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桑の木は養蚕の盛んだった日本では馴染み深い木です。夏ともなれば桑の実が黒く熟し、食べると口が赤く染まり、甘酸っぱい味を楽しんだものです。

聖書に登場する桑の木といえば、取税人ザアカイがのぼった「桑の木」が思い起こされます。

しかし、桑の木には1000種もの種類があるといわれています。

ザアカイがのぼった桑の木は「いちじく桑」で、大人がのぼることもできる太く大きて木で果実も無花果に似ています。エリコにはザアカイが登ったとされる「いちじく桑」の巨木があり、聖地旅行された方は見ることができます。(「いちじく桑」については聖書の食べ物 008「いちじく桑」でとりあげています。ご参照ください。)

クロミグワの根

新約聖書に、イエス様が信仰は小さくても偉大な力のあることの喩えとして語られた「桑の木」があります。

 「しかし主は言われた。「もしあなたがたに、からし種ほどの信仰があったなら、この桑の木に、『根こそぎ海

の中に植われ』と言えば、言いつけどおりになるのです。」 ルカ17:6 新改訳聖書

ここで語られる「桑の木」はギリシャ語「シュカミノス」で「クロミグワ Black Mulberry Tree」で、ザアカイの桑の木とは別の種類です。聖書にはここだけに登場します。

クロミグワは樹高8~12mに成長する立派な木です。

日本でも桑の木は根を広く深く張ることで知られます。畑に植えられた「桑の木」の根を掘るのは重労働で、桑の根を掘りあげる専用の重機が考案されたほどです。

イエス様の時代には現代のような重機もなく、深く根を張ったクロミグワの木を引き抜くのはほとんど「不可能」でした。

このことから、イエス様は「からし種」ほどの小さな信仰であっても、人の手で引き抜くなど不可能と思える「クロミグワ」の木に命じて、「根こそぎ海の中に植われ」と云いつければ、その通りになると教えられたのです。

クロミグワの実

パレスチナで養蚕に用いられるのは「シロクワ」の木で、現代も盛んに栽培さてています。

日本の養蚕用の桑の木は山梨県の一之瀬という品種が普及したものだそうです。日本の桑の樹皮は漢方薬としても使われ、利尿、血圧降下、解熱、鎮咳などの作用があるそうです。葉を「桑茶」として飲む地方もあるといいます。桑の葉の天ぷらもいただけるそうです。

他方、パレスチナのクロミグワは養蚕のためではなく、もっぱら果実を収穫するために栽培されたようです。

クロミグワの実は、私たちが子どものころ夏に食べた「ドドメ」です。赤い小粒の実がぶどうのように固まった実で、熟して赤黒くなると、そのまま食べられます。甘くて美味しい実です。

ユダヤではクロミグワの実は絞って、ジュースにして夏の飲料として飲まれたようです。

クロミグワの実を絞った果汁は血のように赤いので、アンティオコスV世は軍隊の象を戦闘に駆り立てるためにクロミグワの果汁を使ったそうです。(「新聖書大辞典」より) 

「血」を見て軍隊象は殺気立ち、敵の軍隊を蹴散らしたのでしょう。

これはクロミグワの実の意表をつく使い方だったに違いありません。

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