蜂蜜は人類の歴史とともに古く、ある研究者によると1万年前には採蜜が始まっていたといいます。
スペインのアラニア洞窟の岩壁には縄梯子を登って蜂蜜を集める人物が描かれているそうです。(ウイキペディアより)
聖書と蜂蜜
聖書には多くの「蜂蜜」についての言及がみられます。
モーセに導かれてエジプトを脱出したイスラエルが目指したカナンは「乳と蜜の流れる地」と呼ばれました。
(出エジプト記3:8 民数記13:27) 「蜜」は地の豊かさの象徴でした。
また、蜂蜜といえばバプテスマのヨハネやサムソンを思い出す人も多いでしょう。
サムソンは死んだ獅子のからだの中の蜜をかきあつめて歩きながら食べたとあります(士師記14:8~9)。バプテスマのヨハネは荒野で「いなごと野蜜」を食べていました(マタイ3:4)。
古くから蜂蜜は洞窟などに作られる蜂の巣から蜂蜜を集めていたようです。バプテスマのヨハネやサムソンは群がる蜂に刺されるのを厭わず直接蜂の巣から蜜をすくい取って食べたのでしょう。
しかし、古代エジプトでは、すでに蜜蜂の飼育が一般的に行われていました。くりぬいた丸太や粘土製の巣箱を用いて蜜蜂を飼育し蜜を採取したのです。エジプトでは蜂蜜は貴重な甘味料でした。エジプトを脱出したイスラエル人は「蜂蜜がカナンでは川のように流れる」と約束の地カナンを思いながら旅をしたのでしょう。
パン菓子
エジプトでは古来から蜂蜜入りの「パン菓子」が作れていました。ラメセスⅢ世の墓の壁画にも蜂蜜入りのパン菓子を作るようすが描かれているそうです。
出エジプト記には荒野で与えられた「マナ」は「その味は蜜の入ったウェファースのようであった」(出エジプト記16:30 新共同訳聖書) とあります。「マナ」はイスラエル人が好んで食べた蜂蜜入りのパン菓子のようなものだったのです。
蜂蜜は甘さを加えるだけでなく、滋養にすぐれ、発酵力もあって、パン菓子作りに最適の食材でした。
そこで、箴言は蜂蜜を食べることを次のように勧めます。
「わが子よ。蜜を食べよ。それはおいしい。蜂の巣の蜜はあなたの口に甘い」 箴言24:13 新改訳聖書
ローマ帝国時代にも蜂蜜はパン菓子以外にも多くの料理に不可欠な食材になっています。
ローマ時代には蜂蜜から作られる蜂蜜酒が好まれ、「ハネムーン」という言葉は、新婚夫婦が一カ月間蜂蜜酒を飲み続けることからきたそうです。ちなみに、蜂蜜酒は蜂蜜を水でわって暖かいところに置くだけで簡単にできるそうです。(ウイキペディアより)
蜂蜜からは甘い酒までが作られることから、箴言は蜂蜜の甘さを誘惑への警告と告げることも忘れません。
「遊女のくちびるは蜜をしたたらせ、その言葉は油よりもなめらかである」 箴言5:3 口語訳聖書
神への捧げもの・薬用としての蜂蜜
蜂蜜は弱った肉体を健やかにしてくれる薬用としても知られています。
「ここちよい言葉は蜂蜜のように、魂に甘く、からだを健やかにする」 箴言16:24 口語訳聖書
サウル王の子ヨナタンが疲労と空腹から目がかすんでいた時、森で蜂蜜を見つけて食べたところ、「彼の目が輝いた」とあります。(Ⅰサムエル記14:24~27)
蜂蜜は極めて貴重な価値の高い食材で(エレミヤ書41:8)、神へのささげものとしては焼くことは禁止され、そのまま捧げることが定められています。(レビ記2:11~12)
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