脳の血管
進化論について思うことをもう一つ記します。
人にとって脳は大変大切な臓器で,いつもたくさんの血液を必要としています。私たちの体はこの脳を守るためのさまざまな仕組みを持っています。心臓から脳に血液を送るために首の部分にいわゆる頸動脈がありますが,これは左右それぞれにあって左を向いて寝ていて左側の頸動脈が枕に圧迫されたとしても右側から十分な血液が脳全体に運ばれるといった具合です。
大脳に血液を送るために前大動脈,中大動脈,後大動脈というものがあり,ぞれぞれ大脳の前方,側方,後方から担当エリアに対して酸素とブドウ糖を送ります。これらの大動脈はそれぞれ左右に配置されています。そして先に述べた頸動脈と前,中,後大動脈を接続する部分に脳幹を囲むように六角形にも見えるバイパスの血管が接続されていてこれがウィリス(Willis)動脈輪と呼ばれるものです。
これはちょうど首都高速環状線が,東名高速,中央道,関越道,東北道,常磐道,京葉道路などを繋いでいるのに似ています。各方面からの車の流れが首都高速環状線を介してまた所望の地域へ接続されています。
私たちは生活していれば歩く,座る,寝る,体を捻ったり,しばしば無理な姿勢を取ることがあります。その度に自分の体そのものあるいは外からの圧迫で血管が押し潰されることもあります。こういった圧迫以外にも,病気や一時的な血管の収縮,詰まりで脳へのダメージが起きないように特別なしくみがあるのです。
近年ではMRA(磁気共鳴血管撮影法)と呼ばれる撮像法が広く普及したこともあって脳ドックなどで比較的容易に自分の脳血管画像を得ることができます。CTスキャン(コンピューター断層撮影法)で3D画像にしたものを見ると動脈輪の脳幹との位置関係も理解しやすいものです。
さらに脳血管について言えば,短い距離で太い動脈からいきなり毛細血管に血流を送らねばなりません。動脈の太さに応じてその壁の厚さも異なるので,大きな動脈の血流の圧力が作用してすぐ先の毛細血管を破ることがないような仕組みもあります。それは大きな動脈の血流にさからって後ろ向きに血管が分岐されていて,一気に血圧を下げてから毛細血管につなぐといったものです。これは特に脳底部(大脳の下の部分)に多くみられます。
心臓のそして下肢
直感的に理解しやすいのでここでは血管について述べていますが,人体の不思議については血管に関するものだけでも数え上げればきりがありません。心臓の冠動脈といわれる部分にはバイパスする血管があります。これは何らかの理由で心臓にまとわりつく大きな動脈が詰まったときにバイパスの血管が開いて別の太い血管から詰まった心筋へ血液を供給するものです。別の例として脚についていえば,静脈の血流が逆流しないようにはたらく静脈弁があります。これらは必ずしもそのはたらきが完璧ではないとしても,体の大切な器官を守る血液循環システムが私たちの体に存在していることを示しています。
これらが突然変異,偶然できて,自然淘汰で生き残った現在の人類が,動物もそうですが,獲得した進化だと平然と言い切る方たちの気持ちが私には到底理解できません。
研究者,エンジニアとして生きてみて
人によって感じ方は違うのでしょう。私ははじめてウィリス動脈輪とその役割を知ったときには大いに感動を覚え,神の御業の素晴らしさを心からほめたたえました。研究者,エンジニアとして,そんな人体の画像を仕事として数十年間取り扱って来ました。先に掲載したように突然変異の時間スケールへの考察も相まって,ダーウィンが提唱し学校の教科書,博物館の展示物で説明されているようなあの形の進化論をいまさら受け入れようがないのです。
「神の見えない性質,すなわち,神の永遠の力と神性とは,天地創造このかた,被造物において知られていて,明らかに認められるからである。したがって,彼らには弁解の余地がない。」ローマ1:20
hiroshi
コメント
アーメン。神様の設計は実に素晴らしいです。
じっくりと身近にあるものを注意深く観察するだけで、人知を超えた設計の精密さ、恵みの尊さに満ちていると感じます。
私たち人間は、その感覚を研ぎ澄ますことによって、新たにその喜び、素晴らしさ、恵みを享受できるのだと思います。
また、その恵みを知った者は、分かち合うように望まれているのだと思います。