俳句短歌2018-1〜2018-3

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<2018.3.25>
紙風船 破れるまでの から騒ぎ
馬鈴薯の 芽かき落とす 夕仕度
視力おち 免許更新ならぬ日を 思いて三歳 老い構えせり(道子)
地図持ちて 作れるネギを 届けたる 帰宅の音や 妻の自転車
寝る前に 顔拭く我の 蒸しタオル うまく使うや 妻見張りており

<2018.3.18>
馬鈴薯を 踏む跡浅す 妻のさく
畑打ち 色改めて 変わりたり
入り日さす 散歩帰りに ひと休み 夫とながむる この時が好き (道子)
そだねーと 流行りことばの 発音を 妻と試む 夕の食卓
春の雨 三和土に落つる 雫にも 横臥の耳に 心地良きかも

<2018.3.11>
久々の 畑のついでや 垣繕う
焼く畔の なき稲田なり 重機入る
雨あがり 土黒々と 踏みしめて 夫と草引く 畑は久し (道子)
山谷に 遠き平地の 広き空 もの思ゆれば 春近づけり
餌を待つ 雛のごとくに あく口に 妻飴一つ 我に含ます

<2018.3.4>
包丁を 磨ぐ水清く 春浅し
つくせども いたらぬ思い 春遠し
草原に 寒さしのぎて 犬ふぐり 咲きていさなう 春の灯 (道子)
コジュケイの 勝手歩きの 右左夫 飛び立ち あと追う妻か
浮世風呂 隣の男 腰掛に タオルを敷いて 座り居るなり

<2018.2.25>
風呂吹きの 器を越える 厚みかな
酸きミカン 妻に押しやる 炬燵かな
冬空に ひと声鳴きて 遠ざかる 鷺見送れば 思い新らし (道子)
妻を待つ 四つ角にある 病院の 庭に憶えの 花は咲きおり
一字づつ 舌にて探り 読む君の 厚き聖書に 雪日あたれり

<2018.2.18>
物売りが 声掛け抜ける 路地の春
鍋のふた 少しずらせる 囲炉裏かな
枯れ草に 春の色あり水仙花 寒のもどりに うつむきゆれる(道子)
七十五の 春立ちませば 梅の木に めじろ来たよと 妻と迎える
みことばは 神の賜いし合い薬 萎えし心に 滲みて届けり

Martin Factory, 米国ペンシルバニア州Nazareth

<2018.2.11>
生きものの ごときや野火の 速走り
役終えて 冬田に独り 風車
朝からの 雪にこもりて常のこと なさず過ごすも 今日のたまもの (道子)
妻の背に カイロを貼れる 手触りに やや曲がりたる 背骨をなぞる
幼子の 腕ほど太き人参を つくりし友は よき顔を居し

<2018.2.4>
春立ちて 讃美歌一つ 思い出し
いぬふぐり はや草むらに 群れつくり
帰郷せし 友如月の 山里に 今いかにせむ 囲炉裏なつかし (道子)
人参の さくに一粒 金柑の 鳥飛び来り 遊びたるらし
背伸びして 干し物ひろぐ 妻の背に 春は日差しの 白さまぶしき

<2018.1.21>
一月や 田休みおり 肘枕
大根を 吊るす丸太の 頼もしき
おろかなれ 夫のたまいし おろかなる 我にこの上 何を求むや (道子)
誕生日 忘れし妻に 告げ悩む 贈り物など 我になければ
団子さげ 太き人参 携える 友来りなば 茶など飲む午後

<2018.1.14>
数の子の もどきも座る 節の皿
足早の ハクセキレイや 庭の中
つれだちて 歩く垣根に 蠟梅の 香り漂い 夫と顔寄す (道子)
魂合える 君を賤家に 茶を飲みて 神のことばの 歌をうたえば
友来る 美味き芋など 今はなく ただひたすらに 良きを選べり

<2018.1.7>
新年は ここぞと決める 老松の湯
熱き茶を 運ぶ妻の手 暮早し
この冬も 豊かに実る 千両を 活けて華やぐ 心正して (道子)
礼拝の 祈り静かに ささげられ 新たな旅路 港船出る
旅籠屋を 出で来る人に 声かけて 湯賃尋ねる 妻は面白(おかし)き

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