いり麦

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「いり麦」といえば、子どもの頃の「香煎(こうせん)」を思い出します。紙の子袋に入った香煎を麦のストローで吸った記憶がよみがえります。現在なら「落雁」でしょうか。いずれにしても甘く美味しいお菓子です。

聖書で「いり麦」はレビ記23:14に見られます

神の民は大麦ができると、その初穂の束を収穫の神に感謝してささげるまでは新しい大麦でつくったパンもいり麦も食べることができませんでした。神への感謝がささげられるまでは昨年の古い大麦のパンやいり麦を食べたのです。「いり麦」は神への供え物の一つでもありました。(レビ2:14, 23:14)

ルツ記には「いり麦」の美しい話があります

モアブの女のルツは夫キルヨンを亡くし、姑のナオミとユダの地に移ります。ユダの地で貧しいルツは収穫の終わったボアズの畑の落穂を拾いに行きます。朝から休みもせずに落穂を拾うルツをボアスがみとめ、若者に大麦の束からわざと穂を落としてルツに拾わせるようにと命じます。ボアスがルツを招いてパンを酸いぶどう酒につけて食べるようにと勧めると、ルツは慎み深く麦畑で働く人々のそばに座るのです、そこでボアスは雇人たちの食べる「いり麦」をルツにとって与えるのです。(ルツ2:1~16)

「いり麦」は大麦を金属板の上で炒ったもので、調理する時間のない農繁期には野良でも食べられる便利な主食でした。

異国からの寡婦でありながら、不幸な姑に従い、謙虚に振る舞うルツにボアズは心魅かれるものを感じたに違いありません。

また、ダビデを侮辱した愚かなナバルにかわってナバルの賢い妻アビガイルは急いでパンとぶどう酒、干しぶどうや干しいちじく、料理した羊を「いり麦」とともに用意しダビデに夫の非礼を詫びます。これによってダビデはアビガイルの準備した食料を受け取り、ナバルに復讐することを止めますが、神がナバルを打たれナバルは死んでしまいます。その後、賢い女アビガイルはダビデの妻となるのです。(Ⅰサムエル26章)

「いり麦」は戦場での携帯食にもなったのです。

いり麦の作り方

聖書の時代の「いり麦」は大麦を穂のまま火にあぶったり、金属板の上で炒って作ったようです。

家庭でも「いり麦」はできます。フライパンか鍋に大麦を入れ、中火でへらでかき回しながら焦がさないように炒っていきます、麦が薄茶色にふくらんで香ばしい匂いがしてきたら出来上がりです。

「いり麦」ができたら、麦茶にして飲むのもよいでしょう

「いり麦」を挽いた粉が「はったい粉」です。地方によって「炒り粉」とか「香ばし」とか色々の名で呼ばれるようです。

「はったい粉」は砂糖を混ぜて練って焼けば「練り菓子」になりますし、クッキーやホットケーキにもなります。

茶粥にして食べることもできるそうです。

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