俳句短歌2018-10〜2018-12

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<2018.12.30>
たとへれば 珈琲の色 年の暮れ
箸とめて 師走の歌を 書きとめる
花びらを こぼし咲きつぐ 山茶花の 根方をかざるう すべにの色(道子)
花生けて 飾れる門に 立ち見るは 清しき人の 姿ならめや
知らぬ間に 色つきにける 千両の 時の変はりを 知りて鳥くる

<2018.12.23>
この日にと 水仙咲けり 聖誕祭
いそがしく 薬貰ひに ゆく冬至
ゆらゆらと ゆず湯に 浸かりゆく年の 天の恵みを かぞえ安らう(道子)
隠れては 現る月の写し絵を 面白しとぞ 妻と語らふ
食卓の 菊描きゐる妻の背に 午後の日差しの 覗き見にけり

<2018.12.16>
寒空に 祈る人あり クリスマス
冬ざれや 駄駄こねる子の 靴赤し
目をとじて カノンをきけば 若き日の 子らと遊べる 畑一面の花(道子)
妻の目に 床抜けるとぞ 見えるわが 書庫の重さ 測りがたきも
後になり 先になりして おしどりの 二つ並びて 通りけるかな

<2018.12.9>
霜柱 子らの足跡 クリスマス
軍服で 街に組みあぐ 社会鍋
琵琶の声 わが胸のうち かき鳴らし 生きよ 生きよ と語るがごとし(道子)
ゴミ出しの 立ち話から 帰りくる 妻の話しの 中の世の中
食卓の 陰に見えざる あなたにも 気づけば変わる 部屋の明るさ

東京スカイツリー(筑波山山頂から撮影)

<2018.12.2>
聖堂は 燭一つなり 降臨節
茎漬の 残れる皿や 世話女房
冬ざれの 落ち葉ふみつつ 午後の庭 枝打ちくれし 友はたのもし(道子)
テレビにも 返事をしている 君がいて 夜のしじまに なごみゐるかも
枯れ落ちて 軽くなりゆく 柿の葉の 足に伝ふる 音のかそけさ

<2018.11.25>
さりげなく 色置きにけり 柿葉散る
柿の木に 滴るものなく 寒の雨
黒姫の 山里ふかき 童話館 エンデを訪ね 幼くあそぶ(道子)
少しだけ オルガンを弾く 妻の居て ドアの硝子に 讃美歌を聞く
買い出しの レジの袋を 自転車の 前と後ろに 妻運び來る

<2018.11.18>
柿の葉や 裏も表も 色づけり
礼拝の 話しの続く 暖炉かな
花一輪 ひらすら描き 無心なる このひとときを 賜物として(道子)
入ることを 許され難く 山すそを 飾りておりや 秋桜咲く
明日友の 来るを知れば 夜ふかく 小豆炊く間の 妻の華やぎ

<2018.11.11>
ととのえば モグラ穴掘る 畑かな
負うた子の 歩くを見るや 菜種撒く
二人居の 行く末思う昨日今日 齢は常に 平らかならず(道子)
ピーナツの 殻割るこつと いふものが ほれこのとほり 妻に教へる
潔く 紅葉と落ちる 柿の葉の 老いふさわしき 色ありてこそ

<2018.11.4>
木守りの 一つ残れる 高さかな
朝寒に ぱきぽき折れる 青菜摘む
花殻を つむ手のそばを トカゲの子 ぬるりと青く 庭草に消ゆ(道子)
思い立ち 垣根に育つ 黒檀を 丈にあわせて 妻と刈りこむ
柿の葉が 色つきはじめ 芋埋める 時の来たるを 夕餉に語る

<2018.10.28>
湯上りの 渡り廊下に 薄紅葉
やや待ちて しばし眺める 熟柿かな
時雨去り 空すきとおる 昼下がり 夫と日向に もって菊つむ(道子)
白タオル 頭に捲けば 子羊に 変身できる 幼児のあり
芋蔓の 覆いを剥げば 土中に 赤き芋ある ことの確かさ

<2018.10.21>
こぼれ種 隣りの畑の 秋景色
小雀の 姿のみなり 秋納め
叶えたきこと まだありと夫いうに 気弱な吾は そっと寄り添う(道子)
雨あがり わが好物の 一品を 袋にさげて 妻帰宅せり
垣外とふ 馴染みの道で 知り人と 語らう妻は 村人たりき

<2018.10.14>
幾度でも 空確かめる 柿すだれ
開けること まかりならぬと 障子張る
秋雨の 冷たき夕べ 戸をとじて 書斎に流る 旋律を追う(道子)
味噌汁の 具になるだけの すぐり菜を 妻持ち帰る 細き畝道
花切りし ことなきわれの 花摘みの 手に迷いある 菊の花咲く

<2018.10.7>
野にありて よき秋桜や 子ら笑う
近ずくに あわせて 跳ね飛ぶ バッタかな
いずこより 金木犀の 香り立ち 花わたる風 蝶もあそべり(道子)
口あけて 母待つ雛の 巣のごとく 栗剥く妻の 手を見るわれか
玉ねぎの 芽生えそろう けなげさに 添えてやりたき わが手の太さ

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