イエスキリストの系図

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イエスキリストの系図を整理し,アダムの系図,カインの系図などお寄せいただいた資料を含めて公開していくコーナです。データの整理にはMind Mapのフリー版 Freemind とXmindを使わせていただいています。

系図のファイル 

聖書全体にわたるアダムからイエス様までの系図は,あまりにもサイズ大き過ぎて全体を一つの書面として見るのは無理があります。一方で全体を一望したい思いもあり,ここではアルパクシャデ(創世記10:22)の前後で2つのpdf書類に分けました。文字が小さくなってしまうので拡大してご覧ください。

(1) アダムからアルパクシャデまで,pdf形式

(2) アルパクシャデからイエスキリストまで,pdf形式 

系図の見方

およそ次のようなルールに基づいてイエスキリストの系図を作成しました。

聖書の系図は基本的に男系ですが,女性の名前だけ記したところがあります。その場合は(女)のように表しました。例えばイサクの妻リベカが親戚のベトエルの娘であるケースのように親族間で結婚した場合は,別のラインでつないでいます。

記載した名前は原則として上が夫,下が妻,その間に生まれた子供を右側に記載しました。( )書きは聖書に登場する箇所,多くは最初にあるところを示しています。複数の妻がいる男性については,そのペアの単位で書いてあります。ヤコブは1人ですが妻が4人いたので4回出てくるといった具合です。

名前の表記については新改訳聖書を基本に書きました。同一人物でも旧約聖書と新約聖書で微妙に記述が違うことがあり,聖書辞典等に従って調整したものもあります。名前が分からない場合は,息子とか娘とか人数とかで分かる範囲で情報を書き込みました。

この系図は,書類の横サイズをできるだけ短くできるように所々折返しています。青字で”折返し”を表現しました。

トノサマバッタさん作のイエス・キリストの系図

トノサマバッタさんにイエス•キリストの系図をご覧いただいた後に,手書きの「アダムの系図」と「セムの系図」を送っていただきました。手書きの資料は味があって良いものです。それをもとに書き直した「アダムの系図」と「セムの系図」を頂戴していたコメントを以下に掲載します。

「アダムの系図」から分かること(トノサマバッタ記)

「アダムの系図」は創世記5章の系図を年齢にあわせて図にしたものです。

1. アダムの時代

アダムは930年生きます。図で見るとアダムの死を見届けることができたのはアダムから8代目のメトシェラまでです。メトシェラまでの人々はアダムから直接エデンの園や誘惑と堕落、そしてカインのアベル殺害の出来事について話を聞くことができたことになります。

2. エノクのこと

エノクは「メトシェラが生まれて後300年神とともに歩み」「神が取られたのでいなくなった」信仰の人です。エノクはアダムと直接会うことができたので、エノクの信仰はアダムからのものだっということはできるのかもしれません。

3. メトシェラのこと

メトシェラはエノクの息子で、969歳という聖書で一番長生きした人物です。アダムはまだ生きていたので、メトシェラはアダムからも、また実の父の「神とともに歩む」信仰を見ながら育ち、父エノクの「神が取られたのでいなくなった」ことの目撃者でもありました。

しかし、メトシェラは969歳で亡くなりますが、その年はアダム暦の1656年にあたり、それはノアの600年とピタリ一致します。つまり、ノアの大洪水のとき、メトシェラはまだ生存しており、ノアの箱舟には入ることが許されず、大洪水で死んだのです。

メトシェラは生きた信仰を学び、神に祝福されて人類の最長老者になりましたが、祝福を生きることはできずに、大洪水によってその生涯を閉じた興味深い人物です。

4. レメクのこと

レメクはメトシェラの息子でノアの父です。レメクは777歳で亡くなりますが、その年はアダム暦の1651年で、五年後に大洪水が起こります。ノアが箱舟を何年かけて建造したかはわかりませんが、おそらくそれはかなりの期間を要したことは間違いありません。レメクは建造中の箱舟を見たに違いありません。それにもかかわらず大洪水の直前に亡くなることに、どのような意味があったのか、なかったのかについては、想像するしかありません。

レメクは誕生後、間もなくしてアダムが亡くなりますが、セツからエノクまでの古老たちを知っています。

父親のメトシェラとは違って、ノアの父になったところから、信仰の伝達者としての役割を果たしたのかもしれません。

5. ノアのこと

ノアは950年生きました。(創世記9:29)、600歳のとき大洪水があり、洪水の後350年生きました。

ノアが誕生したとき、アダムとエノクはすでに亡く、ケナン以後の人々がノアに信仰的な影響を与えたと思われます。

ノアについては「ノアの系図」としてノアの時代から見ていく必要があります。

「カインの系図」と「セツの系図」から (トノサマバッタ記)

1. アベル

アダムには3人の息子カイン、アベル、セツがあり、アベルはカインに殺害されますので、アベルに「系図」はなく、空白になります。カインとセツの系図が長く伸びるのに比べて、「アベル」という名が一つだけぽつんと置かれます。「アベル」は「息」の意味ですが、伝道者の書では「空の空、すべては空」の「空」と訳されます。「イエス様の系図」で「アベル」とポツンと置かれ、あとは何も書かれない空白をみると、新しいいのちを生み出すことのない「空しさ」が直接伝わってくるようです。

「系図」ですから、「新しいいのちを生み出す」は「子どもを生む」ことですが、それ以上に、人間は自分から何かを「生み出す」ために生きているということだと思います。

2. カインの系図とセツの系図の類似

「イエス様の系図」ではカインからレメクの子どもたちまでが「カインの系図」(創世記4:17~24)、セツからノアまでが「セツの系図」(創世記5章)です。

この二つの系図の名前が驚く程似ていることは以前から様々に指摘されています。「イエスマ様の系図」では、この問題を見比べて確認することができます。

「エノク」「レメク」は全く同名です。他に同名ではありませんが「カイン」(4:17)は「ケナン」(5:21)と、「イラデ」(4:18)は「エレデ」(5:15)と、「メフヤエル」(4:18)は「マハラルエル」(5:15)と、メトシャエル(4:18)は「メトシェラ」(5:21)と、似たような名前であることがわかります。

二つの系図の類似についてはいくつかの解釈がなされています。以下、「イエス様の系図」から検討してみます。

3. アダムの影響

「カインの系図」はアダムから数えて八代目までの系図です。それ以降はありません。一方「セツの系図」の八代目はメトシェラになります。「アダムの系図」からアダムが死んだのがメトシェラの時代であることがわかります。つまりアダムが生存し、影響力を与えることができたのはこの「八世代」までということになります。

「カインの系図」が八代目までの記録になっているのは、「カインの系図」と「セツの系図」がともに「アダムの時代」をあらわす二つの系図ではないかと私は考えます。

カインは弟アベルを殺害した後、追放され、「地をさすらう者」となり、「エデンの東、ノド(さすらい)の地」に住みました。(創世記4:13~16)

しかし、それはアダムとセツの住む地から、そう遠くはなかったのではないか、互いに連絡のとれる距離にカインは「町をたて、その町の名をエノクと名づけた」(創世記4:17)のではないか。そのことが、二つの系図に見られる「名前」の類似の理由ではないでしょうか。

カインとセツの子孫は「アダムの時代」という一つの文化圏に暮らしていた。そこにはアダムの経験したエデンの園における神との親密な交わりと祝福、そして堕落による罪と息子カインの殺人にまで及ぶ暗黒、光と闇、生と死が、「アダムの時代」を形成していた。

そうした中で「アダムの時代」という一つの文化圏の中に「光と闇、生と死」の流れを見出そうとする動きがあり、それが「カインの系図」「セツの系図」の意味ではないか。

4. 「善なる人間」と「悪なる人間」

しかし、「系図」は「善なる人間」と「悪なる人間」を「光と闇」のように区別することが困難であることも語ろうとしている。

「セツの系図」にあるメトシェラは969歳で亡くなるが、それはアダム暦の1656年で、その年はノアの600年、すなわちノアの大洪水の起こった年と一致する。すなわち、メトシェラはノアの箱舟には入れず、大洪水で死んだのである。(この考察は「アダムの系図」で詳しく述べたい)

信仰の家系からも信仰を否定する者は現れる。

人間を「善なる人間」と「悪なる人間」に区別して、そのどちらかを選択することはできない。「善と悪」はひとりの人間のうちにあって深く結びつき、人間の経験を生み出しているのではないだろうか。

そして、そのように悩む人間に、「系図」は「一つの方向」を指差している。それは真っ直ぐに「系図」に伸びている長い一本の矢のようだ。これを「たとれ」と語りかけてくる。

「セムの系図 創世記11章」 (トノサマバッタ記)

 創世記からアブラハムの生涯を読む人は、11:27~32「テラの歴史」を見落とすことはないかもしれない。しかし、その前に置かれる11:10~26「セムの歴史」には関心を払うことはしないのではないだろうか。

 そこで「イエスキリストの系図」から、創世記11:10~26「セムの系図」の部分を聖書に記された時間軸に従って作ってみた。そして、それから実に興味深いことがわかった。以下、それについて述べてみたい。(図ではアダムの誕生からの年代を「アダム暦」とした)

1. ノアとセム

ノアはアダム暦1056年~2006年まで生存した。その子セムは1558年~2158年まで生存している。

2. アブラハム

アブラハムはノアから11代目にあたり、その生涯は1948年~2123年である。

これによると、アブラハムが誕生したとき、ノアはまだ生きていることがわかる。ノアが死んだときアブラハムは58歳である。

アブラハムの生涯は175歳であり、アブラハムが死んだとき、ノアの息子で大洪水前に生まれ、方舟の建設にかかわり、ともに大洪水を逃れたハムはまだ生きている。

つまり、アブラハムの生涯はノアとハムの生涯と重なっている。アブラハムは「ノアとハムの同世代人」である。

3. アブラハムの信仰

私は創世記に従ってアブラハムの生涯を読み、アブラハムにとってノアと大洪水は、遥かな昔の出来事であり、神の声に従って出発するアブラハムから新しい歴史がはじまったととらえてきた。

しかし、アブラハムが「ノアとセムの同時代人」であるとすれば、アブラハムの信仰にはノアとセムの影響が深く関わっていると考えることは、むしろ自然である。信仰の人アブラハムがノアとハムの存在に無関心であるはずはない。

アブラハムはノアとセムから、神の言葉にしたがって方舟の建設、大洪水の悲惨、そして方舟によって大洪水を生きたこと、などを直接聞いたのではないだろうか。ノアとセムの神の言葉への服従と祝福は、アブラハムに感動的に伝わり、アブラハムの神の言葉に対する信仰が形成されたのではないだろうか。創世記12:1~3でアブラハムに神が語りかけたとき、アブラハムがためらうことなく「主のお告げになったとおりに出かけた」(創世記12:4)。その背景に、そのような信仰の伝達があったのではないかと思われるのである。

4. 系図

聖書の「系図」は単なる家系図や系譜ではない。時と場を結ぶ神のメッセージである。「系図」があるおかげで、私たちは聖書の生きた歴史とそこに働く神のご計画とメッセージを受けることができる。「系図」を学ぶことの祝福である。

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