† 福音書縦観 「パリサイ人とサドカイ人のパン種」 マタイ16:5~12
マタイ16:5~12 マルコ8:14~21 ルカ12:1
マタイ16:5~12
Matt.16:7弟子たちは、これは自分たちがパンを持ってこなかったためであろうと言って、互に論じ合った。 口語訳聖書
† 日本語訳聖書 Matt.16:7
【漢訳聖書】
Matt.16:7 門徒竊議曰、是爲我儕不取餅歟。
【明治元訳】
Matt.16:7 弟子(でし)たがひにじて曰(いひ)けるは是(これ)パンを携(たづさ)へざりし故(ゆゑ)ならん
【大正文語訳】
Matt.16:7 弟子たち互に『我らはパンを携へざりき』と語り合ふ。
【ラゲ訳】
Matt.16:7 彼等案じ合ひて、我等が麪を携へざりし故ならん、と云へるを、
【口語訳】
Matt.16:7 弟子たちは、これは自分たちがパンを持ってこなかったためであろうと言って、互に論じ合った。
【新改訳改訂3】
Matt.16:7 すると、彼らは、「これは私たちがパンを持って来なかったからだ」と言って、議論を始めた。
【新共同訳】
Matt.16:7 弟子たちは、「これは、パンを持って来なかったからだ」と論じ合っていた。
【バルバロ訳】
Matt.16:7 弟子たちは思案して、「私たちがパンを持ってこなかったからだろう」と言い合った。
【フランシスコ会訳】
Matt.16:7 すると、弟子たちは、「わたしたちがパンを持って来なかったからだ」と互いに論じ合った。
【日本正教会訳】
Matt.16:7 彼等竊に議して曰へり、是れ我等が餅を取らざりしを指すなり。
【塚本虎二訳】
Matt.16:7 弟子たちは(その意味がわからず、)「パンを持ってこなかったこと(を言われる)らしい」と言って、こそこそ評議をしていた。
【前田護郎訳】
Matt.16:7 彼ら同士いいはじめた、「われわれがパンを持って来なかったからだ」と。
【永井直治訳】
Matt.16:7 乃ち彼等は己自らのうちに勘考して、云ひけるは、是れ我等のパンを携へざるが故なり。
【詳訳聖書】
Matt.16:7 弟子たちはそれについて自分たちで論じて、言った、「[このおことばは]私たちがパンを持って来なかったからなのだ」。
† 聖書引照 Matt.16:7
Matt.16:7 弟子たち互に『我らはパンを携へざりき』と語り合ふ。
[弟子たち互に] マル8:16-18; 9:10; ルカ9:46
[『我らはパンを携へざりき』と語り合ふ] マタ15:16-18; 使徒10:14
† ギリシャ語聖書 Matt.16:7
Stephens 1550 Textus Receptus
οι δε διελογιζοντο εν εαυτοις λεγοντες οτι αρτους ουκ ελαβομεν
Scrivener 1894 Textus Receptus
οι δε διελογιζοντο εν εαυτοις λεγοντες οτι αρτους ουκ ελαβομεν
Byzantine Majority
οι δε διελογιζοντο εν εαυτοις λεγοντες οτι αρτους ουκ ελαβομεν
Alexandrian
οι δε διελογιζοντο εν εαυτοις λεγοντες οτι αρτους ουκ ελαβομεν
Hort and Westcott
οι δε διελογιζοντο εν εαυτοις λεγοντες οτι αρτους ουκ ελαβομεν
† ギリシャ語聖書 品詞色分け
Matt.16:7
οἱ δὲ διελογίζοντο ἐν ἑαυτοῖς λέγοντες ὅτι ἄρτους οὐκ ἐλάβομεν.
† ヘブライ語聖書 Matt.16:7
Matt.16:7
אַךְ הֵם אָמְרוּ בִּלְבָבָם, לֶחֶם לֹא לָקַחְנוּ
† ラテン語聖書 Matt.16:7
Latin Vulgate
Matt.16:7
At illi cogitabant intra se dicentes: Quia panes non accepimus.
But they were thinking within themselves, saying, “It is because we have not brought bread.”
† 私訳(詳訳)Matt.16:7
【私訳】 「しかし、彼ら〔弟子達〕は、彼ら自身の間で<互いに>、論じ合って言った。『パンを持って来なかったからだ』」
† 新約聖書ギリシャ語語句研究
Matt.16:7
οἱ δὲ διελογίζοντο ἐν ἑαυτοῖς λέγοντες ὅτι ἄρτους οὐκ ἐλάβομεν.
【しかし】 δὲ δέ デ de {deh} (ch 接続詞・完)
1)ところで、しかし、さて、そして 2)しかも、そしてまた、なお、すると、また 3)次に、さらに 4)否、むしろ
(G1161 δέ A primary particle (adversative or continuative); but, and, etc.: – also, and, but, moreover, now [often unexpressed in English]. Internet Sacred Text Archive)
【彼ら自身】 ἑαυτοῖς ἑαυτοῦ ヘアウトウー heautou {heh-ow-too‘} (npdm3p 代名詞・与男3複)
1)彼(彼女、それ)自身の 2)自分自身の 3)自らの中に、自分自身に
(G1438 ἑαυτοῦ (Including all the other cases); from a reflexive pronoun otherwise obsolete and the genitive (dative or accusative) of 846 him (her, it, them, also [in conjunction with the personal pronoun of the other persons] my, thy, our, your) -self (-selves), etc.: – alone, her (own, -self), (he) himself, his (own), itself, one (to) another, our (thine) own (-selves), + that she had, their (own, own selves), (of) them (-selves), they, thyself, you, your (own, own conceits, own selves, -selves). Internet Sacred Text Archive)
【の中で】 ἐν ἐν エン en {en} (pd 前置詞・属)
1)~の中に、~の間に 2)~の上に 3)ところに、のそばに 4)で 3)よって 5)に
(G1722 ἐν A primary preposition denoting (fixed) position (in place, time or state), and (by implication) instrumentality (medially or constructively), that is, a relation of rest (intermediate between 1519 and 1537 ; “in”, at, (up-) on, by, etc.: – about, after, against, + almost, X altogether, among, X as, at, before, between, (here-) by (+ all means), for (. . . sake of), + give self wholly to, (here-) in (-to, -wardly), X mightily, (because) of, (up-) on, [open-] ly, X outwardly, one, X quickly, X shortly, [speedi-] ly, X that, X there (-in, -on), through (-out), (un-) to(-ward), under, when, where (-with), while, with (-in). Often used in compounds, with substantially the same import; rarely with verbs of motion, and then not to indicate direction, except (elliptically) by a separate (and different) prep. Internet Sacred Text Archive)
【論じ合って】 διελογίζοντο διαλογίζομαι ディアろギゾマイ διαλογίζομαι {dialogizomai} (viin–3p 動詞・直・未完・能欠・3複)
< διά + λογίζομαι 論ずる
1)思いめぐらす、思案する、議論する、帰する、推論する、考えをめぐらす 2)決算する、計算する 3)熟慮する 4)区別する
(G1260 διαλογίζομαι From 1223 and 3049 to reckon thoroughly, that is, (generally) to deliberate (by reflection or discussion): – cast in mind, consider, dispute, muse, reason, think. Internet Sacred Text Archive)
マタ16:7,8; マル8:16,17;
【言った】 λέγοντες λέγω れゴー legō {leg‘-o} (vppanm-p 分詞・現能主男)
1)言う、告げる、語る、話す、言い表す、述べる 2)呼ぶ、命ずる、指図する、言いつける 3)名づける、称する、呼びかける 4)意味する、指す
(G3004 λέγω A primary verb; properly to “lay” forth, that is, (figuratively) relate (in words [usually of systematic or set discourse; whereas2036 and 5346 generally refer to an individual expression or speech respectively; while 4483 is properly to break silence merely, and 2980 means an extended or random harangue]); by implication to mean: – ask, bid, boast, call, describe, give out, name, put forth, say (-ing, on), shew, speak, tell, utter. Internet Sacred Text Archive)
マタ1:20; 2:23; 5:44; 9:14,34; マル2:11; 5:9; 12:18; ルカ5:39; 6:46; 20:41; ヨハ1:29; 2:6; 16:12; etc.
【パンを】 ἄρτους ἄρτος アルトス artos {ar‘-tos} (n-am-p 名詞・対男複)
1)パン、厚さ2センチくらいの円形のパン 2)パンの一塊 3)食物
(G740 ἄρτος From 142 bread (as raised) or a loaf: – (shew-) bread, loaf. Internet Sacred Text Archive)
マタ4:3,4; 7:9; 12:4; 14:17,19; 15:26,33,34,36; 16:5,7,8,9,10,11,12; 26;26; マル2:26; 6:37,38,41,44,52; 7:27; 8:4;,5,6,14,16,17,19,14:22 etc
【持って】 ἐλάβομεν λαμβάνω らムバノー lambanō {lam-ban‘-o} (viaa–1p 動詞・直・2アオ・能・1複)
1)取る、取り去る、捉える、得る、つかむ、つかまえる 2)握る、抱える、自分のものとする 3)奪い去る、取り上げる、引き取る、捕らえる、取り去る、取り立てる
(G2983 λαμβάνω A prolonged form of a primary verb, which is used only as an alternate in certain tenses; to take (in very many applications, literally and figuratively [probably objective or active, to get hold of; whereas 1209 is rather subjective or passive, to have offered to one; while 138 is more violent, to seize or remove]): – accept, + be amazed, assay, attain, bring, X when I call, catch, come on (X unto), + forget, have, hold, obtain, receive (X after), take (away, up). Internet Sacred Text Archive)
マタ5:40; 10:38; 13:31,33; 16:19; 15:26;,36; 17:25;,27; 25:1,3; 26:26,27,52; 27:6,9,24,30,48,59; 28:15 etc.
【ない】 οὐκ οὐ ウー ou {oo} (qn 不変化詞・否定)
1)否 2)~ない 3)~でない
(G3756 οὐ Also οὐκ ouk ook used before a vowel and οὐχ ouch ookh before an aspirate. A primary word; the absolutely negative (compare 3361 adverb; no or not: – + long, nay, neither, never, no (X man), none, [can-] not, + nothing, + special, un ([-worthy]), when, + without, + yet but. See also 3364 3372. Internet Sacred Text Archive)
【からだ】 ὅτι ὅτι ホティ hoti {hot‘-ee} (ch/cs 接続詞・完等/従)
1)~ということ 2)なぜなら~だから、というのは~だから、すなわち 3)~であるから 4)というのは
(G3754 ὅτι Neuter of 3748 as conjugation; demonstrative that (sometimes redundant); causatively because: – as concerning that, as though, because (that), for (that), how (that), (in) that, though, why. Internet Sacred Text Archive)
† 英語訳聖書 Matt.16:7
King James Version
16:7 And they reasoned among themselves, saying, [It is] because we have taken no bread.
New King James Version
16:7 And they reasoned among themselves, saying, “It is because we have taken no bread.”
American Standard Version
16:7 And they reasoned among themselves, saying, We took no bread.
New International Version
16:7 They discussed this among themselves and said, “It is because we didn’t bring any bread.”
Bible in Basic English
16:7 And they were reasoning among themselves, saying, We took no bread.
Today’s English Version
16:7 They started discussing among themselves, “He says this because we didn’t bring any bread.”
Darby’s English Translation
16:7 And they reasoned among themselves, saying, Because we have taken no bread.
Douay Rheims
16:7 But they thought within themselves, saying: Because we have taken no bread.
Noah Webster Bible
16:7 And they reasoned among themselves, saying, It is because we have taken no bread.
Weymouth New Testament
16:7 they reasoned among themselves, saying, ‘It is because we have not brought any bread.’
World English Bible
16:7 They reasoned among themselves, saying, ‘We took no bread.’
Young’s Literal Translation
16:7 and they were reasoning in themselves, saying, ‘Because we took no loaves.’
Amplified Bible
16:7 They began to discuss this among themselves, saying, “He said that because we did not bring bread.”
† 細き聲 聖書研究ノート
<弟子たち互に『我らはパンを携へざりき』と語り合ふ>
弟子たちはイエスの警告を理解することができなかった。互いに「自分たちが異邦人の地にゆくのに「浄められたパン種」を持参しなかったからだ」と言い合った。
<弟子たち互に『我らはパンを携へざりき』と語り合ふ>
「弟子たちは(その意味がわからず、)「パンを持ってこなかったこと(を言われる)らしい」と言って、こそこそ評議をしていた」塚本虎二訳
† 心のデボーション
「弟子たち互に『我らはパンを携へざりき』と語り合ふ」 マタイ16:7 大正文語訳聖書
「すると、彼らは、「これは私たちがパンを持って来なかったからだ」と言って、議論を始めた」 新改訳聖書
「的外れ」
イエスの言葉をめぐって弟子たちの間に論争があった。その結論は「自分たちがパンを持って来なかったからだ」というものだった。どうすれば、その結論がイエスの言葉と結びつくのかわからないほどの的外れである。
それが「自分」について語られているという事実を外せば、人は神のことばをどのようにでも解釈することができる一つの例である。
神の言葉はすべて「私」についてのことである。議論によってではなく沈黙によってのみ理解される。
† 心のデボーション
「弟子たち互に『我らはパンを携へざりき』と語り合ふ」 マタイ16:7 大正文語訳聖書
「すると、彼らは、「これは私たちがパンを持って来なかったからだ」と言って、議論を始めた」 新改訳聖書
「私が問題なのですか」
弟子たちがイエスのことばを理解しなかったのは、それが自身に向けられていることがわからなかったからである。
人はよもや自分に警告が発せられていることに気づかない。そして「私が問題なのですか」と驚く。
自身を問題の外に置くことで対象から免れると思うことがすでに問題である。
† 細き聲 説教
「心の貧しい者」
「弟子たち互に『我らはパンを携へざりき』と語り合ふ」 マタイ16:7 大正文語訳聖書
「すると、彼らは、「これは私たちがパンを持って来なかったからだ」と言って、議論を始めた」 新改訳聖書
弟子たちはイエスの警告を理解することができなかった。互いに「自分たちが異邦人の地にゆくのに「浄められたパン種」を持参しなかったからだ」と言い合った。
「弟子たちは(その意味がわからず、)「パンを持ってこなかったこと(を言われる)らしい」と言って、こそこそ評議をしていた」塚本虎二訳
弟子たちの理解力の貧しさを笑うべきではない。人はみな「悟りなき民」である。
「私は心の貧しい者です」と告白する者を神は退け給わない。むしろ、その告白こそが、神に近づく信仰である。
「心の貧しい人々は、幸いである、/天の国はその人たちのものである」 マタイ5:3 新共同訳聖書
主はその度ごとに「われらの内なるパリサイのパン種」を指摘し、それを取り除かれる。
その業は信仰者の生涯にわたって続く祝福の道である。、
(皆川誠)
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