愛さん

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初代教会で、聖餐式の前か後に集まった信徒に会食としてだされる食事を「愛さん 愛餐」と呼びました。「愛さん」はギリシャ語の「アガペー」で「神の愛」を意味することばです。

使徒20:7に「週の初めの日に、私たちはパンを裂くために集まった」とあるのが「愛さん」です。

「愛さん」は生活にゆとりのある信徒たちがパンを用意し、貧しい信徒たちに振る舞われました。パンが余れば貧しい人々は持ち帰ることもできました。

「愛さん」は食事だけではなく、貧者、囚われている人々、孤児たちのために献金を集め、困難な中にいる人々のために祈りがささげられました。

「一切れのかわいたパンがあって、平和であるのは、ごちそうと争いに満ちた家にまさる」 箴言17:1

愛さんのパンの作り方

「愛さんのパン」はそれぞれの家庭が焼く日常のパンと変わりません。

聖書のパンは石臼で引いたふすまを除かない黒っぽい粉をこねたものにパン種を加え丸く形をととのえ、火で熱した平石の上に置いて焼きました。裕福な人はパンを焼くための大壺をもっていて、壺を熱しその内側に張りつけて焼きました。

ふすまを除いて精製した小麦粉で焼かれた色の白いパンは美味しいものでしたが「贅沢なパン」とされました。

アブラハムがマムレの樫の木のところで出会った三人の旅人に供するために妻サラに作らせた「上等の小麦粉で焼いたパン菓子」(創世18:6 新改訳聖書)はこの色の白いパンのことです。

パン種は今のパン酵母に代わるもので、古い練粉の一部を残しておき、新しいパン生地に練りこみました。パン生地に練りこんだパン種が発酵するにはかなりの時間がかかりますので、通常は明日のパンを焼くために主婦は前日から仕込む必要がありました。

パンは直径15㎝、厚さ15㎜位の円形をしており、主イエスが「自分の子がパンをくださいというときに、だれが石を与えるでしょう」(マタイ7:9 新改訳聖書)と言われたのは、円形のパンが川原の白く丸い平石と形が似ていたことに由来します。

パンを共に食する者

パンは食卓で主人が割いて配られ、バター、凝乳、野菜などを添え、スープに浸して食べた。

パンは主食として生命を支える食全体を象徴し、「パンを共に食した者」は互いに裏切ることのない絆で結ばれた。「私のパンを食べた親しい友までが、私にそむいて、かかとを上げた」(詩篇41:9 新改訳聖書)は最も悲しい裏切りの表現でした。

パンは神から人に与えられるいのちの糧として神聖なものでした。5000人の給食でイエス様が人々の食べ残したパンを集めるように弟子たちにお命じになられたように、人々は食べ残されたパンだけでなく食卓の下に落ちたパンくずさえも拾いあつめ、犬や鳥に与えました。

イエス様は「生けるパン」と呼ばれ、天から降り、永遠のいのちを与える霊的な糧なのです。

「わたしがいのちのパンです。わたしに来る者は決して飢えることがなく、わたしを信じる者はどんなときにも、決して渇くことがありません」(ヨハネ6:35 新改訳聖書)

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