「れだま」は地中海周辺を原産とする落葉低木で、乾燥地に水分を奪われないように葉は小さく、しなやかな茎が伸び、春には黄色の美しい花が咲きます。
「れだま」の名には箒(ほうき)の意味があり、実際にかご細工や箒をつくるのに利用されます。
黄色い花には柑橘類の香りがあり、香水につかう精油がとれるそうです。
預言者エリヤのえにしだ
預言者エリヤはいのちを狙うイゼベルからユダの荒野に逃れます。水も食料もつき、疲れたエリヤはえにしだの木の陰に座り、死を願うのです。
預言者エリヤが荒野で身を寄せた「えにしだ」は「れだま」のことです。
エリヤは、木と言っても箒に使われるくらいの丈の低いえにしだのつくる小さな陰に身を横たえて、死を願いながら、そのまま眠ってしまったのです。
すると、御使いがエリヤにわさり、「起きて食べよ」といいます。エリヤが身を起こすと、彼の頭のところに焼いたパンと水の入った壷があります。エリヤは起きて食べ、そして再びえにしだの陰で眠ります。こうして、四十日四十夜、エリヤは起きては食べ、そして飲み、旅を続けて神の山ホレブに到着するのです。(Ⅰ列王記19:1~8)
聖書によって「れだま」は「えにしだ」と訳されます。
明治文語訳聖書は「苕 れだま」、口語訳聖書、新共同訳聖書も「れだま」です。
新改訳聖書、フランシスコ会訳聖書は「えにしだ」です。
飢饉の中で
ヨブ記にはれだまが食べられると記されています。
「あかざの葉を摘み/れだまの根を食糧としていた」 ヨブ30:4 新共同訳聖書
欠乏と飢饉の中で、人々は「荒れ果てた廃墟の暗やみで砂漠をかじる」のです。(ヨブ30:3) 人々は飢饉の中で、あかざを摘み、れだまの根を掘って食べ、文字通り「砂漠をかじった」のです。
「れだまの根」を食べるとき、人々はれだまの木の陰で死を願う預言者エリヤにパンと水を備えられ、荒野で養われた神を思ったに違いありません。
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