俳句短歌2020-1〜2020-3

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<2020.3.29>
餌場から 離れぬ鴨や 春日和
音消へて 笑ふはさみし 山ひとり
まれ人の 奥の細道 聞く朝の 刻しずかなり 我も旅人(道子)
しゃらしゃらと 音する草を 妻摘みて わが耳元に 振りてくれたり
水なくて 餌なかりしが せめてもの 羽休めこよ 小雀の群れ

<2020.3.22>
後手に その日の菜花 摘み帰る
冬の蚊と いへど容赦を せず寝床
枯れ枯れの 葱むきおれば 鳩なきて 不意に広がる 穏やかなとき(道子)
冬の夜に 野良着の破れに 針を刺す わが女房と 炬燵の温し
筆紙の 数多残れる 冬の日に 文送るべき 春やあるらむ

<2020.3.15>
いんげんの 花の化身や 蝶が飛ぶ
白内障 癒へて仰臥の 櫻かな
この門に かけ込む女の ありしとう 古寺の庭に 梅咲きそむる(道子)
初なりの ブロッコリーを 諸の手に 書斎のわれに 妻は見せ来る
妻の目に 壷に活けたる 枯花の わずかに変へる 位置はあるらし

<2020.3.8>
手作りの マスクを作る 喜寿の春
枯芝に てんとう虫の 色灯る
我が身にも コロナウイルス遠からず 迫りくるやと 買い出しに行く(道子)
遠くから 手を振りあへる 隣家の 孫と妻と 夕焼けの空
白内障 手術のあとに 眼鏡なし こは猿面の わが貌を見る

<2020.3.1>
いんげんの 花咲きはじむ 湯屋の道
冬めくや 白内障の 手術あと
ひと月を 唯点眼に 明け暮れし もうすぐ出口 長いトンネル(道子)
歌を詠み 聞かせる妻に 目を閉じて 思ひを探る 雨の止む朝
わが前を モップを手にして カーリングの 真似をしてゐる 妻よ転ぶな

水月湖
福井県立年縞(ねんこう)博物館
年縞(ねんこう,イエス様がお生まれになったころ)

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