研究ノート「アンガレウオー 強いる」

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マルコ15:21 

καὶ ἀγγαρεύουσιν παράγοντά τινα σίμωνα κυρηναῖον ἐρχόμενον ἀπ᾽ ἀγροῦ, τὸν πατέρα ἀλεξάνδρου καὶ ῥούφου, ἵνα ἄρῃ τὸν σταυρὸν αὐτοῦ.

新共同訳聖書

そこへ、アレクサンドロとルフォスとの父でシモンというキレネ人が、田舎から出て来て通りかかったので、兵士たちはイエスの十字架を無理に担がせた。

【中心聖句】 マルコ15:21 

【聖書引照】 マルコ15:21  マタイ5:41; 27:32;  

「アンガレウオー 強いる」

Ⅰ 用語 ἀγγαρεύω  アンガレウオー

ἀγγαρεύω  アンガレウオー  aggareuō {ang-ar-yew‘-o}   

< ἄγγαρος ペルシャ国王の命令で備えられた騎馬伝令使

①強いる ②無理に行かせる

[一ミリオンを強いる] マタイ5:41

[イエスの十字架を無理に担がせる] マタイ27:32;  マルコ15:21

「強いる ἀγγαρεύω アンガペウオー」の語源はペルシャ語「飛脚」を意味する「ἄγγαρος アンガロス」

で、ペルシャでは郵便制度が整い、騎馬伝令使は途中、馬でも舟でも人でも、強いて提供させることが認められ、彼らに「強いられ」たら従うことが義務づけられていた。ローマ帝国はこの制度を採用しローマ兵に強制労働権を与えた。

(ἀγγαρεύω  マタ5:41; 27:32;  マル15:21)

Ⅱ 一ミリオンを強いる

マタイ5:41 

καὶ ὅστις σε ἀγγαρεύσει μίλιον ἕν, ὕπαγε μετ᾽ αὐτοῦ δύο.

新共同訳聖書

だれかが、一ミリオン行くように強いるなら、一緒に二ミリオン行きなさい。

イエスは「一ミリオン行くように強いられた ἀγγαρεύω なら、一緒に二ミリオン行きなさい」と教えられた。(マタイ5:41)「強いる ἀγγαρεύω  アンガレウオー」の語源はペルシャ語「飛脚」を意味する「ἄγγαρος アンガロス」

で、ペルシャでは郵便制度が整い、騎馬伝令使は途中、馬でも舟でも人でも、強いて提供させることが認められ、彼らに「強いられ」たら従うことが義務づけられていた。ローマ帝国はこの制度を採用しローマ兵に強制労働権を与えた。

「一ミリオン」は「一里」「一マイル」「一千歩」などと訳される。「一ミリオン」は1000複歩(2000歩)で1478.5m」、「一里」は「3927m」、「1マイル」は「1609m」になり、「一千歩」は「739m」にあたる。「一ミリオン」の距離感からは「一マイル」が一番近い。人間の歩行速度時速4㎞として計算すると、「一ミリオン」は約22分の歩行を強いられることになる。イエスの二ミリオンを行ったとすれば約44分の道行である。「一ミリオン」を強いられて共に「二ミリオン」行くのは、実際に歩いてみれば思ったほどの距離でもなく、歩き出せば「一ミリオン」も「二ミリオン」もさほどの違いはないかもしれない。

Ⅲ キレネ人シモン

マルコ15:21 

καὶ ἀγγαρεύουσιν παράγοντά τινα σίμωνα κυρηναῖον ἐρχόμενον ἀπ᾽ ἀγροῦ, τὸν πατέρα ἀλεξάνδρου καὶ ῥούφου, ἵνα ἄρῃ τὸν σταυρὸν αὐτοῦ.

新共同訳聖書

そこへ、アレクサンドロとルフォスとの父でシモンというキレネ人が、田舎から出て来て通りかかったので、兵士たちはイエスの十字架を無理に担がせた。

マタイ27:32 

ἐξερχόμενοι δὲ εὖρον ἄνθρωπον κυρηναῖον ὀνόματι σίμωνα· τοῦτον ἠγγάρευσαν ἵνα ἄρῃ τὸν σταυρὸν αὐτοῦ.

新共同訳聖書

兵士たちは出て行くと、シモンという名前のキレネ人に出会ったので、イエスの十字架を無理に担がせた。

イエスは十字架を背負われて、ゴルゴダの丘までの約1キロメートルを歩かれた。しかし、兵士らに加えられた肉体的苦痛に、幾度も道に倒れられた。そこで、ローマ兵はたまたま、道でイエスを見ていたシモンという名のキレネ人に命じて十字架の横木を背負わせた(ἀγγαρεύω)。シモンは十字架の横棒を背負ってイエスの後に従いゴルゴダの丘まで歩いた。(マルコ15:21 マタイ27:32)イエスの十字架を身代わりに背負ったクレネ人シモンは、使徒13:1~3の「ニゲルと呼ばれるシメオン」であると推測される。それが正しいとすれば、クレネ人シモンはイエスの十字架を「無理やりに背負わされた(ἀγγαρεύω)」ことから、イエスを信じるにいたり、その後アンテオケ教会の指導者の一人になった。彼は「一ミリオンを強いられた(ἀγγαρεύω)が「二ミリオン」を行くことによって魂の救いを得たのである。

(聖書研究ノート 00086-41-15-21-1 「アンガレウオー 強いる」 マルコ15:21) 

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