「ソドムのぶどうの木」という興味深い表現が申命記32:32にあります。
「ああ、彼らのぶどうの木は、ソドムのぶどうの木から、ゴモラのぶどう畑からのもの。彼らのぶどうは毒ぶどう、そのふさは苦みがある。」 申命記32:32 新改訳聖書
「ソドムのぶどうの木」はソドムとゴモラの畑に植えられたぶどうの木です。そこから採れるぶどうは「毒ぶどう」で「そのふさは苦みがある」というのです。
ソドムとゴモラは死海の南部にある5つの町に含まれる頽廃した町で、その罪悪は天に届くほどで、神の審判により天からの火によって焼き滅ぼされます。そのとき、ソドムの町に住んでいたロトとその家族はアプラハムのとりなしによって滅びから救出されるのですが、ロトの妻は町を振り返ったために塩の柱にされたところです。
(創世記19章)
「ソドムのぶどうの木」は、そのような名のぶどうの木があるのではなく、腐敗した毒の実をつける「堕落」を意味する言葉として伝えられたようです。
ある学者は「ソドムのぶどうの木」はⅡ列王4:39の「野生のうり」のことではないかと考えますが、定かではありません。「野生のうり」も食べると死にいたる恐ろしい草です。
灰のぶどう
ヨセフスは「ソドムのぶどうの木」を見たと記述しているそうです。
それは見た目にはぶどうの形をした「灰のかたまり」で、手で摘み取ろうとすると脆く崩れて煙と灰になったといいます。(「新聖書大辞典」より)
ヨセフスが見たのは、死海の畔のソドムの廃墟に、木に灰が積もってできた「ソドムのぶどうの木」だったのかもしれません。それは豊穣のシンボルである「ぶどう」の形をしていますが、実は人を堕落に誘う罪悪であり、その末路は一握りの灰と煙にすぎないことをしめしたのでしょう・
「ソドムのぶどう」は、この世には存在しなぶどうの木ですが、わたしたちが決して忘れてはいけない木なのです。
今回の「聖書の食べ物」は「食べることのできない聖書の食べ物」でした。
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