「オリーブ」はごぞんじオリーブ・オイルの原料となる果実で、原産地が地中海沿岸ということもあって、聖書にはしばしば登場します。
ノアの大洪水は1年と10日続きました。地から水が引いたことを確かめる為にノアは方舟の窓から鳩を放った。すると鳩は「オリーブの若葉」をくわえて戻ってきました。それでノアは地が乾いたのを知ったのです。(創世記8:11 文語訳聖書は「オリーブ」を「橄欖」と訳しますが、「橄欖(かんらん)」は「オリーブ」とは別物で誤訳です) 大洪水の体積物に覆われた地に、いち早く芽をだしたのは「オリーブの木」だったのです。
「オリーブ」の花ことばは「平和」と「知恵」の2つとされますが、「平和」はこのノアの鳩からきたものです。ちなみに、「知恵」はギリシャ神話のポセイドンとアテナが「人間に役に立つ贈り物」で競ったとき、アテナが贈った「オリーブ」に軍配が上がったことからきたものです。
古代オリンピックでは競技の勝者にオリーブの冠が与えられました。(月桂樹の冠はノーベル賞受賞者に与えれます)
パレスチナにはいたるところにオリーブの木が植えられています。
主イエスが十字架の前夜を祈りに過ごされた「ゲッセマネの園」は「オリブ山」にあります。「ゲッセマネ」は「ヘブライ語で「油絞り」の意味で、「オリーブ山」で採れたオリーブから油を搾ったことに由来します。
聖地旅行をすると、今も、主イエスの時代のものとされる8本のオリーブの木を見ることができます。
神殿の扉はオリーブの木でつくられました。(Ⅰ列王6:31)
オリーブの木は堅く耐火性に優れ、材木としても極めて貴重なものなのです。日本では印鑑の材料にもされるそうです。
オリーブの収穫
オリーブは5~6月に花が咲き、10~12月に実を収穫します。樹高が高いので人々は木を揺すったり、長い棒で枝を叩いて実を落とします。木に残った実は在留異国人、みなしご、やもめなど貧しい人々に与えられました。そのために、一度収穫した木を再び打って残りの実を収穫することは禁止されました。(申命記24:20)
収穫されたオリーブは圧搾槽に入れ足で踏んで油を搾りました、やがて、オリーブを潰す装置がつくられ、より効果的に油を搾ることができるようになります。
オリーブの料理
オリーブ油はポリフェノールやビタミンEの栄養素に富み、抗酸化成分の多い健康に良い油として知られています。
パレスチナではあらゆる料理にオリーブ油が使われます。料理に使わないときには直接かけたりもします。
パンをちぎってオリーブ油に浸して食べるのも通常の事です。日本人はご飯ですので、ご飯にオリーブ油をかけ醤油をたらせば、「オイルかけご飯」になって、とても美味しいそうです。我が家では味噌汁にオリーブ油を浮かべたりします。
オリーブの実は苦みがあって生食にはむきませんので、塩漬やピクルスにすればピザなどの材料になります。塩漬けはそのまま食べても美味しいです。
油を搾った後のオリーブ滓は豚や鶏などの家畜の飼料になります。種からもオリーブオイルが搾れますが上質な油ではないようです。
日本のオリーブの木
日本には1594(文禄3)年、ポルトガルの宣教師が豊臣秀吉にオリーブの種を1樽献上したのがはじめと言われています。
その後、瀬戸内海の小豆島でオリーブの栽培がすすめられ、現代に至っています。
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