  Internet Sacred Text Archive)

マタ1:19; 2:18; 5:40; 9:23; 12:38; 13:28; 23:4;  マル3:13; 6:22;  ルカ1:62; 10:29;15:28;  ヨハ5:21; etc.

【ません】 οὐ  οὗ フー h ou {hoo} (qn 不変詞・否定)

1)この、その 2)彼(彼女)の

(G3757 οὗ Genitive case of 3739 as adverb; at which place, that is, where: – where (-in), whither ([-soever]).  Internet Sacred Text Archive)

【しかし】 δὲ.  δέ  デ de {deh} (ch 接続詞・完)

1)ところで、しかし、さて、そして 2)しかも、そしてまた、なお、すると、また 3)次に、さらに 4)否、むしろ

(G1161 δέ A primary particle (adversative or continuative); butand, etc.: – also, and, but, moreover, now [often unexpressed in English].  Internet Sacred Text Archive)

【後で】 ὕστερον  ὕστερος  ヒゆステロス  husteron {hoos‘-ter-on} (abm 副詞・比較)

1)~より後の 2)(空間的に)後の、後方の 3)(時間的に)後の、次の、~の後で 5)下である 6)劣る

(G5306  ὕστερος Comparatively from 5259 (in the sense of behind); later: – latter.  Internet Sacred Text Archive)

マタ4:2; 21:30,32; 25:11; 26:60;  マル16:14;  ルカ20:32;  ヨハ13:36;  ヘブ12:11

【考え直して】 μεταμεληθεὶς  μεταμέλομαι  メタメろマイ metamellomai {met-am-el‘-lom-ahee} (vpaonm-s 分詞・1アオ能欠主男単)

< μετά  交換 + μέλομαι  気にする

1)心を変える、心を入れかえる 2)悔いる、後悔する  3)考えを変える、考え直す

(G3338 μεταμέλομαι From 3326 and the middle of 3199 to care afterwards, that is, regret: – repent (self).  Internet Sacred Text Archive)

マタ21:29,30; 27:3;  Ⅱコリ7:8;  ヘブ7:21;

【行った】 ἀπῆλθεν  ἀπέρχομαι   アペルこマイ  aperchomai {ap-erkh‘-om-ahee} (viaa–3s 動詞・直・1アオ・能・3単)

< ἀπό  ~から + ἔρχομαι 行く、来る

1)~から去る、~から離れる、離れて行く、立ち去る 2)行く、退く、出発する 3)やめる

(G565  ἀπέρχομαι From 575 and 2064 to go off (that is, depart), aside (that is, apart) or behind (that is, follow), literally or figuratively: – come, depart, go (aside, away, back, out, . . . ways), pass away, be past.  Internet Sacred Text Archive)

マタ2:22; 5:30; 8:18;,19,21,33; 10:5; 13:28; 14:15,16; 16:21; 18:30; 20:4; 21:29; 22:5,18,25; 26:36,42,44; 27:5; 25:10 etc.

† 英語訳聖書 Matt.21:29

King James Version
21:29 He answered and said, I will not: but afterward he repented, and went.

New King James Version
21:29 “He answered and said, ‘I will not,’ but afterward he regretted it and went.

American Standard Version
21:29 And he answered and said, I will not: but afterward he repented himself, and went.

New International Version
21:29 “`I will not,’ he answered, but later he changed his mind and went.

Bible in Basic English
21:29 And he said in answer, I will not: but later, changing his decision, he went.

Today’s English Version
21:29 “I don’t want to,’ he answered, but later he changed his mind and went.

Darby’s English Translation
21:29 And he answering said, I will not; but afterwards repenting himself he went.

Douay Rheims
21:29 And he answering, said: I will not. But afterwards, being moved with repentance, he went.

Noah Webster Bible
21:29 He answered and said, I will not; but afterward he repented, and went.

Weymouth New Testament
21:29 ”I will not,’ he replied. ‘But afterwards he was sorry, and went.

World English Bible
21:29 He answered, ‘I will not,’ but afterward he repented himself, and went.

Young’s Literal Translation
21:29 And he answering said, ‘I will not,’ but at last, having repented, he went.

† 細き聲 聖書研究ノート

 <答て否と曰しがのち悔て往たり>

ぶどう園をもつ父親には二人の息子がいた。兄に「きょう、ぶどう園に行って働いてくれ」というと、兄は「いやです」と答えたが、後で考え直して出かけた。

 <「二人の息子の喩え」にいて>

「二人の息子の喩え」マタイ21:28~31は写本によって読み方が次のように異なる。

【大正文語訳聖書】【口語訳聖書】【新改訳聖書】【前田護郎訳聖書】等

兄は「はい」と答えたが葡萄園に行かなかった。弟は「いいえ」と答えたがあとで悔いて葡萄園に行った。

【漢訳聖書】【明治元訳聖書】【ラゲ訳聖書】【新共同訳聖書】【バルバロ訳聖書】【フランシスコ会訳聖書】【日本正教会訳聖書】【塚本虎二訳聖書】【永井直治訳聖書】【詳訳聖書】等

兄は「いいえ」と答えたがあとで悔いて葡萄園に行った。弟は「はい」と答えたが葡萄園にいかなかった。

本聖書研究は後者の写本に従う。

 <答て否と曰しがのち悔て往たり>

葡萄園の主人は二人の息子の兄に声をかける。

兄は「いやです」と答えたが、後で考え直して、父のぶどう園に行った。

兄は一旦は「いやです」と答えたが、あとで悔い改めて葡萄園に行った。

「考え直す μεταμέλομαι  メタメろマイ」は「心を入れかえる、後悔する、考えを変える」で「行為」を変えることである。

† 心のデボーション

「答て否と曰しがのち悔て往たり」 マタイ21:29 明治元訳聖書

「長男は、『いやです』と答えた。しかし、後で思い直し、出かけていった」 フランシスコ会訳聖書

 「神の息子」

葡萄園に行って働くようにと促されながら、「いやです」とことわった「兄」は、「取税人や遊女」をさしている。彼らも「神の葡萄園」に行って働くようにと促されている。かれらも神の「息子」と呼ばれている。

そのように、呼びかけられて、突然、私は「神の息子」であることを知る。

† 心のデボーション

「答て否と曰しがのち悔て往たり」 マタイ21:29 明治元訳聖書

「長男は、『いやです』と答えた。しかし、後で思い直し、出かけていった」 フランシスコ会訳聖書

 「悔い改め」

兄は「悔い改め(考えを変えて)」、父の葡萄園に行った。父の言葉に「いやです」と答えたことに対してではない。「悔い改め」は、取税人や遊女である自分を「神の息子」と考えを変えることである。

† 心のデボーション

「答て否と曰しがのち悔て往たり」 マタイ21:29 明治元訳聖書

「長男は、『いやです』と答えた。しかし、後で思い直し、出かけていった」 フランシスコ会訳聖書

 「方向転換」

いったんは「いいえ」と答えた次男が何故考えを変えたのかについては説明がない。

悔い改めの理由は本人もわからない。人は天からの霊的な力によって方向を転換するのである。

† 細き聲 説教

「答て否と曰しがのち悔て往たり」 マタイ21:29 明治元訳聖書

「長男は、『いやです』と答えた。しかし、後で思い直し、出かけていった」 フランシスコ会訳聖書

ぶどう園をもつ父親には二人の息子がいた。兄に「きょう、ぶどう園に行って働いてくれ」というと、兄は「いやです」と答えたが、後で考え直して出かけた。

「二人の息子の喩え」マタイ21:28~31は写本によって読み方が次のように異なる。

【大正文語訳聖書】【口語訳聖書】【新改訳聖書】【前田護郎訳聖書】等

兄は「はい」と答えたが葡萄園に行かなかった。弟は「いいえ」と答えたがあとで悔いて葡萄園に行った。

【漢訳聖書】【明治元訳聖書】【ラゲ訳聖書】【新共同訳聖書】【バルバロ訳聖書】【フランシスコ会訳聖書】【日本正教会訳聖書】【塚本虎二訳聖書】【永井直治訳聖書】【詳訳聖書】等

兄は「いいえ」と答えたがあとで悔いて葡萄園に行った。弟は「はい」と答えたが葡萄園にいかなかった。

本聖書研究は後者の写本に従う。

葡萄園の主人は二人の息子の兄に声をかける。
兄は「いやです」と答えたが、後で考え直して、父のぶどう園に行った。
兄は「いやです」と答えたが、あとで悔い改めて葡萄園に行った。

「考え直す μεταμέλομαι  メタメろマイ」は「心を入れかえる、後悔する、考えを変える」で「行為」を変えることである。

はじめは主に逆らいながら、後で、悔い改めて、従う者がいる。

「悔い改め μεταμέλομαι  メタメろマイ」は「考え直す」で、方向転換の意味である。

取税人や娼婦たちは、そのようにして「神の国」に入り、それまでの生き方を方向転換して神の業に仕えるようになった人々である。

後から来た者が、先なる者として語られている。

(皆川誠)

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