研究ノート「目的は目的から生まれる」

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ヘブル2:10

ἔπρεπεν γὰρ αὐτῶ, δι᾽ ὃν τὰ πάντα καὶ δι᾽ οὖ τὰ πάντα, πολλοὺς υἱοὺς εἰς δόξαν ἀγαγόντα τὸν ἀρχηγὸν τῆς σωτηρίας αὐτῶν διὰ παθημάτων τελειῶσαι.

新改訳聖書

神が多くの子たちを栄光に導くのに、彼らの救いの創始者を、多くの苦しみを通して全うされたということは、万物の存在の目的であり、また原因でもある方として、ふさわしいことであったのです。

【中心聖句】 ヘブル2:10

【聖書引照】 創世記1:1  ヨハネ1:1 Ⅰコリント14:10 創世記2:7  ヘブル2:10 ロマ11:36

「目的は目的から生まれる」は、「非目的から目的は生まれるか?」という進化論的思考への疑問に対する答えとして、聖書の教えを述べたものである。

Ⅰ 創造の神

創世記1:1 

בְּרֵאשִׁ֖ית בָּרָ֣א אֱלֹהִ֑ים אֵ֥ת הַשָּׁמַ֖יִם וְאֵ֥ת הָאָֽרֶץ

ἐν ἀρχῇ ἐποίησεν ὁ θεὸς τὸν οὐρανὸν καὶ τὴν γῆν

口語訳聖書

はじめに神は天と地とを創造された。

聖書は冒頭に創世記を置き、神は「天地の造り主(創造の神) לְאֵ֣ל עֶלְיֹ֔ון קֹנֵ֖ה שָׁמַ֥יִם וָאָֽרֶץ」(創世記14:19 新共同訳聖書)である。

「はじめに神は天と地とを創造された」(創世記1:1 口語訳聖書)「はじめに בְּרֵאשִׁ֖ית」は「開始、起源、根源、発端」を意味する。LXX「ἐν ἀρχῇ」は「初め、最初、発端、源、起源、根源、原初、原因、根拠」を意味することばである。

「天と地」は無意味から発生したのではなく、「最初、発端、源、起源、根源、原因、根拠」を有し、「神」をもってすべての事物、事柄は存在するのである。

Ⅱ ロゴス

ヨハネ1:1

ἐν ἀρχῇ ἦν ὁ λόγος, καὶ ὁ λόγος ἦν πρὸς τὸν θεόν, καὶ θεὸς ἦν ὁ λόγος.

口語訳聖書

初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。

Ⅰコリント14:10

τοσαῦτα εἰ τύχοι γένη φωνῶν εἰσιν ἐν κόσμῳ, καὶ οὐδὲν ἄφωνον·

口語訳聖書

世には多種多様の言葉があるだろうが、意味のないものは一つもない。 

はじめに ἐν ἀρχῇ 天と地を創造された神のロゴス ὁ λόγοςは、人間の救いの「はじめ ἐν ἀρχῇ」として、新しいいのちの創造の「最初、発端、源、起源、根源、原因、根拠」となられた。

人間の語ることば(言語)に「意味のないことば」は一つもない。(Ⅰコリント14:10)しかし、人間のことば(言語)には、意味を成らせる力はない。しかし、創造に先立って神の口かでたことば ὁ λόγοςは意味をもたらし、意味を成らせる(存在にいたせる)力にであった。ここに人間が神の御言葉 ὁ λόγοςによって意味に至る根源がある。

Ⅲ 万物の存在の目的であり、また原因でもある方〔神〕

創世記2:7 

וַיִּיצֶר֩ יְהוָ֨ה אֱלֹהִ֜ים אֶת־הָֽאָדָ֗ם עָפָר֙ מִן־הָ֣אֲדָמָ֔ה וַיִּפַּ֥ח בְּאַפָּ֖יו נִשְׁמַ֣ת חַיִּ֑ים וַֽיְהִ֥י הָֽאָדָ֖ם לְנֶ֥פֶשׁ חַיָּֽה

καὶ ἔπλασεν ὁ θεὸς τὸν ἄνθρωπον χοῦν ἀπὸ τῆς γῆς καὶ ἐνεφύσησεν εἰς τὸ πρόσωπον αὐτοῦ πνοὴν ζωῆς καὶ ἐγένετο ὁ ἄνθρωπος εἰς ψυχὴν ζῶσαν

口語訳聖書

主なる神は土のちりで人を造り、命の息をその鼻に吹きいれられた。そこで人は生きた者となった。

ヘブル2:10

ἔπρεπεν γὰρ αὐτῶ, δι᾽ ὃν τὰ πάντα καὶ δι᾽ οὖ τὰ πάντα, πολλοὺς υἱοὺς εἰς δόξαν ἀγαγόντα τὸν ἀρχηγὸν τῆς σωτηρίας αὐτῶν διὰ παθημάτων τελειῶσαι.

新改訳聖書

神が多くの子たちを栄光に導くのに、彼らの救いの創始者を、多くの苦しみを通して全うされたということは、万物の存在の目的であり、また原因でもある方として、ふさわしいことであったのです。

ロマ11:36

ὅτι ἐξ αὐτοῦ καὶ δι᾽ αὐτοῦ καὶ εἰς αὐτὸν τὰ πάντα· αὐτῶ ἡ δόξα εἰς τοὺς αἰῶνας· ἀμήν.

口語訳聖書

万物は、神からいで、神によって成り、神に帰するのである。栄光がとこしえに神にあるように、アァメン。

神は「土のちりで人を造り、命の息をその鼻に吹きいれられ」、それによって「人は生きた者となった」(創世記2:7 口語訳聖書) 神は「万物の存在の目的であり、また原因で δι᾽ ὃν τὰ πάντα καὶ δι᾽ οὖ τὰ πάντα」ある。(ヘブル2:10 口語訳聖書) 人間は無目的から生まれていない。「目的と原因」をもって生まれ、存在するのである。人間を創造された神は、「救いの創始者 τὸν ἀρχηγὸν τῆς σωτηρίας」となられる。神は人間を「栄光に導く」ために、「多くの苦しみ(主イエス・キリストの十字架と復活)を通して、救い、すなわち創造された人間の存在の目的と意味を全うし給うのである。

万物の存在の目的であり、また原因でもある神は、人間の存在の目的であり、また原因である。「万物は、神からいで、神によって成り、神に帰するのである。栄光がとこしえに神にあるように、アァメン。」(ロマ11:36  口語訳聖書)

(聖書研究ノート 00112-58-2-10-1 「目的は目的から生まれる」 ヘブル2:10) 

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