長野県の野尻湖ナウマンゾウ博物館にはナウマンゾウの実物大の復元像が展示され、合成された声を聞くことも出来る。それに加えて展示室の入口にオオツノジカも置かれています。「オオツノジカ」のバッファローを上回る大きさに圧倒されるでしょう。
縄文人は粗末な石槍でナウマンゾウやオオツノジカを倒したのです。ナウマンゾウやオオツノジカは野尻湖畔で解体され、その肉は狩りに参加した縄文人の家族に分配されたことでしょう。その時湖畔に残されたナウマンゾウの歯やオオツノジカの骨が化石として発掘され博物館で見ることができます。
聖書のおおじか 申命14:5
驚くことに、「大鹿」は食べ物として聖書にも一ヵ所だけ出て来るのです。
「鹿、かもしか、のろじか、野やぎ、くじか、おおじか、野羊」 申命14:5 新改訳聖書
申命14:5の「おおじか」は「Alces alces へらじか」であろうと考えられ、新共同訳聖書は「へらじか」と訳されています。
「Alces alces へらじか」は体長2.5~3m、体重800kgにもなる大型の鹿です。アメリカでは「ムース」、ヨーロッパでは「エルク」と呼ばれます。
しかし、英訳聖書は「おおじか」を「antelope かもしか」と訳します。「Antelope かもしか」はウシ科に属し、「Alces alces へらじか」ほど大きくはありません。英訳聖書は「おおじか」を「Antelope かもしか」の大型の種類と考えているようです。
「おおじか」が「Antelope かもしか」なら、アフリカのサバンナや半砂漠地帯にすむ「Oryx 大羚羊」かもしれません。「Oryx 大羚羊」は体長1.6~2.3m、体重250kgくらいのウシ科の野生動物です。
少なくとも申命14:5の「おおじか」は、野尻湖の縄文人の狩りの的になった「大角鹿」ではないいようですが、「Alces alces へらじか」か「Oryx 大羚羊」かは意見の分かれるところです。
聖書が「おおじか」を食べても良い「清い動物」と定めた理由は申命13:6「および、ひづめが分かれ、完全に二つに割れているもので、反芻するものは、すべて食べることができる」にあります。
蹄が分かれていて反芻するものは「清い家畜」として食べてよい家畜とされました。牛、羊、やぎ、鹿などが食べることの出来る家畜になります。
一方、駱駝やウサギは蹄が分かれていないので食べることはできません。また、豚は蹄がわかれていますが反芻しないので食べてはいけない家畜とされたのです。
おおじかの料理
以前、海外で野生の鹿の肉をいただいて食べたことがあります。それには独特の野生動物の匂いがあって、うまく消すことができず、大きな塊をもてあましたものです。しかし、シカ肉は低カロリーで高タンパク質で、鉄分やDHAも含むことから、健康によい肉料理の食材として人気があります。野生動物特有の匂いもない鹿料理専門のレストランもあるほどです。
聖書には申命記に食べても良い家畜として名前だけが記述されているにすぎない「おおじか」ですので、イスラエル人がどのように料理したのかは全く不明です。ただ、食べてよい鹿として「鹿、かもしか、のろじか、くじか、おおじか」の名が挙げられているところから、鹿はごく普通に貴重な肉として愛され、日常的に食卓にのぼったのではないでしょうか。
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