からし種

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「からし種 ギリシャ語σίναπι  シナピ」は新約聖書に「天国の喩え」(マタイ13:19)と「信仰の喩え」(マタイ17:20)として語られています。

「天国の喩え」では、「イエスは、別のたとえを持ち出して、彼らに言われた。「天の国はからし種に似ている。人がこれを取って畑に蒔けば、どんな種よりも小さいのに、成長するとどの野菜よりも大きくなり、空の鳥が来て枝に巣を作るほどの木になる。」(マタイ13:31~32 新共同訳聖書)とあります。

「からし種」は「どんな種よりも小さい」のに成長すると「空の鳥が枝に巣をかける」ほどに成長するというのです。

「信仰の喩え」は病気の息子が弟子たちのところにつれてこられたのに癒すことができなかったとき、いえすが弟子たちに言われたことばの中にあります。「イエスは言われた。「あなたがたの信仰が薄いからです。まことに、あなたがたに告げます。もし、からし種ほどの信仰があったら、この山に、『ここからあそこに移れ』と言えば移るのです。どんなことでも、あなたがたにできないことはありません。」(マタイ17:20 新共同訳聖書)

「からし種ほどの信仰」とは「どれよりも小さい信仰」をさしています。

からし種

主イエスの語られた「からし種 ギリシャ語σίναπι  シナピ」については、「育って木になる」というところから「キタチタバコの木」ではないかとされました。

「キダチタバコ(木立煙草、Nicotiana glauca)」は別名「からし種」としても知られるタバコ属の一種で、黄色い筒状の花をつけ、その種は極めて小さく成長すると2~3mの木になるところから、聖書の「からし種」とされたのです。聖地旅行をすると現地のガイドが「キダチタバコ」を「これが主のかたられたからし種の木です」と説明することもあるそうです。

しかし、「キダチタバコ」はもともと南アメリカ原産で聖書の時代にはイスラエルになかった植物であることがわかっています。(いのちのことば社「新聖書辞典より」

ちなみに「キダチタバコ」は葉に毒素があり、聖書の植物として庭に育てるには注意が必要だそうです。

「からし種 ギリシャ語σίναπι  シナピ」のもう一つの説は、西アジアの「くろからし brassica nigra」であろうというものです。(キリスト新聞社 「新聖書大辞典より」

「くろからし」はあぶら菜属の一年生草木ですが、成長すると2~3mになるところから「木」とみなされることも不自然ではありません。(聖書の時代に2mを越えて枝を広くひろげる植物を「木」と表現することはごく普通のことでした)

原産地は地中沿岸で先史時代の遺跡からも発掘されるところから、種を香辛料として使用されたことがうかがわれます。

「くろからし」荒地に自生する野草ですが、成長が早いので有用な野菜として畑に栽培されたようです。

からし種の利用法

「くろからし」は畑に植えられても、その葉には毒もあり食用に向きませんが、葉と茎は家畜の飼料になります。「くろからし」は種子から油を絞ったり、乾燥した種をすりつぶして香辛料にします。

マスタードはからし菜の種子をすりつぶしてぶどう酒を加えて練りあげたものが「マスタード(ラテン語「燃え盛るぶどう酒」からくる)」です。

「からし種」は40%も油を含み、すりつぶして油を絞り「辛子油」として食用にされます。油を絞ったあとの種を製粉して練り上げて「辛子」になるのです。

イエス様が小さいものの喩えとして語られただけに、「からし種」の収穫は手間暇のかかる作業だったことでしょう。私も小松菜の種を採りますが、乾燥した細いさやから小さな種を採取するのは厄介な作業です。油を絞るほどの量の「からし種」を収穫するには多くの人手間がかかったことでしょう。こうして絞った「からし油」はとても貴重なものだったにちがいありません・

「からし種ほどの信仰があったら、この山に、『ここからあそこに移れ』と言えば移るのです」 

マタイ17:20 新共同訳聖書

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