俳句短歌2017-7〜2017-9

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<2017.9.24>
栗虫の 鼻や突き破ぶ 穴一つ
栗の木の ある教会の 庭静か
夏の花 果てて秋まつ 白小菊 つぼみ盛り上げ 時の満ちるを (道子)
小松菜の 新葉を摘める 朝餉にも 汁の色どり 椀の嬉野
とりとめも なき話こそ 楽しけれ ややにも暑き 初秋の午後

<2017.9.17>
会堂の 明かりをおとし 秋番茶
もう少し 海に置きたき 秋刀魚焼く
花どきを 待ちて真白き 形見花 散りても吾の うちに咲きおり (道子)
柿の実の 皮も剥かすに 歯をあてる 歩きつ喰らう 野良帰り道
枯れ花を 除ける壷に 残り香の 秋は気配を 濃くも伝えて

<2017.9.10>
一つ来て 次々曲がる 畝の波
植えるべき 種ととのいて 棚に待つ
人知れず 宵に装う 匂いギボウシ 明ければ香る 白き花がら (道子)
味噌汁に 入れる野菜の あらかたを 手摘みしたれば 不揃の椀に
気がつけば 常電線に 姿なく 別れも告げず つばめ旅立つ

<2017.9.3>
こおろぎの 初音を聞ける 網戸かな
年毎に 小さくなりし さんま焼く
夕暮れの 刻うつ鐘に 静まりて うれし悲しも 今のこの時 (道子)
すべりひゆ 妻の知らない 草の名を 畑にみつけ 指さし教う
終わり畑 大き西瓜を 育てたる 蔓の細きぞ 愛おしけれ

<2017.8.27>
ピーマンの 百面相や 泣き笑い
音だけの 花火季節を 告げりけり
せわしなく ゴーヤの花に しじみ蝶 自在に遊ぶ 幼子のごと (道子)
雨運ぶ 小さき風に 茄子揺れて 仕事の仕舞い 妻に告げしむ
詩篇読む 風のあおりに 蹄鉄を 押さえと置きて もの思い居る

<2017.8.20>
蝉殻や 見つめる童手に 持てず
りんどうの 花束添える 耶蘇の墓
耳とおき 二人の会話かみ合わず 老いゆくごとに なじむも可笑し (道子)
白桃を 携う友は 気遣いて 裾分けなれば 気兼ねをすなと
ミニトマト 水で洗える 妻の手の 濡れるままに つまむ一粒

<2017.8.13>
亡き友の 御国に咲くや 茄子の花
種とりの オクラ長寿を 全うし
みんみんと 短く鳴きて 庭伝い お暑いですねと 又鳴きはじむ(道子)
露のごと 今日を限りの マナ降りて 拾いて集む 甘き綿菓子
畑中で 我が匂いをや 懐かしく 群れなし来たる 蚊の騒がしさ

<2017.8.6>
ウド絶えて 惜しいと思う このあたり
縁側を 散らす咎なし 西瓜喰う
炎天の 涼気いっしゅん 大き葉の そよめく下に 黄のオクラ花 (道子)
道に咲く 涼やかなれる 青き実の つる草摘める 妻嬉しげに
ころぶよに 両手を上げて 歩く幼児(こ)の あと追う 爺(じじ)の おぼつかな足

<2017.7.30>
唐黍や 醤油火に落つ 白煙
野薊の 棘あるゆえに 手折られず
野良仕事 汗を流して はるかなる 母のけはいや 土匂う中 (道子)
茶を入れて 二人飲む夜の 相語り たわいもなきを 幸というかも
唐茄子の 重き堅き 黄色きは 美味しなれば そいつを選ぶ

<2017.7.23>
地下のうさ 三日ではらす 蝉の声
遠雷や よしずを通る 風涼し
深緑の 峰々ふかきかし こよりひくき 山鳴り 蝉しぐれくる (道子)
一日を 限りと生きる 天気草 日を見送りて 衣をたたむ
竿さして 釣れぬ魚の 午後の糸 蜻蛉とまれば 遊ばれている

<2017.7.16>
聖書引く 指に蚊一つ 止まる気に
芋の葉の 一つが揺れて 夏通る
炎天の 空を見上げる 天気草 光映して 今日は何色 (道子)
青柿の ふくらむかたちに 姿よむ とがりもあれば 平もある枝
猫の子が 玉に遊ぶを 見る人を 少し離れて 見ている私

マーライオン(シンガポール)

<2017.7.9>
ニコライの 鐘陽炎の 刻を打つ
減塩の 醤油に白し 冷奴
虎の尾の 幾年経つる 初花の 白き輝き 現わるる今 (道子)
もろこしの 根にうずくまる ぶちの猫 林の虎に 似てはいるけど
移植して 庭に根ずくや ミニトマト ここは捨て猫 遊ぶ庭なる

<2017.7.2>
芋の葉や 水玉光る にわか雨
すれすれに 茶髪のつばめ 軒を飛ぶ
吾先や いずれを問いつ 彼先や 残老いとい 歌よみ交わす (道子)
妻の名を ただ呼んでみる 時がある そこに居るのが わかっているのに
黒革の 万能椅子に 座るのも 過去とはなりて 千円床屋

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