マタイによる福音書14章7節

マタイによる福音書
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† 福音書縦観 「ヘロデとバプテスマのヨハネ」 マタイ14:1~12  

マタイ14:1~12 マルコ6:14~29 ルカ9:7~9
マタイ14:1~12

Matt.14:7彼女の願うものは、なんでも与えようと、彼は誓って約束までした。 (そこで王はこの少女に「ほしいものはなんでも言いなさい。あなたにあげるから」と言い、 6:23さらに「ほしければ、この国の半分でもあげよう」と誓って言った。 マルコ6:22~23)口語訳聖書

† 日本語訳聖書 Matt.14:7 

【漢訳聖書】
Matt.14:7 希律遂發誓、許以任其所求、必賜之。

【明治元訳】
Matt.14:7 何(いか)なるにても求(もとめ)に任(まかせ)て予(あたへ)んとヘロデ之(これ)に誓(ちかひ)たり

【大正文語訳】
Matt.14:7 ヘロデ之に何にても求むるままに與へんと誓へり。

【ラゲ訳】
Matt.14:7 ヘロデ誓ひて、何物を求むるも之を與へんと約せり。

【口語訳】
Matt.14:7  彼女の願うものは、なんでも与えようと、彼は誓って約束までした。

【新改訳改訂3】
Matt.14:7  それで、彼は、その娘に、願う物は何でも必ず上げると、誓って堅い約束をした。

【新共同訳】
Matt.14:7  それで彼は娘に、「願うものは何でもやろう」と誓って約束した。

【バルバロ訳】
Matt.14:7 ヘロデは、望みのものを何でもやろうと娘に誓って言った。

【フランシスコ会訳】
Matt.14:7 そこで、ヘロデは、誓って、望むものを何でも与えると彼女に約束した。

【日本正教会訳】
Matt.14:7 故に彼誓ひて、其求むる所に隨ひて、之を與へんことを約せり。

【塚本虎二訳】
Matt.14:7 そのためヘロデは娘に、願うものはなんでもやろう、と誓いまで立てて約束した。

【前田護郎訳】
Matt.14:7 そこで彼は誓って、望みのものを彼女に与える約束をした。

【永井直治訳】
Matt.14:7 それ故に彼は誓をもて、何にても求むるものを與へんと彼に告白せり。

【詳訳聖書】
Matt.14:7 そこでヘロデは彼女にその願うものはなんであろうとも与える、と誓いを立てて約束した。

† 聖書引照 Matt.14:7 

Matt.14:7 ヘロデ之に何にても求むるままに與へんと誓へり。

[ヘロデ之に何にても求むるままに與へんと誓へり]  エス5:3,6; 7:2

† ギリシャ語聖書 Matt.14:7 

Stephens 1550 Textus Receptus
οθεν μεθ ορκου ωμολογησεν αυτη δουναι ο εαν αιτησηται

Scrivener 1894 Textus Receptus 
οθεν μεθ ορκου ωμολογησεν αυτη δουναι ο εαν αιτησηται

Byzantine Majority 
οθεν μεθ ορκου ωμολογησεν αυτη δουναι ο εαν αιτησηται

Alexandrian 
οθεν μεθ ορκου ωμολογησεν αυτη δουναι ο εαν αιτησηται

Hort and Westcott 
οθεν μεθ ορκου ωμολογησεν αυτη δουναι ο εαν αιτησηται

† ギリシャ語聖書 品詞色分け 

Matt.14:7

ὅθεν μεθ᾽ ὅρκου ὡμολόγησεν αὐτῇ δοῦναι ὃ ἐὰν αἰτήσηται.

† ヘブライ語聖書 Matt.14:7 

Matt.14:7

לְפִיכָךְ הִבְטִיחַ לָהּ בִּשְׁבוּעָה לָתֵת לָהּ כָּל מַה שֶּׁתְּבַקֵּשׁ

† ラテン語聖書 Matt.14:7 

Latin Vulgate
Matt.14:7

Unde cum iuramento pollicitus est ei dare quodcumque postulasset ab eo.
And so he promised with an oath to give her whatever she would ask of him. 

† 私訳(詳訳)Matt.14:7 

【私訳】 「そこで〔ヘロデは〕、『もし願う<求める、要求する、頼む>ならば〔何でも〕授けよう<かなえよう、施そう、あげよう>』と彼女に誓いを立てて約束した<明言した、公言した>」

† 新約聖書ギリシャ語語句研究 

Matt.14:7

ὅθεν μεθ᾽ ὅρκου ὡμολόγησεν αὐτῇ δοῦναι ὃ ἐὰν αἰτήσηται.

【そこで】 ὅθεν  ὅθεν ホてン  hothen {hoth‘-en} (ch 接続詞・完等)

1)ところの 2)そこから 3)そのため 4)その故

(G3606  ὅθεν From 3739 with the directive enclitic of source; from which place or source or cause (adverbially or conjugationally): – from thence, (from) whence, where (-by, -fore, -upon).  Internet Sacred Text Archive)

【願うものはなんでも】 原文「もし願うものはなんでも」

【もし】 ἐὰν  ἐάν  エアン ean {eh-an‘}  (qv 不変詞)

1)もし、もし~ならば 2)~であれ 3)ひょっとして、万一

(G1437 ἐάν From 1487 and 302 a conditional particle; in case that, provided, etc.; often used in connection with other particles to denote indefiniteness or uncertainty: – before, but, except, (and) if, (if) so, (what-, whither-) soever, though, when (-soever), whether (or), to whom, [who-] so (-ever). See 3361.   Internet Sacred Text Archive)

【願う】 αἰτήσηται  αἰτέω   アイテオー  aiteō {ahee-teh‘-o} (vsam–3s 動詞・仮・1アオ・中・3単)

1)願い求める、求める 2)請う、乞う 3)要求する 4)頼む

(G154 αἰτέω Of uncertain derivation; to ask (in generally): – ask, beg, call for, crave, desire, require. Compare 4441

マタ5:42; 27:58;  マル15:43;  ルカ12:48; 23:52; 使徒3:2; 9:2;  Ⅰコリ1:22;  ピリ3:13 etc.

【ものは】 ὃ  ὅς  ホス  hos {hos}  (-apran-s 関係代名詞・対中単)

1)この~ 2)これ 3)ところの、そして

(G3739  ὅς Probably a primary word (or perhaps a form of the article 3588 ; the relative (sometimes demonstrative) pronoun, whowhichwhatthat: – one, (an-, the) other, some, that, what, which, who (-m, -se), etc. See also 3757.   Internet Sacred Text Archive)

【与えよう】 δοῦναι  δίδωμι  ディドーミ  didōmi {did‘-o-mee} (vnaa 不定詞・2アオ能)

1)与える、あげる、差し出す、提供する、分け与える、賜う、施す、支払う 2)捧げる、供える、提供する、授ける、賜る 3)ゆだねる、渡す、許す、かなえる、置く

(G1325 δίδωμι A prolonged form of a primary verb (which is used as an alternate in most of the tenses); to give (used in a very wide application, properly or by implication, literally or figuratively; greatly modified by the connection): – adventure, bestow, bring forth, commit, deliver (up), give, grant, hinder, make, minister, number, offer, have power, put, receive, set, shew, smite (+ with the hand), strike (+ with the palm of the hand), suffer, take, utter, yield.  Internet Sacred Text Archive)

【彼女に】 αὐτῇ  αὐτός  アウトス autos {ow-tos‘}  (npdf3s 代名詞・与女3)

1)彼、彼女、それ(三人称の代名詞) 2)自身で、自分から、自分として(強調用法) 3)同じ同一の 4)まさに、ちょうど

(G846 αὐτός From the particle αὖ au (perhaps akin to the base of 109 through the idea of a baffling wind; backward); the reflexive pronoun self, used (alone or in the compound of 1438 of the third person, and (with the proper personal pronoun) of the other persons: – her, it (-self), one, the other, (mine) own, said, ([self-], the) same, ([him-, my-, thy-]) self, [your-] selves, she, that, their (-s), them ([-selves]), there [-at, -by, -in, -into, -of, -on, -with], they, (these) things, this (man), those, together, very, which. Compare 848.   Internet Sacred Text Archive)

【誓い】 ὅρκου  ὅρκος  ホルコス  ὅρκος {horkos} (n-gm-s 名詞・属男単)

< ἕρκος 柵、囲い、城壁

1)誓い 2)誓言   神に対して何事かを「柵で囲う」こと。

(G3727  ὅρκος From ἕρκος herkos (a fence; perhaps akin to 3725 ; a limit, that is, (sacred) restraint (specifically oath): – oath.  Internet Sacred Text Archive)

マタ5:33; 14:7,9; 26:72;  マル6:26;  ルカ1:73;  使徒2:30;  ヘブ6:16,17;  ヤコ5:12

【と共に】 μεθ᾽  μετά メタ  meta {met-ah‘} (pg 前置詞・属)

1)~の真中に、~の間に 2)~と共に、連結、交際、協力、関与、互いに 3)同行、同伴 4)共働、助力 5)一体になる 6)後に、後方に

(G3326 μετά  A primary preposition (often used adverbially); properly denoting accompaniment; “amid” (local or causal); modified variously according to the case (genitive case association, or accusative case succession) with which it is joined; occupying an intermediate position between 575 or 1537 and 1519 or 4314 less intimate than 1722 and less close than 4862 : – after (-ward),X that he again, against, among, X and, + follow, hence, hereafter, in, of, (up-) on, + our, X and setting, since, (un-) to, + together, when, with (+ -out). Often used in composition, in substantially the same relations of participation or proximity, and transfer or sequence.  Internet Sacred Text Archive)

【約束した】 ὡμολόγησεν  ὁμολογέω  ホモろゲオー  homologeō {hom-ol-og-eh‘-o}  (viaa–3s 動詞・1直アオ・能・3単)

< ὁμός 同じ + λέγω 言う

1)同じことを言う 2)同意する、一致する、承知する、折り合う、合意する 3)誓う、約束する 4)告白する、打ち明ける、率直に言う、はっきり言う 5)公言する、明言する、 主張する

(G3670  ὁμολογέω From a compound of the base of 3674 and 3056 to assent, that is, covenantacknowledge: – con- (pro-) fess, confession is made, give thanks, promise.)

マタ7:23; 14:7;  使徒7:17; 23:8;  Ⅰテモ6:12

† 英語訳聖書 Matt.14:7 

King James Version 
14:7 Whereupon he promised with an oath to give her whatsoever she would ask.

New King James Version
14:7 Therefore he promised with an oath to give her whatever she might ask.

American Standard Version 
14:7 Whereupon he promised with an oath to give her whatsoever she should ask.

New International Version
14:7 that he promised with an oath to give her whatever she asked.

Bible in Basic English 
14:7 So he gave her his word with an oath to let her have whatever she might make request for.

Today’s English Version
14:7 that he promised her, “I swear that I will give you anything you ask for!”

Darby’s English Translation 
14:7 whereupon he promised with oath to give her whatsoever she should ask.

Douay Rheims 
14:7 Whereupon he promised with an oath, to give her whatsoever she would ask of him.

Noah Webster Bible 
14:7 Upon which he promised with an oath to give her whatever she would ask.

Weymouth New Testament 
14:7 that with an oath he promised to give her whatever she asked.

World English Bible 
14:7 Whereupon he promised with an oath to give her whatever she should ask.

Young’s Literal Translation 
14:7 whereupon with an oath he professed to give her whatever she might ask.

Amplified Bible
14:7 so much that he promised with an oath to give her whatever she asked.

† 細き聲 聖書研究ノート 

 <ヘロデ之に何にても求むるままに與へんと誓へり>

領主ヘロデは誕生日の宴会でサロメが踊りを披露したことを喜び、「なんでも求めるままに与える」と人々の前で誓った。

 <誓い>

「誓って ὅρκος  ホルコス」が複数形であることは、領主ヘロデが繰り返し「誓った」ことを示す。

領主ヘロデがしたのは普通の「約束」ではない。「誓い」と共になされたもので、たとえ王といえども、破ることは許されない重いことばであった。

 <何にても求むるままに>

マルコ並行記事にヘロデは「ほしければ、この国の半分でもあげよう」と誓っている。(マルコ6:22~23)

「この国の半分でも」は戯言である。ヘロデの領地はローマから預かったもので、ヘロデの一存で「与える」ことのできるはずもなかった。

† 心のデボーション    

「ヘロデ之に何にても求むるままに與へんと誓へり」 マタイ14:7 大正文語訳聖書

「それで、彼は、その娘に、願う物は何でも必ず上げると、誓って堅い約束をした」 新改訳聖書

 「パンと扁豆の羹」

ヘロデはサロメに「ほしければ、この国の半分でもあげよう」と誓ったが、求められたのは「それ以上のもの」だった。へロデはバプテスマのヨハネを、後にイエスを、さらには「国」そのものを差し出すことになった。

ヘロデは一椀の煮物と長子の権利を交換したエソウのように、サロメの座興と交換に自らの将来を差し出してしまったのだ。

「是に於てヤコブ、パンと扁豆の羹とをエサウに與へければ食且飮て起て去り斯エサウ家督の權を藐視じたり」 創世記25:34 明治元訳聖書

† 心のデボーション   

「ヘロデ之に何にても求むるままに與へんと誓へり」 マタイ14:7 大正文語訳聖書

「それで、彼は、その娘に、願う物は何でも必ず上げると、誓って堅い約束をした」 新改訳聖書

 「なし得ぬことなどなき者」

なし得ぬことなどなき者と自認する者は、なし得ぬことをなすはめに陥る。

† 心のデボーション   

「ヘロデ之に何にても求むるままに與へんと誓へり」 マタイ14:7 大正文語訳聖書

「それで、彼は、その娘に、願う物は何でも必ず上げると、誓って堅い約束をした」 新改訳聖書

 「冗談から」

「何にても求むるままに與へん」は本気ではあるまい。サロメの舞が宴会での余興だったように、ヘロデの約束も祝宴の招待客への戯言だったにちがいない。約束された者もその場の空気を読んで、余興相応のものを求めればすむことである。

しかし、時に冗談から怖いものが引き出される。

† 細き聲 説教  

 「戯言」

「ヘロデ之に何にても求むるままに與へんと誓へり」 マタイ14:7 大正文語訳聖書

「それで、彼は、その娘に、願う物は何でも必ず上げると、誓って堅い約束をした」 新改訳聖書

領主ヘロデは誕生日の宴会でサロメが踊りを披露したことを喜び、「なんでも求めるままに与える」と人々の前で誓った。

「誓って ὅρκος  ホルコス」が複数形であることは、領主ヘロデが繰り返し「誓った」ことを示す。

領主ヘロデがしたのは普通の「約束」ではない。「誓い」と共になされたもので、たとえ王といえども、破ることは許されない重いことばであった。

マルコ並行記事にヘロデは「ほしければ、この国の半分でもあげよう」と誓っている。(マルコ6:22~23)

「この国の半分でも」は戯言である。ヘロデの領地はローマから預かったもので、ヘロデの一存で「与える」ことのできるはずもなかった。

領主ヘロデの弱点は、危険な戯言を吐くことかもしれない。

日本式に言えば「酒のうえでの約束」ということなのだろうが、神を信じる国家では通用しないことばである。

「神の前で軽々しく口をひらき、また言葉を出そうと、心にあせってはならない。神は天にいまし、あなたは地におるからである。それゆえ、あなたは言葉を少なくせよ。」 伝道5:2 口語訳聖書

(皆川誠)

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