麦と言えば小麦とか大麦が知られていますが、それとは別に「スペルト麦」があります。
小麦とか大麦は品種改良してできた麦でっすが、その原種が「スペルト麦」です、ヨーロッパでは9000年以上前から栽培されていた麦です。エジプトの古代の墳墓から出土することがあります。
「スペルト麦」は穂の「のぎ」がなく、小麦や大麦にくらべて実も少ないのが特徴です。
スペルト麦
より多く、安定して、良質な麦を収穫するために人工的な工夫が加えられて原種とはかけ離れた現代の麦が誕生し、それによって美味しいパンが焼かれて食卓にのぼっているわけです。
それに対して「スペルト麦」は品種改良されず古代麦そのままに伝えられています。
「スペルト麦」は小麦よりも茎が太く、気候変動に強く、痩せた土壌にもよく育ちます。「カワムギ」という名前が示すように皮殻が厚く昆虫を寄せ付けません。化学肥料や除草剤や殺虫剤などの農薬を必要としません。
「スペルト麦」は小麦アレルギーをもっている人が食べてもアレルギーの発症が少ないという報告もあり、健康的な食材として注目されるところです。
厚い皮殻のために身体に必要な栄養素をより多く残すことができ、良質なアミノ酸をとることができます。
消化によいので、胃の弱い人や高齢者や病人にも安心して食べることができます。
古代麦の「スペルト麦」は人工的な品種改良が加えられなかったことから、むしろ無農薬でも育つ健康食として現代に注目される「麦」なのです。
聖書のスペルト麦」
「スペルト麦」は聖書のイザヤ書28:25にその名があります。
「地のおもてを平らにしたならば、いのんどをまき、クミンをまき、小麦をうねに植え、大麦を定めた所に植え、スペルト麦をその境に植えないだろうか。」 イザヤ28:25 口語訳聖書
新改訳聖書や新共同訳聖書は「裸麦」と訳されますが、口語訳聖書は「スペルト麦」です。
「裸麦」は大麦の原種に近いとされる「カワムギ」の突然変異が固定したもので大麦の変種とされます。
イザヤ28:25では、「小麦はうねに植え」、「大麦は定めた所に植え」、「スペルト麦」は「その境に植えられた」ようです。ここからも、「小麦」と「大麦」は畑のよい場所に植え、質の劣る「スペルト麦」は畑の境の痩せた地にに縁取りとして植えられたことがわかります。
「小麦」のパンにくらべて、「スペルト麦のパン」は美味しくはなかったからでしょう。
しかし、人によっては大麦のパンよりも好まれたようです。
「スペルト麦」のパンは噛めば噛むほど、香ばしい香りとほのかな甘みがあって、
心地よく香ばしい香り、ほのかな甘み、栄養豊富な古代穀物”スペルト小麦”パンにすると噛めば噛むほど独特の香ばしさと、ほのかな甘みがあります。
小麦粉よりも少し値が張りますが、パンの他に、お菓子、うどん、パスタ、ピザ生地などにして、楽しことができます。
こうして見ると、聖書の時代の人々は意外に健康的な食生活を営んでいたことがわかります。
増加する地球の人口を養う為に品種改良や農薬を使うことは避けられないことですが、原種のもつ自然の力に学ぶことも現代に求められるようです。
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