聖書研究ノート「アブゆスソス 底なしの淵」

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ロマ10:7  

ἤ, τίς καταβήσεται εἰς τὴν ἄβυσσον; τοῦτ᾽ ἔστιν χριστὸν ἐκ νεκρῶν ἀναγαγεῖν.

聖書協会共同訳聖書

また、「『誰が、底なしの淵に下るだろうか』と言ってはならない。」それは、キリストを死者の中から引き上げることです。

【中心聖句】 ロマ10:7

【聖書引照】 ロマ10:7 ルカ8:31 黙示9:1 黙示9:11 黙示11:7 黙示17:8  黙示20:1 黙示20:3 黙示21:4 黙示22:1 黙示21:3 黙示21:4 黙示22:1 黙示22:14 黙示22:17 黙示22:21

「アブゆスソス 底なしの淵」

Ⅰ 用語 アブゆスソス 底なしの淵

ἄβυσσος  アブゆスソス abussos {ab‘-us-sos} 

イオニア語 βυσσός = βσσός  <ἀ 否定+βυσός 底、深み、深い海、海の深み、底なし>  

①果てのない、底のない、底なしの、底の知れない ②底なしの深淵、測りがたい ③(ユダヤ的概念)黄泉、

陰府、地獄 ⑤死者の行く所、悪霊の刑罰的場所、悪霊の棲家 ⑥どん底

Ⅱ 死者の住居 黄泉

ロマ10:7  

ἤ, τίς καταβήσεται εἰς τὴν ἄβυσσον; τοῦτ᾽ ἔστιν χριστὸν ἐκ νεκρῶν ἀναγαγεῖν.

聖書協会共同訳聖書

また、「『誰が、底なしの淵に下るだろうか』と言ってはならない。」それは、キリストを死者の中から引き上げることです。

「ἄβυσσος  アブゆスソス 底なしの淵」は旧約聖書では「地の奥底」、申命記30:13では「海」となっている。詩篇107:24「彼らは深い淵で主の御業を/驚くべき御業を見た。הֵ֣מָּה רָ֭אוּ מַעֲשֵׂ֣י יְהוָ֑ה וְ֝נִפְלְאוֹתָ֗יו בִּמְצוּלָֽה」(新共同訳聖書)。

海の深い淵で、人は驚くべき主の御業を見る。やがて、「海の深い淵」は死者のゆく場所、黄泉を意味するようになった。

ロマ10:7でパウロは「誰が、底なしの淵に下るだろうか」と問う。パリサイ人や律法学者たちは、人間は自ら黄泉に下ることができる」として、自らの力によってキリストを死者の中から復活させることができると主張するが、それは、おのれを神にひとしくすることであって許されることではない。

ルカ16:19~31「金持ちとラザロ」では、死んだ金持ちはハデス(黄泉)からアブラハムのふところにラザロをみとめ、ハデスの苦しみを訴えると、アブラハムは「わたしたちとあなたがたとの間には大きな淵がおいてあって、こちらからあなたがたの方へ渡ろうと思ってもできないし、そちらからわたしたちの方へ越えて来ることもできない」(ルカ16:26 口語訳聖書)と答える。黄泉は人間の力の及ばない「ἄβυσσος  アブゆスソス 底なしの淵」である。

Ⅲ 悪霊の住居

ルカ8:31

καὶ παρεκάλουν αὐτὸν ἵνα μὴ ἐπιτάξῃ αὐτοῖς εἰς τὴν ἄβυσσον ἀπελθεῖν.

聖書協会共同訳聖書

悪霊どもは、自分たちに底なしの淵に行けとお命じにならないようにと、イエスに願った。

黙示9:1

καὶ ὁ πέμπτος ἄγγελος ἐσάλπισεν· καὶ εἶδον ἀστέρα ἐκ τοῦ οὐρανοῦ πεπτωκότα εἰς τὴν γῆν, καὶ ἐδόθη αὐτῶ ἡ κλεὶς τοῦ φρέατος τῆς ἀβύσσου.

聖書協会共同訳聖書

第五の天使がラッパを吹いた。すると、私は、一つの星が天から地上に落ちるのを見た。この星には、底なしの淵に通じる穴を開く鍵が与えられた。

黙示9:2

καὶ ἤνοιξεν τὸ φρέαρ τῆς ἀβύσσου, καὶ ἀνέβη καπνὸς ἐκ τοῦ φρέατος ὡς καπνὸς καμίνου μεγάλης, καὶ ἐσκοτώθη ὁ ἥλιος καὶ ὁ ἀὴρ ἐκ τοῦ καπνοῦ τοῦ φρέατος.

聖書協会共同訳聖書

その星が底なしの淵の穴を開くと、大きな炉から出るような煙が立ち上り、太陽も空も穴から出る煙で暗くなった。

黙示9:11

ἔχουσιν ἐπ᾽ αὐτῶν βασιλέα τὸν ἄγγελον τῆς ἀβύσσου· ὄνομα αὐτῶ ἑβραϊστὶ ἀβαδδὼν καὶ ἐν τῇ ἑλληνικῇ ὄνομα ἔχει ἀπολλύων.

ばったは、底なしの淵の天使を王として戴いている。その名は、ヘブライ語でアバドンと言い、ギリシア語ではアポリオンと言う。

黙示11:7

καὶ ὅταν τελέσωσιν τὴν μαρτυρίαν αὐτῶν, τὸ θηρίον τὸ ἀναβαῖνον ἐκ τῆς ἀβύσσου ποιήσει μετ᾽ αὐτῶν πόλεμον καὶ νικήσει αὐτοὺς καὶ ἀποκτενεῖ αὐτούς.

聖書協会共同訳聖書

二人がその証しを終えると、一頭の獣が底なしの淵から上って来て二人と戦って勝ち、彼らを殺す。

イエスはゲラサ人の地で悪霊につかれて墓場に棲む男に出会う。イエスが男につく悪霊(汚れた霊)に出て行くようにお命じになると、悪霊は自分たちを「底なしの淵」に追いやらないようにと懇願する。(ルカ8:26~39)

「ἄβυσσος  アブゆスソス 底なしの淵」は死者の住居であり、同時に悪霊の住居である。

黙示録には、多くの箇所で「ἄβυσσος  アブゆスソス 底なしの淵」に言及されている。黙示録9:1の「天から地上に落ちた一つの星」には「ἄβυσσος  アブゆスソス 底なしの淵に通じる穴を開く鍵」が与えられており、「天から地上に落ちた一つの星」が鍵をあけると「大きな炉から出るような煙が立ち上り、太陽も空も穴から出る煙で暗くなった」(黙示録9:11 聖書協会共同訳聖書)。「天から地上に落ちた一つの星」は「堕天使、サタン」であり(黙示録20:2)、「底なしの淵に通じる穴を開く鍵」を持ち、開けられた穴を通って悪霊は地に出て人にとりつく。

Ⅳ 鍵

黙示17:8 

τὸ θηρίον ὃ εἶδες ἦν καὶ οὐκ ἔστιν, καὶ μέλλει ἀναβαίνειν ἐκ τῆς ἀβύσσου, καὶ εἰς ἀπώλειαν ὑπάγει· καὶ θαυμασθήσονται οἱ κατοικοῦντες ἐπὶ τῆς γῆς, ὧν οὐ γέγραπται τὸ ὄνομα ἐπὶ τὸ βιβλίον τῆς ζωῆς ἀπὸ καταβολῆς κόσμου, βλεπόντων τὸ θηρίον ὅτι ἦν καὶ οὐκ ἔστιν καὶ παρέσται.

聖書協会共同訳聖書

あなたが見た獣はかつていたが、今はいない。やがて底なしの淵から上って来るが、ついには滅びてしまう。地上に住む者で、天地創造の時から命の書にその名が記されていない者たちは、かつていたが今はいないこの獣が、やがて来るのを見て驚くであろう。

黙示20:1

καὶ εἶδον ἄγγελον καταβαίνοντα ἐκ τοῦ οὐρανοῦ, ἔχοντα τὴν κλεῖν τῆς ἀβύσσου καὶ ἅλυσιν μεγάλην ἐπὶ τὴν χεῖρα αὐτοῦ.

聖書協会共同訳聖書

また私は、一人の天使が、底なしの淵の鍵と大きな鎖を手にして、天から降って来るのを見た。

黙示20:3

καὶ ἔβαλεν αὐτὸν εἰς τὴν ἄβυσσον καὶ ἔκλεισεν καὶ ἐσφράγισεν ἐπάνω αὐτοῦ ἵνα μὴ πλανήσῃ ἔτι τὰ ἔθνη ἄχρι τελεσθῇ τὰ χίλια ἔτη· μετὰ ταῦτα δεῖ λυθῆναι αὐτὸν μικρὸν χρόνον.

聖書協会共同訳聖書

底なしの淵に投げ込み、鍵をかけ、その上に封印をした。千年が終わるまで、もはや諸国の民を惑わさないようにするためである。その後、竜はしばらくの間、解き放たれることになっている。

黙示録20章は、「もう一人の天使」が「ἄβυσσος  アブゆスソス 底なしの淵の鍵と大きな鎖を手にして、天から降って来る」のを見る。「もう一人の天使」は「大きな鎖」を底なしの淵に投げ込み、鍵をかけ、封印をする。しかし、それは限られた期間であり、穴は再び開き、悪霊はしばらくの間解き放たれる。(黙示録20:1~3)

Ⅴ 底なしの淵の終り

黙示21:3 

καὶ ἤκουσα φωνῆς μεγάλης ἐκ τοῦ θρόνου λεγούσης, ἰδοὺ ἡ σκηνὴ τοῦ θεοῦ μετὰ τῶν ἀνθρώπων, καὶ σκηνώσει μετ᾽ αὐτῶν, καὶ αὐτοὶ λαοὶ αὐτοῦ ἔσονται, καὶ αὐτὸς ὁ θεὸς μετ᾽ αὐτῶν ἔσται, [αὐτῶν θεός,]

聖書協会共同訳聖書

そして、私は玉座から語りかける大きな声を聞いた。「見よ、神の幕屋が人と共にあり、神が人と共に住み、人は神の民となる。神自ら人と共にいて、その神となり、

黙示21:4 

καὶ ἐξαλείψει πᾶν δάκρυον ἐκ τῶν ὀφθαλμῶν αὐτῶν, καὶ ὁ θάνατος οὐκ ἔσται ἔτι, οὔτε πένθος οὔτε κραυγὴ οὔτε πόνος οὐκ ἔσται ἔτι· [ὅτι] τὰ πρῶτα ἀπῆλθαν.

聖書協会共同訳聖書

目から涙をことごとく拭い去ってくださる。もはや死もなく、悲しみも嘆きも痛みもない。最初のものが過ぎ去ったからである。」

黙示22:1 

καὶ ἔδειξέν μοι ποταμὸν ὕδατος ζωῆς λαμπρὸν ὡς κρύσταλλον, ἐκπορευόμενον ἐκ τοῦ θρόνου τοῦ θεοῦ καὶ τοῦ ἀρνίου.

聖書協会共同訳聖書

天使はまた、神と小羊の玉座から流れ出て、水晶のように光り輝く命の水の川を私に見せた。

「ἄβυσσος  アブゆスソス 底なしの淵」が完全に終わるのは黙示録の最終章21,22章「新しい天と新しい地」を見ることによる。(黙示録21:1) その時人は玉座に居ます神が「見よ、神の幕屋が人と共にあり、神が人と共に住み、人は神の民となる。神自ら人と共にいて、その神となり、目から涙をことごとく拭い去ってくださる。もはや死もなく、悲しみも嘆きも痛みもない。最初のものが過ぎ去ったからである。」と告げる声を聞く。「ἄβυσσος  アブゆスソス 底なしの淵」は完全に閉ざされたのである。人は「神と小羊の玉座から流れ出て、水晶のように光り輝く命の水の川」を見、「いのちの水」を飲む。(黙示録22:17)

黙示22:14 

μακάριοι οἱ πλύνοντες τὰς στολὰς αὐτῶν, ἵνα ἔσται ἡ ἐξουσία αὐτῶν ἐπὶ τὸ ξύλον τῆς ζωῆς καὶ τοῖς πυλῶσιν εἰσέλθωσιν εἰς τὴν πόλιν.

聖書協会共同訳聖書

命の木にあずかる権利を与えられ、門を通って都に入ることができるように、自分の衣を洗い清める者は幸いである。

黙示22:17 

καὶ τὸ πνεῦμα καὶ ἡ νύμφη λέγουσιν, ἔρχου. καὶ ὁ ἀκούων εἰπάτω, ἔρχου. καὶ ὁ διψῶν ἐρχέσθω, ὁ θέλων λαβέτω ὕδωρ ζωῆς δωρεάν.

聖書協会共同訳聖書

霊と花嫁が共に言う。「来りませ。」これを聞く者も言うがよい。「来りませ。」渇いている者は来るがよい。命の水が欲しい者は、価なしに飲むがよい。

黙示22:21 

 ἡ χάρις τοῦ κυρίου ἰησοῦ μετὰ πάντων.

聖書協会共同訳

主イエスの恵みがあなたがたすべての者と共にあるように。

(聖書研究ノート 00058-45-10-7-1 「アブゆスソス 底なしの淵」 ロマ10:7)

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