リンゴについては雅歌に美しい表現があります。
「私の愛する方が若者たちの間におられるのは、林の木の中のりんごの木のようです。私はその陰にすわりたいと切に望みました。その実は私の口に甘いのです。」 雅歌2:3 新改訳聖書
雅歌2:2で、花嫁が自分を「ありふれた野にひっそりと咲く百合」と表現すると、花婿は花嫁を「いばらの中の百合のようです」と美しさを讃えます。すると、花嫁は花婿を「林の中のりんごの木のようです」と讃えて、「わたしはその陰にすわりたい、その実は私の口に甘いのです」と告白します。(雅歌2:1~3)
箴言には「時宜にかなって語られることばは、銀の彫り物にはめられた金のりんごのようだ」(箴言25:11 新改訳聖書)とあって、りんごは容姿の美しさだけではなく、内面的な美しさを現わすにも使われています。
聖書の中のりんご
伝説によると、エデンの園でアダムとエバに食べることが禁じられた「木の実」は「りんご」とされるくらい、リンゴはしばしば登場する果樹です。
しかし、リンゴを意味するヘブライ語「タップ―アハ」は諸説あって、現代のりんごと同じかどうかわかりません。エデンの園の禁じられた「木の実」は必ずしも「りんご」ではないようです。
聖書の「りんご」が何であったかについて、よく取り上げられるのは「杏子」です。杏子はパレスティナ各地に育生し、無花果と並ぶ重要な果樹です。たわわに実る芳香のある黄金色の実は「銀の彫り物にはめられた金のりんご」と表現されるにふさわしいものがありますね。パレスティナでは今も、杏子を「黄金のりんご」と呼ばれるそうです。
聖書の「りんご」について、もう一つの説は「まるめろ」です。
「まるめろ」は「西洋かりん」と呼ばれることがありますが、「かりん」とは別の果樹です。
「まるめろ」は熟して黄色になると強い芳香を放ちますが生食にはむかず、果実酒や蜂蜜漬けなどにして食べられます。日本では長野県で栽培されています。
柑橘類で作られるジャムを「マーマレード」と呼びますが、「マーマレード」の語源は「かりん」をあらわすポルトガル語「Marmalade(マルメラーダ)」から来ているそうです。
聖書の「リンゴ」が何の木であるかはわからないのですが、私が日頃みる「赤いリンゴ」だけではなく、「杏子」や「まるめろ」などのイメージを置いて聖書を読んでみると、みことばに違った味わいを見つけることができるかもしれません。
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