聖書研究ノート「バベルの塔とアブラハム」

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ヨハネ1:10 

ἐν τῶ κόσμῳ ἦν, καὶ ὁ κόσμος δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ ὁ κόσμος αὐτὸν οὐκ ἔγνω.

新共同訳聖書

言は世にあった。世は言によって成ったが、世は言を認めなかった。

【中心聖句】 ヨハネ1:10

【聖書引照】 ヨハネ1:10 創世11:5~9 創世17:1 創世18:33

「バベルの塔とアブラハム」

Ⅰ 言は世にあった

ヨハネ1:10 

ἐν τῶ κόσμῳ ἦν, καὶ ὁ κόσμος δι᾽ αὐτοῦ ἐγένετο, καὶ ὁ κόσμος αὐτὸν οὐκ ἔγνω.

新共同訳聖書

言は世にあった。世は言によって成ったが、世は言を認めなかった。

創造のはじめに神と共にあった「ロゴス λόγος(ことば)」は、人間を照らす光として歴史を形成した。旧約聖書は神の「ロゴス λόγος(ことば)」の記録である。

Ⅱ バベルの塔

創世11:5~9 

וַיֵּ֣רֶד יְהוָ֔ה לִרְאֹ֥ת אֶת־הָעִ֖יר וְאֶת־הַמִּגְדָּ֑ל אֲשֶׁ֥ר בָּנ֖וּ בְּנֵ֥י הָאָדָֽם
יֹּ֣אמֶר יְהוָ֗ה הֵ֣ן עַ֤ם אֶחָד֙ וְשָׂפָ֤ה אַחַת֙ לְכֻלָּ֔ם וְזֶ֖ה הַחִלָּ֣ם לַעֲשֹׂ֑ות וְעַתָּה֙ לֹֽא־יִבָּצֵ֣ר מֵהֶ֔ם כֹּ֛ל אֲשֶׁ֥ר יָזְמ֖וּ לַֽעֲשֹֽׂות
הָ֚בָה נֵֽרְדָ֔ה וְנָבְלָ֥ה שָׁ֖ם שְׂפָתָ֑ם אֲשֶׁר֙ לֹ֣א יִשְׁמְע֔וּ אִ֖ישׁ שְׂפַ֥ת רֵעֵֽהוּ
וַיָּ֨פֶץ יְהוָ֥ה אֹתָ֛ם מִשָּׁ֖ם עַל־פְּנֵ֣י כָל־הָאָ֑רֶץ וַֽיַּחְדְּל֖וּ לִבְנֹ֥ת הָעִֽיר
עַל־כֵּ֞ן קָרָ֤א שְׁמָהּ֙ בָּבֶ֔ל כִּי־שָׁ֛ם בָּלַ֥ל יְהוָ֖ה שְׂפַ֣ת כָּל־הָאָ֑רֶץ וּמִשָּׁם֙ הֱפִיצָ֣ם יְהוָ֔ה עַל־פְּנֵ֖י כָּל־הָאָֽרֶץ

新共同訳聖書

時に主は下って、人の子たちの建てる町と塔とを見て、言われた。「彼らは一つの民で、皆一つの言葉を話しているから、このようなことをし始めたのだ。これでは、彼らが何を企てても、妨げることはできない。我々は降って行って、直ちに彼らの言葉を混乱させ、互いの言葉が聞き分けられぬようにしてしまおう。」主は彼らをそこから全地に散らされたので、彼らはこの町の建設をやめた。こういうわけで、この町の名はバベルと呼ばれた。主がそこで全地の言葉を混乱(バラル)させ、また、主がそこから彼らを全地に散らされたからである。

ノアの洪水の後、ノアの子孫は全地に広がっていった。その頃、全地は「一つの民、一つの言葉」であった。民は平地に定住し、「散らされないように」一つの塔を建て、天に届こうとした。そこで神は人の「言葉を乱され」、「互いの言葉が聞き分けられぬように」された。そのため塔の建設は中止され、人々は全地に散らされ、塔は「バベル(混乱)の塔」と呼ばれた。(創世11:1~9)

神の「ロゴス λόγος(ことば)」は地に雨を降らせ、実りをもたらし、人に喜びを与える祝福の恵みである。「ロゴス λόγος(ことば)」は神のあらわれであった。しかし、人は「ロゴス λόγος(ことば)」をもって塔を建設し、天に届こうとする。

創世記の「バベルの塔のことばの混乱」は言語の多様性の物語ではない。言語の本質にかかわる物語である。神は彼らの「ロゴス λόγος(ことば)」に混乱を与え、「ロゴス λόγος(ことば)」の秘儀を人から隠されたのである。

 Ⅲ アブラハムの召し

創世17:1 

וַיְהִ֣י אַבְרָ֔ם בֶּן־תִּשְׁעִ֥ים שָׁנָ֖ה וְתֵ֣שַׁע שָׁנִ֑ים וַיֵּרָ֨א יְהוָ֜ה אֶל־אַבְרָ֗ם וַיֹּ֤אמֶר אֵלָיו֙ אֲנִי־אֵ֣ל שַׁדַּ֔י הִתְהַלֵּ֥ךְ לְפָנַ֖י וֶהְיֵ֥ה תָמִֽים

新共同訳聖書

アブラムが九十九歳になったとき、主はアブラムに現れて言われた。「わたしは全能の神である。あなたはわたしに従って歩み、全き者となりなさい。

創世18:33 

וַיֵּ֣לֶךְ יְהוָ֔ה כַּאֲשֶׁ֣ר כִּלָּ֔ה לְדַבֵּ֖ר אֶל־אַבְרָהָ֑ם וְאַבְרָהָ֖ם שָׁ֥ב לִמְקֹמֹֽו

新共同訳聖書

主はアブラハムと語り終えると、去って行かれた。アブラハムも自分の住まいに帰った。

創世記は11章の「バベルの塔」から12章「アブラハムの生涯」に続く。「ロゴス λόγος(ことば)」の混乱の中でも文明は栄える。カルデヤの都ウルでアブラハムは神の「ロゴス λόγος(ことば)」を聞き、「主のみ告げ」の通りに出発する。(創世12:1~4) カナンに導かれたアブラハムに神は「全能の神」として自らをあらわされ、「盾」となられてアブラハムを祝福し、(創世15:1~7) アブラハムから「おびただしい祝福の子ら」が生まれ、「多くの国民の父」となると契約を結ばれた。(創世17:1~22)

「言は世にあった」(ヨハネ1:10)。旧約聖書は全編をもって、その事実を伝える。耳ある者は聞き、目ある者は見ることができる。しかし、神によらなければ、人は見ることも、聞くこともできない。

(聖書研究ノート 00069-45-1-10-3 「バベルの塔とアブラハム」 ヨハネ1:10) 

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