マタイによる福音書2章23節

マタイによる福音書
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† 福音書対観 「エジプト帰還とナザレ定住」 マタイ2:19~23

マタイ2:19~23

Matt.2:23ナザレという町に行って住んだ。これは預言者たちによって、「彼はナザレ人と呼ばれるであろう」と言われたことが、成就するためである。 口語訳聖書

† 日本語訳聖書 Matt.2:23

【漢訳聖書】
Matt.2:23 至一色、名拿撒勒、居之、致應諸預言者之言云、人將稱之爲拿撒勒人矣。

【明治元訳】
Matt.2:23 ナザレと云(いへ)る邑(むら)に至(いた)りて居(をれ)り彼(かれ)はナザレ人(びと)と稱(よば)れんと預言者(よげんしや)に託(より)て云(いは)れたる言(ことば)に應(かなは)せん爲(ため)なり

【大正文語訳】
Matt.2:23 ナザレといふ町に到りて住みたり。これは預言者たちに由りて、『彼はナザレ人と呼ばれん』と云はれたる言の成就せん爲なり。

【ラゲ訳】
Matt.2:23 ナザレトと云ふ街に至りて住めり。是預言者等によりて「彼はナザレト人と稱へられん」と云はれし事の成就せん為なり。

【口語訳】
Matt.2:23 ナザレという町に行って住んだ。これは預言者たちによって、「彼はナザレ人と呼ばれるであろう」と言われたことが、成就するためである。

【新改訳改訂3】
Matt.2:23 そして、ナザレという町に行って住んだ。これは預言者たちを通して「この方はナザレ人と呼ばれる」と言われた事が成就するためであった。

【新共同訳】
Matt.2:23 ナザレという町に行って住んだ。「彼はナザレの人と呼ばれる」と、預言者たちを通して言われていたことが実現するためであった。

【バルバロ訳】
Matt.2:23 ナザレトという町に居を定めた。こうして預言者たちのことばは実現した、「彼はナザレ人と呼ばれるだろう」。

【フランシスコ会訳】
Matt.2:23 ナザレという町に行ってそこに住んだ。これは預言者たちを通じて、「彼はナザレ人と呼ばれる」と言われたことが成就するためである。

【日本正教会訳】
Matt.2:23 ナザレトと 名づくる 邑に 來りて 此に 居りたり、 諸預言者を 以て、 彼は ナゾレイと 稱へられんと、 言はれし 事に 應ふを 致す。

【塚本虎二訳】
Matt.2:23 ナザレという町に行って住んだ。「彼はナザレ人と言われる」と、預言者たちをもって言われた言葉が成就するためであった。

【前田護郎訳】
Matt.2:23 そしてナザレという町に来て居を定めた。それは預言者たちのことば「彼はナザレ人と呼ばれよう」が成就するためであった。

【永井直治訳】
Matt.2:23 かくて彼は到りて、ナザレと云はるる市(まち)に住めり。是れ彼はナザレ人と呼ばるべしと、豫言者等によりて謂はれしことの成就せらるるためなりしなり。

【詳訳聖書】
Matt.2:23 そしてナザレと呼ばれる町に行って住んだ。それは預言者たちによって、「彼はナザレ人<枝、《分離されたもの》の意味>と呼ばれる」と語られたことが成就するためであった。

† 聖書引照 Matt.2:23

Matt.2:23 ナザレといふ町に到りて住みたり。これは預言者たちに由りて、『彼はナザレ人と呼ばれん』と云はれたる言の成就せん爲なり

[ナザレといふ町に到りて住みたり]  ヨハ18:5,7; 19:19; 使徒2:22
[これは預言者たちに由りて、『彼はナザレ人と呼ばれん』と云はれたる言の成就せん爲なり]  マタ26:71; 民数6:13; 士師13:5; Ⅰサム1:11; 詩篇69:9,10; イザ53:1,2; アモ2:10~12; ヨハ1:45,46; 使徒24:5

† ギリシャ語聖書 Matt.2:23

Stephens 1550 Textus Receptus
και ελθων κατωκησεν εις πολιν λεγομενην ναζαρετ οπως πληρωθη το ρηθεν δια των προφητων οτι ναζωραιος κληθησεται

Scrivener 1894 Textus Receptus
και ελθων κατωκησεν εις πολιν λεγομενην ναζαρετ οπως πληρωθη το ρηθεν δια των προφητων οτι ναζωραιος κληθησεται

Byzantine Majority
και ελθων κατωκησεν εις πολιν λεγομενην ναζαρετ οπως πληρωθη το ρηθεν δια των προφητων οτι ναζωραιος κληθησεται

Alexandrian
και ελθων κατωκησεν εις πολιν λεγομενην ναζαρετ οπως πληρωθη το ρηθεν δια των προφητων οτι ναζωραιος κληθησεται

Hort and Westcott
και ελθων κατωκησεν εις πολιν λεγομενην ναζαρετ οπως πληρωθη το ρηθεν δια των προφητων οτι ναζωραιος κληθησεται

† ギリシャ語聖書 品詞色分け

Matt.2:23

καὶ ἐλθὼν κατῴκησεν εἰς πόλιν λεγομένην Ναζαρέτ ὅπως πληρωθῇ τὸ ῥηθὲν διὰ τῶν προφητῶν ὅτι Ναζωραῖος κληθήσεται.

† ヘブライ語聖書 Matt.2:23

Matt.2:23

הוּא בָּא וְיָשַׁב בְּעִיר הַנִּקְרֵאת נָצְרַת, לְמַעַן יִתְקַיֵּם הַנֶּאֱמָר עַל־פִּי הַנְּבִיאִים כִּי נָצְרִי יִקָּרֵא לוֹ.

† ラテン語聖書 Matt.2:23

Latin Vulgate
Matt.2:23

Et veniens habitavit in civitate quæ vocatur Nazareth: ut adimpleretur quod dictum est per prophetas: Quoniam Nazaræus vocabitur.
And arriving, he lived in a city which is called Nazareth, in order to fulfill what was spoken through the prophets: “For he shall be called a Nazarene.”

† 私訳(詳訳)Matt.2:23

【私訳】 「そして、ナザレと呼ばれる町に来て住んだ<居を構えた>。それは預言者たち<解釈者、代言者、神のことばを伝え解釈する者>を通して、『彼はナザレ人と呼ばれる』と告げられたことが実現する<果たされる、成就する、全うされる、成し遂げる>ためであった」

† 新約聖書ギリシャ語語句研究

Matt.2:23

καὶ ἐλθὼν κατῴκησεν εἰς πόλιν λεγομένην Ναζαρέτ ὅπως πληρωθῇ τὸ ῥηθὲν διὰ τῶν προφητῶν ὅτι Ναζωραῖος κληθήσεται.

【そして】 καὶ  καί カイ kai {kahee} (cc 接続詞・等位)

1)~と、~も、そして 2)~さえ、でさえも 3)しかし 4)しかも、それは 5)それでは、それだのに 6)そうすれば、すなわち 7)のみならず、もまた

【ナザレ】 Ναζαρέτ Ναζαρά ナザラ Nazōraios {nad-zo-rah‘-yos} (n-af-s 名詞・対女単)

ナザレ  ヘブル語 「新芽」「保護」「分離」「花」

ガリラヤの南に位置する丘地でガリラヤ地方の中心的な古い都市。この土地では白い石で家が建てられ、「白い邑」と呼ばれる美しい町だった。丘からは地中海が見られる。ダマスコからエジプトに行く重要な街道があった。旧約聖書に「ナザレ」についての記述はない。そこで「ナザレから何の良いものが出るだろう」と言われた地であった。(ヨハネ1:46)

マタ2:23; 4:13; 21:11;  マル1:9; 2:4;,39,54; 4:16;  ヨハ1:45,46;  使徒10:38

【と呼ばれる】 λεγομένην  λέγω れゴー legō {leg‘-o} (vpppaf-s 分詞・現受対女)

1)言う、告げる、語る、話す、言い表す、述べる 2)呼ぶ、命ずる、指図する、言いつける 3)名づける、称する、呼びかける 4)意味する、指す

マタ1:20; 2:23; 5:44; 9:14,34;  マル2:11; 5:9; 12:18;  ルカ5:39; 6:46; 20:41;  ヨハ1:29; 2:6; 16:12; etc.

【町】 πόλιν  πόλις  ポりス  polis {pol‘-is} (n-af-s 名詞・対女単)

1)城砦、都市、市、町、住民 2)都市国家、国家、自由都市 3)市民としての権利 4)天のエルサレム

【に】 εςἰ  εἰς エイス  eis {ice}  (pa 前置詞・対)

1)~の中へ 2)~へ 3)~まで 4)~のために 5)~に対して 6)~に向かって 7)~を目標にして 8)の間に

【行って】 ἐλθνὼ  ἔρχομαι エルこマイ  erchomai {er‘-khom-ahee} (vpaanm-s 分詞・2アオ能主男単)

1)来る、やってくる、~しにやってくる 2)近づく、臨む、達する 3)着く、到着する 4)現れる 5)上がる、下る

【住んだ】 κατκησενῴ  κατοικέω  カトイケオー katoikeō {kat-oy-keh‘-o} (viaa–3s 動詞・直・1アオ・能・3単)

< κατά  ~の近くに + οἶκος 家

1)~の中に住む、~に宿る 2)定住する、住む、居を定める 3)帰らせる、帰国させる

マタ2:23; 4:13; 12:45; 23:21;  ルカ11:26; 13:4 etc.

【ナザレ人】 Ναζωραοςῖ   Ναζωραῖος  ナゾーライオス Nazōraios {nad-zo-rah‘-yos} (n-nm-s 名詞・主男単)

1)ナザレ人

ナザレ人  ヘブル語 「新芽」「保護」「分離」「花」

「ナザレ人」は「枝、分離されたもの」の意味(詳訳聖書)

マタ2:23; 26:71;  ルカ18:37;  ヨハ18:5,7;19:19;  使徒2:22; 3:6; 4:10; 6:14; 22:8; 24:5; 9

【と】 ὅτι  ὅτι  ホティ hoti {hot‘-ee}  (abr 関係副詞)

1)~ということ 2)なぜなら~だから、というのは~だから、すなわち 3)~であるから 4)というのは

【呼ばれると】 κληθήσεται   καλέω カれオー kaleō {kal-eh‘-o} (vifp–3s 動詞・直・未来・受・3単)

1)呼ぶ、呼びかける、大声で呼ぶ 2)招く 3)呼び出す、呼び掛ける、呼び寄せる 4)~を~と呼ぶ、名づける 5)召喚する

マタ1:21; 2:15; 4:21; 9:13; 20:8; 22:3,8,9; 25:14;  マル1:20; 2:17; 3:31;  ルカ7:39; 19:13  ヨハ2:2; 10:3; 使徒4:18; 24:2;  ヘブ3:13; 11:8;  Ⅰペテ2:9 etc.

【預言者たちを通して】 δι τὰῶν προφητνῶ

【預言者たちを】 προφητνῶ  προφήτης  プロふェーテース  prophētēs {prof-ay‘-tace} (n-gm-p 名詞・属男複)

< πρό  前に + φημί  語る

1)あらかじめ言う 2)解釈者 3)預言者、神のことばを伝え解釈する者、代言者、予言者

マタ1:22; 13:57; 21:11;  ルカ1:76; 7:16; 16:16;  エペ4:11; Ⅰテサ2:15;  黙示22:6  etc.

【通して】 διὰ  διά ディア dia {dee-ah‘} (pg 前置詞・属)

1)~を通って、通り抜けて 2)~を通じて、~中ずっと、~の中に、~の中へと 3)~の故に 3)~のために、~の故に 4)~の間で 5)~を経て、~によって、~の後に

【言われていた事が】 ῥηθνὲ  εἶπον エイポン  eipon {i‘-pon}  (vpapnn-s 分詞・1アオ受主中)

1)言う、話す、語る、告げる、言いあらわす、述べる、呼ぶ 2)命じる、願う、尋ねる 3)~と呼ぶ、称する 4)語られたこと、言葉、発言、発話、話の内容 5)出来事

【実現する】 πληρωθῇ  πληρόω  プれーロオー  plēroō {play-ro‘-o} (vsap–3s 動詞・仮・1アオ・受・3単)

< πλήρης 満たす、~で一杯の、充ち満ちた

1)~を~で満たす、一杯にする、充満させる、充填する、満期になる、満了する、実現する、うめる 2)果たす、成就する、全うする、為し終える、充足する 4)返済する、完全にする、完成する 5)果たす、成し遂げる、終える 5)返済する

マタ1:22; 2:15,17,23; 3:15; 4:14; 5:17; 13;48;  ルカ1:20; 3:5; 7:1; 21:24;  ヨハ3:29; 7:8; 15:11; 16:24;17:13;  ピリ1:11;  コロ4:17 etc.

【ためであった】 ὅπως  ὅπως  ホポース hopōs {hop‘-oce}  (ch 接続詞・完)

1) ~してもらいたい 2)~するために 3)~のように 4)~できるように

† 英語訳聖書 Matt.2:23

King James Version
2:23 And he came and dwelt in a city called Nazareth: that it might be fulfilled which was spoken by the prophets, He shall be called a Nazarene.

American Standard Version
2:23 and came and dwelt in a city called Nazareth; that it might be fulfilled which was spoken through the prophets, that he should be called a Nazarene.

New International Version
2:23 and he went and lived in a town called Nazareth. So was fulfilled what was said through the prophets: “He will be called a Nazarene.”

Bible in Basic English
2:23 And he came and was living in a town named Nazareth: so that the word of the prophets might come true, He will be named a Nazarene.

Darby’s English Translation
2:23 and came and dwelt in a town called Nazareth; so that that should be fulfilled which was spoken through the prophets, He shall be called a Nazaraean.

Douay Rheims
2:23 And coming he dwelt in a city called Nazareth: that it might be fulfilled which was said by prophets: That he shall be called a Nazarene.

Noah Webster Bible
2:23 And he came and dwelt in a city called Nazareth: that it might be fulfilled which was spoken by the prophets, He shall be called a Nazarene.

Weymouth New Testament
2:23 and went and settled in a town called Nazareth, in order that these words spoken through the Prophets might be fulfilled, ‘He shall be called a Nazarene.’

World English Bible
2:23 and came and lived in a city called Nazareth; that it might be fulfilled which was spoken through the prophets: ‘He will be called a Nazarene.’

Young’s Literal Translation
2:23 and coming, he dwelt in a city named Nazareth, that it might be fulfilled that was spoken through the prophets, that ‘A Nazarene he shall be called.’

Amplified Bible
2:23 and went and settled in a city called Nazareth. This was to fulfill what was spoken through the prophets: “He shall be called a [j]Nazarene.”

Footnotes:
[j]The Nazarenes may have been looked on with disfavor by other Jews because Roman soldiers, whose presence was greatly resented, were housed near Nazareth, perhaps causing the Nazarenes to be identified with them.

† 細き聲 聖書研究ノート

<ナザレといふ町に到りて住みたり。これは預言者たちに由りて、『彼はナザレ人と呼ばれん』と云はれたる言の成就せん爲なり>

ヨセフとマリヤはアケラオの追及を逃れるため、幼子イエスを連れ彼らの故郷であるガリラヤのナザレに行き、そこに住んだ。これもまた預言の実現であった。

<定住>

「住む κατοικέω  カトイケオー」は、ギ語の「παροικῶ  パロイコー 寄留する」に対して恒久的な定住を意味する。

エペソ3:17 キリストが「あなたがたの心のうちに住んでいて(定住して)くださいますように」

マタイ12:45 汚れた霊が「はいり込んでそこに住みつく(定住する)のです」

イエスは私のところに来られ天幕を張り「定住」される。しかし、「汚れた霊」もまた、天幕を張り定住する場を探している。

<ナザレ人イエス>

「ナザレ人イエス」(「ナザレ人」は「枝、分離されたもの」の意味)という名は、反対者にとっては「ペストのような存在」(使徒24:5; 26:9)とされた。しかし、神はその名によって、力あるわざと不思議とあかしの奇跡を行なわれる。(使徒2:22)

<分離されたもの>

イエスは「ナザレ人 (枝、分離されたもの)」と呼ばれた。日本人は「分離される」ことを何よりも恐れる。分離されては生きていけないと思い込む。しかし、分離を避けて「私」になることはできない。ヘブル語「ナザレ」は「分離」とともに「新芽」を同時に意味する。「分離」は「新芽」である。「新しい芽」は「分離」から芽生える。何の発芽もしない「分離」をこそ恐れなければならない。

<ヨセフの仕事場の教会>

ナザレのラテン受胎告知教会の近くに「ヨセフの仕事場の教会」と呼ばれるSt. Joseph’s Churchがある。

フランチェスコ修道会の教会で。マリヤの夫ヨセフの仕事場があったという場所に建つ。現在の教会は1914年に建造されたものである。住居は鉄柵に囲まれて地下には入れない。仕事場で家具を作るヨセフの手伝いをするイエスの絵が飾られている。

<ナザレ人>

「旧約聖書には、キリストがナザレ人と呼ばれるだろうという預言はない。ヒエロニムスは、「ここで福音史家が特定の聖書テキストをそのままではなく、意味だけをとった」と説明した。(「バルバロ訳注解」より)

<マタイ2章から3章へ>

マタイ2章はヨセフの家族がエジプトからナザレに戻ったところで終わり、3章はバプテスマのヨハネが登場する。マタイ2章と3章の間には長い年月がはぶかれている。一気に福音の核心に移るためである。

† 心のデボーション

「彼はナザレ人と呼ばれん」 マタイ2:23 大正文語訳聖書

「この方はナザレ人と呼ばれる」 新改訳聖書

「ナザレ人イエス」

「ナザレ人」という呼称には軽蔑の意味が込められている。そのイエスに従うわれらにも、ある種の「軽蔑」のこもった視線をむけられることは避けられない。「お前から何の良きものが出るだろう」と。

私は自分が「ナザレ人」と呼ばれることを否定しないのである。「お前から何の良きものが出るだろう」という言葉の真の意味がわかったからである。

† 心のデボーション

「ナザレといふ町に到りて住みたり。これは預言者たちに由りて、『彼はナザレ人と呼ばれん』と云はれたる言の成就せん爲なり」 マタイ2:23 大正文語訳聖書

「この方はナザレ人と呼ばれる」 新改訳聖書

「朦朧体」

明治時代後半期に岡倉天心の指導の下、横山大観、菱田春草等によって、洋画の外光派に影響をうけ、それまでの伝統的な日本画の線描技法を用いず彩描に絵の具をつけず水で濡らしただけの空刷毛でぼかし、空気や光などを表現し、新しい日本画の表現を生み出した。当時の批評家からは「朦朧体」(ぼんやりとしてはっきりしない)と揶揄され、認められなかった。しかし、その後「朦朧体」は近代日本画に革新をもたらすものとして高い評価を受けていくのである。

イエスが悪意をもって「ナザレ人」と呼ばれたように、新しきものは、いつも悪意ある批評にさらされる。だが、悪口はそのままにしておくと、悪口そのものが意味あるものに変わる。

(†心のデボーション00156)

† 細き聲 説教

「ナザレ人イエス」

「ナザレといふ町に到りて住みたり。これは預言者たちに由りて、『彼はナザレ人と呼ばれん』と云はれたる言の成就せん爲なり」 マタイ2:23 大正文語訳聖書

ヨセフとマリヤは幼子イエスを伴ってガリラヤにゆき、ナザレに落ち着いた。イエスはナザレで成長し、「ナザレ人」と呼ばれた。十字架の審判の夜、大祭司の庭でペテロを見つけた大祭司の女中はイエスを「かのナザレ人イエス」と呼んでいる。

「ペテロの火に煖まりをるを見、これに目を注めて『汝もかのナザレ人イエスと偕に居たり』と言ふ」 マルコ14:67 大正文語訳聖書

「ナザレ人イエス」には侮蔑的な意味が含まれている。

「ナザレ」はエルサレムに遠くガリラヤの小さな村であり、「ナザレより何の善き者か出づべき」と言われていた。

「ナタナエル言ふ『ナザレより何の善き者か出づべき』ピリポいふ『來りて見よ』」 ヨハネ1:46 大正文語訳聖書

しかし、マタイはイザヤの預言したメシア(イザヤ11:1)が、人々の顧みないナザレより出て、「ナザレ人」と呼ばれると告げる。

「ヱツサイの株より一つの芽いで その根より一つの枝はえて實をむすばん」 イザヤ11:1 命じた。

「ナザレ」は「枝、分離されたもの」の意味であり、「新芽」をさす。

イエスはダビデの枝から生える「新芽」であった。

(皆川誠)

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