俳句短歌2017-10〜2017-12

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<2017.12.31>
霜降りて ローソク一つ クリスマス
窓磨き ガラスの先の 師走かな
この年も パンジー植えて 軒先に ことなき日々の 幸せ思う (道子)
友人の 聖書の栞 棚にあり 今朝読む本に 挟みて眺む
夕となり 朝となりして 今日の日の 夕に始まる 朝を思いす

<2017.12.24>
風鈴の 竿もちあぐる ひと騒ぎ
野にてこそ 寒に耐えるや 仏の座
極月の 心せかるる営みの 一つを減らし 息らくになり (道子)
芋を掘り 焼いて食らえり 年の暮れ このシンプルな 生活(くらし)やよし
はじめての 苺二粒庭になり 顔見合わせて 妻と味見す

<2017.12.17>
乾燥芋 食べる歯もある 爪楊枝
昼寝より 覚めし我あり ここに冬
年たけて おのずと見える ありように 寄り添い香る さざんかの花 (道子)
雪の中 キャロルの歌の 聞こえ来て 窓に走りて 明かり探せり
覚えたる ことばを歌に 使いたく 思案顔する 妻を横目に

<2017.12.10>
凛として 朝に見る外の 青き空 良きことありやと 一人しずまる (道子)
諸手もて ココア飲む手に いとけなき 仕草残れる 朝の妻見る
年金を 入れたる薄き封筒を 妻ありがとうと 謝して受けとる

<2017.12.3>
見られるを 知らで遊べる 冬の蝶
青鷺の 一声寒を 切り裂けり
冬の日の 光りの中の ことはじめ 夫はコーヒー 吾はココアで (道子)
讃美歌の なべて静かと 歌いしを 師走の街に 思いておりぬ
久々に らうめん誘う 冬の朝 外食だねと 顔見合わせる

<2017.11.26>
おらが芋 西洋風に 出世せり
枯草や 雲雀の 棲家 ここにあり
入り相の 鐘絶え久し この夕べ とき 告ぐ音にも ゆかしさ覚ゆ (道子)
よき野菜 つくれる友の教えにも 従う吾の 下手さや如何
みことばは 神の恋歌ぞ 届きなば 受けて返せよ 大和の歌人

<2017.11.19>
静の宿 一夜かぎりの 秋袷
櫛をもて 「駄目よ」と妻に 追いつかれ
病み伏せる 主なき地に 菊の花 その香ゆらして 誰がために咲く (道子)
大根の 辛きもあれば 甘き日も 今日の手を添う おろし金かな
鹿革の 祖父の使いし 巾着は 入れる銭なく 机に眠る

<2017.11.12>
もって菊 がくの美味さを はかりかね
蜆蝶 仕舞の花に 礼参り
柿の実を とればサラサラ 赤き葉の 夫の背に ふる秋は少なき(道子)
大根の 折れしを畑に 残しくる 上手くは 引けぬ 我を責むるな
玄関の 脇に飾りし 百合の実の 冬になりては 枯れてまた咲く

<2017.11.5>
源泉の 硫黄の匂う 紅葉かな
ひとり居て 秋空高し 父母の墓
常ならば おのおのすごす 秋の夜を 和歌ひもときて 夫に寄り添う (道子)
一番の 木枯らし吹けば 手を広げ 背中押されて 妻は遊びぬ
厳寒に 心地よさあり みことばの 朝日射し込み 手元照らせば

<2017.10.29>
花畑 肩身の狭き 野菜かな
間違えし 長人参が 地に潜る
長雨の 合間合間に 菊つみて 蝶の花舞い 息ととのえり (道子)
風吹きて 長き竿振り 柿の実を 集むる空に 秋は来にけり
漢訳の 聖書を写し 読みはじむ 漢の心に 神物語れば

<2017.10.22>
いんげんの 薄きみどりや 穂をのぼる
黒塀の 枯草分けて 猫通る
深まれる 秋の川辺に 昼顔の 一叢咲きて 夏色に染む (道子)
先に立ち 育ちし原の あちこちを 我に伝えつ 妻は歩ける
探り当つ 土に深くの 薩摩芋 かくもよきもの 神隠せしや

<2017.10.15>
軒下の 陰を照らすや 茗荷咲く
箒草日の 影うつす 色変わり
心無き 己を深く 悔やみつつ 一意の祈り 友を思いて (道子)
お手玉に 興じる妻は 楽し気で 幼子のごとき 顔をしておる
いち早く 咲き始めし 白菊よ 長く保てよ その色の華を

<2017.10.8>
まだ残る 柿の実空に 照りにけり
秋雨の 静かな音や 魚跳ねる
県道の どよもす下の 刈り田辺に 二羽の青さぎ 静まりて居り (道子)
花に葉に 一ついのちの コルチカム かくにぞ生ける 一途もよけれ
購いしもの 少なけれ 我が食卓の 葱芋若菜 豊というべき

<2017.10.1>
もって菊 花見る前の 団子かな
柿ならば 若きも熟も それぞれに
まわり道 相逢うことなき 友の家の 庭に香れる 金木犀見ゆ(道子)
夏の日の トマト育てし 後の地に キャベツ芽を出す いのちの床よ
嫁ぐとき 祖母の持たせし 鏡台は 我には見せぬ 妻を映しか

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